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2016.05.31

アスペルガーに見かけの「やる気」は求めるな

今日はコーチングのクライアントさんから有料のご相談がありました。
「新規に採用した新人さん(女性/20代後半)が気になる」という内容です。



業種は歯科クリニックで、仕事は受付のスタッフ。
既存スタッフが退職するため、急きょ、補充要因として採用したのですが、
飲み込みがイマイチ悪く、周囲ともあまり馴染まず、
仕事への姿勢にも疑問が残るため、助言が欲しい、というものでした。


お話を聞いた限りでは、アスペさんではないかと思われます。
ヒヤリングした特徴やエピソードは以下の通り。


・物覚えや飲み込みが遅い。教えても響いて伝わっている感じ全くがしない。
・伝えたことを曲解される。日報を見ると、こちらの意図と全く異なる主旨に変換されている。
・間違いを指摘するとすぐに「わかってます」と遮るので、プライドが高いのかな?とも思う。
・好きでこだわりのある分野に関しては、ちょっと振ると空気を読まずに延々と熱弁する。
・先輩達には節度を保っているが、直接の指導者に対してはあけすけな物言いをする。
・雑用に関しては、非常にストレートな突っ込みを入れてくる。(これも仕事なんですか?)
・何かを指導すると、馬鹿にして軽視されているような印象を受ける。(わかってます!)
・本人の自信たっぷりのトークに対して、実際はできていないことが多い。
・自分は仕事ができると思っているような印象があり、プライドが高そう。
・電話応対はなめらかで秀逸。
・全般的に、前向きな熱意ややる気が感じられず、すでに孤立し始めている雰囲気。


失礼とは思いながら、「電話応対はいい」というひとことに、
思わず、爆笑してしまいました。
アスペルガーやその傾向が強い人って、言葉遣いや敬語がきれいなんですよね。
ルールやルーチンに感性が強いので、
相手の意図をくみ取って臨機応変に柔軟に対応するということよりも、
いかに正しい敬語で間違いのない言葉遣いをするか?ということのほうに、
関心の高い人が多いです。で、実際にそちらの方が向いています。
なので定型トークは素晴らしいです。(休診の問い合わせや、保険証の説明等)


それから「プライドが高いのでは?」という部分も、
どちらかと言えば防御かな?と思いました。
アスペルガー傾向の方は、小さいころから周りと齟齬が生じていて、
自分には非がないと思っていても、他人からは「そうじゃない」と叱られることが多いので、
自分を批判するような発言に対しては、頑なに強いバリアを貼ったり、
逆に何も考えず条件反射のようにひたすら謝罪を繰り返したり、
それまでの人生経験で学習した結果が、行動に現れることが多いです。



ただ、私が気になったのはそこではなく、「やる気が感じられない」という部分でした。


アスペくん・アスペさんは、特定の分野にで非凡な力量を発揮できる人達ですが、
"周囲が自分をどう見ているか?""どう見られているか?"などの、
対外的で客観的な自己認知/自己評価は苦手です。周囲と大きくズレが生じます。


そもそも、「やる気」ってなんでしょうね。


何らかの理由である対象物に高い関心が生まれ、
それに携わっている状態を自分で心地よく感じるなら、
その心情は言動や表情になって自然に外に現れると思います。


ですが、職場の先輩達がイメージする「やる気」というのは、
決してそこだけを言っているのではないと思うんです。
強いて言えば、積極性、ということになるでしょうか。


具体的には、「自ら調べる」「自ら尋ねる」「自ら何かの役割を買って出る」
「言われなくてもやる」「業務に対して前向きな言葉を発する」などです。


ですが、アスペルガーの人達は、
自分が今、どういった姿勢を望まれているのかをキャッチすることが苦手ですし、
どのように行動すれば、周囲に「やる気がある」と認知されるのかもうまくつかめないし、
こころの中にピュアで真摯な「やる気」があっても、
それが周りの納得を得られる行動につながらないんですよね。
だから誤解されちゃうの。


他人が感じる「やる気」というのは二通りあって、
ひとつは、本人だけが感じて知っている、正真正銘の内なる「やる気」。
もうひとは、「やる気がある」と周りに思われたい無意識の演出。
たとえば、明るく元気な返事、自主的なお手伝いや先輩のサポート、
一刻も早く業務を覚えたい姿勢なども、それに当たると思います。


ですが、アスペっ子さんは、そのように自然に取り繕うことができないので、
ここ一番で、一挙一動を見られているような場面でも、
素のまま、超本音で振る舞っちゃって、
「今、それを言ったらヤバイでしょ?」と思うことでも平気で言っちゃうんだよなぁ(^_^;)


今回は、植木への水遣りを頼んだら、
「私が、仕事できないから、そういうことを頼むんですか?」と、
ストレートに突っ込んできたらしいし、ドクターは思わず言葉に詰まったそうです。


思わず言葉に詰まったのは、自分の気持ちとシンクロしてしまったからですが、
ホントはね、そういうときは、しらっとした顔して、「そうですよ?」と言えばいいんですよ。
彼らは字義通りに事実ベースで会話をするので、断定亭な言い方のほうが伝わるし、
向こうも意に反して、思った以上に素直に応じてくれることが多いのですが、
人への配慮があると逆に難しいですよね。


実際は、「仕事ができないから頼んだ」のではなく、
スタッフの方達が皆で分担してやっている日常業務だからなのですが、
その場合は、今回のドクターのように「こういうのも大事な仕事」などとは言わずに、
「当院のルールです」「当番制です」など、そういう決まりになっているということを、
当たり前のように断定的に言ってあげたほうが、わかりやすいと思います。


多くの人は、そういった"上から目線"の言い方をするとカチンと来ますし、
弁の立つ人なら、「そのルールっておかしくないですか?」などと、
今度は、ルールの意義そのものに言及してくると思いますが、
アスペっこさんは、人として正しくありたい、ルールは遵守したいと思っている、
真面目な方が多いので、その先に言及してくることは少ないように感じます。
または、相手の共感を得られる表現がすぐに思いつかず、
「それって変でしょ?」と感じても、パッとうまい言葉が出てこないのかもしれません。


「やる気」というのは、人を評価するうえで大きな指標になりますが、
その正体を分解していくと、単に態度の問題だったりすることが多いと思うんです。

でも、それができないから「アスペくん・アスペさん」なのであって、
指導者はそこだけをピックアップして取り沙汰せずに、
その人が実際に何をどう行ったか?だけを、
事実ベースで見ていくスキルも必要だと思います。


アスペルガー傾向の方への指導・育成は、精神論に終始すると進みません。
「なに?このひと?」と思う気持ちを引っ込めて、
仕事ができる/できない は、なるべく数値化させて、
客観的に本人にフィードバックしていくのがよいと思います。



彼らは、いい意味で、鈍感なところ、
つまり、人へのはばかりがないとろも、業績を上げていくうえでは強みなので、
本当は受付みたいな対人スキルを要求される業務ではなく、
数値に忠実な、検査士のような仕事が向くはずですが、
これがまた、世の中のうまくいかないところで、
現実には、アンマッチングな業務に就いている方も多いですよね。


クライアントさんには取りあえず、「やる気の有無で人を判断しないように」伝えて、
その根拠も伝えました。
うまくいってくれるといいんだけどな・・・


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2016.05.07

隣席の困った彼女をクリアせよ~⑥号泣した後任者の不満が会社の批判に変わる~

隣席の困った彼女をクリアせよ(その1)なんだその電話は?
(その2)隣席者から疑問が噴出
(その3)アスペルガーなら「指導」じゃダメだ 
(その4)非言語で分かり合おうと思わないこと 
(その5)上から目線の命令口調で脱出に成功
(その6)号泣した後任者の不満が会社の批判に変わる ←★ただ今ご覧の記事はこちらです


前記事からの続き)


【登場人物】
私(女性)・・・ぷらたなす。このブログの管理人。
太田さん(女性)・・・たぶんアスペルガーと思われる独特な人。隣席になった人は皆悩む。
赤井さん(女性)・・・「困った彼女」太田さんの2代目の隣席者。現在は退職。
小早川さん(女性)・・・「困った彼女」太田さんの3代目の隣席者で辞めた赤井さんの後任。




転職で入社してアスペルガーと思われる隣席の女子社員の言動に悩んで傷ついて、
「もう辛くてしょうがないんです」「会社、辞めようと思っているんです」と、
私に打ち明けてくれているうちに号泣してしまった小早川さん(40代後半/女性/仮名)。



前任の赤井さん(40代前半/女性/仮名)は自分なりの理解と判断で上手に態度を変え、
「隣席の困った彼女」である太田さん(30代後半/女性/仮名)を見事にクリアしましたが、
残念ながらご主人の転勤で退職してしまい、その後任で入社したのが小早川さんです。



小早川さんは、前任でツワモノで切れ者だった赤井さんと異なり、
どちらかと言えば指示待ちで、最初はとても他人に遠慮している感じでした。
私はこの会社さんに広報のコンサルとして関わっており、
初代→二代目→三代目・・・と、数年にわたるお付き合いの中で、
ある作業の窓口として3人の女性担当者(全員ミセス)とやりとりをしてきましたが、
今回の小早川さんが、一番地味で控えめで主婦っぽい感じ?



