社長改造大作戦1~思わぬ矛先~

5か月前の7月、
やりにくい人の退職」で書いた一件のすぐあと、
その藤堂さん(40代前半男性/仮名)の、
会社の人から着信がありました。


登録のない番号だったので、
誰だろう?と思いながら折り返しの電話を入れると、
藤堂さんが専務を務める(株)コンサルトレイン(仮名)の、
小川さん(30代後半女性/仮名)でした。


小川さんは今年の春に入社した経理事務の女性ですが、
仕事ができて機転も利くし、
派遣ながら商社や大企業での勤務経験もあるため、
この会社の社長にも専務にも早いうちから違和感を覚えていて、
「一般の民間企業では絶対通用しない人達」とよく言っていました。
私とは初めて会ったときからお互いに親しみを感じており、
その頃には本音で話ができる気の合った友人になっていました。


ですが携帯から直接電話をもらったことはなかったので、
なんだろう?と思いながら話に耳を傾けると、
「藤堂さんがついに辞めることになった」という情報で、
「実は先週社内でこんなことがあった」という話を、
わざわざ私に伝えるために電話を掛けてきてくれたのでした。


この頃の小川さんは、
社長と藤堂さんの仲の悪さや、
社内の息が詰まりそうな嫌な雰囲気、
それに社長の仕事のできなさ加減や、
専務の藤堂さんの高すぎる理想と自意識過剰な感じなどに、
大きなストレスを感じていて、
きっと誰かに話してぶちまけないと、
気持ちが安定しなかったのだと思います。


小川さんは私に、
ついに社長が決断を下して、
先週、藤堂さんに引導を渡した、と言いました。


会社に全く顔を出さなくなり、
かと言って仕事もほとんど進んでいない藤堂さんに対して、
社長が何度も彼女に「どう思う?」と聞いてくるので、
(彼女はそんな事も自分で決められないのか?と
それもまたあきれた、と言っていましたが…)
「そんなに気になるなら別れたらいいんじゃないですか?」
とあっさり告げたそうです。
どうやらそのひとことで社長が気持を固めたらしいということでした。


が、小川さんの電話の主旨はそこではなく、
彼女がすでにその時点で退職の意思を固めていた事でした。
小川さんは藤堂さんから、
「俺は近々会社を作ってここはさっさと辞める。
あんな馬鹿社長とはこれ以上やってられない。」
と毎日のように聞かされていたので、内心、
「それは困る。辞めるならアタシが先!」と思っていたのでした。


そしてついに今週の頭(つまりその電話の日)に、
決意を固めて出社したら、
なんと藤堂さんが辞めることになってしまって焦りました。


このタイミングで自分も退職を申し出たら、
結託しているのでは?と完全に疑われてしまうし、
このあとに自分も退職したら、
この会社は完全に社長一人になってしまう。
さすがにそれは社長がどんなに馬鹿社長でも、
常識と責任感と良心が痛むので、
逆に踏ん切りがつかなくなって困ってしまったとのこと。
それでどうしたものか、と。


うーん、どうなんだろう。


私は聞いてみました。


「じゃ、まだ続けられそう?
藤堂さんがいなくなれば、ヒステリックな言い争いもなくなるし、
声を掛けられないピリピリした雰囲気もなくなるし、
社長から延々と愚痴を聞かされることもなくなるから、
雰囲気はましになると思うよ?
だったらまだ居てもよさそうな気がする?」


「あ、それは嫌!絶対、嫌。
藤堂さんも嫌だけど社長も嫌!
あの人、変。あの人絶対おかしいと思う。
話は長いし、同じ事を何度も何度も話すし、
物忘れは激しいし、事務能力はゼロだし、
私はマジでアルツなんじゃないかと思う。
しかも売上がないのに仕事をする気配もないし、
変だよ、絶対おかしいよ。
もうこの会社、潰れるのも時間の問題だと思う。
一刻も早く脱出したい。」


「でしょう?だったら迷うことないじゃん。
従業員が長続きしないのも社長の責任なんだから、
小川さんがそんなに気を遣うことないと思うよ?」


「ですよね。そうなんだよね。」


いや、ほんと、
世の中には色々な社長がいますが、
ここの社長ほどモノを知らない人は私も初めてだわ。
少し話して見ると、本当に何もわかっていない事がよくわかります。


今まで何度も「えっ!!」と、
びっくりするような事を聞かされたりしましたが、
変わっているんじゃなくて、本当に無知なんです。


社保とか雇用保険とかも普通の人以上に全然わかってないし、
世間一般の会社の雰囲気とか現状とか価値観とかも、
「それって一体いつの話?」という感じ。完全に昭和で止まってます。


なのに自分が正しいと思い込んでいるし、
携帯は留守電の聞き方がわからないので始末悪いし、
名刺にメールアドレスがあるのでたまにメールがくるみたいですが、
チェックしている様子が全くありません。


皆に再三指摘されてようやくPCを開けて、
一か月遅れでメールを読んでいるような感じ。
会社を興してビジネスを始めた人が、
これでいいのかな?って本当に私でも思います。


    *    *    *    *    *    *


結果的にその数日後、小川さんも社長に退職を告げました。


あーあ、とうとうあの何もできない社長が「ひとり」かぁ。。。
そう、社長はそれまで秘書付きの支社長だったため、
何事も雑事はすべて秘書が取り行ってきていて、
自分では何もしてこなかったし何もできないんです。


実はパソコンをほとんど使った事がなくタイピングもままらなないので、
メールができないし、もちろん返信もできません。
でも社長が前職を辞めたのって去年の話ですよ?
ということは、昨年まではその状態でも、
仕事が成り立ったということです。
でも今は秘書などいないし、社長だって営業マンのはず。
なのに(売上がほとんどないのに)自分で何に取り組む事もなく、
外に出ようともしないので、これでは誰だって腹が立ちます。


まぁ、それもこれも社長が今までお金をたくさん持っていて、
「自分ができないものは人を雇ってさせればいい」
という考えだったからなのですが、
その、何もせず何も学ぼうとしない尊大な姿勢が、
周囲に大きなストレスを与えていたのは紛れもない事実です。
でもま、お金あるんだから、何とかするでしょ?
いつも自慢している 「俺は金には困らない」 がホントなら^^;


すると少しして、またまた小川さんから、
内部情報の電話がかかってきました。


「社長ね、どうやらぷらたなすさんに、
声を掛けたいと思っているみたいよ?」


え???は?????私????


(つづく)

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「やりにくい人」の退職

以前、「やりにくいね」で話題にした、
本当に一緒に仕事のやりにくい、
取引先の藤堂さん(40代前半男性/仮名)が、
ついに会社を辞めました。
辞めたというよりは解雇に近いです。


実際は7月一杯だそうですが、
彼が自分から報告してきたあのメールの文面だと、
たぶんもう出社することはないのでしょう。


けれどあれだけ経費と時間をかけたホームページや、
社内のアドレスや予定表、共有フォルダの管理は、
今後いったいどうなっちゃうんでしょうね。。。


    *    *    *    *    *    *


最近の藤堂さんは表情も暗く元気もなく、
そうかと思えば意外なことを気にしてメールで固執してくるので、
社内ではすでに「変だ」「おかしい」と皆に思われ始めていました。


相談を受けた私はウツではないかと思い、
なるべく様子に注意して、
できればすぐにでもゆっくり休んでもらったほうがいいのでは?
と、自分の個人的な考えも述べてみました。


が、そのときの藤堂さんは、クビになるのを異常に気にして、
「自分は解雇される」というメールを複数の知人達に送っていたので、
そんなことをしたら「やっぱり俺は要らない人間なんだ」と誤解して、
いい結果にならないかもしれません。


このごろの藤堂さんは非常に疑り深く警戒心が強くなっていて、
「俺は社長に嫌われている」というメールを私にも連発していました。


また夜中にこっそりやって来ては、机のものをすべて持ち帰ったり、
社内の共有フォルダから自分のフォルダを丸ごと移動させてしまったり、
(その中には会社のロゴなど重要なものが入っていたので、
事務の小川さんがあとで大いに困った)
絶対に精神状態がよろしくないです。
話を聞けば聞くほどまずい感じがします。


けれど事務の小川さんには、「こんな会社辞めてやる」と豪語して、
自分が仕事でいかに優れているかを延々と自慢し始めるので、
小川さんはそのため、着々と辞める準備を整えているのでは?
とも、思ったそうです。


「早く何か手を打たないとまずくないですか?それって…
しかもそれで、すでに業務に支障が出てますよね。

疑うのは失礼だし、まさかとは思いますけど、
たとえば、今のここのネット環境は藤堂さんがたった1人で、
自由自在に独占的に管理しているものなので、
万が一藤堂さんがそれを利用して、
会社に損害を与えるような事をしても、
誰もわからないし、たぶん誰もすぐには気が付かないし、
わかったとしても誰も対処できませんよね?

今、彼は精神状況が尋常じゃない感じがするので、
知らないうちに大事なものを全部持っていかれてしまったり、
ホームページを書きかえられたりメールを悪用されるなど、
そうなったらそれは会社としてとてもまずいことですよ?

そんなことはあるわけがないとは思いますが、
念のためそういった事もきちんと考慮に入れて、
しっかり対応すべきだと思います。」


思わず偉そうなことを言ってしまいましたが、
これは「自分はさっぱりわからないから」といつも逃げ腰で、
ネットやパソコンに関するすべての決定と実際の作業を、
全権委任、又はそれ以上の権限で藤堂さんに丸投げしている、
社長に向けて言ったもの。


例え悪意はなくても、担当者の退職でわかる人が誰もいなくなり、
その後起こった大きな問題の対処に困って相談してくるユーザーを、
前の仕事でたくさん見てきました。
ですが、社長は意味が全くわかっていないようでした。


さて、そんな風には言ったものの、
結局私も他の人も、誰もこんなときの、
藤堂さんへのベストな関わり方がわからないのです。
元々聞く耳を持たない人が、さらに今は普通じゃない感じなので、
結果として何かあったらどうしよう、というのが本音でもあります。


藤堂さんは何かのきっかけで、
「俺は社長に嫌われている、そのうち絶対クビになる。
俺はもう終わりだ。すべておしまいです。お世話になりました。
あとは皆さんで仲良くやってください」などと、
絶望的で自暴自棄な内容のメールをよこしたかと思うと、
次には一変して、
自分はどれだけすごくて社長はどれだけダメか?という内容で、
私に対しても社長をクソミソにこきおろすメールを送ってくるので、
私はPCから目を離して天井を見上げ、ふぅーっとため息をついて、
「ちょっと、こりゃもう、ダメだな…」と、何度つぶやいたことか。


    *    *    *    *    *    *


一度ウツでは?と思い始めると、今度は自殺が心配。
藤堂さんは調・不調の波が激しく、
あの不調時のどん底のようなメールを思い出せば出すほど、
このタイミングで社長から「休め」などとと言われたら、
彼が何をどう誤解してどんな行動に出るのか誰にも予測が付かず、
結局話はいつもそこで止まってしまいます。


こんな時には専門家に相談するのが一番だと思いますが、
それはまたそれで社長の問題意識が低く、
そこまでは全然本気で考えていないような雰囲気でした。


なので、「ウツによる自殺で、原因が職場にあるときは、
安全衛生責任を怠ったとして、企業が責任を問われるんですよ?
遺族から労災で訴えられますよ?たとえ形だけでもいいから、
何かの行動を取っておいたほうがいいんじゃないですか?」
と、思わず言ってしまったぷらたなすでした。
ここの社長って、いい人なんですが何かと世情に疎く、
こういったお話は、若い人達のほうがよくご存知のようです。


    *    *    *    *    *    *


今日の早朝PCを開けると、昨夜のうちにその藤堂さんから、
「うわ、なんじゃ、こりゃ~?」と、
思わず絶句してしまうようなメールが入っていました。


中身は私がとったある行動を「どういうことか?」と詰問する内容で、
最初からケンカ腰で全体的に言葉がとげとげしく、
「人の悪口があなたの趣味」「営業妨害」「何の仕返しか?」
「仕事を失った」「法的手段を行使」などと色々書いてありました。


私は少々腹が立ちました。


藤堂さんにではなく、それを彼に告げた私の友達のほうにね。


そのメールには、
「あなたはたくさんの人に私の悪口を言いふらしていますね。
複数の人から私に連絡が入りました。」とあるのですが、
そもそも、そこが事実と違います。


だって私がメールに書かれていた話題について、
社外の人と話をしたのは、
過去から今に至るまで、ある友人ただ一人だからなんです。
そして"社外"と言っても、友人も私と同じく、
よくそこの会社に出入りする半ば内輪の人間なので、
その会社に関する話は、二人の時に結構したりするわけで、
そのときもその流れでした。


それもつい数日前の話です。そしてこのタイミング。
誰が告げたのかすぐにわかりますよね。
そして「仕事を失った」とあるのは、
友人が藤堂さんに個人的に頼んでいた、
自分のホームページなんだと思います。
(私はよく知りませんでしたが、たぶんね。)
なので、"複数の人から私に連絡"は、ウソだし、
「営業妨害」や「法的措置」という言葉にも、
少々違和感があります。


実は藤堂さんは一見詳しそうですが、
よく思い込みで間違ったことを人に言っていることがあるので、
「それは仕事としてどうなんだろう?」と思う事がよくあります。


また藤堂さんは、本当に素晴らしいセンスの持ち主ですが、
発想が固定的で柔軟性に欠けるので、
何かを尋ねると、「それは現状では不可能」とよく言います。
または、「このやり方でしかできない」とよく言います。
そして最終的に、「それをやるためには何百万(何十万)もかかる」
という言い方をよくします。


ですが、彼のためにここで付け加えると、
藤堂さんは決して私利私欲の金儲けで、
そう言っているわけではありません。
彼は最初から豪華で高機能でレベルの高いものを、
想定しすぎているのです。


一般の人、特に友人のように全く何も分からない人は、
そこまでのホームページを望んでいるわけではありません。
一般の人は、彼がいうところのダサくてセンスのないホームページ、
客観的にいえば、もっともっとシンプルですっきりとしたページを、
イメージしていたりします。
けれど知識もノウハウもないので、
詳しい人(詳しそうな人)の言い分と美学を鵜呑みにして、
「ねばならぬ」の発想で大金をかけてしまったりします。


さて今回は、そこまでの大きな話ではなく、
しかも相手が友人だったため、
「工夫すればこんな方法も、こんな方法もあるよ?」
と、つい親切心でこっそり教えてしまったのですが、
友人はインターネットは全くダメな人なので、
たぶん、「それってどういう意味?」と本人に、
直接聞いたのかもしれませんね。


また友人は藤堂さんの大ファンで信奉者でもあったので、
藤堂さんの言う事には何の疑いも持っておらず、
対外的にも社内的にも「わかりにくい」と不満が出ている、
彼の作ったホームページをあまりにも称賛したため、ふと、
「でも使い勝手が悪いと思わない?」と尋ねたところ、
すごく驚いて「え!!どこが?どこが?」


その強い驚きように、内心私は、「しまった!」と思ったのですが、
「使い勝手が悪い」のは事実なので、
「訪問者はここから戻ってこれなかったり、ここで迷ったりする」
と、自分も周りも普段から不満に思っていることを述べました。


それらは皆が何度お願いしても直してもらえなかったところや、
もう諦めてしまって誰も何も言わないけれど、
内輪ではよく話題になっている部分でした。


類は友を呼ぶといいますが、
この友人も藤堂さんに似ているところがあり、
見た目の綺麗さには非常に反応しますが、
誘導の悪さや使い勝手の悪さにはあまり敏感ではありません。
だから大きな不満やいら立ちを感じないのでしょうね。


ですが友人はいいのですが、藤堂さんは製作者なので、
それではお客様満足度を下げてしまいます。
たぶん藤堂さんは、ホームページの訪問者が、
始めてページを訪れた時の視線や動きを想像し、
それを頭の中でトレースしてレイアウトに生かしていく力が、
プロとしては少し欠けている人なのだと思います。


そしてそれは、彼が人とうまくやっていけない理由と、
大きく重なるところなのではないかと思っています。


    *    *    *    *    *    *


さて、それにしてもこのメール。
一体どんな風に返そうかなぁ。


結構攻撃的な内容ですが、なぜか私に恐怖心はなく、
「また始まった、もう、いい加減にしてよね」みたいな感覚でした。


自分を非難するメールを藤堂さんからもらったのは、
そのときが初めてだったのですが、
社長をごうごうに非難するメールは今まで何度ももらっていたので、
それと同じ雰囲気のメールが、
今回はたまたま自分に向かって来たんだな、くらいの気持ちでした。


ま、こういうメールは相手と同じ土俵に立っちゃダメよね(笑)


とりあえず、まずは第一声でありがとうと感謝して意表を突き、
ところどころに承認の褒め言葉を散りばめながら、
「私はたった一人としかその話はしていないので、
 複数から連絡があったというなら、発信源はその友人では?」
と、彼が大切に思っている私の友人に矛先を向ける気配を見せ(笑)、
そのうえで、「仕事仲間として感情抜きで冷静になること」を、
私に約束してくれたなら事情を説明する、と、再度の返信を促し、
もしそこでYesが戻ってきたら、今度は対等に話し合えばいいし、
戻りがなければ無視しようと思いました。


すると戻ってきた返信は、全く予想外の内容で、
「今月一杯で退職する、お世話になりました」というものでした。


どうやらちょうどその日に、彼と社長の間で話し合いが持たれ、
「こちらの要望は一切受け入れる気がないようだし、
自分1人でなんでもできると言っているらしいし、
そんなに私に不満があるなら、もう来なくてもいい」
という事を暗に言われたみたいなんですよね。


近頃の藤堂さんは、出社しても勝手に予定を作って、
すぐに外に出て行ってしまう毎日だったのですが、
その予定というのも、たいてい前日には入っていない予定で、
しかも具体的にどこで何をやっているのかもよくわからない書き方。
そして挨拶もせずに気が付くといなくなっているので、
それに対しても皆が不満を持っていました。


所在不明で無責任、感じが悪い、というのももちろんですが、
彼が持っている仕事の進捗が遅れ始めていて、
それでも作業をせずに外に出てしまい、
やがて必ず夕方にどこからか、直帰の連絡が入る事を、
皆がやきもきし始めていたのです。


私が、「たぶん体調が悪くて家に居るのでは?」と言うと、
「確かに家のほうが落ち着くので、"家で仕事する"と言って、
そのまま戻ってこないこともよくあるんですが、
お願いしている仕事が一向に上がってこないので、
だったらちゃんと仕事してよね?って感じなんです」
と、女の子が言っていました。


藤堂さんは役員だから、それも可能なわけですが、
私は前職で、ストレスが原因で不調に陥り、
出社できなくなるスタッフを今までたくさん見て来たので、
それと同じケースに思われて、それも心配に思っていました。
皆も心配していました。


けれど、とうとう社長が決断して、
退職の流れを作ったみたいです。


    *    *    *    *    *    *


戻ってきたメールの内容が、「今月一杯で退職」というもので、
最後に、昨日のメールの件は忘れてください、とありましたので、
その話はそれで終わりになってしまったのですが、
その後の何度かのやりとりの最後のほうで、
「あなたの勝ちです」と書いてあったのが、
すごく心に引っ掛かりました。


は?「勝ち」ってなによ?一体何の勝負なのよ?
どういうこと?それって。
それが私の正直な気持ち。


ですがそのあと、ふと、気が付きました。


私は彼が、社長のやることなすことにことごとく批判的で、
(確かに社長も悪いところがあるので、それは間違っていない)
何かと言うとすぐに正面衝突して険悪になるので、
そこへのストレスが高じて、
段々おかしくなってきたのだと思っていましたが、
彼、たぶん、社長からは、
常に大絶賛、大称賛がほしかったんですね、きっと。
もちろんオンリーワンで。


はたから見ても、
いないときにはお互いに悪口を言い合うような相性の悪い二人で、
(でも藤堂さんの言い方のほうがずっと過激で攻撃的)、
逆に女性陣はそっちをストレスに感じていましたが、
社長がインターネットやホームページに全く無知な人だったため、
とりあえず自分の存在感やプライドは保てていたわけです。


けれど、途中から私が出入りするようになって、
きっとそのバランスが崩れ始めたと思うんです。


私の前職はユーザーサポートですが、
広い意味ではIT系ですし、
業務上の必須項目としての基礎知識の研修を受けたり、
自分で勉強してきた事柄もあるので、
藤堂さんの間違いはすぐにわかります。


普段はその辺をあまり気にする事はないのですが、
会社として対外的に、その間違いは絶対にまずいと感じた時には、
彼にそれが間違いであることを伝えたり、
前職で得た知識を教えてあげたりしはしました。
なぜなら、本当に詳しい人がそれを聞いたら、
間違いはすぐにわかるし、
もしお金のかかる話なら、受け取る人にとっては、
ウソツキの詐欺的行為と映る場合だってあるからです。


ですが彼は、前述のように大絶賛、大称賛以外は、
すべて自分の存在を脅かす行動と捉えがちなので、
「自分の間違いを指摘できる人が周囲に居る」という事実が、
もしかしたら、段々彼を不安定にさせてしまったのかもしれません。


また、ユーザーサポート経験者として、
PCやネットに関する質問には、
「わからない人に、わかるように教える」ことができたので、
社長や事務の小川さんは、藤堂さんの解説の"翻訳"を、
あとでこっそり私に頼んでくることも多かったのです。


やがて、私が知人の依頼によるパソコン講座を開いたあとは、
「ぷらたなすさんて、パソコンもできるんですね」という話になって、
社内の質問が直接こちらに来たり、
不明点の相談もよく受けるようになりました。
もしかしたら、それに比例して、
藤堂さんの何かが壊れていったのかもしれません。
うがった見方かもしれませんが、時期も合う気がします。


なので、藤堂さんは、
やがて自分のポジションが私にとって代わられ、
自分は追い出されてしまうのではないか?と、
思っていたのかもしれません。
私はユーザーサポート的に広く浅い知識のみで、
藤堂さんのようなホームページを実際に作れるウデはなく、
そんなことなど、決してありえないのにね。


最後のメールには、
「ダサいホームページですみません。
お友達のホームページはぷらたなすさんに頼むように言いました。
自分はもうこれ以上馬鹿にされたくない。」
という主旨の内容でした。


はぁ、なんでこう、ひとつひとつを曲がって解釈するんでしょう。
(しかも事前に何の断りも相談もなく、いきなりこれだもんなぁ…)
「ダサい」と言った覚えもないし馬鹿にしたことも一切ありませんが、
どんなに言葉に気を遣い、細心の配慮で伝えたつもりでも、
”手放しで褒められなかった”という事実が、
彼にとっての問題だったのかもしれませんね。


でも、私はあれこれ言っても藤堂さんが好きで、
本音のいい付き合いができていると思っていたので、
最後のメールはショックでした。


ただし、それがもし本音なら、
最後の最後に私に対して自分をオープンにしてくれたので、
私の返信したメールは、あれはあれで、
何かの効果があったのかも、と思います。

    *    *    *    *    *    *


私は、いったいどうすればよかったんだろうなぁ?
反省点も多々ありますが、
私は自分が大きく間違っていたとは思わないし、
通常の感覚の対等な仕事仲間であれば、
そういったやりとりは、ごく普通のことだと思うんです。
私が相手に自分の考えを述べる時もあるし、
逆に私が相手から何かの指摘をされることもあります。


ですがそこは、お互いに暗黙の了解として、
「ケンカをしかけているのではない」という、
当然の前提がありますし、
「感情ではなく仕事上必須と感じて言っている」という、
大前提があります。
それが大人の仕事の進め方だと思います。


なので、どんな理由であれ、
そこに至ってくれない人というのは、
関わっていて非常にストレスが大きいですし、
精神的にキツイですよね。


でも藤堂さんにはそれができません。


あとで耳にしてわかったのですが、
藤堂さんは今回と同じような辞め方を、
何度か繰り返しているようです。


なのでこれもまた、仕事が長続きしないケースの一つで、
「人とうまくやっていけない」パターンの一種なんだと思います。


以前によく似た30代のIT出身の男性スタッフさんがいて、
今回はずっと藤堂さんとその人のイメージが重なっていました。


けれどその人は他人に対して過激な批判をすることはあっても、
自分へのリクエストは、ひとまず受け入れたので、
周囲から大きなブーイングが出ることはありませんでした。
でもそれは、立場の違いだけのお話かもしれませんね。


むしろ目立ってきた連続欠勤のほうに批判が集まり、
最後には自身の体調不良で出社できなくなって、
そこで終了になってしまったのですが、
ハイテンションのときの攻撃的で高慢なメールと、
どん底のときの、「俺はもうダメだ」という絶望的なメールの、
大きすぎるギャップがまるで同じなんですよね。。。
これがつまり、躁鬱なのかしらね。
こっちは経験が少ないので、よくわかんないです。


この日記を専門家の方が見れば、
何かの明解な回答を出してくるのかもしれませんが、
今の社会では結局どこの職場でも、
このような出来事はは日常茶飯事なのだと、
あらためて思いました。


私は前職で、あるスタッフとの出会いがきっかけで、
アスペルガー症候群や発達障害に深い関心を持ち、
以後それに関してずっと勉強を続けてきましたが、そうでなくても、
こんな感じで長く仕事を続けて行けない人がいるんですよね。
でもどうしたらいいか、誰もわからない。私もそうです。


本当は各県単位で、こういった相談に乗ってくれる、
何かのセンターがあったはずと思ったけど、
啓蒙活動や管理体制の整った大企業と違い、
こうしたことに理解のないワンマン社長の小規模会社だと、
やはり本人の自覚と意欲の問題と単純処理されて、
「どこかに相談する」という発想はないに等しいと思います。


でもなんだかこういう人は気の毒ですよね。
自分に対していつそれに気が付き、
いつ、「変わったほうがいい」と思うんだろう。


「何を言っても受け入れない」という事実こそが、
毎回あなたの存在を危うくしているのだということに早く気が付いて、
自分でどこかに相談したり必要なら治療を受けたり、
自らが自らに対して何かの施策を施していければいいのですが、
あ、そうか、自分でそこに気が付いて、
自力で軌道修正ができる資質の人なら、
こんな風にはなっていないってことか。
なんだかそれって悪循環だなぁ。


前々回、前回と、継続して書いている話題がありましたが、
昨日は、考えさせられるトピックがあったので、
敢えて割りこんでそちらを書いてみました。
続きを期待していた皆さん、ごめんなさい。。。
 

 
 

 
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人を見るときの自分の結論3

連動させて作っている、
アメブロの目次だけのブログのほうも久しぶりに更新しながら、
過去記事のタイトルを眺めて何を書いたのか思い出していたら、
「今ならこんな風に戸惑ったりしないのに」と感じました。


それじゃこの辺の一区切りでまとめを書いてみようかな。
そう思い、今はこう考えていると思うことを
続けて書いてきました。今日はその締めくくりです。


    *    *    *    *    *    *


私が面談や現場で人を見るときは、
仕事(電話の仕事)に関わってくる部分として、
いつも3つの切り口で見ています。


1.相手の意図を読み共感する要素の強弱
2.人にストレスを感じる潜在意識の強弱


そして3つ目は「思考をコントロールする制御の強弱」
ということになるでしょうか。


実は「思考のコントロール」は私の弱点でもあるので、
今回は自分をネタにして、主観的に書こうと思います^^


    *    *    *    *    *    *


大人になった今はすっかり解消していますが、
私自身は
・忘れ物が多い
・おしゃべり
・落ち着きがない
・片づけができない
という子供でした。
特に「整理整頓」は、毎回通信簿に書かれました。


確かに学校では机の中もロッカーもランドセルの中も、
お世辞にも片付いているとは言えず、
学期の最後に自分の持ち物を整理していると、
無くしたことを親に黙っていた過去の大切なお便りが出てきたり、
カラカラに干からびた給食のパンの残りが入っていたり、
外からギューギュー教科書を押し込むので、
敗れて中身が漏れてカビが生えたジャムの袋などが出てきて、
「ヤバ!」と思って慌てて先生の見ていないところで、
”処理”したりするような子供でした。


が、男子なら似たような同級生が何人もいたので、
なぜ自分だけが通信簿に書かれたり、
人前で注されたりするのだろう?と納得いきませんでした。
母親にも、
「女の子なのに(散らかっている)!」
「女の子なんだから(もっときれいに)!」と、
ヒステリックによく怒られましたが、
それは私が大嫌いな言葉でした。
(なんで男ならよくて、女だとダメなんだ?人として一緒じゃん…)


片付け以外にもエピソードは色々ありますが、
過去にも書いているそれらの日記を読んだお客様に、
「ぷらたなすさんはもしかしてADHDなのでは?」と指摘され、
内心びっくりしました。


まさか!と思ってネットで調べてみると、
いや~、これが、笑える、笑える!
かなり自分に似ている特徴なので、
おもわずそのサイトを印刷して、
「見て!見て!」と亭主に見せたぐらいです。
「これってまるでお前のことじゃん。」と、
もちろん言われましたが。


女の子としては目立つ欠点を持っているので、
親や先生には”気になる子供”だったと思いますが、家庭や学校で、
生活全体に大きな支障が出るようなレベルではなかったので、
その傾向は確かにあっても自分としては、
いわゆる”障害”ではないと思っています。


学級委員や児童会などをよくやって、
成績も悪くありませんでしたが、
先生にはアンバランスに見えたでしょうね。
これでは親が始終カリカリするのも当たり前です。


そしてあんまり感情的に怒られてばかりいたので、
相応に自己基盤が弱く、
自分が優位に立てそうなところでは行動が積極的でしたが、
そうでないところでは非常に臆病で自信がなく、
よくないところを指摘されたり、
失敗を知られるのが異常に怖くて、
状況によっては人の目を気にしていつもビクビクしていました。


まぁ、様々な点で、ちゃんとしていなかったので、
出していない宿題、洗っていない絵の具、
なくしてしまったノートや、壊して返せずにいる友達のおもちゃなど、
いつでも心にやましいことがありすぎて、それも当然と思います。


    *    *    *    *    *    *


先日、昨年読んだ記事で一番自分に大きな影響を与えたのが、
別冊日経サイエンス3のミラーニューロンの記事である、と、
書きましたが、同誌にはADHDの記事もあり、
この記事内にあった、
「行動抑制やセルフコントロールの欠如」という文字が、
私の目を引きました。


ADHDは注意欠陥多動性障害の略で、
世の中にそういった障害があることは知っていましたが、
それまでは「不注意でせわしなく動く」という、
行動としての捉え方だったので、
「抑制とコントロールに欠ける」という発想は、
今までのように「障害によって何かが多い」といった認識ではなく、
「何かに欠ける(だから障害になる)」という考え方のため、
自分としては納得がいき、とても新鮮でした。


そうなると、
私はすぐに自分に当てはめて考えてしまいます。
確かに小さい頃の私は、
「抑制とコントロール」があまりなかったと思います。


片付けられないのは、物事を最後まで完了させずに、
すぐに興味を持った次の行動に取り掛かってしまうからです。
忘れ物が多いのも、
「明日○○を持ってくるように」という先生の言葉を、
身を入れずに聞いているからで、たいていそんなときは、
すぐにほかの事を考え始めています。


忘れないための努力や工夫も、
なかなか行動として完了させることができなかったので、
メモをとっても肝心な事が書かれていない、
なぜかそこだけ抜けている(←ショック!よく青ざめた)
メモ帳に書かずにどこかに書いてそれを忘れてしまう、
手近な紙片に書き込んで無くしてしまったり、
そもそも書いたメモ帳を学校に忘れてくるなど、
人から見れば”ちゃらんぽらん”で腹が立ったかもしれませんね。


    *    *    *    *    *    *


今は忘れ物はしませんし、机の周りはきれいです。
やはり仕事の環境はきちんと整理されていないと、
能率も気分も悪いので、その辺は人よりきちんとしているかも。
(でもそこだけ。部屋全体は雑然(笑))


メモやスケジュールも自分に合った取り方をして、
仕事に支障が出るようなことはないし、
子供の頃と違って”何もせずにただ待つ”ことも、
ストレスなくできるようになりました。


なので目に見える行動はたいてい解消しましたが、
「ここは無理!」と思うのが思考の制御ですね。
それは私が私であることの根拠になっているかもしれません。


私の思考的な特徴を、イメージしやすい言葉で言えば、
無駄に回転数が高い、ということです。


もし脳にエンジンが付いているとすれば、
私のエンジンは一度かかったら高速回転に近いと思います。
しかも一気にトップまで行って、
シフトチェンジには時間がかかります。


だから脳の計算機で、
情報を一度にたくさん処理することはできますが、
それは数学ができるのとは全く逆の話で、
数や計算や方程式を見たままシンプルに捉えることができずに、
「これは何だ?」「どういうことだ?」「なぜこれなのだ?」
と余計な思考がどんどん発生します。


そしてそちらの答えをいつまでもいつまでも、
頭の中で探し回わっていたりするので、数学は全くダメでした。
数学が苦手な人って、たぶんみんなそんな感じだと思います。
そこで”意味”や”理由”や”自分にとっての価値”など、
もうひとつの答えを常に考えてしまうんです。


処理する量が多いので、
ひとつの物事から受け取れる情報量も多いと思います。


その場合、どこにいてもクルクルと色々なことに気が付きやすく、
その場で即分析して次の行動につなげることができますが、
素の状態の私はコミュニケーションのテンポも速いので、
回転数に差のある人と話をするとよく間がかぶります。


つまり、沈黙を感じると、
すぐに「こっちの番だ!」と感じて口を開くのですが、
聞くと相手はその間に、次に話すべきことを考えているそうです。
そのリズムが合わないとこうなります。
これはコーチングセッションのときにクライアントさんに聞いた話で、
自分では気をつけなければいけない部分です。


また、その場から受け取る情報が多いと、
個別の吟味をせず全部統合してグロスで掴むので、
物事の認識と把握はおおむね大雑把です。
何でも「雰囲気」で捉える傾向があります。
よって場のつかみは決して悪くないですが、
詳細のツメは苦手で甘く、日常にもそれはよく現れます。


つまり初対面同士が集まる交流会などでは、
空気を読んでいい感じに振舞えるかもしれませんが、
会費を払わずに帰ってきて人に迷惑をかける、とか、
二次会を楽しく仕切ったのはいいが、
集金の仕方がまずくて、清算時に自腹を切る、とかです(笑)


文章を書くときも、言葉が次から次へと湧いて来るので、
書きたいことを書こうと思うと、文章がとても長くなります。


また思考が一箇所にとどまっていないので、
話題が突然変わったり、戻ったり、よく脱線します。
1つの段落の中で、
始まりの言葉と終わりの言葉が対応していない事がよくあります。
それは段落の書き初めと締めくくりの間にたくさんの事を考えて、
いつのまにか自分の意図が変わっていることに、
気がつかなかったりするからです。


それから主観と客観が同時に動いているときは、
書きながら読むほうの目をすぐに意識してしまい、
矛盾や偏っていると感じた記述には妙に言い訳がましくなります。
それが潔くなく、人に清々しさを与えません。


あと…バーッと後先考えずに書いていくので、
誤字脱字・誤変換が多いですね^^
これもそのときは読み直しても気がつかないんですよね。
つまり校正もすべりがち、ってことです。。。(意味ない…)


ここまでが自分が感じている文章を書くときの短所。
次は行動の短所ですが、
一度何かに没頭してしまうとなかなかそこから離れられず、
切り替えが困難です。


集中して取り掛かっている何かの作業中に、
突然違うことをしなければならないときは、
他の人よりもストレスが大きくて、
「やらなきゃ」と思って頑張ってみても、
最高にそわそわして、落ち着きません。
コンピューターに例えると、
なかなかプロセスが終了しないのかも。


けれどそれが自分から湧き上がった何かのアイデアだと、
今度はあっさりそちらにハマッて別な事をし始めます。
そのため最初に取り掛かっていた作業の完了が遅れ、
それが自分のタイムマネジメントの一番の問題になっています。


お客さんの帰った後の後片付けで洗う食器が多すぎると、
億劫になるよりもまず混乱してきます。


作業に取り掛かる時にも色々な事を一気にたくさん考え過ぎるので、
収拾が付かなくなってくるんです。
そのためしばらく呆然と座っていると、
うちのご亭主が「なんでシャカシャカやらないんだ?」と、
見かねて手伝ってくれます。
夫は私の特徴をよくわかっているので貴重です(笑)。


あ~、随分書いちゃったな~(こういうところなんだよな~^^)
これらはほんの一例ですが、それもこれも、
”抑制とコントロールに欠ける”ためなのだな…と思えば、
非常に納得がいくわけです。


私のようなタイプは瞬時の判断や柔軟さを要求される、
接客業や人のマネジメントには向きますが、
事務やマニュアル業務や単純作業の繰り返しには向きません。
気持ちがそこにとどまっていないのでうっかりミスが多いし、
頭の中が暇になるとつい考え事をしてしまうので、
作業的には集中力の欠けた状態で抜けや漏れが発生します。
(だから命に関わる仕事には就けません)


そういえば教え方が下手な人の講義だと、
人よりも真っ先に眠くなってしまったり、
何年も使っているお客様対応のスクリプトを、
新人研修で読み合わせするときなどは、
しゃべっている最中なのに強烈な睡魔に襲われ、
合間に何度も目をつぶって寝てしまったりします。
だから最近はとてもこれがツライんです。
(信じられないと言われますが本当なんです)
これもたぶん、自分の回転数に見合う刺激がないと、
体が拒否反応を起こすのかもしれません。


自分の特徴を考えると、
私はウツや心身症にはならないと思いますが、
依存症にはなりやすい体質だと思います。
仕事でも、ある程度精神的な刺激がないと、
意欲も行動力も減退するタイプだと思います。


    *    *    *    *    *    *


さて、現場で、遅刻も欠勤も多く、忘れ物もミスも多く、
たぶん私と同じ理由でそうなんだろう、と思える人がいます。
女性です。今月で契約終了するスタッフですが、20代後半かな?


金銭的にも問題があるらしく、
会社のほうにカード会社や通販会社から、
よく指名で電話が来ます。


私は理解できるのですが、彼女の遅刻や欠勤は、
申告事由の熱や体調不良や子供の風邪だけではないと思います。


朝のうちについTVを見て釘付けになってしまったり、
友達にメールを打ってそちらに没頭してしまったり、
時間が来たのにその場を離れることができないのかもしれません。
あ、確かゲームもするので、それも大きいかも。
たぶん部屋も汚いでしょうし、
時間時間で区切って、何かを完了させるということは、
デフォルトの私と同様に苦手なのだと思います。


職場でも資料はなくすし、提出物は毎回100%忘れるし、
必要があって確認して見ると、ちゃんとしていなことばかり。
(気持ちはわかる)


明るくて親切で友達に好かれるいい子だから、
長い間みな黙っていましたが、
ここ何ヶ月も欠勤日数が多いので、
リーダーの誰かに示唆的な事を言われたらしく、
そのためか、少し前に「今月で終了」と聞きました。


私はもう現場は引き上げたので詳細な経緯はわかりませんが、
いいお客様対応をして、受付の実績数も上げられる、
「来れば戦力」のスタッフだったので、もったいないと思いました。
けれど欠勤のうちの半分は金策では?と感じたり、
家計が苦しくてダブルワークだったらしいので、
体力的な無理があったようにも思います。


友達にもコーチングのクライアントさんにも、
「ぷらたなすさんがうらやましい」とよく言われますが、
今書いたスタッフさんと同じ傾向が私にもあるので、
私も基本的には「ダメなやつ」です。


ただこのタイプの人は状況分析の範囲が広いため、
集団の中で適切に振舞える強みがあって、
トラブルを起こしても「自分への批判」や「感情的な摩擦」は、
うまく交わせることが多いんですよね。
なので物事に対して楽観的で、何かに焦ったりはしません。
自分への問題意識が人より低く楽天的な人が多いのは、
そういう根拠があるからではないかと思います。


ただしそれは決していいことばかりではないので、
今までそう思っていた皆さんは、
「社交的」「人好き」「前向き」「楽天的」に、
騙されないほうがいいと思います(笑)


    *    *    *    *    *    *


【まとめ】


◆1.相手の意図を読み共感する資質の強弱


仕事に支障のない定型の人でも、
ここが低調な人は、その特徴ゆえに、
相手の感情よりも、客観的な事実を重視して、
「いいものはいい、悪いものは悪い」という考えで、
物事に当たるのではないかと思います。


論理的思考には優れていますが、
他人の感情に沿ったり、曖昧な表現をしたり、
物事に決着をつけないまま放っておくのが苦手です。
その結果、事実や数字への対応能力が高く、
追求的で確固とした雰囲気を持ちます。


ですが集団の中の自分の座標点に確信が持てないため、
社交的な人に強くあこがれ、自己価値を実際よりも低く見て、
「冷たい。人に無関心」と思われている自分を必要以上に嫌悪し、
悩んでいたりします。


◆2.人にストレスを感じる潜在意識の強弱


仕事に支障のない定型の人でも、
ここが低調な場合は、
ある日突然、意外なきっかけで崩れたりします。
それは存在を肯定されずに育ってきた、
小さい頃の親子関係などに端を発している事が多いです。


親が怖かった人は、
人の怒りや不満の感情に耐性がなく、
防御するために攻撃的になったりすることがよくあります。
自己主張を最初からあきらめていて厭世的だったり、
自分の存在価値をネットに見出したり、
いずれにしても気の合った人の前でしか、
リラックスした話のできない人が多いようです。


親に否定されて育った人は、
人からの非難や拒絶を恐れるので、
評価を得るために異常に頑張りすぎたり、
必要以上に相手に合わせすぎたり、
場を沸かせる事にばかり関心があったりします。
何かを指摘されてもをなかなか受け入れず、
妙に言い訳がましいですが、
好かれるスキルを存分に磨いてきた人なので、
明るくお茶目な人気者が多いかもしれません。
でも、これは性格次第かもね。


親子関係が希薄だったり、親が無関心だった人は、
自分も他人に興味が持てない事が多く、
職場でも自分から周りに馴染もうとはせずに、
同僚は自分達が否定されているようで近寄り難く感じます。
(本人はそれを少し気にしています)
夢中になれるものがなかったり、「やりたいこと」を探していますが、
今までに何かにのめり込んだ経験がなく、
一度それが見つかると時間やお金を注ぎ込んでしまう人もいます。


そして本当はそうだったのに自覚がなく、
その記憶に無意識のフタをしてきた人は、
電話対応の仕事に就くと、ある日突然高熱を出したり、
会社に来れなくなったり、
体のほうが先にサインを出してしまう事が多いように感じます。


ですが、これらは限定的に捉えずに複合的に考えたほうがよく、
また親子関係に限ったものではないかもしれません。
自分の感覚では性格と複数の諸事情の複合ワザかな。
そうなるに至った何かの原因がきっとあるんだろうなぁと思って、
コーチングの仕事のほうでも、よくヒヤリングをしています。


◆3.思考をコントロールする制御の強弱


仕事に支障のない定型の人でも、
ここが低調な場合は、
対人関係が上手くアイデアが豊富で機転も融通も利きますが、
時間にルーズで仕事の未完了が多く、
いつもせわしないので気持ちに余裕がないようにも見えます。
そのためミスや失敗が発生しやすく、忘れ物もよくあります。


やることが大雑把で細部を詰めるのは苦手ですが、
それで窮地に陥ることがあっても、適度な交わし方を知っており、
そのため楽観的で問題意識が低いようにも見えます。


気に入ったものに対しては取り組み方が強力で熱いですが、
よく判断しないで突っ走ったり、思い切った行動に出たり、
周りからは短絡的で見境がないようにも見えます。


刺激を求めることが好きなので、
何かに異常にハマったりしますが、
そのせいで生活のバランスが悪くなるなど、
「わかっちゃいるけどやめられない」のが、
依存症につながったりします。


    *    *    *    *    *    *


以上、私が人を量るときの、
今気にしているポイントを書いてきましたが、
「できるのにできない」「やればいいのにやらない」には、
いろいろな原因があると思うんです。
それに能力も人柄も普通で、人として全然悪くないのに、
どこかに性格だけでは片付けられない、
極端さを持っている人もいますよね。


今回の記事の中には間違いも思い込みもあると思いますが、
表面を見ないで根っこを見てみるのも重要と考え始めた私が、
最近の切り口として、脳機能や働きの個人差をテーマに、
えらそうに書いてみたりしました。


何かの目立つ特徴があっても、
たいていの人は世の中に自分を適応させて大人になっていくので、
それが原因で仕事ができない人の割合は、
私が経験してきた現場の現実よりは低いと思います。


ですが、もし皆さんが誰かに対して、
「何?この人?」と疑問を感じることがあったなら、
いきなりカチンと激高してしまわずに、
「何か理由があるのかな?」とます考えてみるといいと思います。
または自分はどうなんだろう?と、
言葉に出して表現して見るといいと思います。


自分を論理的に理解することは、
他人を論理的に理解することであり、
「いい」「悪い」の評価から一度大きく離れて、
「私ってこういう人」と偽りのないありのままを、
平常心で書いてみるのもいいですよ。
できればその理由まで考えてみると、
新しい自己発見があるかもしれません。
(理由が全く思い浮かばない人は、
「思い浮かばなかった」という事実自体が、
あなたにとって”新しい発見”かも。)


そういったことが皆さんのストレスを軽減し、
お互いの違いに理解を高め、
不必要な苦悩や不安や迷いから、
脱出する手がかりになることを、
願ってやみません。


こんな経験則ベースで自己流の記事でも、
誰かの役に立てばいいな、と思っています。
 

 
 

 
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人を見るときの自分の結論2

私の個人コーチングで診断済みのアスペルガーの方がいて、
その方の言葉が先日の研修のヒントになったと以前書きました。


「ぷらさん、アスペルガーはね、
たとえそれが自分の欠点でも、
きちんと指摘してもらうとうれしいんですよ。」


先日のセッションでその旨を伝えると、
彼女からその場で訂正が入り、
「その人が素直な人なら」という条件があれば、
だそうです。


あぁ、それは確かにそうだね。
数年前に頭を抱えて本やサイトを読みふけったり、
勉強会などにも出て状況がわかってくると、
「今思えばその傾向だったんだろうな」と感じるスタッフは、
長い間にそれなりの数になりますが、
いい人はどこまでもいい人で、素直で明るくて一生懸命で
”だけど仕事がなぜか普通どおりにこなせない”
という無念さがありましたが、
周りの人への関わり方が極端にヒステリックで
突然スイッチが入るように切れたり、
自分の正当性に異常ぐらい固執したりして、
大変扱いにくい女性スタッフもいました。
(彼女は契約終了後、「納得できない」と、
公的期間や相談所にくまなくそれを訴えて回り、
一時期会社にとって恐怖の存在でした。)


私はこれらは性格だけではなく、
ご両親との関係の違いもあるように思うんですよね。
私の目には、
少々至らないところがあったとしても、
お父さんとお母さんに愛されて、
きちんと存在を認められて育った方のように映り、
精神的に安定していて人付き合いもよく、
人に愛される要素を持っているように感じました。


逆にそうでない方達は、
不安定にならざるを得なかった何かの要因が、
今までの中にあるんだろうな、と感じるに至りました。
自分の正当性の主張や、他人への批判や嫌悪が極端なときは、
そうなるに至った過去の歴史もあるのかな?と。


ここ数年はあっという間に情報が多くなって、
ネットで調べればたいていのヒントが得られる現在ですが、
その当時は全く性格の異なるAさんとBさんとCさんを、
なぜ自分が同じようにアスペ系と思うのか自分でもわからず、
自分で自分の感覚をうまく説明できない、
正体不明の苛立ちがありました。


が、今は性格ではなく、
物事の受け取り方(認知)の共通性と思っていて、
たぶん自分でも無意識にそこを見ていたのだと思います。


昨年参加した発達障害の勉強会で、
講師の杉山登志郎先生が、
「発達障害の人が事件の当事者になるのは、
あれは完全に養育と教育の失敗例」
とお話されていて、個人的に納得がいき、
意を強くした思いでした。
もちろん親対象の講座でしたので、
あえて極論をお出しになったのではないかと思いますが。


私も少々屈折しているところがありますが、
「存在を認められる」「肯定される」「評価される」「愛される」
という親子関係での無意識の充足感は、
自己基盤の強さと精神の安定に必要不可欠で、
大人になってからのバランスの悪さは、
大きな割合でそこに原因があるように感じています。


    *    *    *    *    *    *


さて以前、お客様対応中に突然キレるスタッフさんがいて、
リーダーにも仲間達にも、
「彼は爆弾を抱えている」などと言われていましたが、
私は彼をアスペルガーとは感じませんでした。
何もなければ非常にいい対応をするし、
話していてもずれないし、きちんとキャッチボールできます。


ですが、周りの人には馴染めず、友達がいないんですよね。
苦しそうな表情で朝から机に臥せっていたり、
普通とはちょっと違う雰囲気を持っていたりして、
「怖い」「気持ち悪い」という女性陣もいました。
ですがネット上ではアクセスの多いサイトの管理人として、
人気者なんです。けれど、
そこで見せるユーモアや洒脱なジョークとは裏腹に、
現実では大きな落差を感じました。
(このブログのお客様には以前、
「それはどれにも入らない広汎性発達障害では?」
と言われています。そう言う分類があるそうです。)


その彼がお客様対応中にキレるのは、
どうやら条件が同じときみたいなんです。
私が見ていて感じたのは、
・自分の不得意な分野の話を、
・訳知り顔の鼻持ちならない男性ユーザーが、
・理屈っぽい物言いで高飛車に物を尋ねてきて、
・論理的な矛盾を鋭く付くような質問を
・彼に浴びせかけるとき
ですね。


彼はその条件のときに発火するようでした。


やがて彼は体調不良で休みがちになり、
企業側に何度勤怠を指摘されても改善されず、
最終的には昨年の年明けの退職したのですが、
あとから聞いたところ、お父さんがスパルタ的に厳しい人で、
水泳とか逆上がりとか、できないとわかると徹底的にさせられて、
怖かった、が感謝している、と。
数学などもわからないとわかるまで勉強させられた。
が、それも感謝している、と、こんな風に言っていました。
半端じゃなかったみたいですが、本人は、
「お陰でできるようになったので、感謝している」って
言うんですよね。


でも私は、「あ~、彼が対応中に突然切れるのは、
それが再現されることへの不安と精神的な防御なんだな…」
と、個人的に合点がいった気がしたものです。


いろいろ読んだりすると、抑圧と言って、
自分の辛い記憶にフタをして、
なかったことにしてしまう心の機能が、
人のにはあるようですが、不安やストレスによる体調不良は、
それが原因であることが多いと指摘してあるサイトもあり、
文章や言葉にしてひとつひとつを思い出して、
現実の自分ときちんと対応付けをして、
理屈でカタをつけていくのがいいということです。


    *    *    *    *    *    *


女性でも、真面目で明るく能力があって、
心から期待していたスタッフさんが、
突然会社に来れなくなったり(まさかの短期終了!)、
前述の男性と全く同じで、安定したお客様対応ができず、
攻撃的な物言いをしてクレームとなり私が呼ばれるなど、
いいと思って入れたスタッフが突然崩れ、
あるいは想像もしなかった致命的な欠点が明るみになったり、
100人以上も人がいれば、普通の人たちの中に、
いろいろなスタッフが点在するわけですが、
こちらとしては人選を見誤った後悔だけが強く、
売上的な心配もあって、下支えに必死になるわけです。


なので、脆さを感じる人がその脆さを強く見せ始めたときには、
「自信を持って」と励ましたり、いいところをマメに誉めてあげたり、
やるべき事は全部やってきように思うのですが、
今思えば、それだけで改善されるという考えは無理な話で、
彼ら・彼女達が元気になっていくためには、
今のその人自身を見ての表面的な励ましや評価よりも、
もっとじっくりいろいろな話を十分聞いてあげて、
その人が自分で何かに気付いて主体変容していくような、
きっかけを作ってあげたらよかったと思います。


だって脆い人というのは、ちょっと水を向けると、
必ずと言っていいほど親子関係が出てきます。
精神的な強さ・弱さも体質的に人それぞれかもしれないので、
一概にそうと決め付けるのは危険ですが、
それにしてはヒット率が高い。いや本当に多いです。


本人に風変わりなところがあって親が嫌悪するのか、
または親のほうが変わっていて極端なキャラなのか、
またはそのどちらもあるのか、それはわかりませんが、
肯定されている自分を感覚的に実感できない子供時代を送ると、
大きくなってからいろいろなところに影響が出て、
時に攻撃的になったり、時に防御的になったり、
安定した気持ちで対人関係が結べずに、
人嫌いや対人拒否的な言動が出たり。


または逆につながりを求めて相手に隷属的にだったり、
反論を一切しない極端なYESMANになったり、
言い訳ばかり延々と連ねる人になったり、
拒否されないよう不自然に笑顔を絶やさないジョーク人間、
になったりするのでしょう。
元々の性格以外のところではね。


なので私、感謝の言葉や、存在を肯定する言葉が、
全体的に足りなかったな。。。
「いつもありがとう」「助かっています」
「あなたのお陰で○○になりました」
彼らや彼女達は、肥料よりも水が欲しかったんだと思う。


    *    *    *    *    *    *


非正社員の現場では、
キャリアアップの転職というよりは、
学卒で就職した会社でうまくいかずに辞めた、
消極的転職の人の割合が少し高いので、
どこかにちょっと困難さを抱えた人も、
たぶん普通の会社よりは多いんじゃないかと思う。


そしてそれが他より目立つのは、
やっぱり電話の仕事だからなんだよね。
そう。対人スキルとコミュニケーション能力が重視される、
人が相手のしゃべりの仕事だからです。


1日PCに向かっているオフィスワークと違い、
誰かの話を聞き、様々なお客様の意図を読み、
最善の表現で言葉を組み立て相手に伝える、
という作業を終日やっている仕事だからです。
そしてあるときは怒られ、あるときは感情をぶつけられ、
脆い人には負荷の高い仕事です。


しかも今まで自分は普通だと思ってやってきた人でも、
その部分に子供時代の親子の歴史が絡んでいる人は、
体調を崩したりストレスで仕事が嫌になったりします。


私は、「脆い」「弱い」という事実に、
批判的な思いを強く持ったことはなかったけれど、
単に性格の問題と片付けていて、
タフそうな人を選べばいいのだ、と思っていました。


けれど実際はそう見えても予想外の結果になると、
企業には大きな迷惑をかけてしまい、(特に一ヶ月以内の退職)
大きな苦情や強いお叱りで自分が非常に辛い思いをするので、
「絶対入れない」「絶対入れない」という気持ちでばかりいましたが、
こちらの効果的な働きかけと適切なサポートで、
就業続行していけるのなら、お願いしてもいいかな?
と最近は思うことがあります。


間違っているかもしれませんが、
今は数日研修をこなすと、どの面に弱さがあるのか、
大体雰囲気でわかることが多いので、
それを「よくない事」とは捉えずに、
まずは話をしてみて、「こんな風に見えるけど?」と、
ソフトに聞いてみたりします。


こちらが相手の短所にNOの気持ちを持っていなければ、
相手も案外、本音を言ってきてくれたりします。
そうやって自分がどんな自分であるのかお互いに共有して、
同じテーマとして持っていれば、
その事実だけで案外人は強くなれる気がします。


今日は今までの自分の結論の2として、
人の脆さについて書いてみました。
 

 
 

 
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人を見るときの自分の結論1

私はこのサイトと連動させて、
アメブロ(アメーバブログ)に目次だけのページを作っています。


「ぷらたなすのひとりごと」を久しぶりに更新したのを機に、
アメブロの目次のほうも整理し始めたのですが、
過去記事のタイトルを見ながら、
何を書いたのか思い出していると、
うわ~、あのときは色々なことが自分の中で未解決で、
本当に悩んだり困ったり、ストレスに感じていたんだなぁ、と、
すごく思います。


私は今は、「人に悩む」ということはあまりありません。


今は自分なりの結論を得たような気がしているので、
どんな人が現れても、それほど苦悩するような事は、
ない気がしています。


今日はその話しを書きます。


    *    *    *    *    *    *


やはり、自分の中で一番大きなきっかけになったのは、
「ミラーニューロンの話」で、
具体的には、別冊日経サイエンス「脳から見た心の世界3」
に掲載の「他人を映す脳の鏡」という記事です。
この記事は自分の考え方に本当に大きな影響を与えました。


日経サイエンスは翻訳記事がメーンの科学雑誌ですが、
今上記の記事の著者を見てみると、
元記事を書いたのは発見者の方達自身だったんですね。


ニューロンというのは神経細胞のことですが、
様々な神経細胞のうち、他者の行動を見て、
まるで同一の行為を自分がやっているのと、
同じように脳内で反応する神経細胞があって、
鏡のような活動をするため、
「ミラーニューロン」と名付けられました。


つまり、誰かがコーヒーを飲んでいるのを見たときに、
あなたの脳はまるであなたがコーヒーを飲んでいるのと、
同じように反応しているということです。
自分は全く意識していなくとも、
相手の行為が自分の脳内で再現されているわけで、
それを制御しているのがミラーニューロンということですね。


まだまだ確かなことはわかっておらず、
仮説と憶測が多いようですが、
多くの研究において、ミラーニューロンは、
目標と意図を理解する機能を持つ、と、
関連付けられているようです。
また、「共感」や「言語」や「自閉症」、
「心の理論」(他者の心の動きを類推したり、
他者が自分とは違う信念を持っているということを、
理解したりする機能)、「性差」などにも、
関連があると考えられています。


同誌の別の記事では、
ミラーニューロンと自閉症との関連性を取り上げていて、
実験の結果から、自閉症児はミラーニューロンシステムが、
うまく動いていない、と結論付けています。


私はこういったことの専門家では全くありませんが、
ニューロンの動きの活発や不活発に個人差があるのなら、
別に自閉症やアスペルガーではなくとも、
他人の意図の読み取りや共感力に、
生まれつきの能力差があるのは当然で、
人はロボットではないので、0か1かの世界じゃないよね?


指紋だって一人ひとりが皆違うのだもの、
もし脳の内部や機能する様子が、
通りすがりに外からも見えるのなら、
「あ、あの人はこうだから、
物事に対してこういう傾向の処理をする人なのね?」と明確で、
お互いの特徴の違いなんて、
問題にもならずにそれであっさり片付けられてしまうかもしれない。


ということは、それはつまり、
顔の作りや手足の形が一人一人違うのと同じように、
原則として個人の意思や努力で変えられないものなのでは?
とひそかに思うようになりました。


私はこれといって秀でているところは何もありませんが、
そんな私から見ても、
「相手がこんな風に思っているのがなぜわからないんだろう?」
と思ったり、
「こんな風に行動すればいいのにどうしてそうしないの?」
と思う人がたまにいます。


そして以前は、自社のスタッフを始め、そんな人達に出会うと、
首をひねったり、ストレスを感じたり、批判的になったりしました。
あるいは、指導したいと思ったり、実際に助言したり、
その人のためにも、なんとか直してあげたいと思い、
そういった努力もしてきました。


ですがもし、それらのすべてが、
生まれつきの脳機能の個人差と仮定すると、
それまで自分がしてきたことは、
茶色い瞳を持つ人に、青い瞳になれと言っているのと同じように、
「やろうと思ってもできない」
「言われても実際何をどうすればいいか全くわからない」
という指導だったのではないか?と思い始めました。


話は少しそれますが、
私が昨年認定資格をとったDiSCという人材開発の研修商品で、
「マニュアルを与えられたほうが実力を発揮する」というタイプや、
「物事を分析的に判断し相手の感情よりも事実とデータを優先する」
といういうタイプがあります。


たぶんそれらに属する人達の特徴は、
元々他人の感情を読んだり誰かに共感する因子が少ないため、
それを補うために自然に身につけてきた、
その人が幸せに生きていくための社会的スキルなのでは?
と感じたりします。
※この「少ない」という言葉を、
マイナスイメージで捉えないでください。
多い・少ないというのは単なる事実であり、
よい・悪いの感情が入った判断と混同しないように^^!


自分自身の感覚としては、
そんな風に考え始めると何もかも妙に合点のいくところがあり、
大人になっても態度の悪い人や、カチンと来る物言いの人には、
性格が悪いのではなく、
「それで相手がどう感じるか?相手がその人をどう思うか?」
を、私と同じ感覚では理解ができていないんだな、と思ったり、
頑固な人、融通が利かない人、配慮や機転のない人にも、
「今、自分が相手に対してどうすれば満足と思うか?」という点で、
周囲の感覚と共有ができないのだろうと思ったりします。


私の前職はコールセンターでのユーザーサポートですが、
お客様対応にも全く同じことが言えると思います。


また、私が感じている限りでは、
理数系が得意でそちらに高い能力がある方は、
外からは感情の起伏があまり見えず、人に対しても冷淡だったり、
または弁が立ちすぎて、
場違いに自己主張が強かったりすることが多いのですが、
「数学が得意」というのも、
物事を割り切って直接的に高速処理できるということなので、
感情を気にする優先順位は、思考的に低いのかもしれません。
そしてそれが逆に高い能力に結びついているのかもしれません。


そして今の私は、それを取り立てて悪いこととは思いません。
だって人がこの世に生を受けるときに、
神様が持たせてくれるお金は、残念ながら同じじゃないんだもの。
(えらそうなことをここで書いてる私にも大きな欠点がたくさん!)