というか、ミセスの女性会社員としては、本当はこれが普通で、
今までの二人がたぶん強すぎたのだと思います(笑)
前の二人は姐御肌でモノによっては社長も牛耳るところがありましたが、
三代目の小早川さんは、余計なことは言わず、
指示があるまでは待機しているような雰囲気の方です。
いえ、今までの職歴でそうあることを望まれていた、と言ったほうが、
正しいのかもしれません。
きっと、出しゃばってはいけない職場で、言いたいことも言わずに、
淡々と仕事をこなす割り切りを身に着けた方なのでしょう。



私とやりとりしてくれる窓口担当者は、
いわゆる「困った彼女」である太田さんの隣が固定席です。



複数の前記事でも書いた通り、太田さんは独特な人なので、
入社したばかりで、まだ社内の雰囲気にも慣れないうちから、
一般的とは思えない価値観で、変な指摘や突っ込みをガンガンしてきます。
たとえ彼女より年齢が上でも、入ったばかりの頃はまだ新人ですから、
当初は先輩である彼女の言い分に従うしかなく、(右も左もわからず反論もできない)
矛盾だらけのその指示に納得のいかない思いを我慢していると、
段々精神的に辛くなってきて、どの人もその時点で退職を考えるんです。
今までの担当者は皆そうでした。


実はその事実を社長も専務も皆知っています。
「困った彼女」である太田さんの態度や言動や仕事の進め方は、
対外的にもクレームになることがよくあり、
過去に何度も社内の問題として出たり消えたりしていたのですが、
その都度、社長が何度も面談を行い、結果的に心優しい社長の
「悪気があってやっているわけではない。
ここを辞めたってどこにも行くところがないだろうから、
うちで雇い続けてあげようよ。」という鶴の一声で、
終わったテーマとなってしまいました。


なぜ社長がそう判断したのか、私にはよくわかるのですが、
ここではあまり詳しく書かないでおきます。
社長も一時期、大きな疎外感で心を病んだことがあり、
「仲間外れ」や「誹謗中傷」には敏感で、
大きな意味では、太田さんの立場が理解でき、
共感するところがあったのだと思います。


だがしかし。
現実問題として、私とやりとりが必要な「ある作業」というのは、
覚えるまでそれなりに時間がかかる内容なので、
入ったばかりですぐ退職というのは、こちらが大いに困るんです(汗)。


たぶんですが、社長(実は知人でもある)はそういったところも含めて、
私にコンサルを依頼してきたと思うんですよね。
女子社員の指導、教育、定着、そして成長。
契約書にその項目はありませんが、
「私」を人選したのはそういうところなのだと思います。


    *    *    *    *    *    *


小早川さんが入社してしばらくすると、
打合せの時の表情が暗く、態度もどこか投げやりになってきたので、
私は、そろそろ隣席の彼女からのダメージが限界に達して来ていると感じました。
そこである日、打ち合わせが午前中だったときに、ランチに誘ってみました。


そして、「最近、顔が暗いけど、太田さんで困っているんじゃないの?」
と、水を向けてみました。


入社時からそうなることはわかっていたので、
太田さんの件は、最初からFacebookなどで軽く情報を流し、
すでに愚痴や不満の聞き役になっていたのですが、
最近は、細かいエピソードをあれこれと書き綴ってくることもなくなりました。
でもそういうときは、逆に何かを決心したときでもあるんですよね。


「そうなんです。でも、もう、いいかな、って思い始めました。
私、そろそろ、辞めようかどうか、考えているんです。
この仕事、今の会社、たぶん、私には無理です。」


キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!! と、正直思いました(笑)
いや、別にうれしいわけじゃありませんが、予想通りという感じです。


こういうときは、なだめたり説得したりするよりも、
まず「ガス抜き」が肝心です。
私は、「人材育成に関わる仕事なので困った人のエピソードを集めている、
よければ何で困っているのか、もっと教えてもらえないか?」的なトークで、
彼女の話に耳を傾けました。


まず衣替えの話。
帰り際、急に突然「明日から衣替えなのでセーターは絶対着てこないように」
と厳しく高飛車に言われたとのこと。
でも同じ日の朝の朝礼で「今は移行期間なので寒ければセーターは着てもよい」
という上からの指示があったばかりなので、どうしたらよいかわからなくなった。
取りあえず様子を見ようと思い、寒いのを我慢して半袖ブラウスに着替えたら、
そう指示した張本人は涼しい顔でセーターを普通に着用していた、そうです。
小早川さんはその日、セーターも持参していたのですが、
彼女の手前、着ていいものかどうかすごく迷ったそうです。


「で、どうしたの?」


「結局その日はすごく寒くて、風邪を引いたら困るので、
セーターを着てもいいですか?と聞いたら、『は?何のこと?』という表情で、
自分がきのう、私に何を言ったかも覚えていないみたいなんです。
だから、もういいや、と思ってすぐにセーターを着ました。
何も言われませんでした。」


はー、うんうん、わかるよ、それ。
言ったことを覚えていないし、整合性がないんですよね。
なのでいちいち従っていると、疲れてくるし、
ときにはあり得ない妙な誤解で自分が悪者呼ばわりされて、
悔しくて涙が出たりします。わかります。


「他にも納期とか計算方法とか、間違った情報が多くて、
今は、一度指示に従うふりをしたあとで、
こっそり部長に聞きに行って、正しい情報を教えてもらったりしています。
でも、もう、そういうの、面倒だし嫌なんです。」


「それに男の人達がお客様との打ち合わせの最中に入った電話は、
普通は目立たないように部屋に入って、相手に知られないように、
こっそりメモ書きなどを手渡すのが普通だと思うんですけど、
彼女は、ものすごく大きな声でドカドカと会議室に入って、
ものすごく大きな声で、『部長、〇〇社さんから見積りの件でお電話です!』
って言うんですよ。それってマナー違反じゃないですか?おかしいですよね。
自社の取引情報を第三者にあからさまにするのはマズイじゃないですか。
でもそれを誰も注意しないし、それで普通だと思っているのか、
そういう会社の体質にも嫌気がさしたし、もう、会社に行くのもいやです。」


「それに彼女、お風呂に入っていないんだか、または洗濯しないんだか、
暑い日は近づくと臭うんです。その臭いを嗅ぐと本当に具合悪くなりそうです。
昼休みに買った野菜を置きっぱなしにして腐りかけてロッカー室が臭いし、
ランチタイムは休憩室の長椅子を占領して毛布被って寝ているし、
そういうところでは、食欲も出ないしご飯も食べたくないので、
私、いつも、自分の車の中でひとりでご飯食べているんです。」


それに・・・と、まぁ、出るわ、出るわ、
ちょっと水を向けただけで、痛いエピソードが山のようで、
小早川さんは本当に不満が溜まっていたのだと思います。
こうなるともう、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のたとえではありませんが、
やることなすことすべてが許容できなくなってきていて、
たぶん今は、存在自体が非常に嫌なんですね。
そして彼女は一通り話し終えると、突然、冒頭のように号泣し始めました。
そうだよね、感覚が違い過ぎて、心も通い合わず、
自分はただ言われるばかりの立場の人が隣にいるのは、そりゃ、辛いさ。キツいね。


私は前任の赤井さんに話したようなことは、
Facebookメッセージなどで、すでに何度も伝えてあったので、
(発達障害やアスペルガーや特徴と関わり方など)
これ以上、ヒントになるような情報はありませんでしたが、
前任の赤井さんが「目からウロコ」と一発で理解してくれたのとは異なり、
後任の小早川さんにはそれほど響く知識ではなかったようです。


それはたぶん、お二人の自己価値や自己効用感の違いかもしれません。
前任の赤井さんは入社当時から飲み込みが早くて仕事もすぐに覚えましたが、
後任の小早川さんはその時点でもまだ四苦八苦していました。
個人差なので仕方がないことなのですが、そのためかどうか、
赤井さんはすぐに「対策」のほうに、頭を切り替えることができましたが、
小早川さんのほうは、「自分が相手に尊重されていない」「認められていない」
という不満のほうに比重があると感じました。


というのも、ランチタイムの後半は、
「これっておかしいですよね」「間違っていますよね」という問いかけが多く、
今まで、何度かの転職がすべて大手企業だった小早川さんのプライドでもあり、
「いい社員であろう」と努めながら大切に守って来たものがここでは通用せず、
そればかりか「あなたのほうが変」という見方を、
他の女性社員にもされるようになってきたため、
気持ちがよりいっそう、意固地になっているようにも思えました。


確かに何百人の大手企業と知人の会社のような数十人の会社では、
価値観も視点も大きく異なります。
コピーで紙を無駄に使いすぎ。個人情報の扱いがいい加減。
社内の全員が間違った敬語を使っている。あり得ない電話応対。
社内情報が机の上にむき出し。ビジネスメールを出せない社員がいる。
数え上げればキリがありませんが、でも、言わなかったけど、
転職ってそういうものだよ。築き上げてきた自分の仕事スタイルを、
様々な価値観も含めて(それがよいかどうかは別にして)
一度ゼロクリアしなければならないんです。


その次の打ち合わせの時の小早川さんの態度はあまりよろしくないものでした。
メンバーの誰かがジョークを言っても決して笑わず、
頼まれて資料を取りに行く態度もふてくされた感じで、
打合せメンバーの仲間としてその場にいることを拒否しているように感じられました。


一人でもそういう人がいると、皆が敏感に感づいて、
誰もが変に気を遣い始めて、場の空気が悪くなるし、
話し合いもはずまなくなります。


たとえ特定の社員や会社全体に不満があったとしても、
打合せは、明確な目的のある「仕事の一部」なのですから、
そこで個人的な感情をあらわにするのは、
ビジネスパーソンのプロとは言えません。
私はそこは、自分が指摘してもよいところだと思いました。
なので、一計案じて、写真を撮りました。
「打合せ風景をブログに掲載したい」とかなんとか言ってね(笑)
知人の会社なので、その辺はゆるく、
今までも何度か撮らせてもらっているんです。


そして、休憩時間に、彼女をこっそり呼び出して、
スマホの写真を見せて言いました。


「どうしたの?こんなにふてくされた顔して。
この会社の社員は『成っていない』とあんなに言っていたのに、
これじゃ小早川さんのほうが、いまは『成っていない』社員なんじゃないの?
ウソでもつくってもいいから、こういうときは、『プロは笑顔』でしょう?」


実はこのあと、また会社への不満を噴出される小早川さんでしたが、
『プロは笑顔』は、納得せずとも、リクエストは伝わったようで、
休憩が終わって席に戻った小早川さんは、
ニコニコとよく笑うようになり、いつもの小早川さんに戻りました。


ですが、これで小早川さんが明るくなったわけではなく、
会うたびに暗くなっていく小早川さんがいつも気になっていました。
小早川さんの場合は、「隣席の困った彼女」の問題が、
いつのまにか、会社への大きな不満となっていたようです。




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2016.01.07

隣席の困った彼女をクリアせよ~⑤上から目線の命令口調で脱出に成功~

隣席の困った彼女をクリアせよ(その1)なんだその電話は?
(その2)隣席者から疑問が噴出
(その3)アスペルガーなら「指導」じゃダメだ 
(その4)非言語で分かり合おうと思わないこと 
(その5)上から目線の命令口調で脱出に成功 ←★ただ今ご覧の記事はこちらです
(その6)号泣した後任者の不満が会社の批判に変わる


前記事からのつづき)


それから少しして、
赤井さん(40代前半/女性/仮名)ほか研修実行委員メンバー、
プラス、外部講師である私を含めた忘年会があり、
皆がそれぞれ隣の人と個々の話をし始めたタイミングで、
赤井さんにチラっと聞いてみました。


「どうなった?あれから?」


すると、「今はバッチリOKです」
という、予想外に明るい返事が返ってきました。


癖があってちょっと変わっている、
隣の席の太田さん(30代後半/女性/仮名)に、
悩まされてきた赤井さんでしたが、
どうやら、クリアできたみたいなのです。


え?いったいどうやったの?


結論から言えば、彼女は太田さんに対して、
分別と常識のある、”いい人”でいることをやめたんです。



自分は正社員じゃないし、
太田さんより年上だけど、入ったばかりで社歴はとても浅い。
なので、業務上の先輩である太田さんには常に敬意を払い、
その指示や助言にはできるだけ従わなければならない。


その思いを、捨てました。


以下、赤井談。


ぷらたなすさんの「字義通り」「言葉で言われたことしかわからない」
と言うのを聞いて、なるほど!と、目からウロコでした。


ニュアンスを解さない、空気も読まない、
言葉だけがすべての世界、というのを聞いて、
ならば、私が相手に対して上限関係を意識した態度をとったり、
様々なシーンで遠慮してきたことも、
全部、無駄だな、と思ったんです。


そういうことって、言葉にならない部分なので、
普通の人ならくみ取ってくれますが、
太田さんには、こちらが思っているようには伝わらないんだなって。


だったら、もういいや、と思って、
(早々に辞めたい気持ちもあったし、もう、どうにでもなれ、という感じで)
私、上から目線で行くことにしたんです。


具体的には、他人に非協力的でネガティブなことを言ったら、
500円もらうことにしました。


(私)500円!!!???
(そのアイデアには、こっちがびっくり!!!)


以下、赤井談。


彼女って、自分が苦手な事や、できないと思うことは、
即座に「できません!」って、逆切れして強硬に突っぱねるんですよ。
でもそれ、社会人としては、どうよ?って感じですよね。


だから、ブタの貯金箱を買ってきて机の上にドンと置いて、
「そういうことを今後言ったら、500円もらうから。」
って、言ったんです。


(私)いやはや、思っても見ない強行手段に出たものだな・・・^^


以下、赤井談。


そして、彼女から「できません」「やりません」「やりたくありません」が出たら、
あ、今、言ったよね?言ったよね?と、
本当に500円もらいました。(キッパリ)


だって私のほうが年上なんですから、
このぐらいは、言っちゃってもいいですよね。


そうこうしているうちに、氷が解けるように、
なんとなくお互いのわだかまりがなくなってきて、
今は彼女、私の言うことは、結構聞きますよ?


・・・だそうです。


この戦略には、むしろ私のほうがびっくりしてしまいました。


というか、こういうことを考え付いて、すぐに行動に移せる赤井さんは、
やはり、とても優秀で、仕事がデキる人だったのだと思います。


赤井さんは、物事にあまりこだわりがありません。
その時点で、「自分はストレスなく居心地よく働きたい」というのが、
仕事上の目標・目的ならば、試してみようという気持ちがある人です。


(私)「本当に500円もらったの?」


(赤井)「もらいましたよ(笑)?でも、それ以後は気を付けていたみたいです。
私のこと、怖かったのかもしれませんが、それぐらいでいいのかもしれませんね。」


その後、赤井さんから太田さんへの愚痴を聞くことは、
二度とありませんでした。
そのトライアルを通して、確実に何かを得たのでしょう。


アスペルガーと思える人や、そのグレーゾーンやそちらの傾向を持つ人たちは、
こちらが思っているよりもストレートに物事を伝えたほうが、
うまくいく場合があります。
普通なら「怒らせてしまうのでは?」という、キツめの言い方でも逆に、
すんなりと納得して受け入れてもらえることがあります。


であれば、誰しも、一度はトライしてみたらいいと思うのですが、
それがなかなかできないのは、(今までの感覚で)「嫌な人にはなりたくない」
という思い込みや自己愛にとらわれていることが多いと感じます。
それを、一度捨ててみることができたら、意外な成果につながることもあると思います。


ただし、それは意地悪になる、ということではありません。
赤井さんのことですから、感情的になったりせず、
礼節を保った配慮有る態度だったと思いますが、
通常、私達は、相手に対する思いやりで、
ものをハッキリ言わないし、言葉にニュアンスを含めすぎるところがあります。
ですが、それでは明解に伝わらないのが太田さんなのだと思います。


なので、この件では、逆に、私のほうが赤井さんに教えられました。
赤井さん、ホントに「デキる人」だったな・・・


私にとって赤井さんは、仕事先の担当者でありながら、
公私ともに分かり合えた戦友のような人でしたが、
大変残念なことに、赤井さんはご主人の転勤に伴い、
わずか1年で退職してしまいました。


その後任として採用されたのが、
小早川さんでした。


(つづく)

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2015.12.21

隣席の困った彼女をクリアせよ~④非言語で分かり合おうと思わないこと~

隣席の困った彼女をクリアせよ(その1)なんだその電話は?
(その2)隣席者から疑問が噴出
(その3)アスペルガーなら「指導」じゃダメだ 
(その4)非言語で分かり合おうと思わないこと ←★ただ今ご覧の記事はこちらです
(その5)上から目線の命令口調で脱出に成功
(その6)号泣した後任者の不満が会社の批判に変わる


前記事からのつづき)


辞めた田上さんの後任として採用されて、
困った社員として皆が手を焼いている、
太田さんの隣に座ることになった赤井さんから、
「今度、飲みませんか?」という度重なるお酒のお誘いをいただき、
私と赤井さんは、ある日、BOX席が個室仕様になっている、
食いもの屋「わん」で向き合いました。


たぶん、太田さんの話だろうと思いました。
ビンゴでした。


赤井さんは40代前半のミセスですが、
それなりにバリバリキャリアを積んできた人で、
私が様々な仕事先で出会った女性の中では、
一番仕事できる人だと思います。


モデルさんのように細身で綺麗な人ですが、
中味はガラッパチです(笑)
人に対して「引く」ということがありませんが、
それがサバサバしてとてもやりやすいし心地いのです。