ですが、一般的に考えると、
それが集団内で人間関係の摩擦やトラブルの原因になって、
責任者の私が改善を要請されることは多々あったし、
それには対応していかなければなりません。


それに、たとえ如才なくやれている人でも、
ご本人は不安を感じたり自身を失っていたり、
悩んでいる事が多いので、本音としては(冷たいようですが)
「その資質は基本的にこの先も変わらないし直らない」と伝え、
「なのでまずは自分自身でそれをしっかり認め愛し、今からは、
その資質に対してどんな作戦を立てどう生かすか?を考えて。」
とすべての人に言ってあげたいぐらいです。


自分にないものを持っている人に、
憧れや焦燥感を抱く必要はありません。
むしろ自分の特徴を誇りに思い、おおいに活用してほしいです。
なぜなら、世の中で実績を残していくのは、
他人の気持ちを理解して常識的に行動できる人達ではなく、
相手の反応にとらわれずに何があっても信念を実践していける、
いわゆる「読めない」人達だからです。


なのでこれを読んだあなたが、
「自分はまさにそうだ」と感じるなら、
あなたの欲しいと思っている世間からの愛は、
愛されるキャラクターにあなたが変わることではなく、
今のあなたがあなたのままで結果を出せる方法で、
実際に結果を出していくのがベスト!と思ってみるのも、
ひとつの脱出の仕方だと思います。


    *    *    *    *    *    *


さて、そうやって考えてみると、「もっと相手の気持ちを考えて」とか、
「職場で常に周りには気を配りましょう」などというアドバイスは、
そもそもの受け皿のない人達にはヒットしないケースが多く、
そこに多大な時間をかけるぐらいなら、
詳細に配慮されたハズレのないマニュアルを作ってあげたほうが、
より効果的かもしれないと思います。
(それも時間がかかりますけどね^^)


たとえば業務上の注意や行動に関する親身な助言に対して、
「そんな事は今まで教えられていない!」
「スタッフ手帳には一言も書いていない」と、
怒って反論するタイプの人は、
マニュアルに沿って動いたほうが精神的に楽で、
より正しく、より周囲に認めてもらえる行動ができる、
(なので心が安定し、安心できる)と考える人達なのだと思います。


その人達にとって"衆目の納得する"自己判断を求めたり、
「そのぐらいは自分で考えて行動しろ!」というのは、
迷いや不安を助長させ、
決定までに異常に長い時間をかけさせてしまうかもしれません。


私がここで言いたいのは、
そういった事を「ダメ」と思っちゃダメ、ということです。
それを頭から否定するのは、
自然なままのその人自身を否定してしまう、ということです。
それは暗に相手の現状にNOを突きつけ、
無理な要求を出しているのと同じで、
素直で努力家型の人なら頑張った挙句、
結局混乱して体を壊してしまうかもしれません。
それでは何もならないと思うんですよね。


コミュニケーションのあり方が、
異常に重視され過ぎている現在、
平均的な対人関係に一歩至らない人は、
人嫌いと言われたり、付き合いが悪いと言われたり、
本人もそう思われている状況は何となくわかっていて、
余計に頑なになっていたりします。


けれど平均以上のコミュニケーションが取れている人は、
自分を基準に物事を考えてしまうので、
「やらない」「できない」「わからない」という事に対して、
そちらのほうに理解が及ばず、
高い問題意識を持つ一生懸命なひとほど、
本人の資質に合わない間違った指導に走りがちです。
けれどそれは、相手の自己価値をますます下げ、
モチベーションまで低下させて、
あまりいい結果を生まないような気がします。


人が成長させていくためには、
相手を受け入れるばかりでなく、
適度な葛藤とプレッシャーの存在も、
必要不可欠だと思っていますが、
そのベースとしては、指導する側とされる側の、
人間関係の基盤がしっかりとできていることが条件で、
そのためにも、相手の素の状態に理解を示してあげるのが、
効果を上げる近道と考えています。


    *    *    *    *    *    *


大人は長い間掛けて自分と社会を適応させて生きてきており、
たいていの人は、今まで身につけたスキルを土台に、
お互いに理解しあって暮らしていますが、
その中身は、実はかなり人それぞれだと思います。


そしてその「差」が、
持って生まれた資質によるところが大きいのなら、
元々のそれは、その人自身のせいではないし、
親の育て方のせいでもないし、
キャリアが不足しているせいでもないと思うんです。
※ご両親との関係についてはのちほど別途書きます。


なので今の私は、人に大きなストレスがありません。
皆が「なんだろう?」と眉をひそめる人でも、
「あ、この人のこの特徴はきっとこういうことなんだな」と思ったり、
「じゃ、こうしてみよう」と思ったり、働きかけを変えてみたり、
感情的な負荷がない分、
冷静に論理的に対処できるかもしれません。


私の過去記事を見ると、
指導と育成に関する自分の苦悩の歴史のようでもありますが、
今はあの頃に比べると、
立っているステージが全然違う気がします。
でもそれは、自分がそう感じているだけかもしれませんけどね。


私は自分の書く文章があまり好きでないので^^、
今からそれらを読み返したいとは思いませんが、
タイトルを読んで思い出すスタッフの一人一人に対して、
今は自分なりの説明がつく論理的な納得があり、
それが私の心に大きな安定をもたらしているのだと思います。
 

 
 

 
【人の性格と資質に関する最新の10件】
★人を見るときの自分の結論1 質問されるのが苦手な人 他人情報がない 質問するのが苦手な人 だんご、だんご、だんご 持たざる人-顔をゆがめる- そいつは誰にも救えない 苦情はいつも同じ人 人にストレスを感じやすい人 前回の少しだけ訂正 じっくりマイペース型の受難2(転んでもいい環境) (続きを見る⇒

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アウトバウンドが向くかしら?

ここ数日はお休みなのに、家にいても、
上川さん(30代後半女性/仮名)からしょっちゅう電話が入る。
「あ、さっきの件だけどさ…」
「今企業から電話あって例の話は○○だって」


メールも、打てば即レスでやりとりがチャット状態だし^^;
自室でPCに向かっているのに、まるで会社にいるようだ。
今度彼女からの電話には、
「はい。桜カンパニー(仮名)、ぷらたなす支店です」
とでも名乗ろうかな(笑)


今日の電話はALL「メモリを空けろ」で書いた、
赤井沢さんの件。


彼は私がアスペ系と思っている人で、
今や再三企業さんからNG終了の煙が上がっているのに、
上川さんは何としてでも3月末までは持たせたいみたいだ。
これはたぶん上川さんというより会社の意向で、
上から彼女へのプレッシャーの結果なんだろう。


で、上川さん、本日は、
「1月の最終週に再び研修してもらえないか?」
と打診してきました。


大好きな上川さんには申し訳ないけど、
「一週間はやらない。3日以内ならやる」と、言う。
2月の頭に講座を開くので告知や営業活動もしたいし、
なりふり構わず予定を入れてくる彼女の要望に応えていたら、
私、マジで何もできなくなるって(笑)。


でも私はそんな前に進むタイプの上川さんが好き。
彼女も私に対してよく言ってくるけど、
お互いにもう少し前にペア組んで仕事したかったね。


    *    *    *    *    *    *


赤井沢さんかぁ…


雑談や世間話では目立たないのに、
ことお客様対応になると、
相手の主旨がなかなか理解できずに、
会話がチグハグで間違いも多いし、
フリーダイヤルで彼に当たった人は、
誰もが「ハズレ」と舌打ちすると思う。


上川さん(前述の同僚)なんかね、
うちが研修環境に「ひかり電話」導入するときに、
それをちゃんと先方の受付に言ったにも関わらず、
届いたルーターが「ひかり電話」ではなく、
050から始まる(プロバイダの)「IP電話」用のルーターだったため、
聞いていて、こっちがうわーと思うぐらい激怒したんです。


そして速攻電話を掛けてマジ切れでガンガン文句言って、
先方から「当日対応した担当者が本日は休み」と聞くや否や、
「じゃ、明日こっちに絶対必ず電話させてくださいっ!
どうしても○○さんと話がしたいんですっ!
本人と直接話をしてどっちが悪いのかはっきりさせたいんです!」


ってさぁ、話を聞いたら、
「そのときの担当者は全然要領を得なくて、
わかってんのかわかってないかもイマイチ不明で、
聞いてもいないのにおんなじ説明ばっかり何度も繰り返すくせに、
こっちが尋ねたことには回答がなく、
今思えばどうにもピンと来ない男性だった。腹立つ~!」
と、カリカリ言うけど、それってある意味、赤井沢さんだよ?
赤井沢さんがフリーダイヤルに入るというのは、
そう言うことなんだよ?


満足のいくお客様対応ができない人に対して、
それだけ激怒してるのに、一方で、まさに同じタイプのスタッフを、
死に物狂いで継続させようとしているんだから、
それってどう思うのよ?と聞きたいよ。(整合性がないよな^^;)


私はセンターにいた人間だから、
やっぱり対応の品質とかお客様満足度とか、
いくら組織全体で苦しいぐらいの努力をしても、
そういった基準値の低下には、
少数のイケてないオペレーターの存在が、
意外に大きく影響している事がよくわかっているから、
ここだけの話でドライにクールにビジネスライクに言うなら、
本気でCSを上げたいのなら、不適なオペは全部切るのが、
一番即効的でしかも多大な効果がある、と思うぐらいだ。


なので、赤井沢さんのようなスタッフさんは、
センターにとって本当に悩みの種だったりするんだよ?
それを割り切ってこなせるのは、
多分彼女が現場を知らないからだよね。
それがいい意味で「怖いもの知らず」になっているんだろうな。


    *    *    *    *    *    *


そんな先日、私の昔の仕事仲間で、
12月に(辞める)私の後任として入社した、
稲美さん(30代後半女性/仮名)が、
ふと、こんなことをつぶやいた。


「赤井沢さんてきっとアウトに向く人だと思うんだよね。」


「え?アウト?(アウトバウンド=電話発進業務)?
テレアポとか電話セールスとか?」


「うん。だって、私も少し前にアウトの仕事を半年やったけど、
もうね、変な人、一杯いたもん。すごいよ?はっきり言って。」


「え?どんな?」


「私がやっていたのはNTTを名乗って光を売る仕事だったけど、
だいたい人種が違うっていうか、
学生とかアルバイトのお姉ちゃんも多かったんだけど、
ドレスコードなんてあってないようなもんで、
こんな短いスカートとか、爪もこんなで、頭の悪そうな子多いし、
男の子はこんな髪でこんな感じで、もうジャラジャラ歩いているし。
あと、雰囲気の変わった人とか異様な人も多かったし、
あの中なら赤井沢さんなんて、上品で礼儀正しくて常識があって、
メチャメチャ上流階級の秀才に見えるよ。」


「あぁ、それは確かにそうだろうね!それはわかる!
でも何かを売るわけでしょ?できるのかしら?彼に?」


「いやもう、全然大丈夫!ああいうのはね、
タメグチで敬語は使わないほうがいいし、詳しい解説も要らないし、
もうはっきり言って、口八丁手八丁で、
ウソついてでもオーダーを取るようなところがあるんで、
会社がそもそもいいお客様対応とか誤案内とか、
全っ然気にしてないから(爆)。
あとー、そもそも相手の様子をいちいち気になんかしていると、
注文取れないんで、
赤井沢さんみたいにむしろ人の気持ちのわからない人のほうが、
空気読まずに突進していくので、成績上げるんだよね。」


はぁ~面白い!なるほどー!
言われてみればすごくよくわかるっ!
確かに大昔、私も英会話テープのセールスをしたことがありますが、
売れている人は、今思えばみんなピントがずれた変な人だった。
いや、人はいい人なのよ。一生懸命だし。
でも売れている男性は皆垢抜けなくてボーっとしていて、
いかにもパシリとか、いじめられキャラの雰囲気だったな。
スマートな営業スタイルではなく、
ある程度攻撃的であっても、
世間が「あり」「そんなものだ」と暗に感じている業種なら、
案外イケるのかもね。それがいいか悪いかは別にして。


あ、そうだ、思い出したわ。
以前発進業務(たぶんヤフー回線を売る仕事)の、
SVだったという人から応募の予約があって、
社内の関係者は私を含めて全員期待したんだけど、
会ってみたら全然そんな雰囲気じゃなくて、誰もが、
履歴書の「○ヶ月間売上連続1位、合計1位○回、表彰○回、」
は、粉飾なんじゃないの?と思ったものでしたが、
稲美さんの話を聞いて、やっぱり本当だったのかも、と、
思いました。


もし赤井沢さんがこの先終了になったら、
アウトを勧めて見ようかなぁ。
うちの会社では現在扱いが無いので、
別会社で稲美さんが前やっていた仕事とか、
そういった企業を得意としている派遣会社とか、
「そういうのもあるよ?やってみたら?」と言ってみようか。。。


でも彼、なんていうかなぁ…
交通整理や工事の警備はよくても、
「そういうのは嫌です」と言うかもしれないね。


私が会員になっている発達障害NPOの、
事務長(女性)が言っていたっけ。
「彼らの就業支援の第一歩は、
まずはホワイトカラーへの憧れを断ち切らせること。」って。
「ぷらたなすさんがそういうお仕事ならお願いです、
会社の利益ばかり見て、
彼らに向かない仕事を絶対に紹介しないでください。
それははっきり言って法に触れますよ?
今は発達障害者支援法といって立派な法律があるんですから、
そういった方にできないとわかって仕事を紹介するのは、
私は犯罪だと思っています。」


この人もねぇ、意固地で少しヒステリックで、
一見変わった感じの人なので、言う事が極端ですが、
(でも熱意と実行力のある障害者思いのいい人です)
さすが事務長らしく、言っていることは確かに一理あって、
一般企業、一般的なオフィスワーク、
そして社会的に認められている仕事。
そこへの思いを一度クリアして、的確に自分を認知していかないと、
幸せで心身に負担の無いジョブライフは手に入らないのかも。
 

 
 

 
【アスペルガーに関する最新の10件】
★アウト(バウンド)が向くのかしら? メモリを空けろ 量ってほしいんですが^^2 量ってほしいんですが^^1 可もなく不可もない幸せ 怒った演技のできる人 できる事とできない事 人を見かけで判断する此頃 事前研修の私の今後の課題 この新人さんは断ろうと思う (続きを見る⇒

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苦しい人選

先週の土曜日、会社の同僚で、
採用担当の上川さん(30代後半女性/仮名)から電話が来て、
本来なら今日から現場入りするはずのスタッフが、
突然キャンセルの連絡を入れてきたとのこと。
先週の時点でまだ一週間あり、
いわゆるドタキャンではないのですが、
翌週から研修開始の予定だったので、
私達にすればドタキャンも同じよね。


電話は女性スタッフのお父さんからで、
「うちの娘には難しすぎる業務なので断りたい」と、
最初から一方的な話で、
上川さんがいくら「娘さんと直接お話をさせてください」
とお願いしても「家に居ない」と拒否。
その後、スタッフの携帯に電話を入れてもつながらず、
「ぷらさぁん、いや~参った。どうしよう…」


代わりの候補者の当てはなくはないが、
一人はその女性スタッフに決まったため一度断った男性で、
口数が極端に少なく、態度も顔立ちもぱっとせず、
電話の仕事にはあまり向かない印象に思われる、
20代前半の男の子。(うちの次男よりも若い)
前述の女性と一緒に、
2名の候補者として企業に打診したのですが、
「最初の会社を数ヶ月で辞めている。不安だ。」という理由で、
断られ、その枠は他社に持っていかれてしまいました。


そしてもう一人が、
「こちらの女性のほうがお奨め」と上川さんが推す、
20代後半の女性。
でも最近(というか前からだよね~)
うちの会社で推薦する人の質が悪く、
ここのところ企業の判断で短期終了が続き、
最近うちの評価は下がりっぱなし。


こうなると、仕事ができるさすがの上川さんも不安で自信が無く、
「ぷらさんも一度会ってどちらの人がいいか見て欲しい」
って言うのね。


今回のこの仕事は昨年まで自分が働いていた部門なので、
担当の社員さんの癖とか職場の雰囲気とか、
入れたときの他のみんなの反応とか、受け入れられ度とかが、
結構わかっているので、
それで上川さんもSOSを出してきたのだと思うけど、
上川さんがポイント高く評価している、
「高校のときに少しCOBOLをやっていた」という彼女の売りは、
逆に私には気乗りしない感じを助長させます。
だって女の子でそういったスキルを提示してきた候補者に限って、
いい人に会ったこと無いんだもん。


「でも、電話の仕事の経験者だし、経歴的にいい感じだよね」


うーん、それも個人的にはNOかな。
電話に関しては、職歴の有無は完全に当てにならないと思う。


「え?どうして?1年以上やっているのに?」


「いやね(笑)~、あなただってNG当落線上の赤井沢さんを、
企業さんをなだめてなだめて、交渉して交渉して交渉して、
一ヶ月で早々に評価が下っているのに、
何のカンの言って、もう半年以上も継続させているでしょ?
そういう場合もあるってことよ。」


そう、周囲のブーイングの声が高く、
皆に「本当にすぐにでもやめて欲しい」なんて言われている人が、
元の職場でも、もう6年目に入る。
応募者の履歴書は、それだけでは真相はわからない。
あるときは職場の軽い無視とあきらめの結果かもしれないし、
あるときは各社の涙ぐましいスタッフフォローの、
血と汗のにじむ結果かもしれないのだ。。。


えーもー、ホントにわかんない。
と上川さんがひとこと。
いや、それは私も同じだって。


    *    *    *    *    *    *


月曜日。


本来なら決まっていた女性スタッフの研修の開始日でしたが、
人が決まらないので当然研修を始めることはできません。
が、その日のうちに研修に入らないと時間が足りなくなるので、
私は午前中に二人の面談を頼まれ、
決まったら午後からそのまま即研修入り。
上川さんは職歴シートを作ってすぐに企業に走る予定に。
ドタキャンをドタキャンで終わらせず、すぐに人を差し替えて、
なんとしても受注を殺さない上川さんのその根性がとても好きだ。


彼女とは途中からペアを組むようになったのですが、
もう少し前から彼女が相手なら、私はもしかして、
もっと長く仕事を続けていたかもしれない。
決断力があって賢く潔く、そして数字には誰よりも貪欲。
いいね~。そう来なくっちゃ。
それまでの私は誰に対しても物足りなさを感じていたのかも。


    *    *    *    *    *    *


約束の10時。
本日最初の候補者の塩野さん(20代後半女性/仮名)と会う。
あれ?マスク取らないんだ。
私の視線に気がついたのか、
「あ、マスク…すみません」と少しだけ触れる。


「風邪なの?」「はい」


でも取らないんだよね。ま、いいか。


塩野さんは上がり症なのか、
初対面の私と向き合ってすごく緊張しているようで、
視線がよく動いて定まらないし、
しょっちゅう髪に手をやって落ち着かない感じ。
メモ帳を広げているのも個人的にはポイントダウンだね。


だってこれまた経験則で(以前にも書きましたが)、
面談時にメモを取った人でいい人に当たったことがないんだもの。
過去に最高にもめてトラブルの長引いた女性のスタッフがいましたが、
その方などは、人の話を何度か制止までしてメモを取っていた人で、
彼女のイメージからも私の印象はあまりよくないです。


念のため就活サイトなどを検索して見ると、
「メモを取ったほうがいい」と書いているアドバイスをよく見るので、
私はちょっとびっくりするのですが、
私は、純粋に自分が評価されるだけの場であれば、
メモは取りません。というか相手に失礼な気がして取れません。
(実は私と同じ感覚の面接担当者もそこそこいるみたいなので、
ちょっと安心します^^;)


就活サイトの感覚とはズレるかもしれませんが、
勤務日数、シフト別の出勤時刻や条件の提示は終わっていて、
うちからの仕事の紹介にOKをもらっている状況で、
その次の段階として、
「それでは現場で長くスタッフ管理をやっていた、
弊社の担当と会っていただけませんか?」
という案内で会社に来てもらうため、
「人間性の中身を見られるのだ」と嗅覚が働けば、
面談の場で覚えきれないほどの事は言わないと感じると思う。


なので逆に、
メモ帳を出すということは異常に物忘れが多いので用心しているか、
そのせいで他人に「メモを取れ」と常々言われ続けているか、
そう書いてあるのを見て自己判断せずに実行しているだけか、
または今後のために証拠として一言も漏らさずに残しておきたい、
とか…まぁ、こちらとしては、
ちょっと感覚が違う人なのかな?と思ったりするわけです。
あ、でもこれは、ユーザーサポートのための面接限定かも。
向き不向きで言うなら、メモ派は向かないと思うってことだね。


さてさて、塩野さんが大きなマスクをしているので、
顔が半分以上隠れていて顔立ちや表情がよくわからず、
なんとなくやりにくいな。それってとっても大事なんだよ。


「さっきから気になっていたんだけど、
マスクをつけたままなのは何か理由あります?」と聞いてみる。


「あ。咳がひどいんで…。取ったほうがいいですか?」
「はい。お願いしてもいいですか?
咳でちょっとぐらい風邪が移っても、
風邪のほうが逃げていくので大丈夫だから(笑)」


ジョークを言っても本当に笑わない人だなぁ…
何を話しても、相手の心に響いている感じが全然しない。
感情が動いているのか動いていないのか、手応えが無い。
よっぽど緊張しているのかなぁ。
でも、これから電話対応で、
お客様に怒鳴られたり、感情的に苦情をガンガン言われたり、
あまり緊張するタイプの人だと、そのうち体壊すよね。


いろいろ今までについて聞き取りをして、
ラストのいくつかの質問。これが結構重要かも。


「塩野さんは他の人から見て、
どんな風に思われていると思いますか?」


ところがこの質問の答えが一向に出てこないんです。


(あ~、自分を客観視するのは苦手な人かな?)


本当に長い間考えていて、それでも何も出ず、
質問の主旨を図りかねているような気もしたので、
「例えば私だったら、
元気で明るくて話好きな人と思われていると思う。
そんな感じいいよ?」と自分の例を出す。


「あ…うーん、…だったら、サバサバしている人?
サバサバしていると思われていると思います。」


サバサバしている人?サバサバか。
私から見るとクールでとっつきにくい感じにも見えるな。
ちょっと荒川静香似?


「人から見た塩野さんと実際の自分が、
合っていないと感じるところはどこですか?」
「前の仕事で得た塩野さんの強みは何ですか?」
「それが今回の仕事でどんな風に生かされると思いますか?」


塩野さんは、質問に答えるときに、
必ず少し長めの間をおくので、回答までに数秒の空白ができる。
もしかしたら「メモリを空けろ」の赤井沢さんと、
同じタイプの人なのかもしれない。
何か聞かれてもパッと浮かばないのかな?
回答はシンプルなのに、それを話し始めるまでに時間がかかり、
どう答えていいかわからない感じがよく伝わってくる。
(のちほど塩野さんは担当の上川さんに、
「質問に答えるのがすごく難しかった」と感想を述べている。)


最後に道案内。


「私が始めて塩野さんのおうちに遊びに行くとして、
最寄の駅からの道順を、確実にたどり着けるように、
説明してみてね」


「はい。電車を下りて駅から出ると、
タクシー乗り場があるのでそれを通過して、
右の道路をまっすぐに言って少し行ったら左に曲がって、
そのまま進んで角を曲がると私の家です。」


うーんやっぱり、ちょっとユーザーサポートには向かないかな…


あの20代前半の男の子はどうだっただろう?
そうだ、ボソボソしたシャベリだったけど、
私にわかるように伝えるために言い方を迷って考え込んだり、
要所要所で「ここでこれが見えるので」と私の視点に立ってくれたし、
確か看板などの目印も言ってくれた様に思う。


塩野さんは淡々とあっという間に終わらせちゃったけど、
自分のいつも見ている風景をそのまま簡単にトレースするだけで、
初めての人がわかりやすい具体的な目印もないし、
時間や距離など数字的な情報(←高得点!)はもちろん言わないし、
何より説明のための語彙が少なくて、
ちょっとこれではたどり着けないよね。


    *    *    *    *    *    *


面談を終えてオフィスに戻ると、
「どうだった?どうだった?」と上川さんが駆け寄ってきました。
「いいでしょ?いい感じでしょ?」


「それがねー、うーん、もしかしたら向かない人かもしれない。」


「えーーー!どうして~???見た目いいよ?
かわいくて第一印象は絶対に企業受けするよ?」


「そうだね。美人さんだし、
確かに彼女が皆の前でスーツで挨拶したら、
いい感じの普通の人が入ってきたと誰もが思って安心するよね。
ただねー、うーん、レクチャー中心の研修はいいけど、
実際にお客様対応の練習が始まったら、体壊す気がする。」


「えーーー?どうして~?」


私は感じたままを述べました。
横で聞いていた同僚の稲美さんは、
「私だったらマスクを取らない時点でNG。」と即答しました。


「そうなんだよね。私はつけているのは気にならないんだけど、
『咳が出てご迷惑になるので』と、
誰が聞いても正統と思われる理由を述べて、
相手に理解を求めないのはちょっとね。」


「私は挨拶とか礼儀とか、そういうのができてない人は絶対イヤ。
そこが至らない人はダメ。本当にマジでその場でお断り。
すぐに帰って欲しいと思う。」


あらら、稲美さん、昔からそうだったけど、
結構きついんだよね(笑)。
彼女は元の職場の他部門にいた他社のリーダーで、
昔、うちのスタッフを何人NG終了されたことか。
それが今、私の紹介と推薦で私の後任として来ているなんて、
ご縁ってなんだか不思議。


    *    *    *    *    *    *


二番目の候補者が連絡もないまま来なかったので、
20代男子と塩野さんのどちらがいいか?
という話になったのですが、
いやーー、これは難しすぎる。


塩野さんは顔立ちがよくて第一印象がいいけど、
20代男子は目つきが悪くてボサっとしていて、
第一印象が悪いので、
下手すると初日から「何アレ?大丈夫なの?」と、
口うるさい某社員から余計な突込みが入りまくるだろうし。
そのため正しく評価してもらえない可能性も。


一方塩野さんは最初はいいけど、
お客様対応する段になったら、
タフにこなしていけるか全くわからない。
人の気持ちを察知してわかりやすく話すのは苦手のようなので、
毎日そこを指導され続けたら健康を害するのでは?とマジで心配。
人って向かない事を強要されると体に出たりするんですが、
それに自分では気がつかずに必死に努力して余計悪化するなど、
なかなか厄介なんです。でもあくまでも憶測ベース。


うーん、難しい。


「上川さんは?」


「もうだめ。自分では決めらんない。無理。」


「いつまでだっけ?」


「いや、もう、今すぐにでも職歴シートを作って、
企業先に向かわないと。
スタッフの直前の差し替えはなるべく早いほうがいいから。
遅くなればなるほど、うちの評価が下がるし。」


だよね~。うーん。


よし。私は20代男子の野村君に座布団一枚!
野村君で行こう!
見た目がよくないし印象も悪いけど、
彼は回答が的確だったし、他人の視点でものを言えたし、
私は現場の人を見る目を信じたい。
見た目や印象でごまかされない人達だと思いたい。
問題を今から感じる人よりも、最初から見所を感じるほうで行こう。


苦しい人選だ。どしらも無条件にお奨めできるスタッフではない。
人材が豊富だった数年前ならどちらも即決で断っている。
でも今は、そういうわけにもいかないんだよね、とほほ。


    *    *    *    *    *    *


たった今、自宅でPCに向かう私に、
上川さんから電話が入り、
「どうしよう~?今日の野村君すごくいい感じだったのに、
三上チーフが何かと難癖をつけているらしいの。
野村君、研修中に目薬をさしたらしいんだけど、
うちのほかのスタッフに、
問題だ、人間性を疑う、って言ったらしい」


なにーーー?馬鹿ジャン、そんなの。
目薬をさしたのはもしかしたら眠かったんだと思うけど、
「研修中に目薬をさす」ぐらいで「人間性を疑う」わけ?
以前他の部門で、「研修中に居眠りをしていた」ということで、
会社に大きなクレームが入ったことがあったけど、
自分の事を思えば、そいつもちょっと権威主義的過ぎる。
いや、だって、講師がどうしようもないときは、
マジで眠くなりますよ?人って。
(ですが、そういった教え方しかできない人もいるんです)


最近は人もセンターもみんな、人の悪いところばかり見て、
変だよ、おかしいよ。
契約会社とクライント企業は価値観が合っていないと、
人選ひとつとっても不必要な迷いが出てしまい、
それが悪い目に出て、何もかもがチグハグになっていく悪循環。


野村君は見かけ以上にいい子で伸びる要素を持っているので、
もし事実と違う妙なクレームを担当者がつけてくるのなら、
うちは全力で彼を守りたい。


あー、でもこうやってつい戦略を練ってしまうので、
なかなか会社から離れられないのよね。
そうよね。今までの仕事は今もずっと好きだもん。
でも今はそれだけじゃ、ドーパミンが出ないの(笑)
もしかしたらそれが、
人材ビジネス業界全体の現状なのかもしれません。
 

 
 

 
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メモリを空けろ

発達障害に関して何かボランティアをしたいなぁと思い、
たまたま市の施設に貼ってあったチラシを見て、
地元のNPO法人の会員になり、
そこが主催しているメンター養成講座というの、
何度か受けてみました。


内容的には保護者と支援者をサポートする要素が強いので、
保護者でもなく施設関係者でもない私は、
立場を問われるとちょっと困っちゃったりしましたが、
今まで周囲に話してもなかなか理解されないため、
言いたいことがあっても口を閉ざしている事が多かった、
アスペルガー症候群という言葉が、
ここでは既知の共通言語であり、
それに関して何の気兼ねも無く普通に語れることが、
自分としては非常に楽で居心地がよかったです。


そして児童精神科の医学博士で、
あいち小児保健医療総合センターの杉山登志郎先生を始め、
色々な講師の先生達からきちんと正統なお話を聞けたのも、
自分としては非常に参考になりました。


それで感じたんだけど、
ああ言った医療の現場や大学などで発達障害に関わる先生達は、
「自閉」「アスペルガー」といった言葉は日常言語なので、
日頃のエピソードなどを雑談的に語るときにも、
「自閉的な」とか「アスペ系」とか、
「どうみてもアスペ」とか、そういった表現をよく使うんだよね。


たぶんきちんと診断を下す以前に、
ちょっと関わった感じでも雰囲気でわかるのだと思いますが、
その感覚は私にもあったりするので、
おっしゃる意味やニュアンスがとてもよくわかるし、
聞く人によっては少し差別的で、「公の場では使っちゃいけない」
と自分が常に気を遣っているそれらの表現を、
人前でここまで明快かつストレートに多用してくれると、
聞くほうとしては潔くて爽快で心地よい共感を持ったりします。


変な感想ですが、自分としてはそんな感じでした。


    *    *    *    *    *    *


さて、その表現を使わせてもらえるなら、
私が年末にフォローアップ研修を担当した、
赤井沢さん(40代前半男性/仮名)は、アスペ系の方です。


職歴からもその雰囲気は見て取れて、
最初に就職したシステム開発の会社を1年未満で辞めた後は、
同系の仕事を契約社員や派遣で転々としており、
ここ数年はそれが工事の警備員や交通整理など、
年々オフィスワークから離れている現状が見えます。
年齢的にも厳しいけど、
見た目も年相応の若々しい感じがしないので、
何かと不利なんだろうなぁと思います。


彼は事前研修の一発目のときから、
私のアンテナが瞬時に反応した人で、
真面目で礼儀正しく、
話好きで周囲の人達とも仲良くうまくやれるんだけど、
こと「仕事」となると、話がよくずれるし、
それに研修中に出すちょっとした課題や作業の指示が、
ことごとく完了できないんですよね。
今説明したばかりなのに、手順を一個抜かしているとか、
そもそも操作する画面が最初から違っていたりとか。


今となっては彼のようなスタッフさんは、
自分の中では見慣れたタイプなので、早い段階で、
「この仕事(ユーザーサポート)は無理では?」と感じ、
同僚には「お断りしたほうがいい」と伝えたのですが、
そこの企業先は私の以前の担当先と違い人数の厳守に厳しく、
またうちの会社も数字的な焦りが以前から社内に色濃いので、
「今から?とんでもない!そっちのほうがもっと無理!」と、
速攻拒否される。


でもなぁ…ちょっとなぁ…と気乗りしないまま、
NGの確信だけが強まりながら研修は終了し、
彼は他の数人と一緒に現場入りしたのですが、案の定、
入れて早々に「危ない人リスト(仮名)」にピックアップされて、
会社のほうで研修し直して欲しいと言われてしまいました。


この段階で名前がリストアップされたのは、
たぶんなかなか仕事を覚えないからなんじゃないかと思う。
PCには詳しいし、進学校から電子系の専門学校に進んでいるし、
決して頭の悪い人ではないんですが、
言われたことを言われたとおりにできないのが、
最大に痛いところなんですよね。
個人的には「ほらー、だから言っただろ~?」
という思いもあるのですが、
同僚達は現場を見ることができないので、
「仕事が出来ない」と言われる人達が、
いったいどんな感じのものなのか、
よくわからないんだと思う。
本人も辛いけど周りも負担が大きくてかなり辛いんだよ?


けれど赤井沢さんは、
休まず遅刻もせず真面目で素直で人柄がいいので、
企業としても切るに切れずに「御社で指導し直して欲しい」と、
何度も何度もフォローアップの依頼がかかり、
そのたびに研修をしてまた現場に送り出す事の繰り返し。


私とは相性がよく、私は彼を決して嫌いではないので、
彼も研修のたびに元気になってやる気を見せてくれて、
その甲斐もあったのか、
今まですれすれのところをなんとか契約を継続してきたのですが、
入れて半年経つのにまだ一人前のサポートができないため、
さすがに企業側にも「そろそろ」という感覚が強まり、
年末に契約終了の話を出してきたわけです。


ですが、うちの営業も、もう後がないぐらいに必死なので、
「一週間、うちのぷらたなすに研修させますので、なんとか…」
と食い下がって了解を得て、
「それで改善が見られなければそれで終了」というところで、
話をまとめてきたのでした。


ご本人は就業継続に意欲満々であり、
年末だろうが正月だろうが、
「ありがとうございます!研修してくださるなら毎日来ます!」
みたいな感じで仕事も研修も、
嫌に感じている雰囲気はカケラも見えないんだけど、
無理を承知で入れて、なんとか継続させて、
これで本人は幸せなんだろうか?とふと思ったりします。


たぶん赤井沢さんは雨風がしのげて、一応名の通った企業で、
収入が安定している今の仕事をとても気に入っていて、
他人にどう思われようが、まずは続けていければ、
それが本望と思っていると思うけど、
彼が「価値ある人」と認められて長く安定してやっていける仕事は、
ほかにないものなのかねぇ。。。


    *    *    *    *    *    *


さて。


「お願い。赤井沢さんを年末の5日間で何とかして。」
と同僚に依頼されたのはいいものの、
自分がひそかにアスペ系だと思っている彼を、
いったいどうやって「何とかすれ」ばいいのか。
企業から渡された彼に関するレポートには、
電話でのお客様対応において、
私が「いかにも」と頷けるような欠点が羅列してあって、
もう、こんなこと、言われなくたって、
十分わかっているよって感じだ。


曰く、聞かれたことにキチンと回答できていない。
曰く、何も確認をせずに見込みで説明をして誤案内→クレームとなる。
曰く、お客様の状況がすぐに理解できずに何度も同じ質問をする。
曰く、要点をまとめて伝えることができず話が異常に長く堂々巡り。
曰く、お客様に話す間を与えずに早口でまくし立てときに暴走する。


この感じだと、
「あんたじゃダメだ、もっと話のわかる人に代わってくれ!」
とキレたお客様に再三言われているんだろうなぁ…
いやー、どうすっかなぁ。
正直言って、
誰の目にも「改善された」と感じるぐらいにするのは無理だろう。
基本的にこの傾向は直ると言う事がないから。
ただし、自分の話の特徴や客観的に見た欠点は、
本人が十分理解して納得していないと、
そもそもの改善もないだろうね。


私はふと、
私の個人コーチングのクライアントさんの言葉を思い出しました。
彼女は遠方にお住まいの診断済みのアスペルガーで、
私とは週一回Skypeでセッションをしているのですが、
その彼女がね、
「アスペルガーはたとえそれが自分の欠点でも、
きちんと指摘してもらうとうれしいんですよ」と言っていたんです。


「だって自分ではなかなか気がつかないから。
それに感情的に怒られてもさっぱりわからない時が多くて悲しいし、
そうではなく、あなたのここがよくないですよと言われれば、
ああそうなんだと思い、教えてくれてありがとうって感じ。」


この彼女の言葉は、私にとって非常に大きなヒントになり、
「まず気付かせること」という自分なりの今回の目標を、
掲げることができました。
(Mさん、本当にありがとう!)


    *    *    *    *    *    *


さて今回私がやったことは、とにかく「見せる」ということです。


アスペ系の人は質問と回答がずれていたり、
話がなかなかかみ合わなかったりしますが、
それは流れては消える音声情報を追うのに必死で、
その内容を瞬時に理解して反応するまでには至らず、
途中の情報も抜け落ちてしまうからだと思うんです。
だから、今聞いたばかりなのに実際は耳に入っていない、
ということも多くて、その状態で会話を続けるから、
きっとかみ合わなくなるんですよね。


コールセンターの指導法として、電話対応の様子を録音して、
それを本人に聞かせるという手法がありますが、
なので私は、赤井沢さんに関しては、
音声だけだとダメだと思うんだよね。
きっと一生懸命聞いて音を追うだけで終わってしまい、
自ら何かに気付くということは少ないように思います。


あ、だったらビデオだな。
そうそう、私との会話をビデオに撮って、
その場ですぐにプロジェクターで二人で見よう。
その上で、改善したほうがいいと思う部分は、
きちんとストレートにシンプルに伝えよう。
まずはそこからかな。


私と赤井沢さんの会話は例えばこんな感じ。


「赤井沢さんのお客様対応って100点満点で言うと、
今は自分で何"点"だと思っている?」
「50"パーセント"でしょうかね。」
「あれ?点数で聞いたのに、何点という言い方ではなく、
敢えて何パーセントという言い方をしたのはなぜ?」
「それは、やっぱりお客様の満足する案内ができていないし、
回答を間違ってしまったり、話が長いと言われたり、
自分ではまだまだだと思うからです。」
「赤井沢さん、私が尋ねたのは50%と思っている理由じゃなくて、
点数で答えずに、%という単位を使ったほうの理由だよ?」
「あれ?オレ、50%なんて言いましたっけ?」
「言ったよ、今。」
「あぁ…ちょっと高かったですか。もっと低いですかね、すみません。」
(いや、だから、そっちじゃないっちゅうにっ(笑))


得点を%で言うことはよくあるので、
別にそれをとがめる気持ちは無いけど、
こうやって細部を尋ねると、
話がどんどんずれていくため、
世間話では許容されても、
電話サポートではやりとりが成立しません。
(これじゃ、お客様は怒り出すよなぁ…)


で、これをすぐにPCで再生してプロジェクターで見てもらいます。
そうするとね、私が感動してしまうぐらいに、
ピンポイントで的確な感想を述べてくれるんですよね。
はっきり言って、私は非常にびっくりしました。


「あー、質問に対する回答になっていませんね。」
「あー、ここでずれてますね。」
「オレの話って、一体何を言いたいのか全然わかんないですね。」
「うわー、質問されているのに完全にスルーしちゃってますね。」


いや、赤井沢さんすごいわ。
これだと、ただビデオを見せるだけでよくて、
私がわざわざ何かを指導する必要なんて全然無いわ。
ビデオだと何も考えずにただじっと画像を見ていればいいので、
きっと思考力のメモリがかなり空くんだろうね。
だから的確に分析できるんだね。


うん。赤井沢さんは要するにメモリ不足なんだと思う。
いいCPUを持っているのに、メモリが足りなくて、
何を判断するのにも時間がかかるんだね。
けれどそれは普通の人なら無意識のうちに、
難なく高速で済ませているところなので、
赤井沢さんがそのスピードの会話に付いていこうと思うと、
抜けや漏れやズレや勘違いが、
たくさん出てきちゃうんだな、たぶん。


赤井沢さんはこの後も、色々なバリエーションで会話をして、
その都度撮ったビデオをすぐに見て、
お互いにフィードバックをし合いましたが、
感想はどれも鋭いぐらいに的確で、
本当は能力のある人なのに…と、感じることがしばしばでした。


    *    *    *    *    *    *


初日のまとめで私はこんな風に彼に尋ねました。


「赤井沢さん、
赤井沢さんは今日一日やってみて、
自分の話し方の欠点は何だと思った?」


「うーん、そうですね~
話が長いですね。あと何を言いたいのかよくわからないですね。
あ、それにかみ合ってないですよね。」


「そうだね。それって自分のどんな特徴から来ていると思う?」


「特徴?自分の?特徴…」


「実はね、私も話し方にはすごく欠点があるの。
パワーポイントでまとめてみるね。」


ビデオを見たばかりでプロジェクターの電源が入っていたので、
私は手元のPCでパワーポイントを立ち上げ、
「ぷらたなすの話し方の欠点」とタイトルを打って、
その後に続けて入力しました。


「まず、私も話は長いです(笑)。
えーとそれに関連して、
質問に対して回答し過ぎてしまう事があります。
それとよく脱線します。
脱線すると、最初の話を忘れちゃったりします(笑)。
あとは…うん、話すスピードがちょっと速いかな。
それと…不必要にジョークを言いたくなる(笑)。」


でね、これは自分のどういう特徴から来ているかというと、
抑止力が弱くて思考がどんどん広がって拡散して、
なかなか一箇所にとどまらない体質だからだと思うの。
話し方の欠点や、その原因となっている自分の特徴って、
誰にでもあるのよ?赤井沢さんは自分でどう思う?


「うーん、ちょっと思いつきません。
そういう質問には頭の中が真っ白になります。」


「だよね。わかるよ、それ。
だったら私が感じたことを伝えてもいい?」


「ええ、もう、喜んで伺います。
そういうご指摘は大歓迎です。」


たぶん赤井沢さんはね、メモリが足りない人だと思うの。
だからお客様と同じスピードで会話していると、
たまに処理不能な事柄が出てくるんだよね。
赤井沢さんは、音声情報に付いて行くのに、
自分のメモリのすべてを使うので、
言葉の真意を理解したり、相手の感情に気がついたり、
そういうところまでは手が回らないんだよね。
そうじゃない?違う?


「あぁ、ちょっと今感動しました。
いや、かなり感動しました。
言われてみればおっしゃるとおりです!」


うん、だから抜けたり漏れたりズレたり勘違いしたりするんだよね。
それをね、どんな風に自分でカバーしていくのか?って言う事なの。


「あー、すごくよくわかります。
だったらやっぱりメモを取るしかないですよね?」


間髪おかずの即答である。
たぶん現場では相当口をすっぱくして、
「メモを取れ!メモを取れ!」と言われ続けているのだろう。


「そう?本当にそう思う?それで解決できる?
赤井沢さんは、メモを取ると書くほうに気持ちが行って、
一体、今、何を聞いたのか忘れてしまったり、
ちゃんと覚えていようと思うと、
今度はメモに残すことを忘れてしまったり、
「聞く」か「書く」かのどっちかの人なんじゃないの?」


「…おっしゃるとおりです。まさにその通りです。」


うん、そうだよね。。。


なので、赤井沢さんのような人には、
その一点にばかり固執して「メモを取れ」とキツく言い続けるのは、
それほど有効でないように思っているんですが、
現実には周りの人はそれが一番気になる部分なので、
そのように怒るしかないんですよね。
「オマエ、それはメモを取らないからだろっ!」って。
ホントはちょっと違うと思うんだけど。


    *    *    *    *    *    *


大晦日。研修の最終日。


私は撮ったビデオをすべてその場でDVDに焼いて、
(なので当日はDVDライターも持参^^;)
彼に渡しました。
「お正月休みの間によく見て研究しておいてね。」


「はいっ!!!!わかりました!
あのー、ぷらたなすさん、
今回は本当にありがとうございました。
今まで敬語やお客様対応や、
技術的な研修は何度も受けてきましたが、
こんな研修は初めてで、本当に感動しました。
自分はこの5日間で人生観が変わりました。
今度からは、先生と呼んでもいいですか?」


「やだー、今までどおりでいいわよ。」


…と言いつつ、彼が現場で私を誉めてくれたら、
今後の仕事にメリットあるかな?などと、
ズルくもつい考えてしまうゲンキンなアタクシ^^;


「だったら今、兼業でプロコーチもやっているから、
現場戻ったら宣伝してね(爆)」←がはははは。


「はい!ぜひ!
ホームページ見ました。
○月○日の講座は申し込もうと思っていました。」


「え…今回のはちょっとお高いよ?大丈夫なの?」


「そんな事は関係ありません。申し込んでいいですか?」


「それはとってもうれしいけど…」


一瞬口に出すべきかどうか迷ったけど、
やっぱり言うことにした。


「だって赤井沢さん、もし年明けの見極めテストがNGなら、
もしかしてこのお仕事、続けられないかもしれないんだよ?
また収入が不安定になっちゃうかもしれないよ?」


「わかってます。でも結構です。」


大丈夫かなぁと、心配な思いで、
私は何度も礼をして帰っていく彼の後姿を見送りました。


彼はこれを機に現状に理解と納得を得たとしても、
それを現実に生かし施策を考えて体現していくことは、
短期の研修では難しいと思う。
入力と出力を同時に行う事が得意じゃないので、
何かのアイデアを思いついたとしても、
実行中に思考が抜けたり、その逆だったり、
バランスが整うまでには時間がかかると思う。
あんなに満足そうに帰っていっても、
未来は決してバラ色じゃないので、
それを思うとなんとなく心が痛みます。


折りしもすっかり暗くなった外は雪。
大晦日の6時過ぎにすごい荷物を引っ張って(スーツケース)、
今から帰宅する億劫さも手伝って、私の心も暗めなのでした。

    *    *    *    *    *    *


年明け。


辞める私の後任のインストラクターの、
稲美さん(実は数年前に職場で一緒だった既知の友人)が、
私の研修レポートをメールで読んでバタバタと駆け寄ってきた。
「ちょっとー、これ、マジで本当に言ったの?メモリが不足って。」
「うん。赤井沢さんは言われないとわからない人だから。」
「いやー、それにしたって、ちょっと…これ…私はできない。
そんな事言えない。読んでいるだけで切なくて涙出てくる。」


「うーん、たぶん、大丈夫。それにすごく喜んでくれたし。」


「そうかなぁ…もうちょっとこう、現実的な事をやったほうが、
よかったんじゃないの?」


「かもね。でもさ…うん、でも、まぁいいや。」


「え?何よ?」


「いや、いいよ、別に…」


赤井沢さんはおじさん臭くて見るからに家庭持ちに見えますが、
独身でご両親と同居、実家から通っています。
40代後半のお兄さんが別なところにいますが、
お兄さんも独身で、仕事を尋ねたところ、
システム系の会社に派遣で行っているのですが、
それもしょっちゅう変わるので、自分も兄が何をやっているのか、
ほとんどよくわからないとのこと。
お父さんは家電の営業マンだったそうですが、
無口で話が下手で「オレの話のまずさは親父に似たんです」
と笑って言っていました。


年金生活のお父さんと働いたことが無いお母さんと、
収入がなかなか安定しない40代の独身息子が二人かぁ。
何となく典型的で、私にはそっちのほうが切ないわ。


前半でも書いたけど、ちょっと至らない人でも、
皆がそれをわかって理解してくれた上で、
暖かい雰囲気で長く働いていけるような仕事や職場って、
ないもんですかね。
そして赤井沢さんのような人に向く仕事って一体なんだろ?
以前は、そんな仕事なんてないように感じていましたが、
今回は、何かあるんじゃないか?何かあるんじゃないか?と、
考え続けたりする、年末のフォローアップ研修でした。
 

 
 

 
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私の送別会

Soubetsu_kinenhin


先週の金曜日は私の送別会でした。


古い仲間から他社の知人から一番最近教えた新人さんまで、
たくさんの人達が集まってくれて騒々しくも盛大な?会でした。


ただ、前にも書きましたが、
もう今は現場からは離れているのと、
出向元の自分の本来の会社のほうに出向いて、
他のセンターの研修をやることも多かったので、
先頭を走っている感じの現役感はなく、
どちらかと言えば淡々としていた感じだったかな(笑)。


かなり早くから退職を宣言して、
半年間二足のわらじでやってきたことと、
(もちろんコーチのほうは微々たる仕事量ですが)
後半は契約会社に毎日出社して、
たまに現場に戻る状況だったので、
久しぶりに現場のほうに出社した朝なんかは、
そのたびになんだか不思議な気持ちだったよね。


前の現場出社と次の現場出社の間には、
その間コーチングのほうでセミナー(少人数)を開いたり、
人に会ったり営業したり勉強会に出たり、
それに加えて他センターの事前研修などで、
全然別な世界にいたりしたので、
スタッフの皆さんにも、戻るたびに顔が違うと言われたり、
自分の気持ちにも少しずつ変化が起こっていたり、
もうすでに基盤が他の場所に移っていたような気もしました。


うちのセンターって、何かを目指して辞めていっても、
結局戻ってくる人が結構多いので^^、
辞めるときの皆さんからの決まり文句はいつもこう↓ですよ(笑)
「で、いつ戻ってくるの?」「復活は来月ね」「長期休暇だよね?」
もう、暖かくも全然励ましにはなっていない(笑)、
これらの台詞をテーブルごとに何度も聞かされつつ、
会はお開きとなりました。


あ、そうそう、最近のうちの飲み会は毎度そうなんですが、
なんと二次会がないんですよ!
そもそも先頭切って幹事に手を上げる宴会部長がおらず、
二次会も(私も含め)皆が期待して出口に残っているのに、
「はーい、それじゃ行くよ~」と旗を振ってくれる人もいないので、
なんとなく「あるの?」「どこなの?」と、
お互いに顔を見合わせつつ、誰も仕切らないので、
三々五々解散していく…みたいな?


これはま、誰が悪いわけでもなく、
今はたまたまそういうメンツが不在で、
世話焼きもいないのでしょうが、
以前と比べて皆の気持ちがバラバラで、
人と人とのつながりや連帯感も薄れてきているんだなぁと、
こんなときに痛感したりしてね。
なのでやはり、午前二時三時まで歌い飲みそして話し込んだ、
もう少し前の時代の自分達がすごく懐かしいね。


誰かが全員をまとめてくれたなら、
そのまま二軒目に行こうと思っていましたが、
なんとなく小グループで分割の様相だったので、
「ま、じゃ、自分はこれでいいかな…」と思い、
残っているみんなに手を振って先に帰ってきました。


今の自分にとっては、コーチの仲間達や、
同窓会で復活した高校の同級生の忘新年会や、
セミナーや勉強会終了後に行われる懇親会のほうが、
まだまだずっと熱くてつながりが濃い。
そしてその濃さと他人の顔色なんて誰も見ないノリが心地いい。


だから帰りの地下鉄の階段を下りながら私は思いました。


もう、ここには戻らない。今の私の夢と希望はここにはない。
私の足は知らぬ間にもう離陸しているんだよ、きっと。


私は今でもセンターは大好きですが、
でも自分の退職を機に、きっと何かが大きく変わるでしょうね。
いろんな意味で、もう防波堤にはなれないよ。
もうすでに私の退職を見越した他社の強気の営業が、
ガンガン始まっているしうちの会社もきっと実績落とすだろうな…
でもまぁ、それは私が考えることじゃないわ(笑)。


先日、その他社から事前研修の打診が来て、
私は一度営業担当と会いました。
(いや、同業の会社の人達は現場ではみんな仲良しなのよ(笑))
自分を取り巻く状況がどんどん変わっていく中で、
いい風や悪い風や判断の付かない風があちこちから吹いてきて、
急に世間の荒波に投げ出された感じですが、
でもちょっとずつちょっとずついろいろな事が太く確かなものに、
なっていけばいいと思っている昨今です。
 

 
 

 
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.ビューティフルヒューマンライフ | | コメント (0) | トラックバック (0)

この世は偶然の積み重ね

Flower

9月末をもって出向先での仕事を終えました。
会社も今月一杯で退職します。


と言っても、私のメーンの職場は出向先のほうだったので、
実質的には先日の9月30日がこれまでの仕事の最終日。
今は有給を消化しつつ、契約会社で研修があれば、
それを数日こなしてまたお休み…という日々…


…のはずだったんですが、
現実には昨日までメチャメチャ忙しかったー!
それは前述の「契約会社での研修」の予定が、
毎度ありがちに二転三転していたことと、
自分の現場引き上げと社内の人事が重なって、
この機に営業担当者まで変わってしまったので、
そちらへのレクチャーやら引継ぎやら何やらで、
ちっとも休みが取れなかったことによります。


が、それも昨日で一段落。
今日あたりから久しぶりに日記を更新してみようという気に、
やっとなりました。


プロコーチになってみようかな?と思い始めて1年半、
そして自分の会社の上司と、
出向先の上司(クライアント企業側の責任者/正社員)に、
退職の意思を告げてから約半年。


その間、公開講座を継続して開いたり、
個人コーチングを開始したり、
辞めるときまでにはなんとか目鼻をつけるのが目標だったけど、
まぁ、この時点では70点ぐらいかな。


9/30の最終日は、
朝からお世話になった出向先の方々に各課を回ってご挨拶。
4半期の区切りの日なので、社員の中にも、
長期の研修期間を終えて本社に戻る人や、
この時期に異動していく人などもいて、
この日はいつもと違って人の行き来がとても多かったですね。


私は常駐の出向外部社員で、この会社の正社員ではないので、
他の社員の方達のように、
一課一課を回って皆の前で口上を述べたりはしませんが、
古くからの顔なじみの部長や課長などの席に赴くと、
心のこもった挨拶や暖かい励ましの言葉をいただき、
うれしかった反面、ちょっと時代の流れを感じたりしました。


逆転現象?というと変だけど、元々の自分の担当部署は、
今や上司も社員もすっかり顔ぶれが変わり、
立ち上げから共にグループを作ってきた、
正社員の人達はもう誰もおらず、
皆さんと私とのつながりも以前よりは希薄になってきているのに、
こうして他の課や他の部門を訪れると、
当時からの上司達が今も活躍中で、
私の事もとてもよくわかってくれており、時間が戻る気がします。


やっぱり職場では、同志の存在って大きいですよね。
地位の上下や立場の違いに関わらず、
同じ志の仲間として認め合い、
互いに仕事の良し悪しを評価し合う関係性が、
自分にとって薄くなってきたことが、
私が新天地を求めるゆえんかもしれません。


それはどんなに現場での高い評価が定着していたり、
スタッフの皆さんが私を慕ってくれたりすることとは別なの。
ま、ちょっと新しい風にさらされて、
「勝ったり負けたり」の人生をまた歩きたくなったってことかな。
この「負けたり」を念頭において、「負けない」ように動いてみる、
ということが、結構自分をワクワクさせます。


さて、プロコーチとしての活動はすでに開始しているので、
その日、お世話になった社員の方達に、
新しい名詞を手渡していたら、
読みが甘かったのか途中で名刺が切れそうになってきました^^


で、ロッカールームの自分のバッグの中に、
(確かもう数枚はあったはず…)と、階下に下りて、
IDカードをリーダーに差込み、暗証番号を入力して、
会議室・研修室などもあるその階の入り口のドアを開けると、
誰かと待ち合わせでもしているような感じで、
ドアの前に立っていたおじさんが、
私がドアを開錠したのを見て、
急に私と一緒に中に入ろうとしたのね。


え…てっきり待ち合わせだと思っていたけど、
もしかして入室用のIDカードを忘れて、
誰か来るのを待っていたの?この人?


でも年恰好や身なりから見て、
絶対ここの社員でもスタッフでもないし、
どう見ても外部の人だよな。
おー、それって禁止項目だしルール違反だよ、まずいよ。
それにこのおじさん、なんとなく不安げで挙動不審…


以前、顔見知りで名前も所属もよくわかっている本社の方を、
普通に中にお通ししたら、自分の知らない間に、
「来館者の入室は正社員のアテンド必須」と規則が変わっていて、
他の課の主任に怒られたことがありましたが、
今回はそれ以上に、どうも怪しい。。。
なので今度は失敗しないぞ、とすかさず彼に話しかける。


「あのーすみません、どちらの部屋にお越しですか?
このドアの先は、
この会社の正社員の同伴案内がないと入れないんですが?」
※状況的に、ちょっと"キッ"とした感じで^^


すると、
「あー、いいんだ、いいんだ、
今この中でやっているH会議に来たんだ。
時間が遅れちゃったので、
悪いけどちょっと入れてちょうだい。」


あぁ、なるほど、そういうことね。
それなら社外の人も参加する会議なので合点したけど、
でも、それって、会場、ここだったかな?
それにたとえそうでも、規則は規則だしなぁ、
と、今度は本気で相手の顔を正面から正視すると…


「え!!!猫田さん??猫田さん!!(50代男性/仮名)」


「あ!」


「ぷらたなすです!8年前に三課に新人で入った、
さくらカンパニー(仮名)のぷらたなすです!
お久しぶりです!その節は大変お世話になりました!」


「あー!ぷらたなすさん!いや懐かしいな、お元気でしたか?」


そう。その人は今自分が担当している部門のスタート時、
立ち上げの契約スタッフとして私達が初めて入ったときの主任で、
私達に仕事を教えてくれた人でした。
その後間もなく分社で人事異動になり、
あまり長くは一緒に仕事できませんでしたが、
私は彼の初日の研修を今でもはっきりと覚えています。


パッと見で気がつかなかったのは、相応に年齢を経ていて、
当時の若々しいイメージとは少し雰囲気が違っていたからだね。
今は分社になったその系列他社の部長をしており、
「随分エラくなったらしいよ、もう俺達とは世界が違う人かもね。」
と、古いメンバーの間では、たまに話題に上る人でした。


が、たとえ猫田さんと言えども、
部外者であることに変わりはないので、
「ちょっと待っててくださいね」と断り、
駆け足で各部屋をドアのガラス越しに見て回る。


「猫田さん、ここでH会議をやっている様子はないですよ。
あそこの部屋の中には人がいて、
打ち合わせをしているみたいですが、
顔ぶれから見てもたぶん違うと思う(笑)」


二人でその部屋に近寄り、
ドアのガラス窓から中をちょっとのぞく。


「あー、そうだねー。やっぱり場所を間違えたかな?」


「そうかもしれませんね。
あ、だったら早く出たほうがいいですよ^^
最近、何かとウルサイので、人に見られたら怒られますよ。
ほら、早く、早く!(笑)」


「おー、そりゃ、マズい(笑) おっとっと、急げ、急げ。」


慌てて二人でドアの外に出る。
幸い昼過ぎの仕事真っ最中の時間帯で、
通路はしんとしていて人影もなく誰にも会わなかったけれど、
その様子を他の人が見たら、
二人で"挙動不審"だったかもしれないね~。


いや、それにしても、ここで、このタイミングで猫田さんか!!!
なんという偶然!個人的には「来たー」って感じがする。


あれから8年経ち、部門は年々業務が増え人が増え、
今や活気も人数も他の部門を大きくしのいでいる。
それをいつか伝えたかったし、昔話もしたかったし、
そして何より、自分のこれからの新しい仕事に関して、
猫田さんの会社にも需要があるような気もしていて、
「どうにかしてコンタクトが取れないかな?」なんて、
最近ずっと思っていたんだ。
その人が、今、まさにここにいる。


いや~、偶然にしちゃすごすぎるわ!
私がこの日、この時間、このタイミングで、
職場を抜け出してここに来なければ、
二度と会うことはなかったかもしれない。
いや、もしここにやって来ても、
気がつかなければ、気に留めなければ、話しかけなければ、
素通りだったかと思うと、以前怒られた経験も、
こんなところでこんな風に生きるのだとうれしくなっちゃう。
ツイてるよっ!ぷらたなす!


私は改めてご挨拶をし、「実は今日で終わりなんです」と、
本日で現場を退職することを告げ、新しい仕事の話をして、
すかさずその場で名刺交換をさせていただきました。
(↑抜け目ない(笑))
その後彼にメールを送ると、
すぐに返信が来て、当時の思い出話や、
あの日のすごい偶然に自分も大変驚いたこと、
そして励ましの言葉などをいただきました。


残念ながら、
文面にはコーチングに関してお尋ね等の記述はなかったけれど、
猫田さんにはご縁を感じたので、
これがきっかけで、今後の自分の仕事で、
何か新しい展開が開けないものかな~
なんて、ついつい思ってしまいます。


そう、今は後ろではなく、前を見ている私。
そんなわけで、ここで猫田さんに会えたことは、
私への神様からの素敵なプレゼントと思っているの。
私達の毎日は、偶然の積み重ねで成り立っているけれど、
たとえひょんな偶然であっても、
もらったチャンスは逃がさないぜ!
そのためにも、いい意味で、
日々望み続けることは大事だと思います。
それって結構、目標達成の基本だと思う。


最終日。


最後の仕事はなんと17:30からの打ち合わせ!(爆)
「そんなのアリかよ?」という意見もございますが、
これは今後の育成・研修体制への意見交換がテーマなので、
逆にみんなが私の都合に合わせてくれたものです。
「いつならいいですか?」と聞かれて、予定を確認したら、
なんと、この日しか時間が取れなかったんだよね~^^


が、それが盛り上がって長引き、
私が自分の身の回りを片付け始めたのが午後7:00過ぎ。
で、気がついたらもう夜勤の人しか残っていなくて、
朝のうちに、主だった方達に挨拶をしておいて、
本当によかったと思いましたよ(笑)


私のこの半年間は、契約会社での事前研修がメーンで、
あまり現場にいない毎日だったので、
そのために自分がいなくてもいい体制を作っていたこともあって、
最近の新人さん(特に他社のスタッフさん達)にとっての私は、
「いったい何をやっているのかわからない人」
だったと思いますが^^、馴染みのメンバーが、
「明日も普通に来そうな気がするので挨拶する気になれない」
と口々に言っていたことには、私も心からの同感でした。
本当に当日になっても実感ってわかないものだね~


なので、「じゃね。またね。」と、
居合わせた人達に普通に別れを告げて、
ここでの仕事はこれでおしまい。
これからは、プロコーチとして、
ちょっとずつ歩を進めてみようと思います。
 

 
 

 
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質問されるのが苦手な人

前述の男性の次に面接した、
智恵美さん(20代後半女性/仮名)は、
前の男性とは違って、
非常に想像力の際立つ人だった。


どんな質問を投げかけても、一瞬考え込んだ後、
オリジナリティのある素晴らしい回答が、
その人自身の言葉で返ってくる。


思考を探って材料を集め、
組み立てて統合して自分の言葉に乗せている頭の中の手順が、
私からも明確に掴むことができて、
「この人はすごくいいオペさんになるかも!」と直感した。


契約会社の一次面接担当がつけた評価は低いんですよ。
「話し方がスローテンポで垢抜けない。少しトロそうな感じ」
などと書き込んである。


いやー、でもたぶん、全然違いますね。
話すスピードが遅いのは確かに少し気になるけど、
スーパーのレジの班長だったというのは納得できる。
たぶん、気配りのアンテナを四方に伸ばせる人だと私は思う。


面接から戻った私は担当の細川さん(30代後半女性/仮名)に、
「いい人でした~。即決でいいと思うよ?」と告げた。


「え?ホントですか?
なんかイマイチな感じじゃなかったですか?」


「うーん、一見そう見えるけど、
オペレーターには、メチャメチャ向いていると思う。
最近にない大型新人さんだと思う。」


「そんなもんですかね。よくわかんないけど。」


ま、そりゃ私だってわからないよ。
失敗も間違いもこれからだってたくさんある。
でも、こういう判断って、良くも悪くもポリシーが肝心で、
私が個人的に好かないと思う基準で、
物事を決める人がもしいても、
それが何もない人よりはずっと明確で、
公平な感じがする。


    *    *    *    *    *    *


さて、智恵美さんの事前研修。


思ったとおり明るく察しのいい人で、
業務的なスキルに欠ける部分も、
現場ではあまり問題にならないだろうと思った。
こういう人は物事の核心を掴むのがうまいので、
失敗しても怒られてもそこから上手にヒントを、
見つけていけそうな気がする。


でも、ちょっと、お話が長いですね~。
質問に対して、二言三言で済む話が、
結構長く続いてなかな終わらない。
せっかくのいい話も、後に続く長めの補足説明で、
かすんじゃうのでもったいない。


「智恵美さん、お話は簡潔なほうが、
インパクトがあってわかりやすい時のほうが多いよ?」


「あぁ、私、話、長いですよね。
なんかきちんと相手に伝わっているかどうか不安になって、
ついたくさん説明をしちゃうんですよね。」


「智恵美さんは、
一度にたくさんの考えが一気に浮かぶ人だから、
それをすべて語り尽くしてしまわないと、
気が済まない気持ちになると思うけど、
それを全部言っちゃったら長くなって焦点がボケるから、
これからは短くコンパクトにする意識したほうがいいと思うよ。」


何のこたぁない^^。
これは私が自分自身に言っている事なのだ(笑)。
だいたいこのブログにしても、なんでいつもこう長文なのさ?
それはこの内容が全部、自然に心に浮かぶことだから。
狙って長く書いているわけではなく、
ある出来事への心象風景を思うままにサラサラとスケッチすると、
こんな感じになっちゃうのよね。
だから彼女に抱いた好感は、
実は自分に似ていると感じた自己愛なのかも知れない。
(というか、↑こういうセンテンスが余計なのだ(爆)!!!)


「あぁ、確かに。でも誰でもそうですよね?」


「いや、それが違うのよ。例えばこの缶を見て?
これ、中にタイマーが入っているんですが、
これを見て感じたことを全部言ってみて?と言われたら、
智恵美さんは結構いろいろ話せるでしょ?」


Timer1


Timer2

「えぇ、まぁ。」


「でも、そうじゃない人がたくさんいるの。」


「え…そういう人は何て言うんですか?」


「『それは缶です』 かな。」


「えー(キャハハハと笑って)、やだー!うそー!」


「いや、ホントだって(笑)!
または、『熊です』 とか。」


「ホントですかぁ?(笑)」


「本当よ。だからこれを見せただけで、
いろんな事が頭に浮かぶ人は、
私は電話の仕事には向いていると思うんだよね。」


そう、本当にそうなのよね。
ただし、話が少々しつこい上に、
そそっかしいミスをする人が多いから、
そっちのほうのトレーニングが必要なのよね。
(もちろん、アッシの話ですわ(笑))


ちなみに前述の缶入りタイマーは、
むき出しだとバッグの中でピコピコ鳴ってうるさいので、
私が缶に入れて持ち歩いているものです。
智恵美さんならまず、「タイマーがなぜ缶の中に?」
と、真っ先に首をひねるだろうと私は思う。


    *    *    *    *    *    *


さて、午後からは智恵美さんと、
質問&回答をそれぞれ10秒以内で延々繰り返すトレーニング。


すると意外な事に気がつきました。
本当に微妙な違いなんですが、
彼女、他の新人さん達と違って、
質問する側のほうがトークが滑らかなんです。
質問される側になると少しテンポが落ちて間が空きます。


あれ?なんでだろう?