私から見て百戦錬磨と思える、その赤井さんが、
「太田さんってどうなんでしょうねぇ・・・」と、ため息をつくんです。


「どうって?」


「うーん・・・・」


赤井さんは、隣の席の太田さんをどう表現していいかわからず、
言葉を探しているようでした。


「感情の起伏が激しくて、キレるように食って掛かってくるときもあるし、
何かお願いしても、機嫌が悪いとやってくれないし、
それに部長からの指示にも『できません!』『やりません!』って、
真っ向から拒否するので、よく部長とガンガン衝突しているし、
それが、社内のムードを著しくピリピリと悪化させているんですよ。」


「私も、職場はいくつか変わってきましたけど、
あんな人は初めてだし、それを放置している会社もどうかと思うし、
そこまで嫌な思いをして仕事を続けるのほどの気持ちもないし、
この頃は、辞めてもいいかな、なんて思っているんですよね」


うわー、冗談じゃないよ、やめてくれー
担当者が変わって、それが優秀な赤井さんだったからこそ、
一切何の問題もなく、業務がスムーズに、というか、
前以上に効率的にサクサクと進んでいるというのに、
このタイミングで赤井さんが辞めちゃったら、
会社も大いに困るし、何より私が一番困る^^


あのさ。


と、私は一呼吸おき、「少しでもヒントになれば」と前置きして、
前職での経験や、今まで多くの人達を見聞きして感じたことを、
かいつまんで話しました。そして・・・


「私は一緒に働いていないので、太田さんがそうかどうかわからないけど、
『言葉だけでしか意思疎通ができない人』っているのよ。
言われたことはわかるけど、言われないことはわからない。
太田さんってそのタイプなんじゃなかな、と思って。」


「でも普通は、それってみんなそうなんじゃないですか?」


「それがそうじゃないの。私達はコミュニケーションのかなりの部分を、
含みやニュアンスでやりとりしているので、
非言語(ノンバーバル)の割合は、思っている以上に大きいです。
でも、彼女に対しては、絶対に非言語で分かり合おうと思わないこと。」



「???」


私達は、今こうやって二人で向かい合っているけど、
この関係性は膨大な”暗黙の了解”(非言語)をベースに成立しているのはわかる?


たとえば、
・自分の好きなものだけ注文しない(笑) オーダーは等分に頼む。
・相手のジョッキが空になったら、「頼みますか?」と聞いてチャイムを押してあげる
・相手の頭にいきなりお酒をぶっかけるようなことはしないw 危険な行為はしない(笑)
・黙ってトイレに立たない、スマホに没頭しない、焼き鳥の塩とタレは相手の意向も聞くw
・仲良く穏やかに話す、自分だけ語りすぎない、相手の話はじっくり聞く。
・赤井さんは私にとって仕事先の担当者(お客さん)。だから礼節を保つ。
・私は赤井さんにとって人生の先輩(年上)。だから礼節を保つ。
ほかにも色々あるけど、そういった多くの大前提を、
礼儀や常識として共有し合って成り立っている時間、でしょ?


でも、それはお互いに言葉で約束をして確認し合ったことじゃないよね。
テーブルに着いた時に、宣誓したわけでもないし、書面を取り交わしたわけでもない。
最初からそういうものだと思っているから、そこから外れないようにしているだけです。
それらのすべてが、つまり非言語だということです。


たぶん太田さんは、非言語情報をうまくキャッチできない人だと思うので、
今私が述べたような、誰でもわかっていて当たり前と思っていることでも、
ひとつひとつ、、いちいち口に出して説明しないと、
わからない人かもしれない、と思うの。
あ、もちろん、わかりやすくたとえた極端な言い方ですが。


「そういう人っているんですか?」


「いるんです。でも、生まれつきの資質かもしれないね。
だから、本当は、太田さんだって悪気があるわけじゃないのよ。
でも、何事も『言葉で明確に具体的に説明しないと』伝わらない人かもしれない」


アスペルガーとか障害とか、そういう言葉は出したくなかったし、
その必要もないと思いました。
要はそういった表現を一切使わずに説明して理解を得るのが、
自分の命題だと思っていたから。


私達は、ものすごい量の非言語の中で暮らしています。


たとえば、職場で、入り口の扉を締めずに室内に入って来た人がいると、
短気で感情的な上司なら「誰だ!ドアを開けっ放しにしたのは?」
と、怒りますよね。
その言葉に含まれる非言語の意味合いを書きだすと、


・ドアを開けっ放しにすることはよくないことである。
・そのため上司は怒っている
・上司は誰が開けっ放しにしたのか犯人が知りたい。
・開けっ放しにしたヤツは今すぐ閉めろ。
・これからはドアを開けっ放しにするな。


こんなところでしょうか。


そして、たいていの人はそのすべてを無意識に感覚で理解しているので、
指摘された当事者は、「あ、すみません!」と、慌ててドアを閉めに行きます。
上司に対しても、「今度気を付けます」とひとこと謝りにいくかもしれません。
でも、上司が言ったのは「誰だ!ドアを開けっ放しにしたのは?」という言葉だけ。


なので、言語化された内容だけしか受け取れない人にとって、それは短い疑問文です。
「扉を開けたのは誰ですか?」と言う単なる問いかけです。
なのでその人は、「私です」と悪びれることなくすぐ名乗るでしょう。
けれど、小走りに入り口に向かって、慌ててドアを閉めることはしないでしょう。


ですが、たいていの人達は、一向にドアを閉めようとしないその人を見て、
「なぜ閉めないの?」と首をかしげ、勝手に意味づけをします。
「上司が嫌い」「上司に反抗している」「ワガママ」「自分勝手」
そこに何かの主張が込められていると思い込んで、
今度は、その人を「評価」し始めます。


「あの人は、反抗的な人」「やる気がない人」「上司を上司と思っていない」
などです。


アスペルガー的な人と周囲との軋轢の発端はそこだと思います。
向こうは誠実に、普段通りに振る舞い、
そこに憶測の対象となるべき非言語は存在していないのに、
周りのほうが自分達の非言語コミュニケーションに当てはめてしまい、
「無愛想なのは相手を嫌っているから」 とか、
「頼んだことをすぐやらないのは仕事をなめているから」 など、
事実と異なる非言語ベースの評価が、どんどん独り歩きしていくのかもしれません。


「なので、私達はよく、朝の挨拶の時に、
『今日は暑いですね』『今日は天気がいいですね』などと一言添えるけれど、
太田さんにしてみれば、『だからなに?』という感じかもしれないよ?」


「そうですね。確かに変な顔をされて反応がない時があります。」


「それはきっと、どう反応したらいいか思い浮かばないんだよ。
普通は、『本当ですねぇ』『ビールが飲みたくなりますねぇ』ぐらいの
短いやりとりで終わるはずの会話だけど、
その裏には、共感し合うための時候の挨拶のようなものだから、
本格的に語らず適度に切り上げる、という暗黙の了解(非言語)があるよね?
だから長引かせようとも思わないし、何かを強く主張したいわけでもない。」


「でもそういうことは、ルールじゃないし就業規則にもないし、
教科書や参考書にも明文化されていない事柄なので、
情報取得のほとんどを言語に頼っている太田さんのような人には、
獲得するのが難しい社会スキルかもしれないんだよね。」


「それに、太田さんのように、非言語のキャッチが難しい人にとっては、
質問でもなく、指示・命令でもない言葉の投げかけって困るでしょ?
下手すると、『自分はそうは思いません』と、正しいか間違いかだけに言及した、
素っ気ない回答が直球ストレートで返って来るんじゃないの?(笑)」


「あるあるある!」


赤井さんがうれしそうに笑い出し、私達は段々調子が出て盛り上がってきました。
赤井さんは人を恨んだり蔑んだりする人じゃないけど、
こうやって分かり合える人と、こっそり爆笑し合うガス抜きの時間も必要ですよね。


    *    *    *    *    *    *



赤井さんは回転が速く、察しのいい人なので、
私のつたない説明でも、合点がいくところが大いにあったようでした。


(赤井)「言われてみれば、変なことを言っているときがよくありますけど、
言葉だけしか伝わっていないと考えれば、ものすごく納得がいきます。」


(ぷら)「月末でみんなが当たり前のように残業しているときでも、
まだ仕事が山のように残っているのに、気にする様子も見せず、
いつも通りに涼しい顔で、鼻唄なんか歌って定時に帰ったりしない?」


(赤井)「します!人のことは絶対に手伝わない!困っていても手を貸してくれない」


(ぷら)「それは、ちゃんと口に出して
『手伝ってくれない?』と、きっちり頼まないとダメよ。
残業も本当は上司が、『今日は残業してください』と、明言して頼まないとダメ。
何も言わず、手伝って欲しそうな素振りだけで、
太田さんが察して手伝ってくれるかというと、たぶん絶対手伝わないw」


「あるあるあるある!」


太田さんには申し訳ないけど、また爆笑。
赤井さんは笑いすぎて出た涙をテーブルの紙ナプキンで拭きながら、
ひとしきり落ち着いてから言いました。



(赤井)「いやぁ~、こんなに笑ったの久しぶり。今日は目からウロコです。
こっちがここまでバタバタしているのに、知らん顔で無視するので、
この人は私が大嫌いで、隣に座っているのも不快に思われている、
と思っていました。」


(ぷら)「いや、ホントはそうかもよ?(笑)」


またまた爆笑。
でもいいよね?こんな日があっても。
普段、大変な思いをしているんだもの。


(ぷら)「そうそうそう。それが非言語キャッチチームの悪いところなのよ(笑)
これほどまでにSOSサインを出しているのに、手伝わないってどういうこと?って思うけど、
向こうにしてみれば、ひとことも言葉で頼まれていないんだから、
手伝わないというのも、あながち、間違いではないのよね。」


(赤井)「じゃ、なんでも口に出して言えばいいんですか?」


(ぷら)「そうです。これお願いします。これやってください。それはやめてください。
変だと思ったら、黙って言葉を飲み込んでしまわずに、それは違うよって、
はっきり言ってあげてください。むしろそのほうが感情的なケンカにならずに済むから。
たいていの人は「それは変だよ、よくないよ」という、一番大事な結論を伝えずに、
命令や懐柔や説得で相手の行動だけを変えようとするので、相手も怒るわけ」


(赤井)「なるほど。ものすごくよくわかりました。なんか・・・見えました!」


ほかにもたくさんの話を遅くまで語り合ったのですが、
笑い転げすぎて、今となっては何をどう話したのかさえ忘れてしまいました。


とにかく、第三者にはキツイ言い方に聞こえるかもしれないけど、
「これやってくれるとうれしいんだけどな」なーんていう伝え方は止めて、
「これやってください」とストレートに言わないと、やってくれないよ?
そんなことを言ったと思います。


前言と重複しますが、
「これやってくれるとうれしいんだけどな」 などという表現は、
アサーション的には「あり」かもしれませんが、
非言語をキャッチしない人にとっては、
ただの独り言であり、単なる感情表現にすぎません(笑)
やって欲しいことは、やって欲しい、と言わないと、「ふーん」で終わってしまい、
片方だけが、膨大な苛立ちとストレスを抱えてしまうと思います。


最後まで「アスペルガー」という言葉は出さずに行こうと思いましたが、
赤井さんの飲み込みがよく、話の聞き方も理解の仕方も冷静で論理的だったので、
私は気が変わって、最後に、「この言葉、あとで検索してみて」と、
「アスペルガー」と書いたメモを渡しました。
赤井さんなら、偏見や嫌悪感を持たずに読んでくれると確信したからです。



それがよかったのかどうか、
赤井さんは結果的に、うまく太田さんを攻略できました。
彼女が太田さんに対して、どのような作戦を取ったのかは、
また次回にお話しいたします。

(つづきは→こちら

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隣席の困った彼女をクリアせよ~③アスペルガーなら「指導」じゃダメだ~

隣席の困った彼女をクリアせよ(その1)なんだその電話は?
(その2)隣席者から疑問が噴出
(その3)アスペルガーなら「指導」じゃダメだ ←★ただ今ご覧の記事はこちらです
(その4)非言語で分かり合おうと思わないこと
(その5)上から目線の命令口調で脱出に成功
(その6)号泣した後任者の不満が会社の批判に変わる


前記事からのつづき)


電話も悪い。態度も悪い。
オフィスには不似合いなデカいスポーツサンダルを、
引きずるように歩いて、立居振舞もよくない。


関与先の会社に出向くたびに気になる太田さんに対して、
私は先方社員に何度も、
「太田さんはちゃんと指導したほうがいい」と言って、
機会があれば、自分からも彼女にとってベストな方法で、
直接そのことをフィードバックしたいと思っていました。


ですが、社員の田上さん(女性/30代前半/仮名)から
彼女にまつわる数々のエピソードを聞いて、
私はハッと気が付き、直感しました。


太田さんってアスペルガーなんだな、きっと。


会話がかみ合わないとか、空気が読めないという話は伺っていませんが、
「なんで、いま、それ?」という突飛な行動や、
不可解な理屈を通そうとして、周りと大きな軋轢を生むことがあるらしいので、
アスペルガーであってもなくても、物事の統合性や、
業務に対する視点が、他者と異なる認知のズレはありそうです。


そうだとすると、彼女に対しては「指導」じゃダメだわ。
今、彼女に必要なのは、そっちじゃない。
今、彼女に一番必要なのは、
ありのままの自分を暖かく受け入れてくれる味方の存在だと思いました。


長年のリーダー経験で感じたことは、
職場の「困った人」は、ほとんどがグレーゾーンの人達であること。


それでもご両親と仲がよく、学卒で入った最初の仕事の人的環境がよければ、
そこそこやっていけるけど、現実ではなかなかそうならず、
「受容されない」事に対して、学習能力が発揮されて、
極端に依存的になったり、隷属的になったり、人に対して屈折していることも多いです。


アスペルガーにせよ、ADHDにせよ、LDにせよ、
いわゆる発達障害のカテゴリに入る人やそのグレーゾーンにある人達は、
本人が望んでそうなっているわけではないのに、
持って生まれた資質によって、常に他人から批判され指導され、
「今のあなたではない別なあなた」を周囲から強く望まれ続けいるのが現状です。


障害とまではいかなくても、
人の生まれつきの資質や特性に理解のない(ですがそれが普通)
身近な家族や、人生で出会う大多数の人達から、
いつでも「それじゃダメ」って言われて、
いつでも「直しなさい」と言われて、
いつでも誰かに「もっとこうしたら?」と言われ続けているわけですよね。


でも、常に変化を望まれているということは、現状はNGだということでもあり、
自然な自分の偽らざる素の状態にダメ出しをされ続けるのは辛いよね。
しかもアスペルガーゆえに、その理由が理解できないものであれば、
尚更、世界は不条理と混沌に満ちたものに思えるだろうな。
そういった環境の中で、気持ちが後ろ向きになって物事に自信を失い、
精神的に屈折していくのは当然だと思うんです。


前職で長年、アスペルガーと思われる人達に悩んで苦しんで、
色々な出来事を経て、最終的にはその人達の弁護者になろうと思った私だったのに、
こんなときに、すぐそこに気が付かないなんて、迂闊だと思ったし、
勘が鈍ったとも思いましたよ。おっとっと・・・という感じでした。


でもね、今から私がすべきことは「指導」ではなく、
彼女を一番愛して、一番理解してあげられる人になることだと思いました。
そのアプローチでしか、彼女は変わらないと思いました。


    *    *    *    *    *    *


次の訪問日。


相変わらず無愛想な表情でお茶を出す太田さんに、
私は「太田さん、いつもお茶、ありがとう」と、
笑顔でお礼を言いました。


太田さんは、急にそう言われて、
どう反応したらいいのかわからなかったようで、
「はぁ」と言いながら戻っていきました。


その次の訪問日。


入り口から内線をかけて訪問を告げると、
これまた相変わらずの事務的でそっけない応対ですが、
「あら、太田さん!太田さんでしょ?太田さんに会うの、楽しみにして来たよー!」
と、言ってみました。


お茶出しで会議室に入ってきたときには、
「Hi!」と手を上げて「元気?」とちょっとからかってみたり、
別な時、一緒に会議室まで向かうことがあれば、
「今日は暑いよね?」と話しかけたり、
「忙しいの?」と尋ねてみたり。


だって、いつも不機嫌で無愛想で無表情の太田さんに、
外からやってきたお客さんが、笑顔で話しかけることなんて、
ないと思うんですよね。


いつでも「なにこの人?」と思われて、
たまには以前の私のように、「あの人、指導したほうがいい」
なんて言われているわけですから、来客を好ましく思うはずがないし、
ましてや、相手のためにいい接客をしようなんて思わないよね。


来客は、自分が批判される嫌なイベントだから、
面倒で億劫で後ろ向きになるのだわ。


でも、「あなたが好き」と言ってくれる人がいて、
「あなたに会いたかった」と言ってくれる人がいて、
応対した電話にも、出したお茶にも、
うれしそうに笑顔で「ありがとう」と言ってくれる人がいたら、
きっと彼女は変わっていくと思ったの。


多少ADHD傾向がある私自身も、
「自分は変わっている」という劣等感や、
「自分のような人間は他人から受け入れられないだろう」という不安と共に生きてきて(今は全解消)、
常に親のストレスになって、親から批判ばかりされてきたので(今は納得)、
太田さんを愛することは、自分を愛することでもあるんです。
自分が相手にして欲しかったことを、今度は私がする番なんです。


そして、結果は思った通りになりました。


太田さんは、来客が私だとわかると、
急いで入り口まで迎えに来てくださるようになり、
そこから二人で楽しく雑談しながら会議室に向かうようになり、
お茶出しのときも、私が話しかけると笑顔で答えてくれるようになりました。


会社の人達からも、
「最近、太田さん、変わったよね」と言われるようになり、
社長や専務からも、ことあるごとに、
「太田さんはぷらたなすさんが大好きだからね」と、
言われるようになりました。


これは人の心をもてあそぶとか、そういうことではありません。


会社の中で、「困った人」と思われているような相手の変化を望むなら、
指導者はまず、相手が望むものを提供し、相手の気持ちを暖かく満たしてあげて、
誰よりも強力な相手の味方となる必要があると思うんです。