「智恵美さん、今思ったんですが、
質問されるよりもするほうが得意?
なんだかお話の感じが少し違う気がする。」


「あ、はい。そうなんです。」


「じゃ、どこが違うの?」


「そうですねぇ…うん、はい。
質問するときのほうは、
回答を聞くとすぐに次の質問が浮かぶんですよ。
でも、質問されるときは結構ドキドキしているかもしれません。」


「ドキドキ?」


「はい。いったい何を聞かれるんだろう?と思うと、
ちょっと怖いですね。」


「いやだ、トレーニングだもの、
そんな、人生の深遠に触れるような深い質問はしないわよ(笑)」


「えぇ、でも、やっぱり、なんか、不安です。
言われてみれば私、
聞かれるよりも聞くほうが楽かもしれません。」


は~そうなんだ~。なるほど。
私もそうなんですが、
人の話を聞くと勝手にいろいろな事が浮かぶので、
そこから材料を掴んで投げ返せばいいのですが、
智恵美さんの場合、何かを尋ねられるという事は、
自分が試されているような気がするんでしょうね。
実際はそういうトレーニングじゃないのですが、
自分の思いを外に出すことよりも、
自分に向かう感情を処理するほうが苦手なんですね。
ふーん、これまた初めてのタイプのオペさんだなぁ。


今回は時間がなくて、あまり立ち入った話もできなかったけど、
そのうちもっともっと仲良くなったら、じっくり話をして、
いろいろな事を聞いてみたいな。


    *    *    *    *    *    *


智恵美さんの前日に研修した、
佐緒里さん(20代後半女性/仮名)は逆に、
「質問するほうが苦手」と言っていたけど、
彼女の場合は、過去に仲間外れにされた経験があって、
自分から他人に係わり合いの手を差し伸べるのが怖いんだって。
また、何か聞こうと思っても、「こんな事聞いていいのかな?」
と、そのたびに無意識のうちに思ってしまうんだって。


電話対応の仕事は、電話の向こうのお客様と、
柔軟にコミュニケーションを取っていく仕事でもありますが、
それを難なくこなせない人の背景には本当に様々なものがある。
生まれつきの資質もあるし、家族環境や育てられ方もあるし、
中にはどうしても普通の対応ができずに職場を去る人もいる。


私達はそれがうまくこなせない人に対しては、
研修をしたりトレーニングをしたり、
ときには指導や注意をしていかなければならないのですが、
それは表面上見えているような、
事柄だけのせいだけではないと思うので、
育成担当としての私は、複雑なんですよね。


「事務的」「不親切」「傾聴力がない」「共感度に欠ける」
「話がかみ合わない」「会話になっていない」など、
私達はなかなか成長していけない新人さんや、
苦情や問題の多いオペレーターさんを、
そのように評価して"注意・指導"しますけど、
それが本当にいい事なのかどうか、
たとえば、よりよいお客様対応のために、
当然と信じ切って強力に進めていいものなのかどうか、
最近の私は少し首をひねったりするんですよね。


ユーザーサポートの仕事は、給料も今ではさほど高くないし、
たいていが非正社員の現場で、身分も不安定。
だけど実は誰でもできる仕事でもなく、
内容は結構高度です。


なのにここで実績を積んでも、
それは社会的に認められているスキルにはならないし、
もしこの仕事が好きでずっと続けようと思っても、
それはある意味、世間的な「負け組」の道を選ぶことでもあり、
もっとこう、ここから転職していく人達が、
いいステータスになるような道がついていればいいのにな、
と、最近はすごく思います。


反面、ここで仕事がうまくいかなくたって、
それはあなたの人格を否定するものではない。
気にしちゃだめ。そう一人一人に声をかけてあげたい。


だって、みんな、苦手を自覚しつつ、
毎日一生懸命頑張っているのだから。
仕事ができる人も、できない人も、
もっとよくなろうと思って、
奮闘している過程が素敵じゃないですか。
 

 
 

 
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量ってほしいんですが^^2

その翌週は新人さんの現場入りがあった。


うちの会社からの新人3名と他社からの新人が各一人ずつと、
合計5名がこの日現場に入ったのですが、
当日はあいにく担当の三上主任が有給。


「朝から忙しいので自分は無理。
当日は三上主任の代わりに、
案内してこのフロアまで連れて来てよ。」
と、別な主任に頼まれていた私は、階下のホールへ。


うちの会社の新人達は、本来は企業常駐の現場担当ながら、
同じ契約会社の私が立会い者も兼ねるので営業は来ませんが、
通常は新人と営業担当が、
スーツ姿で並んで壁際の椅子に腰をかけ、主任とか課長とか、
その課の担当正社員が来るのを待っている。
クライアント企業の正社員かどうかは、
ネックストラップの色分けでわかる。


私はそんな場に降りていくわけなので、
ちょっと気を遣って、「この人達がそうかな?」と思う女性二人に、
「○○社の島谷さん(←スタッフ名/仮名)ですか?」と声をかけた。


「はい…そうですが…」
営業担当と思われるほうの人がすぐに立ち上がった。
(ストラップの色を見て怪訝そうな女性営業担当…)」


「あ、申し訳ありません、実は現場で総括リーダーをやっている、
桜カンパニー(仮名)のぷらたなす、と、申します。
本日は三上がお休みをいただいておりますので、
代わりに私のほうで、皆さんを職場までお連れします。
一応契約会社の者ですが、他社スタッフさんも合わせて、
現場担当者として全体を見ているものです。」


「あぁ、そうなんですか。
今回お世話になるこちらの職場は桜カンパニーさんが、
協力会社側のスタッフ総括をされているんですね。」
といいつつ、名刺交換。


○○社さんは、長年の馴染みで「同じ釜の飯」的付き合いの、
ほかの他社さんと違い、
最近人を入れ始めたお付き合いの浅い会社なので、
顔見知り担当者同士のツーカー、あるいは阿吽の呼吸、
あるいは暗黙の了解、とはいかないわよね。
言葉は悪いが、自社のスタッフを入れる職場を牛耳っているのが、
他社の人間なんて、実際には嫌な感じがするだろうな。


そんな事を思いながら少し談笑した後、
次に私は少し離れた男性の二人組に声をかけた。
「△△社の富田さん(仮名)ですか?」


すると営業担当の男性が、とんでもない!と言った風に、
「違います!違います!」と、大げさに手と首を振った。


え…見るからにそれっぽいのに違うの?
じゃ、別のフロアに入る新人さんなのかな?
私と○○社の営業担当者の話は聞こえていたと思うけど、
そわそわしている風でもないので、じゃ、ホントに違うんだな。


彼らはこちらを全く気にせず、熱心に何か話し込んでいた。
よくみたら、新人と営業担当のペアではなく、
何かの商談をしに来た業者にも見える。
うん。あの慌てた手の振り方は、
「間違えられたら困る!」という感じだったものな。
本当はそうだったのかもしれない。


さて、時計を見ると、あと5分で約束の時間。
スタッフの初日はどの会社も早めに待機しているので、
通常、5分前に揃っていないという事はない。
何かあったんだろうか?当日のドタキャンとか?
そのため本日の△△社の現場入りはキャンセルで、
それで人が誰も来ないとか?
(うちでも稀にあるので笑えない)


私は一度フロアに戻り、主任にその旨を告げて、
「もう5分待って来なければ、上に連れてきますから」と言い残し、
また階下に下りた。
が、待っても一向に来ない。そろそろタイムリミットだな。
これ以上待つと朝礼に間に合わないし、遅刻になる。


「はい。それでは本日から、
三課のビジネス向けグループでお仕事を始める皆さん、
ただ今から職場に移動しますが、
携帯電話と私物を持ち込まないよう、
まず最初にロッカールームにご案内いたしますので、
このまま着いて来て下さい。
営業担当の方は、ここでちょっと待っていてくださいね。」


少し大きな声で一同を集合させると、
先ほどの男性がやおら立ち上がり、
時計を見ながら少しウロウロした後、
意を決したように携帯電話を取り出した。


えー、やっぱり君達、△△社さん達なんじゃないのー?


確かめようと思って私は近付き、こう尋ねてみた。
一度、迷惑そうに拒否られているので慎重、慎重^^、
「あのぉ、どなたか待っていらっしゃいるのですか?」


「はいっ。ミカミさんを待っております。」


部署も肩書きも言わずに、
いきなり「ミカミさん」とストレートに個人名を出されたので、
私は、「なんだ~。やっぱり業者の人か~」と引き返しながら、
「え!!!ミカミ?ミカミ?三上主任?うちじゃーん!!!」


もう、なんだよー、この人ー!!


「あのぉ、もう一度伺いますけど、
△△社の富田さんですか?」


「は?」


私は来たら手渡す予定でずっと手に持っていた名札を見せて、
「富田信二さん!こちらのご担当の方ですか?違います?」
と、ちょっと語調を強めて確認した。


「え…(あんた、誰?←心の中はたぶん、こう(笑))」


「私は三上の代理のものです。
先ほどから何度かお呼びしているし、
ずっとお待ちしていたんですが?」


お待ちしていたも、何も(笑)、
こんだけの人数が朝早くからスーツで集合し、
ホールはいかにも新人さん達の現場入りって感じなのに、
自分達はとは一切無関係のごとく熱心に延々と話し込み、
しかも呼びかけても「違います!」とムッとしたように手を振り、
「それじゃ集合してくださーい」と叫んでいるのに全然こっち見ない。
気にするそぶりが全くない。


(というか三上主任は当日不在と各社に伝わっているはずなのに)
(当日は複数社から新人が入ると、伝えているはずなのに)
その唯我独尊の独自路線はいったいなんじゃー?


そして、「来ませんね~」「来ないですね~」と、
すぐそばで皆が心配そうに、
何度も入り口まで見に行ったり戻ったりして探しているのに、
まさにそこにいる当の本人達が、
自分達が探されている認識が全くなく、
その上そんなバタバタしている私達を尻目に
(有給で休んでいる)三上主任への確認のために、
携帯電話を取り出すとは、その行動は、いったいなんじゃー!!
(というか彼が連れて来たスタッフも何となく同類に見えますが?)


私はもう、ビンビンとすぐに、
「あー、この人もしかしてAS傾向の人だ~」と感じてしまい、
思わず苦笑いしたくなりましたよー。


ごめんね、△△社の赤城さん(仮名)。
悪気がないのはわかるけど、
ほんっと、おかしくて、今思い出しても笑える!
「三上さんが迎えに来る」
と、あまりにも強く思い込み過ぎていたので、
周囲で何が起ころうが、自分達を探している様子だろうが、
全く関係のないことだと思っていたのよね(笑)?
周りを気にする気持ちが、そもそも全くなかったのよね?


    *    *    *    *    *    *


新人さん達が職場でひととおりの挨拶を終えて、
全員で研修室に移動した後、
ようやく落ち着いた私は、
赤城さんの会社から来ている、
錦戸ちゃん(30代女性スタッフ/仮名)に話しかけてみた。


「ねぇ、お宅のさ、赤城さんてさ、なんか…
面白い人だね?」


「あ?会いました?」


私は今朝の一部始終を話した。


錦戸ちゃんは、おなかを抱えて笑ってくれた後、
「そうなんですよー、変な人で仕事できないので、
私達かなり困っているんですよー。
何か聞きたいことがあって電話しても、
話しが思い切りかみ合わないし、
この前も有給の件について問い合わせたら、
何度話しても回答が同じで、
しかもそれが私が知りたい事じゃなくて、
全然関係ないことだったので、
『あぁ、もう、いいです!わかりました!』って、
こっちからさっさと電話、切っちゃいました~。
私から電話が来なくなったので、
向こうは、解決済みって勝手に思っているんじゃないですか?
それ、違うから(笑)。もう、相手にしてないから(笑)。」


私は、そういう体質で、よく営業続けているなぁ…と思うのですが、
逆にスタッフの皆さんと一日一緒にいるわけじゃないし、
営業なので、会社にもずっといないし、
そういう点で微妙にやっていけてるのかもしれませんね。
でも、方々からの苦情が絶対多い担当さんだと思うよ。
△△社のスタッフさんの間でも有名な話らしい。


けれど、上山君の退職の時には、
とにかく激しく厳しく辛らつで、
お酒の席で主任や課長を捕まえて、
「あんな人をなぜ辞めさせないんですかっ?」
と毎回一時間以上もしつこく絡んだ錦戸ちゃんが、
この営業さんに対しては他人事のような割り切りだね。


結局、個人の第三者評価なんて、
自分にとってのデメリットの大小だけで、
相対的なものだよなぁ…なんて思う。


さて、ここ数ヶ月は、あまりユニークな人との出会いもなく、
それについて書くことはほとんどなかったのですが、
それらしき人に出会うとやっぱり反応してしまうところがあって、
どうしても一部始終を書きたくなってしまう私でした。


本当は、違う話を暖めていたのに、ごめんなさい。>なごふくさん
 

 
 

 
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量ってほしいんですが^^1

1月下旬のある日、私は二人の応募者と面接をした。
一人は30代男性、もう一人は20代女性。


30代男性は少し話してみてすぐAS傾向の人だなぁ…と思った。
お話がかみ合わない感じではないが、
夢や希望や抱負や考えを尋ねても、
自分が経験した事実しか話さないので、
電話の向こうのお客様の状態をイメージして捉え、
それに向かって回答を付けていく、
ユーザーサポートの仕事には、向かないかな、と思った。


「風変わりに見えますけど、話してみるといい人ですよ?」


そんな一次担当者の前振りで面接コーナーに向かうと、
メガネがちょっと曲がってます。


先ほど、同僚の細川さんが私が出て行く前に業務説明をして、
「やっぱり変わった人かも~」と、首をかしげて戻って来た。
「なんか、急に紙を広げて、
面接の時の人の配置を書き出したんですよ。
今も書いてます。普通の人だと思ったのに~。」


彼には申し訳ないが、「だから言ったじゃない?」と、思う。
何年も何人も人を見ていると、ある種のAS傾向の匂いって、
履歴書や職務経歴書をさっと見ただけでも、
個人的に感じてしまうときがあって、
「この人はちょっと…」と首をかしげても、
周囲には"考え過ぎ"で片付けられること多し。

少し前に交通事故に合ってしばらく入院していたとかで、
今回は復帰の応募という事だけど、
自分がAS傾向を感じる人って、
交通事故を経験している人がとても多い。
それもダメージがかなり大きいやつ。


最近の私は、「事故で仕事を辞めた」 というこの一言には、
「ん?」と過敏に反応してしまう何かがある。


大学院を出ていて、前職は大手プロバイダーの正社員。


どういういきさつで辞めたんだろうね。
ご本人の申告なんてあまり当てにならないので、
私は毎回真剣に耳を傾けておらず、
今回も忘れてしまったのですが、
私が最近いつも尋ねている、
私達の職場(コールセンター)のイメージを描いてもらい、
「今、目の前に何が見えますか?」と、その内容を問うと、
「ラックが見えますねぇ」(え…ラックですか^^)
※ラック→サーバーラック(たぶん)


Server_rack


「コールセンターなので今回は電話のお仕事です。
想像して見えた景色に電話はないの?」


「あ、電話。電話ですか?電話は、手にPHSを持っています。」
(え…PHSなのね…)


Phs


「今、今回のお仕事を想像して、
その中であなたがもし困っている事があったとしたら、
どんな事で困っていますか?」


「PHSで電話しているのに、担当者が捕まらなくて困っています。」


うーん、実際過去にそういう仕事をしてきた人なんでしょうね。
たいていの人は、「CMみたいにヘッドセットをつけた人が、
PCに向かって並んでいて…」と、話すんですけど、
彼のコールセンターのイメージ?って、ラックとPHSなの?


たぶん質問の意図がよく理解できなかったか、
またはとっさに浮かんだ想像がそれだったか、
いずれかだと思うけど、
電話でのお客様対応の前線は、
そこがスムーズにつながらないと厳しいものがある。
それは、業務的なスキルとかマナーとか言葉遣いとか、
そういったこと以前のお話なんだよね。


「えーと、私達の仕事を通じて世の中がよくなるとしたら、
将来どんな仕組みをお客様に提供できればいいと思いますか?
空想でも今は不可能な事でも構わないので、
自由にお話ししてみてください。」


「そうですね、IPv6の時代になって、
家電にもひとつひとつIPが振られて、
家電同士で通信できればいいですね。」


(って、それは巷で普通に言われているお話だなぁ。)
「それじゃ、それによってあなた自身は、
自分の暮らしをどう変えって行きたいですか?」


「携帯電話を通じてネット接続できればいいですね。
携帯同士が基地局を通さずに直接通信しあうというか…」


私はチラッと職務経歴書に目をやった。
前職での担当部署はまさにIPv6関連の部署で、
会社の契約担当の同僚の女性達が聞いたら、
「とても知識が豊富で、詳しくて、
夢のあるかっこいい事を言っている優秀な人」
と、思うかもしれないけど、
結局これも、それまで関わってきた仕事で、
周りが言っている事を自分も言っているだけなんだろうなぁ
と、ふと思ったりする。


私はこの方はお断りした。
いい人ではある。素直で話好きで人懐こい。
でもね、ちょっとやっぱり、アンテナに反応するものがあるかな。
結局優秀じゃなくていいんです。普通の人で。


ですが、「普通の人がいない」
これが契約会社各社の共通の合言葉になっているような、
現実が今はあります。
 

 
 

 
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他人情報がない

この前の日曜日は、友人であるクライアントさんと、
ランチを食べながら対面コーチング。
実はこの人なんです。すべてに口が重く、
セッションもなかなか充実したやりとりにならずに、
コーチングがなかなか機能しない人って。


彼女、水野ちゃん(30代前半女性/仮名)は、
地元では一番の大学を出ていて秀才のはずなのに、
お仕事は、一見「さえない事務員」さん。
(学歴を聞いて私のほうがびっくりした!)
それは同世代の女性のように元気でタフな明るさがなく、
どんなにいまどきの服、いまどきの髪型をしても、
なんとなく"地味"と"野暮"を、
感じさせるようなキャラクターだからなんですが、
でも、仕事はすごいの!早くて正確!凡ミスがない!


細部に渡って細かくルール化されているような、
そんな作業が昔苦手だった私は、
若い頃の事務作業は結構ミスが多く、
それを自覚するが故の緊張感や焦りが、
更なるミスを生む悪循環だったので、
そんな私から見ると、
常に平常心と同じペースを保っている、
彼女の事務能力は秀逸に思えるし、
同じ仕事に就いている人達よりも、
ずっと優れているように感じます。
だから心から尊敬しているんです。
ネット好きで、私ととても話が合うことも、
親近感を感じる大きな要素です。


なんですが、私の知っているほかの人達同様に、
手腕のある女性事務担当者って、どこか雰囲気が固くて、
人としての柔らかさがあまり前に出ていないような気がします。
彼女もそうで、仕事中に仲間内で盛り上がるような事はなく、
周囲の少ない同職の人達と必要最低限の話だけをして、
必要な残業なら文句も言わずにバリバリこなすけど、
誰かと話が興じて職場に長居していることは絶対にない人。
終わったら帰る。すぐ帰る。
同僚と連れ立ったりせずに一人で帰る。


先日参加してコーチング勉強会で、
私は、自分の課題として、
「コーチングがなかなか機能しない人」というテーマを挙げて、
仲間達とディスカッションなどしたのですが、
そのときの私は、ずっと彼女をイメージして話をしていました。
私達のコーチは、「私の個人的な感覚ですが」と前置きして、
「自分は、エネルギーの返ってこない人…
コーチからエネルギーがただ出て行くだけで、
コーチングしていても疲れるだけの人…
そんな風にとらえています。」と言っていましたが、
非常に当を得た表現だと思いました。
なので、中盤を越えても水野ちゃんとへのコーチングは、
なかなか前に進まず行き詰っていました。


そういうときは朝から思案が続いていて、
出かけるのも少々億劫だったりするんですよね^^
でもまぁ、約束だからしょうがない(笑)。
お金もらってるし^^


    *    *    *    *    *    *


そんなわけで、日曜のお昼に、
パスタのプレートをはさんで向かい合った私達でしたが、
水野ちゃん、相変わらず口が重いです。
前の日記の猪飼さんと同じように、
何かを尋ねても「うーん…」と長く絶句するばかりで、
理想、イメージ、憧れ、意見、感想、思惑などの、
心を映す言葉がほとんど出てきません。


なので、私は突然思いました。


「やーめた!」(笑)。


元々友達だし、日曜にわざわざ街中まで出かけてきてくれて、
お金を払って一緒にランチまで食べているのに、
楽しいことや愉快なことがひとつもないまま終わってしまったら、
なんだか彼女に申し訳ない気がしてきて、
「もう、いいや、コーチングなんて!」とそっちは横において、
完全に雑談モードに入りました。


そして話題にしたのが、先の「質問するのが苦手な人」の、
猪飼さんの話とか、今まで担当したいろいろなスタッフの話とか、
差し支えない程度の情報で、
実際にあった事、それで自分が感じた事、思っている事などを、
延々と独演会状態で話したわけです。


実はコーチングは相手にしゃべらせるスキルなので、
コーチがあまり語ってはいけないんですよね。
手元のテキストにも、
「自分の経験を話すときは100文字以内で手短に」
などと書いてあって、コーチが一方的にベラベラしゃべるのは、
あまりよろしくない事とされているんです。
もちろん、ガチガチのセオリーではなく、
「相手が望めば何でもあり」といった柔軟さは当然あるのですが、
通常クライアントさんのほうから、「もっとこうして」という事は、
ほとんどないので、どうしてもそこにとらわれてしまうわけです。


で、 あー、一方的にしゃべっているなぁ、アタシ…」
などと自分で感じながら話を続けて一息ついたら、
(結局、やめた!といいつつ、コーチングをあきらめていない私^^)
水野ちゃんが今までにない感じの関心で聞き入ってくれて、
特にこちらから尋ねなくても、それについての感想を、
淡々と切り出してくれるんです。え…これって何?
今までこんなに話してくれた水野ちゃんを見たことない…


お?と思った私は、ここがチャンス!と思って聞いてみました。


「ひとつ思っていることを言ってもいい?
水野ちゃんて、何かを尋ねたときの回答が、
他の人より少し時間がかかるような気がするんだけど、
それはどうしてなんだか、聞いてもいい?」


「うーーーーーーんーーー、そうかなぁ、うーーーん…」


あ、またいつもの水野ちゃんに戻っちゃった^^


「実はね、さっき話したあるスタッフさんみたいに、
質問の苦手な人だと、
(私の仕事場である)ユーザーサポートの現場では、
とても苦労するのね。
じっくり聞き取らないですぐに結論付けをするので、
間違ったり、苦情も多いし、そうでなくても人見知りなのに、
余計に電話が嫌いになってしまって可愛そうなのよ。
だから、私、そんなスタッフのためにも自分の仕事のためにも、
水野ちゃんからヒントが欲しいの。」


「あぁ、あぁ、なるほど。」


「例えば、私がさっき話した某スタッフさんに聞いたように、
私達がもしこの場で、初対面のAさん、Bさんで、
何か声を掛けないと気まずい雰囲気だったら、
水野ちゃんは私になんて声を掛ける?」


「あぁ……そう…ですねぇ。。。
自分もその人と同じように、基本的に知らない人には、
自分から声を掛けないので…うーん…
でも…そうだなぁ…もし、共通の誰かを待っているというのなら、
『遅いですね』ぐらいは言いますかね。
でもそれで終わりですね。
私って会話の続かない人なんですよね。」


「あぁ、そうか。ここに共通の知人のCさんの存在があって、
その人を、初対面同士の二人が待っているというのなら、
確かにそれが一番だよね。」


「でも、あとは、また黙って雑誌を読んだり、
携帯をいじったり…
私ってそういう沈黙があっても、
全然苦にならないんですよね。
うん、そう。
会話ってそういえば必要な事しか言わないですね。
連絡事項とか何かの伝言とか指示とか、
伝えたい内容があるときだけ言うって感じで。」


そうか。水野ちゃんにとって、
確かにそのシーンでの声がけは、
伝えるべき必須の内容がないし、
であれば、言葉はかけない、と。
というか初対面の人とのコミュニケーション自体が、
必要な事じゃないんだな。。。


「ねぇ、水野ちゃん、今もじっくり考えながら、
言葉を選ぶようにして時間をかけて答えてくれたけど、
そういうときって頭の中では何を考えてんの?
研修や指導の参考にぜひ聞かせて!
こればっかりは、友達じゃないと聞けないし。」


私は手帳とペンを取り出して耳を傾けた。
あなたの話が私にとって必要なもので、
それは私の役に立つとても有益なもの…
なぜそうしたかと言うと、
今思えばそれをぜひ知って欲しい、
一種のパフォーマンスだったかもしれない。


「そうですねぇ…やっぱり、
まず、『こんなんでいいのかな?』というのはありますね。
なんかこう、もっとこう、違う事を言ったほうがいいのかな?
と、思いつつも、浮かばないから、この辺にしておけみたいな。」


「なるほど~」メモメモ。(やっぱりそういう事もあるのか…)


「あとは…やっぱり、考えても全然何も思いつかないって言うか、
そもそも全然考えていないっていう話もありますね(笑)。
あ、そっちのほうが強いかな。
(急に語調が強まり)
私、やっぱり、他人には興味ないんですよね。
昔からそうなんですが、人はどうでもいいんです。
だからその人の事を知りたいとか、仲良くしておきたいとか、
そういう事を一切思う人ではないので、
何かを聞こうとも思わないし、考えもしないっていうか。」


「あぁ、あぁ、参考になるわ、そういう事なのね。
あ…でもちょっと前は、
いろいろエピソードに感想を言ってくれて、
それは、質問をしたときの水野ちゃんとは、
ちょっと違うように感じたんだけど?」


「あ、やっぱり他の人の話は、
聞いていて面白いですよね。
だから、今日はとっても面白かったです。
私、営業さんやぷらさんのように、
会社からは一歩も出ないし、
長年会社の人以外と仕事する機会もないし、
知り合う機会もないし、
あんまり他の人の話って聞いたことがないんですよね。」


あ…


私、ふと思った。


確かに水野ちゃんは事務担当なので、
いつも会社に居て同職の数人の人達とだけ、
連携して仕事をしている。
そんな水野ちゃんは今の職場以外の人と触れる機会もないし、
そもそも「他人に興味がない」のだから、
機会があったってそうそう親しくはならないだろう。


…と、するとだよ?
そうか!水野ちゃんの頭の中には、
何かを述べたり行動したりするときに、
比較参照するような他人の情報が、
他の人よりもとても少ないんだな?!
(そもそも収集の気持ちがないもんね。)


なるほど!きっと他人情報がないから、
回答の候補も選択肢もなくて、
自分が実際にやることしかイメージできないのかも!
だ・か・ら、予想外の質問をされると答えが出ないんだね?
誰にでもすぐに浮かびそうな、
平凡でありきたりの回答さえ出てこないのは、
きっとそういう事なんだな。
おーーーー!なんか見えた気がする!!!