太田さんのような人は、きっと、
仕事をしていて、褒められるとか、心から感謝されるとか、
必要な人材として皆から尊重される経験の絶対数が少ないと思います。
それは間違いではないけど、だからと言って、正解でもありません。


ある日、太田さんから、「ぷらたなすさんの勉強会に一度出てみたい」
と、直接メールをもらいました。うれしいよね、こういうのは。
私のほうにも、彼女に承認してもらっている幸せな気持ちが生まれます。
いい人なんですよ、本当は。
でもそのよさに、誰も気が付かず、周囲に不満に思われているのは、
気の毒に思えます。


突然切れたり、自論に固執したり、感情的に食って掛かるらしいし、
複数の社員の方達から、色々お話は伺うのですが、
そんな中でも、「私」という存在が、何かの心の拠り所となって、
段々、精神的にも安定する方向に向かえばいいな、と思いました。


太田さんと私は、今ではいい友達です。
会社をご訪問した時しか会えませんが、
いつか、絶対、飲みに誘いたい。


皆さんは、「毒団子」という昔話をご存知ですか?
嫁と姑が仲直りをする話です。
私が直接、民話の語り部さんから聞いた話とは少し違いますが、
↓↓↓ぜひ以下をご一読ください。

仲なおりした姑と嫁」(まんが日本昔話データベースより)


私はここに、世の中の「困った社員」に対する、
アプローチの大きなヒントがあると思っているんですよね。
彼らにまず必要なのは、北風ではなく、太陽なんだな。


でも、私はいいけど、会社のほかの人達は困ったままなのです。
そんな中で、今回の窓口になってくれている田上さんが、
ご主人の両親と同居することになって退職し、
太田さんの隣には、田上さんの後任として新しく採用された
赤井さんが座ることになりました。


このときはまだ、この件について、
このあと、さらに深く関わることになるとは思っておらず、
太田さんが私に心開いてくれて、仲良くなれたことに、
喜びを感じているだけの私でした。

(続きは→こちら



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2015.12.20

職場リーダーのグループコーチング~⑤劣等感の根源はPCスキル?~

職場リーダーのグループコーチング(その1)前に出すぎる社長
(その2)反省多々。やる気のない社員達
(その3)メールについて知りたい 
(その4)うちの会社には署名がない 
(その5)劣等感の根源はPCスキル? ←★ただ今ご覧の記事はこちら


前の記事からのつづき)

「このパソコン、借りてもいいですか?」


「あぁ、どうぞ、どうぞ。」


皆さんとのやりとりを通じて、
この会社のリーダーさん達がPCに詳しくないことがわかったので、
私は、グループコーチングに参加しているリーダーさん達のPCに、
メールの署名(シグネチャ)を設定してあげることにしました。


「まず、メールの署名についてですが、
これは、会社が難しい仕組みを使って実現させているわけではなく、
個人個人が自分のパソコンで、好きなように設定できるものなんです。」


こういったことでも、皆さんは少し驚いたようでした。


メールの署名は、全員が同じアドレスを使っているような小さな会社では、
昔、誰かが設定した個人名のないものが、そのまま何年も使われていることが多く、
システム担当者がいるような大手では、担当者がすべて設定し終わったPCが、
新人や転職者に手渡されることが多いので、
多くの人達にとって、それは「最初からそこにあるもの」です。
だから、自分のPCで自分が設定できるということを、知らない人も多いんですよね。


「それから、署名のデザインですけど、これも一から自分でつくれます。
でも、ネットにいい見本が最初からたくさんあるので、それをコピペして使うのが一般的。
『メール 署名 テンプレート』などでネット検索すると、見本帳のようなサイトが一杯あって、
ほら、こんな風に、いい感じの署名がたくさん掲載されているので、ここから選んで使うんです。
斎藤さん、この中でどれがいい?」


「うーん、じゃ、5番で。」


「オッケー。5番ですね。じゃ、5番の署名を設定してみましょう」


PCのOSはWindows7、メーラーはOutlookでした。
数年前からGmailオンリーの私は、近頃メーラーを使うことは一切なく、
一瞬、うわっ、アウトルック、わかんねー、と思いましたが^_^;
その場で検索して、事なきを得ました。


その、「不明点をネット検索しながらその場で作業を完了させる」ということも、
皆さんにとっては驚きの事実だったらしく、
「え?それでもうわかったの?すごい」と、びっくりされました。


次は、ネットからコピペした署名の編集です。
住所、電話番号、個人名、アドレス、HPのURLなどを、
自分達の会社のものに差し替えます。


ここから先は、できるでしょ?と、席を入れ換わり、
文字入力の様子を見ていたら、
住所のところで、手間のかかる変換をしていることに気が付きました。


たとえば住所が「伏袋ヶ原」という地名だったとすると、
「伏せる」と打って、「袋」と打って、「ケ」と打って「原」と打っているんです。
思わず、はー、と苦笑^_^;


「ちょっと、ちょっと、ちょっと、あのさ、
今の「伏袋ヶ原」っていう住所、毎回、そうやって面倒臭い打ち方しているの?」
(この時点ですっかり打ち解けているので、自然にタメグチ(笑))


「そうなんですよ。うちの会社の住所、本当に面倒で・・・」


「辞書登録ってしたことないの?」


「は?なんすか?それ?」


「変換しても出てこないような言葉は、
辞書登録すると、一発で出てくるので楽ですよ。
ていうか、会社の住所でしょ?いったい1日に何回打つのよ?
会社の住所ぐらい、辞書登録しようよ(笑)」


私は「伏袋ヶ原」という言葉を辞書登録してあげました。
そして、本日の皆さんが、一番食いついたのはここだったのです。


「そのやり方、俺も知りたい」
「前から面倒臭いと思っていたんです」
「メモするからもう一回やってもらえませんか?」
「支店のパソコンにも設定したい」
「自分は敬大(のりひろ)という名前を毎回、敬語、大きいって打ってます。
それも登録できますか?」


(はぁ~、毎回毎回、「敬語、大きい」って打ってんのか・・・^_^;)

不調だった初回のコーチング とは別人のような皆さんが、
それぞれメモを片手に、私の周りを囲みました。
そして何度も何度も「今のところ、もう一回!」と言われながら、
私は辞書登録の手順を繰り返しました。
もはやすっかりPC教室と化した今回のグループコーチング (笑)


でも、私はそれでいいと思いました。
この人達が今、一番欲しているものが「PCの使い方のノウハウ」なら、
即座にそれを提供することが、皆さんの仕事の満足につながるはず。
引いてはそれが自信になって、こういった小さなことであっても、
業務上の不安や劣等感が少しずつ消えていくと思いました。


人数分のPCのメーラーに署名の設定を終えると、
メンバーは各自が自分のPC操作に集中していて、
よく使う地名や略語、専門用語を一生懸命「辞書登録」をしていました。


ふと、横の席の敏弘さんを見ると、
「大通り」の読み仮名を、「おうどうり」と設定するところだったので、
えっ!と思わず、突っ込む。敏弘さん、それって・・・


「自分のメーンのお客さんの住所なんですが、
これも辞書登録しておこうと思って。いつも王道理って出ちゃうんですよね。」


大通りを「おうどうり」と打ったのでは、正しく変換されないのは当然です。
それは正しくは「おおどおり」であると告げたら、
みんなから一斉に突っ込みが入り、部屋に笑いがあふれました。


この会社のリーダさん達は、大きな法人さんともやりとりがあるので、
本当は、こういったPCスキルやビジネススキルを基礎から学びたいんだな。
私は皆さんの笑顔を見ながら、そう思いました。


同時に、前職と比較して、そういうところがちゃんとしていない今の会社に対して、
疑問もあるし、卑下する気持ちも疑問もあるようです。
また、よくわかっていないまま、なんとなく仕事で使っている自分に対して、
イマイチ満足できない思いや、不安や劣等感もあるし、
そういった複雑な感情を、ソフトとハードの両面で、
解きほぐしていくことが、直近の課題ではないかと思いました。


次回のリクエストテーマを募ったところ、
「次回はエクセルについて教えてほしい」とのこと。


前任者が作成したものをそのまま使っているが、
直し方がわからない、自分でいじったら変になってしまった、
そもそも使い方がよくわからない。というのが皆さんの声。


そうですよね。一度きちんと教わりたいものですよね。


ということで、次回のテーマは「エクセルの使い方」になりました。

(つづく)




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職場リーダーのグループコーチング~うちの会社には署名がない~

職場リーダーのグループコーチング(その1)前に出すぎる社長
(その2)反省多々。やる気のない社員達
(その3)メールについて知りたい 
(その4)うちの会社には署名がない ←★ただ今ご覧の記事はこちら
(その5)劣等感の根源はPCスキル?


前の記事からのつづき)

「メールの署名?」


「はい。こういうのって会社で付けるものですよね?
お前、気にならない?」


支店のほうで店長をしている一条さん(40代)が、
隣の本店リーダー(50代/おじさんキャラ)に聞きました。


「なにそれ?署名ってなに?」(50代おじさんキャラリーダー)


私がメールの署名(シグネチャ)について説明すると、
リーダーさん達は一斉に携帯やスマホを取り出して、
自分宛のメールを開いて詳しく見始めました。
チーフリーダーの上野さんが言いました。


「確かにね、お恥ずかしい話ですが、うちの会社、署名がないんですわ。
こういうのは本当はあったほうがいいとは思うんですが・・・」


(別なリーダー)「自分もこの会社に入った時に、
みんな、メールに署名を付けずに送っているので、
本当にこれでいいのかなぁ、とずっと思っていました」


実はこの会社のほとんどの社員が転職者です。


東日本大震災をきっかけに大きく業績を伸ばし、
社員も社屋も2倍になりましたが、その中でも、
今、私の目の前にいるリーダーさん達は、
準大手や地元の中堅会社で仕事をしてきた人達です。
前職で当たり前に行われていたことが、ここでは徹底されていない。
それが気になるんですね。わかります、それ。


(私)「皆さんは、メールの署名があったほうがいいんですね?」


(全員)控えめに頷く


(私)「じゃ、私から社長に頼んでみましょうか?」


と言ったあとで、すぐに、
そんな手間ひまかけるよりも、今すぐやろうと思いました。
彼の性格なら、事後報告でも決してNOと言わないはず。
だって、社長自身が一番よく理解していないと思うので、
「意味がよくわかんないから、とにかく好きにやって」と言うと思うよ、絶対(笑)


さて、私は今まで転職してきた複数の会社のことを思い出してみました。
メールの署名(シグネチャ)は、会社として統一フォーマットを使っているところもありますが、
私が働いてきた会社では、どこも設定は各自の裁量に任されていました。


あぁ、そうだ。思い出した。
だから、ネットでテンプレートを探して、好みのものを入れたりしたんだっけな。
かっこいい署名を使っている人には、「どこから取って来たの?」と尋ねて、
テンプレサイトのURLを教えてもらったりしたんだった。懐かしいね。



(私)「じゃ、これからすぐに設定しませんか?」


(全員)???


皆さんは、メールの署名は会社が設定してくれるものだと思っているでしょ?
でも、違うの。そうじゃないの。
メールの署名は、会社で特にルールが定まっていない場合は、
自分で好きなの入れていいんですよ。勝手に設定しても大丈夫なの。
どうせルールなんてないんでしょ(笑)?(←失礼^^ 知人の会社なものですから(笑))
じゃ、今すぐ、入れましょうよ。
皆さんのパソコン、(外部の)私がいじってもいいなら、
今すぐ、設定しますよ?それって可能?


「あぁ、もちろんです。ぜひお願いします。」


善は急げ、です。
私達は連れだって、倉庫の中の会議室から外に出て、
綺麗な星空の下を、口々に「寒い、寒い」と手をすり合わせながら、
別棟のオフィスに向かいました。

ハウスクリーニング業は町のお掃除屋さんです。
倉庫、プレハブのオフィス、ガラクタが山積みの駐車場、
入り口の横のワックスの缶、産業廃棄物処理車。


前職のプロバイダーでは、
経営の屋台骨を揺るがす個人情報漏えいを、
過敏なまでに恐れなければならず、
指紋認証、入室カード、部外者の立ち入り厳禁、
PCを使うときにも何重もの認証や複雑なルールがありましたが、
そんなものは、たぶんここにはないでしょう。


そして、社長もリーダーも社員達も、
世の中には、そんな神経質な世界があることさえ、
知る由もないだろうな。
ふと、そんなことを思う。


でも、それが中小零細企業の現実だし、
その曖昧で適当な大雑把さと柔軟性こそが、
大手に立ち向かえるゲリラ的な機動力の
根源になっているのでないかと思います。
そして、こういった場合は、そっちのほうが助かりますね^_^;


オフィスの扉を開けると、他の人達は全員帰ったみたいで、
誰もいない寒い部屋に灯りだけがついていました。
誰かが「寒くてすみません」と言いながら、
エアコンのスイッチを入れてくれました。

(続きは→こちら



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職場リーダーのグループコーチング~③メールについて知りたい~

職場リーダーのグループコーチング(その1)前に出すぎる社長
(その2)反省多々。やる気のない社員達
(その3)メールについて知りたい ←★ただ今ご覧の記事はこちら
(その4)うちの会社には署名がない
(その5)劣等感の根源はPCスキル?

前の記事からの続き)

ハウスクリーニング会社のリーダーさん達5名を対象にした、
第一回目のグループコーチングは思い切り不調でしたが、
コーチングではなく、研修(指導を受ける場)の提供に方針を切り換え、
リクエストを募ったところ、
「文章の書き方を教えてほしい」という要望が、
初めて上がってきました。


停滞気味だった90分の最後に出てきた、
最初の意思表示だったので私は快諾し、
翌月、それなりの資料を整えて、
その会社さんに出向きました。


でも、ひとくちに「文章の書き方」と言っても色々あるので、
最初に、どの分野の「文章の書き方」なのか、
チーフリーダーの上野さんに聞いてみたところ、
少し考えて、「メール・・・ですかね」っていうんですよ。


えーーー、メール?
ビジネスメールの書き方ってこと?


「ていうか、全般?基本?」


うわっ、そっちですか?
またもや予想を軽く裏切られつつも(笑)、
そこはほれ、前の職場がプロバイダーだったので、
問われればスラスラと回答が可能な得意分野です(^_^)v


新人研修も担当していた私は、かつての研修を思い出し、
当時の新人さんが一番理解しにくかった、
TO と CC とBCC の解説から入りました。


もちろんそれらの説明は、
1対1対応の個人のお客様がメーンのこの会社さんの業務にとって、
優先順位はさほど高くないし、使う機会もないかも。


でもね、知識の補強って大事なんですよ。


よく、「知識ばかりあっても使いこなせなければダメだろ?」
みたいな意見がありますが、
物事をよく理解できていない人にとっては、
「使いこなす」よりも先に、知識が欲しい場合があるんです。
「使えるかどうか」よりも、「それを知っている」ということのほうが、
心の安定を保つ材料になることが多いんです。


私は、今回から持参することにした自分のPCで、
自分に届いたメール(差支えない範囲で)や、
自分が送ったメールを見せながら、
TOやCCやBCCが実際にどう使われているかを、
実例を引き合いに説明すると、
皆さんの目付きが変わってきました。
身を乗り出して、私のPCを見る人もいました。


ちなみにTOは見たままそのままの「宛先」ですが、
CCは参考のため、あるいは念のために、
関係者として、そのメールを、
取りあえず一読して欲しい人のアドレスを入れます。
(CCはカーボンコピーの略で、要するに複製・複写です)


たとえば、社員同士のやりとりのCCに社長を入れる、とか、
複数社で進めているプロジェクトのCCに、
関係者全員を入れるとか、そんな感じです。



業務の流れをメンバー同士で共有するという意味合いですが、
正当に対応している証明にもなるし、
間違いやアドバイスがあれば横から指摘してほしいという意味で、
チェック機能を持たせるための場合もあります。


一方、BCCはブラインドカーボンコピーの略で、
その名の通り、相手に知られずにこっそり同報したい人の、
アドレスを入れます。


前職のプロバイダーでは、お客様へのメール回答のBCCに、
管理チェック部門のアドレスをBCCに入れるルールがありました。
BCCに指定されたアドレスは、受信者に知られることがありません。
メールを受け取ったお客様にはBCCに指定されたアドレスは表示されないので、
そのメールは自分だけに出されたメールと思うでしょう。


一方、BCCに指定されたアドレスの持ち主にも、
受信したメールのTOやFROMには自分のアドレスが表示されません。
不慣れな人は、アドレス的にも本文の宛名的にも、
なぜこのメールが自分に届いているのか理解できず、
間違いと思うかもしれません。


よく「このメールはBCCで送信しています」という文面を見かけますが、
それは、外部に知られてもいいアドレスをTOに入れて、
(またはTOに何も入れずに)
同報したい人達のアドレスをBCCに入れている例です。


今は個人情報漏えい防止の観点からも、
複数のアドレスに同報するメールの宛先は、
受信者が目で見てわかるTOやCCには指定せずに、
BCCに入れて送信する手法が取られるので、
特別な仕組みやサービスを使っていない、
サークルや団体が会員に送る一斉送信メールには、
BCCがよく使われます。
(TOに代表アドレスを入れて、BCCに会員の一人一人のアドレスを入れる)


    *    *    *    *    *    *


さて、次はメールの書式です。


「そんなの、他からのメールを見たらわかる」と言うことなかれ。


世の中には「見たらわかる」人もいますが、
一度言葉で説明しないと、「見ただけではわからない」人もいるのです。


余談ですが、前職の新人さんで、
署名(シグネチャ)を、冒頭に配置したメールを送る人がいました。


署名(シグネチャ)は通常、メールの最後ですよね。
でも、そういうことも、説明しないとわからず、
他から届いた自分宛のメールを見ても、気づかない人もいるんです。


私が、宛名、あいさつ、本文、締めくくり、
改行、ブロックで区切る、などを説明していると、
最後の「署名」の部分で、皆さんから反応がありました。


「ですよね?普通は付いていますよね?」


???