    *    *    *    *    *    *


今までの私は、
コーチは自ら雄弁であってはいけない事を忠実に守り、
しゃべらせよう、しゃべってもらおう、と思って、
質問のほうばかりを工夫してきたけれど、
水野ちゃんみたいな人に対しては、
たぶん有効じゃないんだね、それって。


水野ちゃんは、いろいろな人の話をすると、
共感したり、「それってこうなのかな」と推論したり、
「そういえば、それで今思い出したけど」 と、
自然に自分から自分の話を聞かせてくれたり、
材料を渡してあげると、あげた分だけ返ってくるトークがある。
何かのエピソードを聞くと、それに対しての感情は、
ストレートに出てくる人なんだね。


うん、そう。 そうだ、やっぱり他人情報だな(笑)!
こっちから材料をたくさん見せてあげて、
そこで初めて挙がってきた意見や感想を、
丁寧に掬い取っていけばいいんだね!
あー、そういう事もあるという事か。なるほどね~。


今回クライアントになってもらって初めて知ったのですが、
水野ちゃんは意外にもセミナー好きで、
東京に行ったついでに東京の各種のセミナーに参加したり、
読んでいる本は自己啓発関係の本が多かったり、
「へぇ、そういう人だったんだ」と少し驚いたのですが、
もし本当に何かの現状を変えたいと感じているのなら、
自分に何かを取り込もうとするよりも、
身近な他人の生き方や考え方、動き方や話し方などを、
真剣にその気で観察してみるのもいいように思う。


他人に関心のない水野ちゃんに、
「他人に関心を持て」 と言っているのではなく、
そのままのあなたでいいから、
他人をたくさん眺めて、たくさん傍観して、
そのたくさんの自分なりの感想をストックしていけば、
ある日何かが変わるんじゃないかなぁ、と、思うんだよね。


    *    *    *    *    *    *


さて本日は水野ちゃんとの電話コーチングの日でした。


今度はもう迷わないよ。


私は最初から飛ばして?
自分の話、スタッフの話、自分の親の話、小さい頃の話、
そういった話をたくさんした。
すると思ったとおりに、
水野ちゃんからはいい反応がたくさんあって、
「会話が続かない」なんて、とんでもない!
おしゃべりな女の子同士の普通の会話のように、
途切れる事無く話が続いて、今日はとても楽しかった。
ついでに散りばめたコーチング的な質問にも、
よどみなく答えてくれた。
おー、なんだか、階段を一段上ったような気がする。


水野ちゃんの残りのコーチングはあと数回。
いつも思うんだけど、こういう気づきや発見は、
毎回、終盤以降に出てくるんだよねぇ^^
もっと早くに思いついていれば、
水野ちゃんのコーチングももっとよくなったかもしれないのに…
(すまないなぁ…)


けれどもし今度、
水野ちゃんと同じタイプのクライアントさんに出会ったら、
ためらわずこちらがたくさん話してみようと思う。


「コーチングと雑談は別物ですよ。分けて考えてくださいね?」


スクールでそう教えられたことを思い出すけど、
私は、そんな事など気にかけないで、
自分の自由なスタイルでいったほうがいいみたい。


といいますか、コーチングだろうが何だろうが、
誰かに自分の話をきちんと聞いてもらうことは、
その人の心の安定にとてもいいことなので(健康にもいい)、
あまり人とおしゃべりする事のない水野ちゃんと、
まずは楽しく話をすること!
私はまず、そっちを最初に考えないといけなかったんだなぁ。
水野ちゃんも、実はそんな期待で、
クライアントを引き受けてくれたのかもしれないしね。


さて、そうなってくると、
今度はそれを新人研修でも使いたくなってくる私です。
近いうちに、人見知りの猪飼さんや、
他人に関心のない水野ちゃんみたいな、
行動を問う回答にすごく時間のかかる新人さん、来ないかな。


もしそんな人が来たら、今度は、
架空のAさん、Bさんの会話をまず私が演じて、
それについてどう思うかを述べてもらうことにしよう。
そっからだなぁ…ちょっと楽しみ。
やっぱり何事もイメージが大事で、
イメージがない人には、まず、イメージを。これだな!
でも、実際にそれをやっているときの私を想像すると、
落語家みたいで受けますね。
 

 
 

 
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質問するのが苦手な人

先週の某日、会社に頼まれて、
他の企業へ入れるスタッフ(女性)の事前研修を担当した。


と言っても、仕事は私の職場と同じ、
コールセンターのオペレーターなので、
今まであまり接触のなかった営業担当者から、
「こんな項目をやって欲しいみたいなんですが…」と、
企業が今回出してきたというレジュメを手渡されて目を通すと、
「あぁ、あぁ、なるほどねぇ…」と納得がいき、
共感と親近感の両方を感じた。


その会社はうちの顧客で、
おつきいあいが長い事を私も知っているが、
「せめてここまではそちらでやってくれ」と、
最近急に言ってきたという話を聞くと、
指導に苦慮するスタッフが、
この頃増えてきたのかな、なんて、
あれこれ考えたりする。


で、彼女、
営業の井上さん(40代前半女性/仮名)が言うには、
「辞めるスタッフの欠員補充で、人はもう決まっているんですが、
家にパソコンがないって言うし、ネットもあまりやったことないし、
キーボード入力とか、すごく心配なんです。
なんかこう…とっつきが悪くて大人しくてパッとしない感じで、
ここに、『最低限、正しい敬語とビジネス話法が使える人』
なんて書いてあるんですが、
そういう事ができる人なんだかどうかも…ちょっと…。
だから、ぷらさんに、ぜひここで、
ひとつビシッと指導してもらいたいんですが。
大丈夫でしょうか(恐る恐る…)?」


要するに井上さんサイドでは、
そこまでクライアント企業の要望に沿って、
コールセンターに特化した研修をやったことがなく、
なにをどうやったらいいか、皆目見当がつかないので、
いつも似たような研修をやっていると思われる私に、
上司経由で相談を持ちかけた、ということなんだね。


「えー、研修はやってもいいけど、
『ビシッと指導』は難しいかも。
私、そういうの、性格的に無理だし(笑)、
お話を伺うと、体格が良くて、
さえない感じの女の子(でも30代)みたいだけど、
電話の仕事は向き・不向きが大きいので、
最初から向いていない人は、
たとえ『ビシッと指導』しても、
それで一気によくなったりはしないよ?」


そんな話をすると、慌てて、
「えー、そう言わずに、頼みますよ~
これ(レジュメ)、渡されたのはいいけど、
私、こういうの全然わかんないし、
一体どうしたらいいか、すごく困っていたんです。」


聞けばそちらの仕事は、
私のところのようなユーザーサポートではなく、
顧客の住所変更を受け付ける部門で、
仕事はあくまでもオペレーション中心のため、
敬語などと共に、お客様と会話をしながら、
手元ではキー入力ができるようになることを、
最重要課題として欲しいそうである。


ふふーん…と、当を得たような思いで少し苦笑する。
確かにオペレーターさんの中には、
メモをとっても書くときに変な聞き取り間違いをしたり、
お客様の話が少し長くなると前半を覚えていなかったり、
ほかの作業をしながら会話のできない人が確かにいる。


大勢の人が当たり前にできると思っている事が、
なぜかどうしてもできない人がいる、と、
気づかされるのがコールセンターの仕事でもあり、
そういったスタッフに困って困惑している現状が、
井上さんの話を通してひしひしと伝わり、
私は同業に携わる者として、よく雰囲気が理解できた。


    *    *    *    *    *    *


さて当日。


井上さんと一緒に研修室に入って来たのは、
猪飼さんという電話の仕事の経験者で、
この10年の仕事は、全部電話。
ある時期の一社が4年間で、
残りは複数の会社を半年~1年半。


この方のように、電話の仕事を何社も点々とする人は、
例えばそのうちの期間の短い就業に関しては、
企業さんから短期間で辞めさせられている可能性もあるので、
私はどうしても、「どこかに問題がある人なのかな?」と、
探るような気持ちになってしまう。
これが面接経験者の悲しいサガというものだろうね。
でも、事前に聞いていたよりは全然普通っぽい感じ。


が、もし猪飼さんが問題のあるスタッフさんだとすると、
それがどこなのかは、研修開始後にやがてわかった。
だって自分で言うんだもん。
「アタシって苦情(←お客様からの)が多いんですよね。」って。


    *    *    *    *    *    *


猪飼さんが「ぱっとしない」のは、
人見知りで警戒心がとても強いからだ。
人見知りの人は、研修の場でも、
場になじむのにすごく時間がかかる。


1対1なのに、ジョークを言ってもあまり笑わない。
何かを尋ねても反応が鈍く、口数が少ない。
これは営業の井上さんが、
私に関して過大な紹介をして、
彼女の緊張感を大いに煽ってしまったのも悪いね~^^。
そうでなくても、目の前の人が敵か見方かを見極めるのに、
とても時間がかかってしまうのが人見知りの人なのに、
あんまり怖がらせるような事、言わないでよね?もうっ!


それでも午後にようやく打ち解けてきたときに、
彼女の口から、「自分は苦情が多い」と聞いた私は、
この人が今から仕事をするのに肝心なのは、
そっちのほうじゃないかと思った。
井上さん、井上さん、
いつか彼女に企業がクレームをつけるとしたら、
それはきっとそっちのほうだよ?


私は企業から渡されたレジュメを多少無視して、
内容を一部割愛してでも、
対話の練習をしたほうがいいんじゃないかと思った。


    *    *    *    *    *    *


同僚達全員の大きなストレスになっているような、
問題のある人は別にして、
コミュニケーション能力があって、友達もそれなりにいるのに、
お客様対応が悪くて、クレームが入るような女性スタッフは、
実は100パーセント人見知りタイプと言っても過言じゃない。


ひとつ前の日記の内容ともかぶりますが、
人が怖い人は、じっくりと十分な説明をせずに、
一刻も早く電話を終わらせようとしたり、
自分の説明内容に細かな確認や突込みが入るのが嫌なのか、
どうしても口調が冷たく断定的になるので、
ユーザーは言葉の端々に自分への拒否感を感じて、
最後には怒り出したりするんだよね。


だからますます人嫌いになっていくのが悪循環なのですが、
なぜか彼女達は、お客様がどうして怒るのか、
誰もわからないんです。本当にみんな、そうなの。
人見知りの女性のオペレーターは、
手際が早くて言葉遣いのきれいな人が多いので、
私は、その一点に気がつきさえすれば、
とてもいいオペさんになるのになぁ…と、
いつも残念に思うんです。


けれど、その"手際"も"敬語"も、
いったいどうすればお客様に怒られないのか、
彼女達が自分なりに考えて、
最大限に努力した結果のようにも思えるので、
「実はポイントはそっちじゃないんだけどなぁ。」と、
これもまたいつも感じている事なのです。


    *    *    *    *    *    *


コーチングを学んで、
一番自分の仕事のメリットになったのは、
相手に質問をするという行動が、
想像力を広げるトレーニングとしてとても有効で、
研修などでも十分使えるとわかった点かな。


普段はあまり意識していませんが、
私達が気心の知れた人と交わす日常会話というのは、
自分が伝えたい内容を相互に話す行為の繰り返しです。


「昨日食べた○○のたい焼きがおいしかった」
「あ、あそこっておいしいんだよね?」
「そうなの、だから行列がすごくて買うのに時間がかかった」
「私はそれが嫌で、寄ったことがないの。」…と、
自分の話したい事柄をお互いに言っている事がほとんどで、
相手に何かをどんどん尋ねるような事はあまりないよね。


ところがコールセンターでのお客様との会話は、
日常会話と異なり、「聞く」事から始まります。
聞いて聞いて聞いて、お客様の目的や、
質問の真意、経緯や事情などをきっちり特定し、
それを十分踏まえた上で最善の回答を提示するのが基本です。
ですが、たいていの人は聞かれた事に"答える"ほうが、
主な仕事だと思っています。だからずれちゃうのよね。


特に人見知りの人は、生活のために仕方なく、
あまり好きではない電話対応の仕事についている人も多いので、
傾向として対応をさっさと終わらせたい気持ちが強く、
お客様との意思疎通に時間かける発想があまりありません。
いえ、「ない」のではなく、お客様との意思の疎通を勘違いして、
同意や頷きやお世辞など、心に思ってもいないことを述べて、
相手をいい気分にさせることがそうだと思っていたりします。
だから、「私にはそういった事はできません」になるのですが、
答えはNOだよね。


ちょっとしたユーモアや、気の利いた言い回しをちりばめて、
お客様と楽しくやりとりするのが意思の疎通ではなく、
(彼女達の目には、周囲の人の対応がそう見えるのでしょう)
相手の知りたいことや状況を完全に把握するまでの手順を、
怠らないのが意思の疎通の第一歩とわかって欲しいですよね。
そのためにはまず、質問の練習からです。


    *    *    *    *    *    *


ぷら:「それではこの時間は、会話の練習をしたいと思います。
まず最初は日常会話から始めてみましょうか。
この研修の参加者が二人いると仮定して、
私がその人をやりますので、
猪飼さんは『初対面の人に話しかける』
というシチュエーションで声掛けしてみてくださいね。」


猪飼:「えーーーーー……、
うわ、アタシ、そういうのって、
思い切り苦手なんですけどー。」


猪飼さんは、顔合わせの自己紹介で、
自分が人見知りである事を何度も強調したけれど、
一度打ち解けると段々表情も態度もほぐれてきて、
気さくに本音が出てくる。


ぷら:「じゃ、何でもいいから、
相手に質問するところから、スタートしてみませんか?
『どこから来ましたか?』『家は遠いんですか?』とか、
『ここの会社の仕事は初めてですか?』とか、
どんなものでも結構です。
練習ですので唐突で脈絡のない質問でも結構ですよ~♪?」


ところが。
猪飼さんは、「うーん…」と本格的に深く考え込んでしまい、
「ん…」…「ん…」…「んー…」と大きなため息をつきながら
何度も首をひねり直して、
押し黙ったまま、やがて身動きが止まってしまった。


え…何の質問もまったく浮かばないんだろうか?


とってつけたような内容でもいいと言っているのだから、
すぐに思いつくと思ったのに。
もし私だったら、「その服、どこで買ったの?」とか、
「そのお茶(伊右衛門)はいつも持ち歩いているの?」とか、
「今日ってお昼(ご飯)持って来ましたか?」とか、
次々と浮かんでくるけどなぁ…


軽い気持ちでお願いしたワークへの反応が、
予想外に重く沈鬱なものだったので、
私は内心驚いてしまい、もう一度だけ、
「何も浮かばない?」と小さな声で尋ねた。
「もし現実にそういう時は、自分なら何て言う?」


猪飼:「いやぁ…うーん…、うーん…
あのー、私、初対面の人に、
自分から声は掛けないんですよね。
だから、もし本当にそういう時は、絶対に何もしないです。
黙ってます。うん、100パーセント黙ってますね。」


あぁ、そうか。なるほどね。
あまり知らない人には、自分から声をかけないのね。
なるほど~。
だったら、「私ならそんな事は絶対しない」と強く思ってしまうと、
確かにそこから先には、決してイメージは広がらないわね。
あー、了解。


ぷら:「じゃさ、シチュエーション変えようよ(笑)♪
私達は、たまたま研修で一緒になった、
初対面同士のAさんBさんね。
で帰り際、Bさんの私が猪飼さんに突然こう話しかけてきました。
『あのぉ、すみません、住所、教えてもらえませんか?』
もしそう言われたらどう思う?」


猪飼:「え…『は?なんで??意味わかんない。』…みたいな。」


ぷら:「だよね。なのでそれを質問にして、
相手にまず投げて見るのね。
じゃ、それをBさんの私に聞いてみてくれる?」


猪飼:「わかりました。えーと…
『えー、なんで?』」


えー、なんで?…初対面でそれかい(笑)?


ぷら:「あははは、猪飼さん、初対面なのに、本当にそう聞く?」


猪飼:「あ、そうか。じゃー
『えー、なんでですか?』」


がははは!
なんかもっとほかにふさわしい聞き方があるように思うけど、
やっと言葉が出始めたところなので、まー、いいや。


そこでBさんを演じる私は、
「年賀状を出したいんですよね」と言ってみる。
そして、
「猪飼さん?Bさんは年賀状を出したいって言ってるよ?」
と、振ってみる。「そしたらなんて言う?」


猪飼さんはしばらく沈黙したあと、こう言った。


猪飼:「あのーぉ…もし本当に私だったら、
住所って個人情報じゃないですか?
だからすごく教えたくないし、
聞いて来る理由がわからないし、
だからたぶん自分だったら、何も聞かずに、
すぐに『メアドにして』って絶対言ってますね。」


うわ、そう来るのね(笑)。


ぷら:「なるほどね。確かにそうだよね。
そうすると今までの話を再現すると…
Bさん:『あのぉ、すみません、住所、教えてもらえませんか?』
Aさん:『メアドにして。』
…になるんだよね?どう?聞いてみて?」


猪飼:「メチャメチャ感じ悪い、ですね(笑)」


ぷら:「あはは!そうかもね。
私は今ので、もうひとつ思ったことがあるんだよね?
自分がもしそう言われたらこんな風に思うなぁ、って。
じゃ、それを当ててみて!」


猪飼:「えー…なんだろう?
腹が立った?困った?ムカついた?」


ぷら:「ぶぶー!ちょっと違いまーす!」


猪飼:「えー…えー…。えー…なんだろ?」


ぷら:「正解は、
Aさんが随分トゲトゲしい言い方をして来たので、
『もしかして、私って嫌われているのかな?』でした~!」
(うん、私は怒るよりも先に、そう思うほうだ…)


    *    *    *    *    *    *


猪飼さんは「あぁ…」と短くつぶやいたけど、
どんな風に感じたのかは、よくわからなかった。
本当はそこで、
言葉の受け取り方は人それぞれなんだよ?と、
言いたかったのですが、
視点を広げたせいで、焦点がぼけちゃったような気がしたので、
それについては何も言及しなかった。


そのあと、私達はお互いに質問し合う練習を、
何度も繰り返しましたが、たとえトレーニングでも、
こうやって強制的にでも言葉を交わしていると、
段々相手が見えてきます。


「家族は何人ですか?」
「実家はどこですか?」
「小さい頃はどんな子供でしたか?」


そんなやり取りを続けていると、
猪飼さんのヒストリーが見えてきて興味深い。


特に、なるほど、と思ったのは、ご両親を尋ねた時に、
「うちの父親はすごく怖い人でした」という回答です。


自分のコーチングセッションでも、
最近考案して試しているこのトレーニングでも、
近頃よく感じるのだけど、
自分の考えを話すのにすごく時間のかかる人って、
尋ねてみると、
小さい頃の親子関係に原因がありそうな人が、
とても多いんですよね。
もしかしたら、人見知りもそのせいかもしれない。


夕べ電話でコーチングした少し口下手な後輩も、
「人に急かされるのが苦手」というので、
さりげなく両親の事を聞いてみたら、
「母親にいつも友達と比較されるのがとても嫌だった」
という話が出てきた。


うん、そう。そういえば、職場のスタッフでも、
自分のコーチングのクライアントでも、
自分自身を「人見知りだ」という人は、
予想外の質問をしたときに、「うーん…」と絶句して、
なかなか言葉の出て来ない人ばかり。


怖いお父さん、厳し過ぎるお父さん、
口うるさいお母さん、ヒステリックなお母さん、
逆に無関心だったり、かまってくれなかったり、
「うちって放任主義なんですよね」と、
語られるような家族の雰囲気。


ふと思いついて尋ねてみると、
こんな話の出てくる事がとても多くて、
先日日記でも取り上げた「サイストリー」は、
まさにそのとおりだなぁ…と思わされる。
(実は前の日記の細川さんも、
「両親には厳しく育てられた」と言っている。)


本当は自分の考えも無意識に感じている事もたくさんあるのに、
こういった人達は何かがそれにフタをしていて、
問いかけられてもするするとストレートに出て来ないんでしょうね。
今回の研修ではよりいっそう、その感を強くしました。


    *    *    *    *    *    *


猪飼さんは、営業の井上さんが心配していたのと違って、
PC操作も早いし、敬語も無難に使えるし、
たぶんそっちはほとんど問題のない人。
だけどやっぱり苦情は引くだろうなぁ…
ロープレをしてみると説明に暖かみがなく、
不親切でストレートだもの。


心を開けばこんなに打ち解けて話してくれるのに、
そうじゃない第三者には、すぐにバリアを張るのね、きっと。
相手を知ろうとする気持ちよりも、怖い気持ちのほうが強いから、
そのための質問もなかなか浮かんで来ないのでしょう。


入っては少し経つと辞め、同じ仕事に就きまた1年で辞め…
と、電話の仕事だけを繰り返しているのを見ると、
苦情が多くて嫌気が差して辞めても、
それしかできないからまた来る、みたいな、
そんな感じなんだと思う。
本人もそんな事を言っていた。


さて、今週の私は、
今度は自分の職場に迎える、
二人のスタッフ(男性1名、女性1名)の研修でした。


それも昨日で終わりましたが、今回は、
何が理由かわからないけど素晴らしい3日間だった。
よくアーチストが、自分のライブに関して、
「今日は最高だ!と思える瞬間が稀にある」と言いますが、
研修もその感覚によく似ていて、
最終日のラストの挨拶で感動すら覚えることがある。
人の組み合わせやバランスがよく、
教えるほうと教えられるほうの気持ちが十分にかみ合うと、
いい感じの"気"が生まれてくるんでしょうね。


猪飼さんは、確か今週がスタート日だったはず。
何かを感じて変わってくれればいいんだけどな。。。
電話の仕事は猪飼さんが思うほど嫌な商売じゃないよ。
猪飼さんがお客様に「ありがとう!」と言われるオペさんになって、
仕事での幸せを感じられる日が必ず来るように願っています。
 

 
 

 
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御(ぎょ)しやすい人を御す

Se Ya!と言っておきながら、また来ました。
私にとってブログというのは、
頭の中をすっかり物書きモードにしてしまう場所なので、
一度勢いがつくと、なかなか減速しないようです。


さて、ここ数日の私は、
契約会社の研修室で、2名の新人さんに、
就業前研修を行っているのですが、
実は最近、増員や欠員補充があるたびに、
悪くない新人さんが、あまり時間をおかずに見つかるので、
安心感がとても強まっているところなんです。


が、それは社会情勢云々の話ではなく、
採用担当者が細川さん(30代後半女性/仮名)から、
最近入ってきた上野さん(たぶん30代半ば/仮名)に、
変わったことが大きいのではないか?と、
ひそかに思っているんです。


細川さんは機転もよく利く仕事のできる人ですが、
何年も一緒に仕事をしてきて最近感じているのは、
意外にも、"人"を怖がるところのある人だなぁ…、
と、言うこと。
元気で明るくて行動力があるし、社内でもベテランなので、
そこを指摘する人は誰もいないと思うんだけど、
同じクライアント担当としてペアで仕事をすると、
私はその辺をよく感じます。


今までも感じたことなんですが、
細川さんは、ここぞ!というときでも、
声がけや、おすすめ、勧誘のセリフを、
きちんと明朗に落ち着いて、
相手にはっきり言わないんですよね。


うちのリストに載っている人にこちらから電話をかけて、
仕事の紹介するのだから、
電話をもらった人も、ある程度そのつもりで聞いているはず。
けれど出向先から所用で契約会社に来て、
たまたま近くでそのトークを聞いていたりすると、
相手の人が、「結局今の電話って、何だったんだろう?」
と思うような内容のときも多いの。


もちろん私達は、物欲しさを表に出さないように(笑)、
「近況をお伺いにお電話差し上げました」という前置きから、
話を始める事も多いのですが、
たまたま先方が仕事を探していて、
しかも興味と関心と条件が合いそうなときは、
「どうですか?」「いかがでしょうか?」「やってみませんか?」と、
それなりの働きかけは明確にします。
でも細川さんはどこか及び腰で曖昧なときも。


そう!思い出した。


前任者から細川さんに担当が変わった数年前、
「どんな人がいいのかわからない」
「どういった業務説明をすればいいいのかよくわからない」
「急募と言いながらスケジュール未確定ではおすすめできない」
「詳細がわからないので何も説明できない」
と、様々な事に関して、わからない、できない、と言われて、
その都度契約会社に足を運んで、
何度も打ち合わせをしましたが、
心の中では、なんだかすべてにおいて堅い人だなぁ…
と感じていたのを思い出します。
その雰囲気は、前出の「ジレンマ~ここだけの話~」にも、
よく出ていますよね。(それで書きたくなった話なのですが^^)


計画的な採用は別として、
企業さんの緊急増員や欠員補充は、
一刻も早く「当社にいい人がいます!」と、
先に手を上げたほうが勝ちです。
また先に人を決めてから予定を組んでいくことも多いです。
なのでその状況下で、「すべての詳細が決まらないと動けない」
と強く主張するのは、営業的な発想に欠けていて、
会社の利益にならないなぁ…と思っていました。


その人の性格にもよりますが、
早い段階で「今回はこういう進め方になりますが…」と、
不測の事態の可能性も説明し、
それでもOKしてくれる人ならたいてい付いてきてくれますし、
不安で不服な人は、その時点で断ってきます。
また急ぎの募集に対して、
複数の会社でコンペや入札になったときなども、
契約が取れなければ、前もって見込みでお願いした方は、
残念ながらお断りするしかなくなるので、
採用担当はスタッフとの相互の信頼関係と、
お詫びのスキルが必須で、むしろそれがあれば、
そんなに細部に対して不安を持つ事もないように思います。


やがて、常駐の現場担当者として、
クライアント企業に出向して仕事をしている私は、
何かと安心して細川さんだけに任せていられなくなってきて、
段々営業戦略や採用方針やスケジューリングまで、
こちらのほうで先を予測して指示出しをするようになり、
それでいつの間にか、全体に主導権を持つ人に、
なっちゃったんですよね。
だってそうやってでも、前へ前へと進ませていかないと、
競合各社の中で、うちだけ完全に取り残されちゃうもの。
それは会社のためというより、現場のアタシが一番困るのだ^^


    *    *    *    *    *    *


細川さんがそこまで"確定情報"にこだわるのは、
きっとどこかに隠れた対人恐怖があって、
候補者のスタッフといい関係を保てないからかもしれないね。


私と営業のメグちゃん(20代後半女性/仮名)は、
そういう部分でスタッフさんと揉めた事はないんですが、
細川さんは企業側の都合による予定変更などに限らず、
説明不足や、言った言わないの行き違いで、
数はとても少ないけれど、幾度か揉めた事があるんです。


これはたぶん細川さんに、
人の心を読むのが苦手なところがあって、
何をどこまでどう言って、どんなメリハリで説明すれば、
相手が気持ちよく納得してくれるか、
よく見えなくて自信がないから、という理由もあるんでしょうね。


だから神経質な人に大雑把な説明をして不信感を持たれたり、
自尊心の高い人に高圧的な説明をして相手を怒らせたり、
そういった彼女なりの「心の傷」と「意味のわからなさ」がまた、
色々な苦手意識を強めて、
いっそう大事なときに大事なことをはっきり言わない悪循環に、
なっていくのかもしれません。私はそんな風に分析しちゃうかな?


    *    *    *    *    *    *


私がこの仕事に就いた7年前と比較すると、
残念ながらいい人の割合が、
低下してきているのがリアルな現状なのですが、
一時期、それにしても、入る新人、入る新人が、
ことごとく仕事に向かない変わった人ばかりで、
最終的に企業さんからは断られる、
スタッフ達からは、毎日がブーイングの嵐という事ばかりでした。


そのときは「どうしてこういう人ばかりなのだろう?
普通の人はいないの?本当にいないの?」
と、現状を憂えて悩みの尽きない日々だったのですが、
採用担当が細川さんから上野さんに変わると、
少しずつ状況が好転し始め、今までとは違って、
悪くない新人さんがほぼ着々と決まっていきます。


うーん、そういった様子を見るにつけて、
「あぁ、やっぱりそうなのかな…」という気持ちが、
確かになっていきます。


こんな事をいったら本当に悪いんですけど、
たぶん細川さんは、
もしたまたま優秀で頭の回転のいいような人がいても、
その人とはあまり正面から向き合いたくなかったんじゃないかな。
論理的な人だと、説明の不備や矛盾点をきっちり突いてくるので、
相手から批判さえるのが怖い細川さんにとっては、
あまり得手ではない人種だったかもしれません。


そして私は思ったのですが、
もしかしたら逆に、そういった自分の強いストレスを避けるために、
強気で上から物事をお願いしやすい人…
少々大丈夫かな?といった雰囲気の風変わりな男性などを、
無意識にピックアップしてしまう傾向があったのかもしれません。


大変現実的で冷たい言い方ですが、
どの職場に行っても評価が低く、
企業に就業の継続を望まれなったような人は、
短期の仕事を転々として生活が不安定なケースが多く、
長く働ける職場なら人が嫌がる条件でも、
引き受けてくれることが多いので、
24時間稼動の交代制で、土日も勤務、夜勤ありの、
(しかも拒否感を持っている人が多い電話の仕事)
私達の仕事をお勧めしやすかったのでは。
振り返ってみると、今の私は自分なりにそう感じます。


    *    *    *    *    *    *


私は、キャリアのあるプロの採用担当ならば、
その気がなかった人をその気にさせるのも手腕で、
業務内容や条件は誠意を持って説明し、
間違った認識を持っている人にはその誤解を解き、
相手の心情にヒットしそうなメリットを提示して、
迷いを確信に変えてもらうのも必要なスキルだと思います。


私のところは皆さんが望むような正社員の職場ではないため、
確かにいろいろ不利や矛盾はありますが、
それでも仕事を気に入り仲のいい友達に恵まれ、
長く続けている人がたくさんいます。
だから、私としても、
「興味があるならあれこれ悩まずに来てみたら?」と言いたいし、
できれば採用担当には、その架け橋になって欲しいんですよね。


とはいえ、それもまた向き不向きの世界。
私が、事務や経理が苦手なように、
何事もあっさりできる人とそうでない人がいるのは
その人の努力だけでは、解決しないときもあるよね^^


細川さんは先月から営業担当に配置換えになり、
私は引き続き、今度は営業としての細川さんと、
一緒に仕事をしていきますが、今のところ順調です。
古株でたまにキツイ言い方をして後輩を萎縮させる細川さんが、
営業サイドから採用担当にプレッシャーをかけてくれれば、
力関係が逆転して、社内もピリッとするんじゃないかな。
そんな気がします。


まぁ、ここまで書いたその後で、
また流れがピタッと止まってしまったら、
「なーんだ、結局、あの時はたまたま運がよかっただけか~」と、
冷や汗で頭をかいてしまうのでしょうが、
それでも、こういう事は"アリ"なんじゃないかな?と思い、
ここに書き残しておくことにします。
 

 
 

 
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ミラーニューロンの話

町の中心部から外れたところにある自分の職場と、
郊外のまだ田畑の残る自宅とを、
慌しく車で往復するだけの日々を過ごしていると、
どうしても本屋とは疎遠になってしまう。


本屋さんて、
最初から特定の目的で時間を作って行く時よりも、
道すがらにぶらっと立ち寄って、
意外な本を見つけたりすることのほうが、
より大きな楽しみですよね。


ですが最近の私の本屋立寄りは、
残念ながらやっぱり"目的型"です。
今は毎月一日になるとわざわざ街に出向いて、
特定の某書店に立ち寄らなければいけません。


なぜなら来春の就職が決まった次男の会社が、
業務上、今後の電験三種(という資格)の取得を必須としており、
(一問の差で惜しい事に、今年もまた、
ひとつの科目合格も取れなかったんですよね~^^;)
そのために私は次男に頼まれて、
「工事と受験」というマイナーな雑誌を、
某書店に毎月買いに行く事になったから。


ですがそのお陰で、
今まで自分が立ち入らなかったようなコーナーに、
足を運ぶ機会が増え、
たまには意外に面白そうな本や雑誌に出会う事もあります。


    *    *    *    *    *    *


さてそんなわけで、
今月も正月の休み明けにその書店に立ち寄ると、
電気分野の雑誌コーナーのすぐ隣の、
自然科学分野の平台で、
別冊日経サイエンスという特集雑誌を見つけた。
(日経サイエンス?…へー、こんな雑誌、あったのね。
特にこの別冊はなかなか面白そうだ!)


思わず手に取ってしまった、
その号のムックのタイトルは、
「脳から見た心の世界」(爆)!
まったくもって、ぶはははー、だよね。


何かにつけて、もっと脳科学の知識があれば…なんて、
思わされる事の多い私にとっては、
まさに「ビンゴ!」のこのタイトル!
もう、速攻買っちゃいましたよー!!


その中でもひときわ強く私の心を捉えて離さなかったのは、
「ミラーニューロン」という神経細胞の話でした。


ねぇねぇ知っていますか?


私達は"コーヒーを飲む"とか"食器を片付ける"とか、
何か目的のある行動を起こすたびに、
脳の中でその行為に対応している部分が、
活性化するらしいのですが、
驚いた事に、それは自分が実際に行うときだけでなく、
他の人の同じ行動を見ても、同じ部位が活性化するんだって。


つまりそこで活性化する神経細胞が、
ミラーニューロンというわけで、
目に入った他人の行動を自分の脳の中でも、
まるで鏡のように無意識に再現させているので、
そういった呼び名が付いているらしいのですが、
この記事に出会ったこともまた、
自分にとっては大きな収穫でした。
(やっぱり本屋に行くのはいい事ですね!)


例えば相手が何かを食べているのを見て、
脳は無意識にそれと同じ状況を自分の中に再現させている。
これは相手の意図や目的を察知するのに、
とても重要な機能だと言いたいらしいのね。


そして次の記事では、
自閉症の人ではこの神経細胞の活性化が乏しく、
自分自身の行動で活性化する部位が、
他人の同じ行動を見ても活性化が少ないと書いてあり、
コミュニケーション能力や想像力、社会性に欠けるのも、
それが関連しているのではないか?という推論を立てていた。


あー…。でもなんだかそう言われると、
今までの掴みたいのに掴めない様な、
モヤモヤした気持ちは一瞬で吹き飛び、
目の前の霧がどんどん晴れて、
すべてがつながって行く様な気がする。
そう、今私が欲しいのは物事の解説ではなく、
しくみの知識なんですよね。


なるほど、今まで意識した事がなかったけれど、
確かにその気で自分の、
瞬間瞬間の思考や発想を意識してみると、
相手の行動を見たり聞いたりしながら、
必ず自分の頭の中では、
それと同じ状況が一瞬再現されて、
それを元に相手に何か尋ねたり確認している気がする。


記事では、このしくみがあるからこそ、
人は相手の意図や感情を読み取ったり、
共感できるのだろう、と予想していて大変興味深く、
ならば、他人の行動が読めなかったり、
気持ちがわからないような人も、
そこに理由が隠されているのかもしれないね。


    *    *    *    *    *    *


で、早速以下のエピソード。


実は昨日、
スーパーの駐車場にあるコイン精米機に、
お米を精米しに行ったんですが、
(うちは農家のお米を玄米で買ってストック)
先客が居たのでうちのご亭主が、
順番取りのために30キロ入りの玄米の袋を、
前の人がまだ中に居る精米機のガラス戸に立てかけて、
待機中の車に戻ってきたんです。


ですが、「えっ!」どう見てそこに置くのはおかしい。
誰が考えても今使っている人が、
精米を終えて外に出るときに開ける側のガラス戸です。
なので思わず私は「は?なんであんなところに置くの?」


そのとき私は自分が精米して外に出るときの行動を、
一瞬イメージしたわけですよね。


でも彼は、「絶対邪魔になんかならない」と言い張る^^;
(信じらんない!!!) 理由は、
「俺はいつもガラスの引き戸の左を開けて"出入り"するから、
あの人も左から出るはず。なので、
引き戸の右側のほうには置いてよし!」
Seimaiki


「えっっ…普通右から出るでしょ?」(私はそうしているような…)
「俺は左から"出入り"する!」
と言っているうちに先客が"右"側の戸に手をかけたので、
「ほらー」と、慌てて2人で、
自分たちが置いたお米をどけに車外に出ました。
しかし!その後判明したのですが、
実はうちの亭主も右側から出たんですよ!!(笑)


よく考えたら、お米の投入口は装置の左側にあり、
出てくる場所が右側にあるので、
たいていの人が出てくるお米を袋に入れて、
そのまま右側の戸を開けて出ていると思います。
30キロものとても重い米袋を
普通は出やすい近くの扉から出ますよね。
なので、自分もそんなシーンを再現させて、
先客の作業を見ていたりしたんでしょうね。


うちの亭主は入るときのほうを思い出して、
「普通は入ったほうから出る!」と、
理屈で考えたのだと思います。
出るほうをちっとも想像しなかったんだと思います^^。


あ。今、もっとよく思い出してみたら、
私が一人で精米機を利用するとき、
車までの距離が少しあるときなら、
左側の台の上で一度体制を整えて、
そのまま左から出るときもありますね~。
ですがそのときの先客は、
車をすぐ右隣にピタリとつけて留めていたので、
そういうところ(動線)なんかも、
無意識に見ていたのかもしれませんね。


亭主はたまに今回みたいな変な事をしてヒンシュクを買うので、
昔からその一点で家族の話題を独占したりしますが、
きっとあいつはミラーニューロンの働きが悪いんだな~(爆)!
絶対そう思う!!


    *    *    *    *    *    *


少し脱線してしまいましたが、
私達はそういったしくみのお陰で
「おっと。ここにこんなものを置いていたら、
いつか誰かが引っかかって転ぶ!(私なら絶対転ぶ)」
と思って通路の障害物を片付けたり、
「彼の口ぶりはなんだか妙に攻撃的である。
私に対して何か不満を持っているのかな?
(私だってそういうときはそうだもの)」
と、気がついたりするという事なのかな。


結局、思いやりとか気配りとか、
配慮とか言われるものの正体もそれで、
ミラーニューロンのシステムが、
いかに十分機能しているかどうか?だけの、
お話なのかもしれないね。
髪や顔かたちがそれぞれで違うのと同じように、
脳が行うお仕事も、
きっとその人その人に備わった、
得手や不得手があるのでしょう。


さてこの記事もまた、
自分の今後の研修のヒントのひとつになりました。
コールセンターの現場では、
「常にお客様の立場と目線で…」と、
事あるごとに口を酸っぱくして言われていますが、
実際は結構人によって感覚に差があります。


他人の気持ちを思いやる(読む)ためには、
その重要性を単に言葉で説くよりも、
その人の脳のその部分がより活性化するような
何かのトレーニングあればがいいのかも。
そして意識すべき対象は相手じゃなくて自分自身なのかもね。
じゃ、そのためにはどんな行動が有効なんだろう?


いろいろ書き連ねればキリがありませんが、
今回の一連の日記は、
この自問を以ってそろそろ一区切りにしようと思います。
だってもう連休最終日当日のAM1:30だよ^^;。


明日(厳密には今日!)はコーチングスクールでの最後の宿題、
2000文字のレポートを二つ仕上げなければならない。
(ま、このブログの事を考えたら、
文字数的にはたいした事ないけど(爆)!!)
本当は書く予定だった日記がもうひとつだけあったのですが、
それは「機会があれば」という事にして、
自分の胸の小箱の中にまた仕舞おうと思います。


それじゃ皆さん、たぶんまた当分居なくなりますよ(笑)?
でもいつか更新したら、また来てくださいね。
それでは少しのの間、ごきげんよう!
See Ya!!!!!
 

 
 

 
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サイストリー

年末から年始にかけてのいわゆるお正月休み。


その期間に、私が自分の興味関心を強くそそられ、
思いがけず高揚して、
一気に読み進めてしまったホームページがあった。


それは立花裕希(たちばなゆうき)さんとおっしゃる男性の方の、
サイストリーというサイトです。


確か、"脳のしくみ"とか"脳科学"とか、
そういったたぐいの検索ワードでたどり着いたはずですが、
脳科学だけではなく、心理学や精神分析などの、
豊富な知識を土台にした、
「『自由な心』を得るための方法論(健康法)」は、
コーチングという手法の不足を埋めるような、
サイエンスの知識を模索していた私の心に、
著しくヒットしました。
私は思わず、「そう!これだ!」と思いました。


私は現在"食っていけるプロコーチ"を目指し、
コーチングスクールのカリキュラムを一通り終えて、
今は認定試験の受験資格取得のために、
帰宅後も毎日のようにコーチングの予約を入れています。


その段階の、まさにひよっこの私が言うのも何なのですが、
コーチングというのは、すぐにでも大きく機能し始める人と、
そうでない人の差が大変大きくて、
そうでない人に対しては、コーチングよりもまず、
コーチングが機能するような人に、
クライアント自身を変えていかないと、
何事も始まらない…そんな風に痛感し始めたのです。


私が現時点で感じる"コーチングが機能しない人"というのは、
自分の様々な本音を自分で掬い取り、
それを自分にフィードバックする事がなかなかできない人達です。
発達障害の傾向をあまり感じない、普通の人達の中にも、
そういった特徴を持つ人はとても多いのです。


彼女達は、何をどう質問してもすぐに答えが返ってきません。
そうでない人が、何を尋ねても迷う事無く素直な本音を、
スラスラと言葉に載せてくるのとは対照的です。


彼女達は一回のセッションの中で、
まさにそれが肝心だよね!とこちらが膝を打つような、
重要なキーワードを何度も口にするのに、
振り返りタイムに本日の気付きを伺っても、
「別に何もない」と即答してしまうような人達です。


もちろん私の"腕"の問題もありますが(笑)、
あんなに素晴らしい気づきと発見の発言をしながら、
自分では全然そこに気がつかないなんてもったいないです。
この自分の素直な心情に自分でフタをしてしまている、
この状況は一体何なのでしょう。


そこをきちんと理論的に解決できるようになるためには、
もっともっと心理学や脳科学の知識がないとダメだな、
そんな風に思っていろいろ検索してたどり着いたのが、
立花裕希さんの「サイストリー」でした。


    *    *    *    *    *    *


サイストリー。


これ、サイ・ストーリーじゃなくて、サイスト・リーですからね。
これは管理人の立花さんの造語なのですが、
興味と関心のある方はぜひご一読してみてください。
もしかしたら、心身症的な体調不良でお悩みの方には、
何かのヒントになるかもしれません。


ボリュームの多いサイトを、
私のような一元の客が要約していいものかどうかも、
わかりませんが、要するに、
人が状況的に感じる様々な不安の中で、
苦手なのは性格のせいだ、と自分が信じている事柄にも、
実はそうなるに至ったそれなりの原因があることが多く、
(もっとぶっ飛ばして言い詰めてしまうと)
もしかしたらそのうちの大半は、
幼い頃の親子関係に起因する可能性が高い、
と、おっしゃっている文章群です。


脳の中では、同じ記憶媒体であっても、
大脳辺縁系の記憶と前頭前野の記憶の違いとか、
過去の記憶を手繰り寄せて文章化することの意味とか、
私にとってはひとつひとつに深く頷けてしまう様な、
知りたかった情報のオンパレードだったりするのですが、
その中でも"抑圧"という精神作用の説明がわかりやすく、
私はすべてのページを即日全部印刷して、
歯医者にまで持ち込んで熟読しておりました(笑)。


    *    *    *    *    *    *


サイストリーの説明を借りつつ自分の言葉で言い直すと、
"抑圧"というのは何かの原因のために、
幼い頃の記憶を封印してしまう脳の働きの事で、
(だから自意識の中ではなかった事として抹殺されている)
自ら必死に探ってもなかなか呼び出されてくれないばかりでなく、
時にはこれ以上自分が傷つかないように、
美しくて感傷的なストーリーに、
無意識のうちに書き換えられちゃっている場合もあるような…j
何とも自分では意識的に制御できない、
記憶を閉ざしてフタをしてしまう作用の事です。


じゃ、なんでそれが大事かと言うと、
分別がつくようになってからの記憶というのは、
言葉という論理的なツールを通して記憶する事が可能なので、
思考や分析や自意識などの、人が人であることを司っている、
前頭前野という部位に意識と共に記憶されるらしいのです。


ですが、言葉が未発達な時期に経験した、
自分にとってのよろしくない思い出は、
五感と共に原始的な感情として、
大脳辺縁系(動物的な脳部位)のほう記憶され、
やがて抑圧されて、いつしかなかった事になってしまっても、
記憶としてはずっとそこに存在し続けているので、
五感が当時と同じ状況である事を察知すると、
その記憶が正体不明の不安となって、
当事者を不安定な気持ちにさせる。
でも、本人はその原因がなんだかわからない。


私が自分なりの把握で解説すると、
上記のような説明になります。
そして以下、解決策を教えてくれれているのですが、
私はこの一連の文章に出会って思わず、
「これだ!」と思いました。


私がコーチングセッションのときに、
一部のクライアントさんに感じる、
「フタをされている感じ」というのも、
もしかしたら似た理由に寄るものかも知れません。


    *    *    *    *    *    *

そんなわけで、自分としては貴重な新しいヒントを得たような思いで、
新年への決意を新たにしていたその時期、
それと時期を同じくして、
前出の上山君の契約終了話が出てきた

詳細は前の4回分の日記で書き切ってしまったので、
ここで再び文章にすることはありませんが、
上山君もまた、私達の業務である電話対応への妙な不安と、
それが原因と思われる体調不良や、
拒否感ベースのNG行動が目立つ人だったので、
私は突然思ってしまったのだ。
「これってもしかして、上山君にも有効なんじゃない?」


    *    *    *    *    *    *


1月4日金曜日。


一回目の面談の後、
私は彼が自転車を置いているという自宅近くの最寄り駅まで、
車で送っていった。


一昨年の夏、
彼が長期休暇を希望して提出してきたのが、
抑うつ神経症の診断書。


今の私は検索などで本物の"うつ"と抑うつ神経症は、
別物らしいと把握できてきましたが、
1月4日当日の私は、
休憩時に細川さんが見せてくれたその診断書の、
"うつ"という文字が脳裏から離れず、
「自殺の危険があるので、本人の意思確認を経なくても、
雇用側が強制的に当事者を病院に連れて行っていいのって、
あれ?うつだっけ?違ったっけ?あー何かあったような…」などと、
惜しくも2点足りなくて落ちてしまった、
10月のメンタルヘルス検定の勉強内容を、
必死に思い出そうとしていた。


いずれにしても平常心を失った上山君が、
心がここにない夢遊病者のように、
JRのホームから無意識に線路に転げ落ちるなんて事は、
絶対にあってはならない事なので、
せめて行ける所までは、と思い、
私は彼を自分の車に乗せて、
彼が「そこまででいい」という某駅まで送って行った。


そして道すがら、私は彼に聞いたんだよね。
「上山君、上山君のお母さんてどんな人なの?」って。
そうしたら上山君はこう言いました。
「うちの母親は、できないものはできなくていい、
できる事だけを一生懸命にやりなさい。
そう言ってくれるような母親です。」


え、全然問題ないじゃん~?


が、上山君がすかさず、
「母親というよりはむしろ父親が…」


ぷら:「え?お父さん?
じゃ、お父さんのほうはどんな人なの?」


上山:「うちの父親は厳しかったですよぉー。
もういろんな事がスパルタでした。
逆上がりができないとわかると、
毎日鉄棒のある所に連れて行かれて、
できるまで練習させられたり。」


ぷら:「辛かった?」


上山:「いや?今思えば、
そのお陰で忍耐力や根性も身に付いたし、
うちの父親にはむしろ感謝しているぐらいです。」


ぷら:「でも毎日鉄棒のある所に連れて行かれるなんて…
本当は怖かったんじゃないの?
つかさ、お父さん、よくそんなヒマあったね?(笑)。」


上山:「あ……。そういえば今ふと疑問に思ったんですけど、
なんでウチの父親は、
毎日自分を公園に連れて行くことができたんでしょうね?
あれ?あれって俺が夏休みとかの話だったのかなぁ?
小学校低学年だったというのは記憶にあるんだけど、
そう言われるとなんだか全然当時の事を覚えていないですね。」


上記の話も、前述の父に感謝しているという話も
サイストリーで言うところの"抑圧"って事なのかな?
なんだかすぐにあっさりと、
「記憶にない、覚えていない」という事柄が出てきたので、
ちょっとびっくりする。


その後上山さんは、泳ぎができなかったので、
毎日お父さんにスイミングスクールに連れて行かれ、
結果的に泳げるようになったのでこれもまた感謝している事。


理数系である父親に、算数が苦手な自分を不満に思われ、
毎日勉強させられた事などを淡々と語ってくれた。


ぷら:「算数の勉強はその後どうなったの?」


上山:「中学生ぐらいになっても同じなのを見て、
俺には向かないと気がついたんじゃないですか?
たぶん母親も、裏ではそんな話を、
きっと父にしたんじゃないかと思います。」


なるほどねぇ。お父さんは理数系なのねぇ…


ハッ!!!!!!!!そうだっ!!!!!!
上山君が平常心を失うお客さんて、
みんな物言いが理屈っぽくて居丈高で、
どこか鼻持ちならないタイプのユーザーが多いよね?
もしかして、それってお父さん?
お父さんと同じタイプの人達なんじゃないの?


    *    *    *    *    *    *


そう気づく前にM駅に到着し、
上山君はとっくの前に私の車から降りていた。
一人での帰り道、私は「お父さんなんだ…」と、
強い確信を得たような思いで車を走らせた。
だったら何か新しい指導方法も見えてくるような気がする。


でも、もう、遅い話だったのよね。
サイストリーの手法を取入れた研修を、
私が彼に試してみる機会もないまま、
彼は職場を去って行った。
そこに自分の悔いが残らないと言ったら、
それはウソになるだろう。


「精神論よりサイエンスを」


とあるメンタルヘルスのサイトで読んだこのキャッチフレーズに、
私はひと目で強い共感を抱き、
それは私が職場でNGと思われている、
スタッフを指導するときの強い基本方針にもなっている。
精神論が通用しないような人をも的確に育て導いていくのが、
指導者の手腕でもあり、自分の長年の課題でもある。


この一件を持って、
私はますます人を指導するときの、
サイエンスの必要性を痛感し、
そういったノウハウが欲しいな…と、
思い始めたのでした。
 

 
 

 
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ジレンマ3-ここだけの話-

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ジレンマ2-ここだけの話-

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【雇用する側・される側。二つの立場に関する最新の10件】
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ジレンマ1-ここだけの話-

本日の日記はこちらです。



【雇用する側・される側。二つの立場に関する最新の10件】 ★ジレンマ1-ここだけの話- いわゆるクビというケース 「人」さえいればね。 怒鳴ってスッキリするなんて… 内緒で会社に背を向けて… やっぱり阿吽の呼吸ナノダ 面接に班長を同席させる 労働者の良識 新人さんが決まった! お願いはモノと仕組を準備して   (もっと見る⇒

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いわゆるクビというケース

皆様、あけましておめでとうございます。
更新の頻度がかなり落ちていますが、
今年もよろしくお願いいたします。


さて。


本年の仕事始めは、
初日から担当スタッフさんの年越しの契約終了話に明け暮れ、
個人的にちっとも穏やかではない日々でした。


現場の課長から「もう要らない。
今後一歩たりとも現場に入れるな!」
という宣告を食らってしまったのは、
上山君(33歳/男性スタッフ/仮名)。


そいつは誰にも救えない」や、
持たざる人-顔をゆがめる-」など、
以前にも何度か話題にしたことがあるので、
もしかしたらご記憶のお客様もいらっしゃしゃるかもしれません。


私の職場はコールセンターで、
電話によるユーザーサポート(いわゆるサポセン)ですが、
上山君は、居丈高だったり、
妙に知識をひけらかすような鼻持ちならないユーザに対して、
安定した態度をとることができず、尋常ならぬ精神状態に陥り、
自分も一緒になってヒートアップしてしまうタイプの、
オペレーターさんなんです。


た・と・え・ば…


ユーザ:「これっていわゆる○○の不具合って事だよね?」


上山君:
「(カーッ→体温上昇)お客様、
一体何を持ってそのように言われるのでしょうかね?
ワタクシ、その辺はきっちり聞かないと、
何とも言えないんですが?(やけにトゲトゲしい)
ええ、その辺りをハッキリしていただきませんと、
こちらも対処のしようがないですっ!」
※穏やかだった今までのお客様対応は一体どこへ?


ユーザ:「え?何?なに、その言い方!
お宅に原因があるのがこちらの調査で明白なのに、
あんた、なんで、そんな風に急に突然、
『オマエが悪い』みたいな言い方をしてくるわけ?
非常に不愉快ですが、そもそもそれって詭弁でしょ?」


上山君「ですから!お客様が何をやったかわからないと、
こっちもお調べのしようがないって、言ってるんですっ!」


ユーザ:
「(失笑)…責任回避ですか?
自分のところで不具合を発生させておいて、
その言い方と態度はないでしょう?」


上山:「あのですね、こちらといたしましても、
調査にご協力いただけないお客様に対しては、
対応のしようがございませんっ!!!」


ユーザ「ちょっと!あんた!あんたさ、
さっきから聞いていれば、何なの、その言い方?っ」


…(以下、延々クレーム→最終的に上司案件となる。)…


また、あるときは…


上山君:「○○はただいま他の電話に出ております。
よろしければ、ワタクシが…」


ユーザ:「あ、電話中なの?じゃ、また電話します。
詳細は○○さんにもう全部話してあるんで…」


上山君:「(エッ!なんでオレじゃダメなのさ?)
あのー、代わりに私のほうで対応させていただきますが?」


ユーザ:「いや、結構です。直接担当の方と
お話がしたいので…」


上山君:「いえ、おっしゃっていただかないと困ります。
(そう言えって、いつも怒られてるし、今度は頑張るぞ)
本日は、どういったご用件でしょうか?」


ユーザ:「だから、あんたじゃ、わかんない、って
言ってるでしょ?」


上山君:「それは聞いてみないとわかりません。
○○はただいま他の電話に出ておりますので…」


ユーザ:「だから、かけなおせばいいんでしょ?」


上山君:「いえ、ですので、ワタクシが…」


ユーザ:「だから、あんたじゃわかんないって、
言っているでしょ?5分後ぐらいににまたかけ直せば、
いいんでしょ?」


上山:「ですが、○○はただいま電話中ですので…」


ユーザ:「だから、それはわかった!って、
言ってるだろっ!?同じ事を何度言わせるんだ?
つか、なんだよ、オマエ、さっきから聞いていれば云々…」


    *    *    *    *    *    *


ま、こんな感じで、彼が作った対応苦情は数知れず…


また、賢いユーザは「この人はアカン」と察するや否や、
「あー、わかりましたー」と穏やかに終了して、
(実は、他の担当者に当たる事を願って)
同じお問い合わせを持ってすぐにかけ直し、
二度目の担当者が、
話しやすく親身なオペレータであればあるほど、
「ところで、さっきの人、何なの?あれ?」
と、苦言を呈してくるので、
「さきほどはこちらの上山の対応に、
行き届かない点がございまして…」
と、いいスタッフほど尻拭い的に、
お詫びし、謝り、感情的なトークを浴びて、
穏やかならぬ心境に陥る事も数知れず。


普通に考えてもユーザーとの苦情対応は嫌なものですし、
加えて自分自身は真摯に一生懸命やっているのに、
他の人のよろしくない態度に対して、
「あんたらって、いつもそうだよね?」
などと十把一絡げに批判され、「そもそもお宅らはさ…」と、
あたかも自分まで悪人のように言われてしまうのは、
納得がいかないし、アイデンテティもいたく傷つきます。
私も経験がありますが、それは非常に悔しいものです。
彼はそんな思いを同僚達に長い間させてしまっているのです。


「私は日頃からお客様のために一生懸命誠実にやっているのに、
なぜ私が"あの"上山さんと同列に見られて、
ここまでお客さんにひどい言い方を、
されなければならないんですか?
だいたい、受け付け件数も対応評価も、
あんなに低い上山さんが、
どうして私達と時給が変わらないんでしょう?
おかしくないですか?納得できないです…
なんか、悲しいし…むなしいです。
やっても、やっても、
結局認めてもらえない職場なんだな、みたいな…」
(↑彼の同僚である由香ちゃんに、実際に言われた痛いひとこと)


そんなこんなで、
どんなに指導しても一向に改善されない彼への、
同僚達の批判が加速度的に高まる中、
彼は忙しい時期に何度も体調不良で連続欠勤したり、かつ、
「保留中に電話を自ら切断する」
「一度自分が受話器を上げたお問い合わせを、
ユーザが話し始める前に寸前に自分で切断する」
など、周りに批判されて当然の行動が目立ち始め、
それがクライアント企業上司の知るところとなり、
「これって就業違反ですよね?」という流れになりました。


課長:「私達の仕事は電話によるユーザーサポートであり、
ここにご就業いただく限りは、それを全うしていただけるものと、
私どもは信用しているわけです。
にも関わらず、電話を保留中に勝手に切ったり、
一度受けた電話を有無を言わずに自分で切断したり、
しかも、対応するお問い合わせは、
来るもの、来るもの、皆、彼のせいでクレームになるって、
いったいどういう事ですか?
正直申し上げて、彼の存在は職場のメリットになっていません。
すでに皆さんの大きなストレスになっている事は、
こちらも把握済みです。
彼は、むしろ私どもにとっては、今や『いないほうがいい』人材です。
お仕事していただいて、いいところは現在ひとつもありません。
こちらの結論としましては、今月限りで退職していただきたい。」


「ぷらたなすさん、話がある。」と、険しい表情で呼ばれ、
別室で課長から伺った話の概要はそういった事だった。


正直、私はフクザツなため息が出た。
実はその相談は以前より何度もスタッフや、
現場リーダーから出ており、
「年明けに対処」を約束したばかりだったから。
そして自分の心の中では、「もはやここまでかな」と腹を決め、
仕事を辞退していただくような働きかけを、
一月に開始しよう、と決心していたから。


だから担当者としての気持ち言えば、
「あー…先に言われてしまった…」と思っちゃったね。
個人的に悔しい気持ちはないでもない。


が、課長のお話は、私自身ももっともだと思った。
いや率直に言えば、「まさに同感です」と頷きたい思いもあった。
けれど私は契約会社側の人間であり、
スタッフの現場指導の責任者でもあります。
その立場で、「おっしゃる通りですよね!」とは、
さすがに言えない。
指導者の私がそんな言い方をしたら、
「じゃ、あなたは今まで何をやって来たの?」と、
相手の心情を逆撫でしてしまうだろう。


また、契約会社から見れば、
私はスタッフの数を減らさない努力をすべき要員なので、
私から、「○○さんにやめてもらうわけにはいかないんですか?」
と言い出すのは、本当は会社の利益に反する行為でもある。
だから、今までいろいろな人達に関して、
何度相談や提案をしても、会社の反応は鈍く、
現場の空気をいつも感じて仕事をしている私としては、
理解はできても、納得のいかない事が多かった。


なので、企業さんのほうからそのように言ってきた事は、
冷たい本音を言えば、
私や現場のスタッフ達にとっては好都合な話でもあり、
私なんて、もっともっと直接会社のほうにも、
がんがんクレームを上げて欲しい、とまで思ったよね。
だってみんな、すごく困っているし、
大きなストレスでピリピリしている。


「上山さんと俺達とどっちを取ると言うんですか?
普通に考えて、
彼よりもずっとたくさんの仕事をこなしている俺達よりも、
仕事のできない上山さんのほうを大事にするんですか?
それっておかしくないですか?」


そんな風にスタッフ達に詰め寄られることも、
もうなくなる…そう思うと、ほっとする思いも強かった。


だけど、私はスタッフの皆さんと一緒になって、
小躍りするように喜ぶ事はできないのよね。
多少そう思う気持ちはあっても、
私は私でこういった有無を言わせない終了宣告に対しては、
立場上、言うべき事は言わなければなりません。
それが微妙なところです。


    *    *    *    *    *    *


ぷら(私):「え…今月限り?ですか?」


課長にそういわれたのが12月の28日。
うちの職場では仕事納めの日だった。


ぷら:「課長?本日は仕事納めです。
"今月限り"という事は、
言い換えれば"今日限り"という事ですよね?」


課長:「あぁ、…ですね。そういう事になりますね。」


ぷら:「あの…私も現場担当者ですので、
それが最善なのは十分わかります。
ですが…突然何の前触れもなく『今日で終了』というのは、
いくらなんでもルールとして…(それはそれで違反である)
一点気になりますのは、
契約終了は一ヶ月前に予告するか、
一ヶ月の給与保障など、そういった…」


課長:「ぷらたなすさん、お気持ちはわかりますが、
こうなった以上、もう彼には一歩たりとも、
現場に入ってほしくないのです。
なぜならば、我々もこういったご時勢の昨今、
会社の存続さえも危機に陥れる、情報漏えいだけは、
体を張っても、契約会社さんとの関係を悪化させてでも、
防いでいかなくてはいけない事柄なのです。
我々が一ヶ月前に契約終了をそちら様に告げて、
今から一ヶ月間彼が現場にいたとして、その期間に、
憎しみや恨みによる自暴自棄の情報漏えいがないと、
あなたは断言できますか?」


ぷら:「…」


課長:「悪意のある情報漏えいというのは、
たいていがそういうケースですよ?
もしあったら、そちら様はリスクをすべて保障してくれますか?
それで会社が潰れるという事も実際に起こっているのに、
そうなった場合、桜カンパニー(仮名)さんは、
どのぐらいの金額でうちの会社を救ってくれるわけですか?」


心中では、上山さんはそんな人じゃない、と強く思っていた。
彼は融通が利かないぐらい生真面目なところがあり、
(※だから現実の自分と整合性が取れない自己嫌悪で、
さらに心身の不調に陥る)
本来意図的に犯罪を犯すような人間ではないだろう。
が、100%保障できるか?と問われると答えはNOである。。。
この世に、"絶対"ということなど何もないのだ。


課長:「企業として、できれば我々も、
雇用上のコンプライアンスは遵守したい。
けれど、何事も、起こってしまってからでは遅いのです。
そこだけは、どうかわかっていただけませんか?
今、この時期に、情報漏洩が発生してしまったら、
それは即、会社存続の危機につながります。
私は現場の責任者です。
もう、きれい事など言ってられないのです。


    *    *    *    *    *    *


「コンプライアンスかぁ…」


帰途、私はつぶやかざるを得なかった。


クライアント企業にコンプライアンス遵守の方針があるのと同じく、
契約会社のほうにもその方針は強まっている。
具体的には、法律に違反するような雇用・就業・契約終了は、
決して行ってはいけないという方針で、
それは過去の数々の契約スタッフさんとのトラブルや、
それによって大きな痛手を受けてきた、
企業としてのトラウマのなせる業かもしれない。


が、客観的に見て、
あきらかによろしくないと思われるスタッフにさえも、
それに縛られて手足も出ない、というのであれば、
私達にはいったい何の自由があるって言うんだろう…


現場担当の私から見て、上山君は、(申し訳ないけど)
企業さんからお断りを受けても当然な人である。
もう今や、「上山君のクビ」は職場の誰もが願い、望み、
来るべきXデーを全員が心待ちにしていたといっても、
過言ではない。


そうだ。課長は、
「法規的に、うちからのお断りはできませんよね。
そこは桜カンパニー(仮名)さんで、適度にうまくやって欲しい」
なんて事も言ってきたな。


ずるいよ、なんて思う。汚れ役はいつもこちらだもの。
でも、そんなスタッフを推薦したのはうちらだしな…
だから、そこに私の大きな不満はない。
最終的には、(採用面接もずっと担当している)当時の私に、
そのときは見る目がなかったんだな。
そんな感じの自分なりの自己解決に落ち着いたりする。
あの頃は、人は皆自分と同じだと思っていた。
やる気さえあれば、誰でも必ず成長していけると信じていたし、
心身に不調を抱えている人の割合が、
こんなに多いとは全く思っていなかった。


    *    *    *    *    *    *


「上山さんはもう要りません。」


その結論は現場で私に伝えられ、
同時に課長が契約会社の営業担当にも電話を入れた。


ネット上で非正社員の解雇に関する記事を読むと、
何かと非難ごうごうだよね。


出向スタッフの雇用者はあくまでも契約会社であり、
クライアント企業からの解雇はあり得ない。
契約会社は当該スタッフと、
期間を明示した雇用契約書を取交しているのだから、
期間満了までは当事者に対して、
(次の仕事を紹介するなど)収入が持続するような、
努力をすべきであり、それがなされないのは違反である…


そんな感じの主旨の文章があちこちに書いてあるけれど、
読めば読むほど私の心中は複雑である。


企業側の経営的にやむにやまれない事情があれば別だけど、
スタッフ本人に様々な原因があって契約終了になる場合は、
こちらもまた、次の仕事を紹介しにくい現実がある。
「欠勤が多すぎる」「協調性がなくトラブルばかり起こしている」
「数値的な処理能力が著しく低く、許容範囲を超えている」
「お客様対応で苦情になるケースが多過ぎて不向きと思われる」


就業先でそんな判断をされてしまったスタッフに、
何の不安もなく次の仕事を紹介できる担当者はいないと思う。
職場との相性の問題や、誤解であればまだいいんだけど、
たいていのところ、それは真実だったりするので、
そこもまた、なんとも微妙なところです。


こういうお話は、何もかもが微妙で曖昧で、
本当に割り切れない事ばかりだ。


(…つづく)
 

 
 

 
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小さなヒーロー

C班が業務を終了して一ヶ月経った。


効率化やその他もろもろの事情があり、
C班の業務は企業側本社の強い意向で、
ちょうどひと月前の9月末をもって系列他社に委譲され、
C班の契約スタッフ達は、仕事と共に他社に移るか、
他の業務に変わって現在の職場に残るか、
または、いずれも不服としてここを辞め、
新しい仕事を探すか。
この三者択一を迫られた。


「せっかくのベテラン契約スタッフ達を他に流出させたくない。
ぷらたなすさんには、できるだけ退職者が出ないよう、
どうかご尽力をお願いしたい。
こちらの都合で皆さんには本当に申し訳ありません。」


企業にそう依頼された私は、
スタッフ達それぞれと何度も面談し、
受け入れ移動先を提案し、新しい条件を提示し、
どうなる事か…と少々ハラハラしつつ彼らの決断を待ったが、
最終的に、別な理由で以前から退職希望だった1名を残して、
全員が残留を希望してくれた。
ある程度予測できたとはいえ、
「他の職場で働くなんて考えられない。ここがいい。」
と残ってくれた皆の顔、ひとりひとりに、
涙が出そうな気持ちになったりした私だった。


さて、この後待ち構えているのは、
キャリアのあるスタッフ達が一から新人に戻って、
それぞれの移動先のリーダー達から受ける、
研修の日々である。


約10名のこじんまりとした集団は、ほとんどが同期生で、
人数も少ないせいか昔からチームワークがよく、
私は個人的になかなかいい班だと思っていたが、
残念な事に、それもこれを機にバラバラになった。


いくつかの移動先に分散した彼ら彼女らは、数年前の3月、
C班の立ち上げ時に初めてこの職場に入ってきた頃のように、
朝礼が終わると職場規定のキャリアバッグに、
自分のノートPCや何冊ものマニュアルをギューギューに詰めて、
次々とそれぞれの研修場所に散っていく日々が続いた。


C班の班長だった芦田君(30代前半男性スタッフ/仮名)は、
私の提案を断り班長職を辞してヒラの一スタッフに戻った。


「本当にそれでいいの?条件が下がっちゃうよ?」
「いや、いいです。こんな新人と同じ状態なのに、
移動先のB班でも班長だなんて、そんな事はできないですよ。
人に教えたり指示を出したり、
クレームを引き受けられない班長なんて、
オレ的には全然いる意味ないし、
B班で長くやってきた他のスタッフに申し訳ないし、
オレもやりにくいです。
また初心に戻って出直します。そのほうが気も楽だし(笑)。」


班長は業務的に優秀であればそれでいいというものではない。
人をまとめたり意見を出したり、施策・対策を練ったり、
業務とは一本別の資質が必要で、
芦田君なら業務ができなくても、
キャラ的にそれが可能な人と思っての事だったが、
今はとにかく余計な事には何もわずらわされずに、
必死で勉強したい、との事。
その心情も理解できた私は、無理強いはせずに了解した。


    *    *    *    *    *    *


芦田君の移動先であるB班は人数も一番多い最大の班だが、
業務としての守備範囲もあってないぐらいに大変広い。
気心の知れた少人数で、
単一業務をじっくり専門的にやってきた今までのC班と異なり、
雰囲気も少々殺伐として気ぜわしい。


なので移動者である旧C班のスタッフ達は、
誰もが皆、戦々恐々として研修を受けており、
時折雑談に紛れて感想を聞くと、皆一様に、
「難しいです」「扱い商品が多すぎて息が上がります」
「本当にやっていけるのかとても不安です」などなど、
何もかもが違いすぎて自信をなくしているような発言が目立った。
どこか馴染めない感じの集団に入っていく、
心細さも大きいのだろうな。。。


そんな中で、はるみさん(30代後半女性スタッフ/仮名)が、
こう言った。


「でもね、ぷらさん、聞いてください。
私なんてここで何年もやっている割には、
教わった事が、もう全然わからなくて、
頭では理解できても、それがどう業務に関連していくのか…
そういう事がちっとも見えてこないので、
せっかく研修してもらっているのに、
身に付いている実感がほとんどなくて情けないんですけど、
でも、芦田君はすごいんですよ。」


芦田君は、実はほかの人達よりも年下で、
背も少し低いので、
立ち上げ時から手腕を発揮してくれた、
伝説の班長:難波君の退職で班長を引き継いで昇格しても、
たいていの人が彼を今までと同じ雰囲気で、
「芦田君、芦田君」と、「君」付けで呼んでいた。


「え?すごいってどうすごいの?」


「芦田君はねぇ、聞いたらその場でわかるみたいなんです!
私とか由真ちゃんは、もう頭が混乱してきて、
ちんぷかんぷんで質問すらできないでいるのに、
芦田君は、ちゃんとわかっている人の質問をするんです!」


「はるみさんは違うの?
入ってきた当時の皆さんを知っている私から見れば、
はるみさんも芦田君も、同じような超初心者で、
当時は右も左もよくわかっていない新人さんだったけど、
私ははるみさんも同じぐらい優秀なスタッフさんだと思っているし、
この数年間でのスキルアップは2人とも同等じゃないの?
私にはそう見えるけど?」


「私も今までは、ちょっとそう思っていたんです。
でも…芦田君、もう全然違うんです。本当に違うんです。
やっぱり彼、班長になってすごく勉強したんですね、きっと。
私達が気がつかない間に、今では追いつけないぐらいに、
差が開いているって感じました。ちょっと悔しいけど。」


「……」


「それに私達の事も、もう班長じゃないのに、
いつもとても気にしてくれて、
何かと今の班長さんに掛け合ってくれたり…
私、今までぷらさんにも随分彼の批判をしたり、
彼のせいで班の雰囲気が悪いなんて、
反発したり嫌悪した事もあったんですが、
違う班に移ってみて、今ようやくわかりました。
あ~、私達は芦田君が班長じゃないとダメなんだって。」


「……」


「それでね、この前、芦田君に言ったんですよ。
『芦田君。ここで勝ち上がって絶対もう一度班長になって。
私達、芦田君の下じゃないと嫌なの。
もう、私、芦田君になら付いていくから。
だからB班の他の人達になんか負けないで絶対頑張って。
それが私達の夢だから』って。」


ああ、芦田君、聞いている?聞いた?
はるみさんがあなたにこんな事言っているよ?
それって班長冥利に尽きるじゃない!