「うちの会社、署名がないんです。
どの人もそれを付けずに送っています。
でも、法人のお客様から届くメールには、
どれも署名が入っているので、
うちはこれでいいんだろうか?って、
いつも思っていました。」

(続きは→こちら




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2015.12.19

職場リーダーのグループコーチング~②反省多々。やる気のない社員達~

職場リーダーのグループコーチング(その1)前に出すぎる社長
(その2)反省多々。やる気のない社員達 ←★ご覧のこの記事はこちら
(その3)メールについて知りたい
(その4)うちの会社には署名がない
(その5)劣等感の根源はPCスキル?


前の記事からの続き)

ハウスクリーニング会社のリーダーさん達5名を対象にした、
第一回目のグループコーチングは思い切り不調でした。


社長さんから主旨は聞いているはずですが、
業務終了後に会議室に集まった5人の男性からは、
つかみどころのない大きな戸惑いを感じました。
色々な会社さんに研修やコーチングでお邪魔していますが、
参加者がここまで、どうしたらいいのかわからない感じを出している
曇った空気感は、初めてですね。


私は今回の主旨やコーチングについての解説、
そして、「私を含めた6人で自由に話し合っていく場」
という説明をしたのですが、想像以上に無反応。


いえ、反応がないのではありません。
あるんです。
でもこちらに向かってくるベクトルが何もなくて、
私に何か言われたら、「あぁ、はい」という感じ。


年齢はパッと見た感じ、50代1名、40代3名、30代1名。
全員男性。悪い人達ではありません。
皆さん、素直です。でも、控えめでとても地味な人達。
素朴で口下手と言ったほうがいいかもしれません。
たぶん、こういうスタイルの集まりに不慣れなのだと思います。


でも、リーダーさんにしては、前に出てくるものが何もないし、
言われたことをただやるだけ、という雰囲気です。
これでは社長が嘆くのも無理ないけど、
その原因ってどこにあるんだろう?
「やる気がない」と言えなくもないですが、
そうではないと思うんです。


でも、他社さんと違いすぎて、
うーん、どこから手を付ければ・・・


しかも、社長がナンバーツーに位置付けている、
チーフリーダーの上野さんは、
確かにこの中では一番、頭の回転が速そうですが、
妙にシニカルで冷ややかな感じ。
「こんなことやって、何になるの?だからなんなの?」
という心の声が、伝わって来る気がします。


うわー、なんだこりゃ・・・


思った以上に手強い人達だな、と思いました。
とにかく、いつまで経っても、場が温まりません。


普通の会社だと(失礼^^)、
30分も経てば、お互いに打ち解けてきて、
フリートークが増えてくるのですが、
ここはダメだね、このままでは。


初回から本題に入るのは「無理!」と思った私は、
この回を、「自己紹介する回」に切り替えました。


何を話しても会話が一方通行なので、
だったら参加者から私へも一方通行でいいと思いました。


順番で進める一人一人の長い自己紹介を聞きながら、
たまに質問をしたり、わからない言葉の意味を聞きながら、
私が感じたことは、現時点では、
「この人達にフリートークは向かない」ということでした。


うーん、失敗したな。
一応、コーチングなのでノープランで来ましたが、
素材を持ってくるべきでした。


素材と言うのはテーマのことですが、
「〇〇について」というお題を、
こちらから出すだけではありません。


このおじさん達(失礼^^)みたいな男性は、
事例を印刷した紙とか、簡単な統計資料とか、
動画、写真、など、
それを見ながら皆で話ができるような、
具体的なモノが必要なんですよね。
そこが、黙っていても勝手に喋り出す「女性」とは、
大きく違います。


もうひとつ反省したのは、
コーチングではなく研修のほうが、
彼らはたぶん、やりやすいんですよね。


全員がフラットな関係で、
特定のテーマについて話し合うのではなく、
外から来た第三者が上の立場から、
何かを教える、というスタイルのほうが、
受け入れやすいのだと思いました。


だったら、次からそうしよう。


コーチングでも研修でも、
私と皆さんの間で十分な会話のやりとりがあれば、
どっちでも同じなんです。
研修だって、話し合いのためのひとつの「素材」ですから。


    *    *    *    *    *    *


皆さんの様子を見ながらひそかに方針を変えた私は、
皆さんに尋ねました。


「仕事を繰り上げて集まる貴重な時間ですから、
ただの話し合いというのも、もったいないかもしれませんね。
私は色々な分野の講師でもあるので、
皆さんが知りたいと思っている内容があれば、
次回からは、それに関してのミニ研修でもいいですよ?」


「・・・」


またもや、戸惑うような無反応ではありましたが、
皆さんの表情から、「それでいい」という答えが得られました。


「了解。じゃ、そうしましょうか。
次回の内容は何がいいですか?」


全員、一応、考える・・・考える・・・考える・・・
でも、何も出ず。


あららら、そうか、そうか。
ここでも私は、またまた反省。


こういうときでも、やっぱり、
素材がないと難しいんですよね。
この場合は、研修テーマのリストなどをつくって、
「この中から選んで」と選ばせるのがベストかな。


つまり、フリートークが苦手な人というのは、
連想力が弱いということだと思うの。
人から何かの言葉を聞いて、
パッと関連性のあるものや事柄を思い起こす力の、
広がりやスピードが小さくて遅いんです。
(それが悪いという意味ではない)


だから、つかみどころのない投げかけはせずに、
回答のための選択肢や、
イメージを想起させるための「目に見える何か」が、
本当は必要なんです。
うわっ、今回は、反省しまくりです。


しばらくの沈黙の後、チーフリーダーの上野さんが、
「では私から」と手を挙げました。


「文章の書き方を教えてもらえませんか?」


えっ、文章の書き方?


「あー、それなら俺も知りたい」


「文章ってどんな?ビジネス文?それとも作文ということ?」


「もう全部。文章書くの、苦手なんすよ」
「俺も、俺も。」「あ、俺も。」


そうなんだ。そっちね。


もう、この際、なんでもいいです(笑)
「文章の書き方」という内容で、
初めて皆さんの表情がほころんできたので、
こっちのほうが、意外な展開に戸惑いながら(^_^;)、
私は次回は「文章の書き方講座」しますと予告して、
その会社さんをあとにしました。

(続きは→こちら

職場リーダーのグループコーチング~①前に出すぎる社長~

職場リーダーのグループコーチング(その1)前に出すぎる社長 ←★ただ今ご覧の記事はこちら
(その2)反省多々。やる気のない社員達
(その3)メールについて知りたい
(その4)うちの会社には署名がない 
(その5)劣等感の根源はPCスキル?


私の提案が通って、
あるハウスクリーニングの会社さんの、
グループコーチングをお引き受けすることになりました。
対象者その会社の5名のリーダーさん達です。


きっかけは、クレーム対応の研修でした。
その会社の社長と知り合いだったことから、
社員研修を頼まれて、
昨年に引き続いて二度目の研修を行ったところ、
どうも雰囲気がよくないのです。


社長がナンバーツーと位置付けている、
チーフリーダーの上野さん(男性/40代前半/仮名)は、
なんとなく発言が刺々しくて物事に懐疑的だし、
社長の奥さんも女性事務スタッフも、
研修に臨む態度は非常に冷ややか。
「誰この人?」「なにこの人?」って感じです。


社長とはある勉強会の会員同士として既知の間柄で、
熱意があって理想も高いのですが、
その他の皆さんが社長に付いていけず、
社長さんひとりが空回りしているようにも見えました。


その社長が「ナンバーツーが育たない」と、
どこかで漏らしていたのを耳にはさみ、
「御社のリーダーの皆さんのコーチングをさせてもらえないか?」
と、提案したのがそもそものきっかです。


実は研修中も気になることがありました。


社員の皆さんへの問いかけなのに、
社長が先に答えてしまうんです。


「みなさんのお仕事って、どういった業務ですか?」


(社長)「はいっ!弊社はハウスクリーニング業です!」


「すみません、ここに、ホワイトボードってありますか?」


(社長)「おい!佐藤!高橋!鈴木!この部屋に持ってきて!」


すべてがこんな具合で、
研修中、私は、社員の皆さんと、
直接、十分にやり取りすることができませんでした。


社長さんのお気持ちはわかります。
知人とはいえ、男性ですから、
いいところを私を見せたい気持ちもあるでしょうし、
率先垂範を実践していると言いたかったのかもしれません。


あるいは、反応のスピードが自分が思ったよりも遅かったので、
私への思いやりで自分が先に対応してくれたか、
または、それ恥ずかしく感じてつい自分が先頭に出てしまったのか、
それはわかりません。


ですが、一事が万事この調子では、
社員の自主性も積極性も育たないし、
「ナンバーツーが育たない」理由は、
そこにあるのではないかと思い、
この会社の社員の皆さんと、
直接話をしてみたくなったのです。

(続きは→こちら

 

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