正直言って、はるみさんのその話を聞いていた私は、
いろいろな意味で、またまた目頭が熱くなってしまった。


細かくて口うるさくて、ときに高圧的な態度が、
女の子達の不興を買っていた芦田君が、
今はみんなに尊敬され支持され、
今度はもっと大きなB班の班長として、
再びそのポジションへの階段を上がってくれる事を、
皆が切に願っている。


企業の方針で仕方ないとは言え、
みんなそれまでの実績がゼロクリアされて、
自分達が今、職場で一番発言権の弱い、
低い位置にいるのが寂しいんだよね。
自分達の過去にあまり理解のないと思える班長の下で、
B班のやり方、B班のスピード、B班の価値観オンリーだけで、
自分達が評価されていく事が悔しいんだよ。


はるみさん達が切望しているのは、
自分達に理解のある強力な代弁者。
彼らは自分達のヒーローの出現を心待ちにしているんだね。


芦田君。そうだね。
前回のようにイレギュラーな特例措置の昇格ではなく、
今度は本当に資格を取って、
皆さんのためにも班長を目指してみたら?
あなたの事だもん、たぶん本当は堂々たる正規の昇格を、
ひそかに狙っているんだよね?私はたぶんそう思う。


    *    *    *    *    *    *


世間でも業界の再編や企業の吸収合併などで、
無念にもそれまでのキャリアを捨てて、
新天地で一から出直す羽目になる人が大勢いると思うけど、
内容も進め方もポリシーもチームカラーも違う集団に、
少数派として後から入っていくのは大変で、
新しいその職場をずっと愛していけるかどうかも微妙なところ。
今まではそれでよかった事も、
移動先ではダメ!と頭ごなしに注意されたり、
理解はできても気持ちで納得できない事も多いよね。


そんなとき、きっと人は、
自分達のヒーローの出現を待ち望むんだな。
裏を返せばそれは、
現在の状況が決していいとは言えない事を、
暗に物語っているのかもしれません。


また、先を歩く人に夢を託すのは、
自分達が目的地までまだまだ遠い存在である事に、
希望を見失ってしまったからかもしれません。


でもあきらめちゃダメだよ!
だって皆さんはベテランの経験者さん達です。
何がよくで何が悪くて、困ったときにどうすればいいのか、
みんなよくわかっているでしょう?
だからあなた達は、実務に入ったら必ず変わります。
「なんだ、この程度でいいんだ」と、やがて絶対思うはず。


とある会社のとある職場の片隅で、
未知の仕事に対して様々な思いを抱いているスタッフ達。
せっかく残ってくれた彼らに、負けるな!と声を掛けてあげたい。
大丈夫。そんなに心配する事、決してないから。
これが私から皆さんへの応援メッセージです。


レクチャーでの研修は先週で終了し、
今週はいよいよメンバーがそれぞれの移動先で、
OJTに入りました。
大丈夫。
B班なんて大雑把で意外にいい加減なんだからね(爆)!
(大人数で人の目が行き届かないので、やむなし、とする空気。)
その雰囲気さえ掴めたなら、もうくよくよする事はないはず。
自信を持ってやっていけるはず。


とりあえず、芦田君!
あなたは今、皆さんの夢と希望を一身に背負った、
旧C班メンバーのヒーロー候補です。
ここはひとつ、ぶっちぎりで先頭切って独り立ちして、
ぜひ皆さんの「熱い思い」に応えてあげてね。
私も切にそう願っています。
 

 
 

 
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支持的風土

次男の就職が内定し、
今、我が家はちょっとした安堵感に包まれています。


いろいろと事情もあり^^;、
次男にはすでに家族がいて、
実は夫であり二男の父でもあります。
それでいて21歳の高校生(定時制)でもあるのですが、
これでようやく、
今はお互いの実家で別々に暮らしているファミリーが、
どこかに居を構えて一緒に暮らせる目処がついたと思うと、
(たぶん)普通の高校生の内定以上にほっとする部分があります。


結婚して子供もいて、
年齢も普通の高卒よりもずっと年上の21歳なのに、
次男のために奔走し、企業に掛け合ってくれた先生や、
気にせずに採用を決めてくれた内定先には、
本当にありがたいお思いが尽きません。
この場を借りてお礼が言いたいです。ありがとうございます。


長男のほうの教員採用試験は…
たぶん今年もダメだろうなぁ。
地元では何百人という応募者に採用がたった8名(!)らしく、
そちらはすでに不合格だったのですが、
もうひとつ受けている他県のほうも、
倍率が異常に高くて厳しい状況。


幸い一次試験は通ったので、今は二次の結果待ちなのですが、
たとえ受かっても、例えば来春の欠員補充で採用が決まるとか、
スレスレかイマイチ足りないラインなのではないかと思います。


長男は今、市のスポーツ施設の嘱託職員をやっていて、
施設を利用しに来る人にトレーニングメニューを考えたり、
プールの監視や備品の貸し出しなどをやっているのですが、
その仕事には期限があって二年間しか働けないんです。
そういった事もあり、二年でダメなら教員はあきらめなさい、
と言っていて、本人としても納得してそのつもりでいるので、
来年がラストチャンスです。


でも、彼に今の倍率を突破できるぐらいの、
ずば抜けた優秀さ?はない感じがするので(笑)、
最終的にやりたい事に合っていて、
生きがいを感じられるような仕事について欲しいなぁ、
なんて親は思ったりします。


    *    *    *    *    *    *


さて、久しぶりに前段が長くなってしまいましたが、
今回はその長男が茶の間に置き去りしにしていた、
教員過程の教科書から拾った話です。


えーと、茶の間に置いてあった長男のその本を手に取り、
何気にパラパラとページをめくってみたら、
あるところにこんな事が書いてあり、
それがふと目に付きました。


    (前略)
 一方こうした冷え冷えとした風土ではなく、暖かい風土のことを、支持的風土と呼ぶ。
 指摘的風土は、その名称の通り、仲間の間にお互いを支持し合う雰囲気があり、暖かさを感じる事ができる風土である。したがって、支持的風土を持つ学級では、自分の考えや思いを素直に出せること、お互いのコミュニケーションがスムーズに行われることなどが特徴となる。さらに、児童・生徒の活動に、自発的・創造的な活動が見られやすいことや、お互い内に助けある協同や相互扶助の活動が見られやすいことも特徴となる。学級経営をうまく行うためには、いうまでもなくkの支持的風土を学級の中に作り出す事が必要となる。
(ミネルヴァ書房:個性をひらく特別活動/相原次男・新富康央編著 より)


支持的風土の反対は、防衛的風土と言って、
仲間の間に恐れや不信といった雰囲気があり、
攻撃的でとげとげした感じの風土という事です。
学校は組織のシステム上そういった風土になりやすく、
そこから誰もがそこに所属したいと思う集団への変容は、
自然発生的に起こることはほとんどない、とあり、
以下、学級作りのための教師の役割などに触れていくのですが、
私は、なるほどと思うところがあり、
自分の仕事に置き換えながら読み進めていました。


私の職場はまだまだ旧来からある人への寛容さや
暖かみが残っており、
前職でひどい人間関係の中でやってきたような人からは、
「こんなに親切にしてもらってありがたいです」
と、感謝の言葉をいただいたりするのですが、
それでも7年間という年月をずっと見ている私にとっては、
人の気持ちが厳格で、
よりナーバスになってきているような気がして、
それってどうなんだろう?と思ったりするわけです。


例えば私の目から見て大きな問題もなく、
1年後には必ず一人前のいいスタッフさんになる、と、
確信できるような人でも、
最初の段階から、「あれができない、これもできない」と、
周囲に潰されてしまいそうで、
私はそこに気がかりを感じながら見ているときがあります。
本当はそこで潰れない強さも、
仕事に対する向き・不向きのうちなのですが、
そうは言ってられない傾向の昨今、
瀬戸際の人をどう救い上げるかが鍵になる事も多いわけです。


もし前述のように、
特定の誰かが意識を持って強力に関わっていかないと、
ここに所属し続けたいと思う集団(準拠集団というそうです)と、
支持的風土が維持できないのなら、
今の仕事の現場は学校と同じように、
何もしなければ自然に防衛的風土になってしまうシステムを、
持っているのかもしれません。


    *    *    *    *    *    *


さて、ここで話は横にそれますが、
先日私は何年かぶりにバスに乗りました。


普段、自分の車やJRしか利用しない私には、
久しぶりのバスは様々な変化が物珍しく、
またバス停の名前も運行経路も、
以前とはかなり変わっている事が今頃初めてわかり、
あとで家族からおおいに馬鹿にされたのですが(笑)、
もっとびっくりしたのは、(これも家族から笑われたのですが)
停留所や信号待ちで運転手さんがいちいちエンジンを切ること!


いや~、これはかなりびっくりでした。
びっくりというよりも、一般ドライバーとしては、
エンジンのOFF/ONなど、
そんな短い時間に頻繁にしたくないものなので、
「何よこれ?」と思い、
一人しか乗り降りせずちょっとしか止まっていない停留所や、
交差点で停止してすぐに信号が青に変わるようなときでも、
その都度ブルルンとエンジンのかかるのが少し不快だったし、
地球には優しいけど人には優しくないかなぁと思ってみたり。


「アイドリングストップ」の標語は巷でよく見かけるし、
世の中の流れとしてバス会社がそういった施策をとる事も、
仕方ないと思うのですが、
(ていうか、本当に環境と経費節減に役立っているのかしらね?)
ここで私は、
「そんな風に運転しろ、と、もし自分が言われたら、
それはとっても嫌な事だなぁ…」と思ってしまいました。


新しいルールがひとつ追加されるたびに、
気に食わない事を強いられるケースも多いのですが、
そこに抵抗感があってなかなか身に付かなかったり、
飲み込みの悪い人やすぐに順応できない人は、
注意され指導され、自分の評価の下がる機会が、
またひとつ増えてしまうんだなぁ、とも思ってみたり。


そしてどんどん決まり事や手順が増えていく、
現代の仕事の煩雑さを思い
「仕事の現場」は窮屈になるばかりだなぁ…などと、
バスの運転手さんに対しても、
どこか気の毒な思いを抱きました。


    *    *    *    *    *    *


さて、私達の仕事(ユーザーサポート)でも、
お客様を相手にする商売として、
CS的な意識の高まりや個人情報保護の観点から、
ひとりひとりが気をつけなければいけない事柄が、
以前と比べて山のように増えてしまいました。


その結果、何をとってみても、
最大限に業務に向いている!という、
ほんの一握りの「最適な人」以外の人達は、
何がしかのNG部分を周りから細かく指摘され、
どこかに仕事や職場に対して安らぎや自信を感じられず、
集団の中で「受け入れてもらっている」という安心感を、
持てずにいるのも事実です。


ところがそこに対しての感度を下げた場合、
今度はお客様の不満が高まり、
苦情が入ったり様々な場で批判されたり、
品質や企業イメージが低下してしまいます。


集団の中に優劣があるのは当然で、
今のように全員が「優」である事を望まれるのは、
排除的な職場カラーをつくり、
また運用として無理があると思うのですが、
そうも言っていられないジレンマが常にあります。


そんな中でこれからの私に何ができるのか、
結構いろいろ考えますよね。


取り合えず。


いつも批判を恐れ人の目を気にして自由闊達に振舞えず、
いい事を考えているのに発言や提案もできずにいる人達に、
仲間だからお互いに「楽しいこと」、
仲間だからお互いに「うれしいこと」、
仲間だからお互いに「心地よいこと」を、
実感できる場をもっともっと提供してあげたいな。


人と人が関わる事の素晴らしさ、面白さ、豊かさを感じて、
自分が今そこにいる必要性と自信をつかんで欲しいですね。
そしてこの職場でこの仕事をしている幸せを感じてもらいたい。


今からの私はそこに積極的に手出しをしていくのが、
最後の自分の使命かな?なんて思っています。
なーんて、ちょっとカッコ良すぎかしら?(笑)
うふふ。
 

 
 

 
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なぜと言われても

先週は事前研修が2名に面談(面接)が2名。
合計4名の人とお会いして、
自分の判断としては、OKが1名、NGが3名でした。


現場は欠員が常態化していて、
ひとりでも多くの人に来て欲しいのですが、
だからと言ってお仕事に向かない人を入れた場合、
職場のストレスや稼動、生産性の低下に、
頭を悩ませてしまう事が非常に多いので、
その辺はどうしても強く意識せざるを得ないところです。


なので自分の判断はいつも率直に会社に伝えているのですが、
最近は会社の売り上げも伸び悩んでいるせいか、
雰囲気的に今までのように、
「はい、そうですか」→お断り
とはいかなくなってきました。


そしてこの頃よく問われるのが、
「どの辺がぷらさんの最低ラインなの?」
「何が良くて何が悪いのか私にはよくわからない」等々。


そうですね、これはとても難しい問題です。
もしそういったマニュアルでもあって、
それに沿って判断していけばほぼ間違いなし!
というのなら楽なのですが、
実際は、見込み違いもそれなりにあると思うし、
結果としてはお断りをした人でも、
現実に入れてみたら全く問題のない人だった、という事も、
たぶんあるかもしれません。(いや、きっとあるでしょう)


ですが最近の自分の経験として、
やめておいたほうがいいと感じた人が、
実際にその通りだった事はあっても、
その逆はまだないんですよね。
だから、大概は当たっているんじゃないか?といった、
ほのかな自信だけを頼りに、
少々えらそうな口を利いてしまったりしているわけです。


    *    *    *    *    *    *


私が今、自分の面談で一番気にしているポイントは、
質問の主旨の理解と想像力です。


これらはユーザーサポートの仕事では、
必須となるスキルなのですが、
通常、契約会社の採用担当者は、
経歴や趣味などすでにそこにある事実を問う質問や、
どんな業務や条件を希望するか?などの、
現時点での意思を確認する質問しかしないので、
そこで疑問点が見つかることはなく、
(またあっても大抵気がつかずにスルーされることが多く)
特に変わった雰囲気もなく話し方も知的で、
表情や態度から人柄の良さが確認できれば、
「いい人がやってきた!」と判断します。


確かに以前の私も全くそうでした。
ですが、その割には山のような失敗体験の数々!
「なぜだ?」と首をかしげる疑問の積み重ね。
そして少しずつ、適性を見分けるためには、
それなりに工夫した事を行っていかないと、
ダメなんじゃないかなぁと思うようになりました。


けれどこの感覚がなかなか会社や担当者に伝わりません。
わかってもらえないというのが正確なところですが、
NGと感じた面談や研修時のエピソードを、
ひとつひとつ話して自分の考えを述べても、
理解してくれる人とそうでない人の差が大きいので、
そういったところが自分のジレンマでもあります。


私は、彼女達がいつもどおりにやっているだけでは、
私達の職場に不向きな人を、
見つけることはできないんじゃないかなぁ…
などとぼんやり考えているわけですが、
不向きな人というのは、
場所柄もわきまえない格好で、
人と話をする態度や言葉遣いに問題があり、
その内容にも首かしげざるを得ないような、
人達の事を指しているのではありません。


頭脳明晰で礼儀も正しく、
自分の考えを好感を持った話し方で、
よどみなく話す人達の中にも、
向かない人はたくさんいます。


ですが、通常の契約会社の面談では、
それ以上の事はたぶんわからないんですよね。
いえ、実は私もわかりません。


なので、判断がつかない人には研修を受けていただき、
その様子を見てお願いできる人かどうかを、
決めさせていただいています。
研修というのは実務に近い事をやってもらうので、
仕事をする上での思考回路がある程度わかり、
確かな判断をするためにも私としては必須なんです。
(お互いのためにもそのほうがいいと思っています。)


なので、彼女達が第一印象で感じた「おススメのいい人!」は、
必ずしもそうとは限らないのが現実で、
例えば服装が遊び人風で敬語をきちんと使えない人でも、
お話をしてみると非常に"掴み"がよく、
指導次第でなんとかなる、と感じる人もいます。
(この感覚はたぶん現場と合っています)
こればっかりは世間的な判断基準とは別物と思っていかないと、
失敗する事がよくあります。


    *    *    *    *    *    *


さて、最近の私がよく訪ねる質問は、
「前の仕事であなたが学んだ事はなんですか?」かなぁ。


そうすると、「お客様への上手な謝り方」とか、
「人付き合い」とか「時間を守る大切さ」とか、
いろいろな答えが返ってくるのですが、
なかには、「休まずに働く事ができてよかったと思います」とか、
「楽しく仕事をして来たので特に問題はなかったです」とか、
期待したものとはちょっとズレた回答が出てくる事があります。
また「それは運送屋なんだから配達経路ですよ」
と憮然とする人もいるし、あまり間をおかずに
「特にありません」と淡々と答える人もいます。
(ちなみに上記はすべて実話)


でも私のフラグが立つのは、そんなときなんですよね。
で、次にもう一度聞いてみます。
「それは今からの仕事の、
どんな場面でどう生かせると思いますか?
当て推量で構わないので、
ちょっと想像して具体的な場面で答えてみて下さいね♪」


難しいですよね。
でもユーザーサポートとはこんな感じの仕事だろう、と、
自分なりにイメージできている人は案外はずさない回答をします。
が、一方で結構な割合の人が、
ものすごく考え込んでしまって、
「うーん、わかりません」と答えるんですよね。


もちろん今からの仕事がどんなものか、
明確にイメージできないのが普通なので、
的外れだったらどうしよう?という不安や、
見当違いだったら恥ずかしいという思いがあるのだと感じますが、
どう答えればいいのか迷ったり、
私の主旨が図りかねる人は間髪おかずに、
確認を求めてくるんですよね。
「すみません、それはどういう意味ですか?」とか、
「あのー…間違ってもいいんですよね?」とか。


そうそう、この思わず口をついて出る、
自発的な質問があるのも自分としては重要に思っていて、
それが適度にある人はたぶん大丈夫かな?なんて思うのですが、
横道にそれてしまうのでそれはさておき、
ここで「わかりません」とか、
「ちょっと浮かびませんね」と答える人は、
想像するのが元々不得手だったり、
その回答が自分に不利なのでは?と推量できなかったり、
方便のためのウソがつけないような人だったりするので、
(お客様対応は、"ウソ"の能力もある意味大事!(笑))
私は、少し注意して話を進めてみようかな?などと、
思ったりしますし、途中から何かの確信が固まれば、
向かない判断をしたりします。


もちろん私達の仕事限定のお話で、
その人達に向いている仕事はほかにきっとあると思うし、
決して皆さんの人格を否定している気持ちはありません。


でも、その場合はこう、という絶対的なセオリーはないので、
同じ回答でもOKと感じたりNGと感じたり、
最終的には、自分の直感という事になってしまいます。
この自分なりの基準を誰かにわかってもらう事は、
困難かもしれませんよね。


けれどこれがまた職場の人ならば、
簡単に通じたりもするので、要は不向きな人の不向きな感じと、
実際の職場での仕事ぶりをどれだけたくさん見てきたか?
この一点に尽きるのかもしれません。


    *    *    *    *    *    *


次に事前研修ですが、研修での私は、
私への話しかけの有無や、聞き逃しや勘違いの度合いなんかを、
実は結構みています。


先週の男性二人のうち、矢部君(20代前半男性/仮名)は、
非常に明るく人懐こい雰囲気を持った人で、
営業経験者だけあってしゃべりも流暢で面白いのですが、
数日間をよく思い返してみると、
確認のためにちょっとした事を聞かれたり、
その場でふと思いついた質問を投げてきたり、という事は、
実は一度もなかったんですよね。


むしろ事前評価の低かったもう一人の男性(20代後半)のほうが、
「あれ?これって昨日と同じやり方でいいんでしたっけ?」
と、聞いてきたり、
「いやぁ、実際にやってみると難しいもんですね。」と、
合間に感想を漏らしたり、意外にいい感じで、
他人とのつながり方は身に付いている人だなと思いました。


たった3人で行うリラックスした研修である事と、
私のティーチングスタイルが親近感のあるものなので、
最初は緊張している新人さんも、
日を追ううちに場に慣れて来るんですが、
矢部君は最初っから緊張感がない受け答えの割には、
自分から何かを話しかけたり聞いてきた事は、
そういえばなかったな~。


それと後半の矢部君は勘違いがとても多くて、
確かに研修は彼のお陰で何をやっても爆笑の渦だったのですが、
爆笑を巻き起こしている張本人がユーザサポートの現場に来て、
大きな問題のないスタッフさんに育った試しは一度もありません。


"必要な準備が何もできていない"初心者ユーザーという、
条件設定でロープレトレーニングをしているのに、
オペレーター役の問診に、
「必要なものは全部揃っていますよ」とあっさり答えて、
相手が「は?」と固まってしまったり、
「質問集の3番を実際に回答してみましょう」という指示に、
4番を答えてしまったり。


skypeを使った電話の練習を毎日ずーっとやっていて、
あるとき急に、「あれ、スカイプってどうするんでしたっけ?」
「PCの右下の緑のアイコンを押すんだよ?」
…と言われて押したのがノートンのアイコンだったり。


まぁ、おかしくて憎めなくて、
皆から愛されるタイプの人なんですけどね、
でも、現場に入れたら周囲から相当不満を持たれて、
早々にNGのシュプレヒコールを浴びてしまうんじゃないか?
などといろいろ懸念されてしまいました。


私の文面だけではうまく伝わらないと思いますが、
同じ事をやっていても、「??あれ?何かが違うぞ?」と、
感じる人と感じない人がいて、これもまた微妙。
いやでも、最近は本当にこのタイプのスタッフさんには、
仲間の風当たりが厳しいのよね。


明るくて前向きで喋りがとてもいいので、
第一印象だけなら大歓迎で迎えられるはずの人なのですが、
その後の経過を想像すると、私は個人的に、ちょっとね…と感じ、
契約会社にはNGを伝えました。


実は前回、自分が一度NG判断をして、
それでもお断りするには惜しいぐらい、
かしこく真面目で向上心の高い人だったので、
散々迷ってメンバー同士で何度も相談を重ね、
祈るような思いで入れた男性スタッフがいたのですが、結局、
「いい人なので非常に残念だがうまくしゃべれない」という理由で、
クライアント企業さんからお断りをもらったばかり。
自分の関与していない他部門なので、状況もよく見えず、
フォローアップもやってあげられず、という感じでしたが、
やはり…という感はありました。


そして今回はその交代スタッフと、
長期欠員を補充する要員のための研修だったわけなんですが、
「次は絶対に確実な人を」、と少し精度を上げている私と、
「あんなにしゃべれる人なのにどこがどう問題なの?」という、
採用担当の細川さんとは、いくつか説明しても理解が得られず、
今の私達はなんとなく対立気味。


最近は、会社の方針として、
「入れる前にそんなにあれこれと考えていたって、
物事何も始まらないだろう?」という所長の考えもあり、
最終的には上の人の判断に従うしかないのですが、
えー、でも、もしお願いする事になったら、
先が見えてしまうようで、ちょっと気乗りしないアタシ。


職場(私は通常クライアント企業に出向している)の人達は、
自社スタッフも他社スタッフも、
私が面接・研修などで見極めを行っている事を知っているので、
余計に自分の納得がいかない人選には賛同しがたく、思わず、
「その場合は何かあったら会社側で直接フォローして下さい」
なーんて、少々冷たい内容のメールを、
関係者に送っちゃいましたよ^^


最近の私は、会社側にも、
自分と同じ視点で人を見ることが出来る人が、
もうちょっといて欲しいな~と思う今日この頃。
いつでも自分が正しいとはそりゃ思いませんが、
電話の仕事に関しては、それなりの判断基準もある事を、
会社の人にはよく知っておいて欲しいんです。
うふふ、だって私、いつかコーチになるんだもん。
皆さんが私に頼らずに自分達だけで回していけるようにならないと、
私、安心して転職できませんものね。なんちゃって~。
 

 
 

 
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情報の流れていく先(2)

さて先日、
現場班長のタチバナさん(30代前半女性スタッフ/仮名)から、
憤懣やるかたないといったクレームを食らった。


タチバナさんは自ら希望して班長を降りた、
レイちゃん(20代後半女性スタッフ/仮名)の後任として、
今年の春に班長に昇格した人だ。


業務でもマネージメント面でも優秀な人だが、
状況に不満を持ちやすい人で、
他人に対しても「仕事が出来ない」「遅刻・欠勤が目立つ」等に、
明確で厳然たるペナルティがない事を大いに不服としていた。
が、いろいろな出来事を通してどんどん変わって来ており、
今の私にかつてのような"扱いにくい人"という感覚はない。


スタッフ達からも確実に人望を得つつあり、
タチバナさんを中心に班がいい感じでまとまってきている。
この頃の私は彼女を信頼する気持ちが、
日に日に強まっているところだった。
タチバナさんのほうも、以前のように刺々しく、
私に逐一噛み付いてくるような事がなくなっていた。


ところが。


先週久しぶりに感情をぶつけてきた。


「もう、最近、いろいろな事に、
腹が立って腹が立って仕方ありません。
もしここに刃物があったら、
全員に切り付けたい気分です。」


「それには私も入っているの?」


「もちろんです。(キッパリ)」


私は三上主任から、
「この件はぷらたなすさんから班長達に伝えておいてくれ」
と依頼されていた複数の事案があったが、
ここ数日別件であまりに忙しくて席に戻る暇もなく、
一段落してようやく打合せを持てると思って打診したときに、
彼女が見せた反応が前述のものだった。


「どんな事に腹が立っているの?」


「もう、何から何まで全部です。
はっきり言って限界です。
とにかく、もう、なんて言うか、
あーもう、一個一個が納得いかないことばかりで、
爆発寸前です。ぷらたなすさん、私、辞めてもいいですか?」


「???」


「いえ、責任もあるのですぐには辞めませんけど(笑)、
でも最近、全体的におかしくないですか?
いろいろな事が全部!」


「全部!全部…
まぁ、いいや。ここでは場所もアレなので、
そういうことも含めて、ちょっと打合せしませんか?」


そんな言葉を交わしたあと、私はタチバナさんと、
もう一人の班長である小野君
(30代前半男性他社スタッフ/仮名)と、
3人でミーティングルームに移動した。


    *    *    *    *    *    *


私からの伝達事項は全部で3つ。
1つ目はロッカールームに関することでこれは大した事ない話。


2つ目からが重要で、
2つ目が他社に移管が決まった業務についている班と
タチバナさんの班への業務統合が決まった別班と、
双方からの移動スタッフ達の受け入れと今後の運用方針の話。
そして3つ目がお客様対応の最後に、
所定の営業トークを必ず含めて欲しいという、
本社と課長からの指示が、
現場的に時期早尚という理由で保留になった話。


一通り話し終えた私に、
タチバナさんが間髪おかずにまくし立ててきた。


「それはいつ決まったんですか?」
「誰が決めたんですか?」
「なんで自分達に関する重要事項が、
自分達の知らないところで、
決められなければならないんですか?
どっちの案件もこっちはこっちでやらなきゃと思っていて、
それなりに考えていたところもあるのに、
なんですか?それ?って感じです。」


無口で普段あまり自分の意見を言わない小野君も、
加勢のつもりなのか横から口を挟む。


「自分らは、今それを初めて聞きました。
聞いたときにはすべてが決まっているっておかしくないですか?
実は昨日、別な打合せで同じ事を、
三上主任がチラっと漏らしたんですけど、
内容的にはすべて決定事項のような口ぶりでした。
うちらとしては、自分らに何の相談もなく、
大事な事が密室で決まっているのは、
どこか承服しがたいですね。」


(タチバナ)
「なんか情報が全然降りてこないっていうか、
今の話だって私らは私らなりに、
こうしようか?ああしようか?と小野さんと2人で話し合ったり、
根回し的に動き始めた矢先に、
今更想像もしなかった体制を「決まりました」と言われても、
納得できません。今、最高にムカついています。
思い切り腹が立っています。
それはいつ誰が決めたんですか?
なんでこういう状況になっているんですか?
情報共有が全然されていないまま、
こんな風になっている状況がおかしいって言っているんです。
一体なんで事前の相談がないんですか?」


(ぷらたなす)
「もしこれがその"事前の相談"だと言ったら、
やっぱり腹が立つの?」


(タチバナ)
「立ちますよ。当然と思いませんか?
そんなの当たり前じゃないですか?
だいたいなんでぷらたなすさんが今ここにいるんですか?
私達に関係のある話なのに、
なんでぷらたなすさんが間に入るんですか?
どうして直接言ってこないんですか?
おかしいと思いませんか?
それを頼んだのが三上主任と言うのなら、
今すぐ三上主任に文句を言いに行ってもいいですか?」


タチバナさんはすぐにでも立ち上がりそうな勢いだった。
そいつはちょっとまずいな…と、私は思った。


(ぷらたなす)
「あのさ。。。。。」
私はゆっくりと落ち着いた声でで淡々と話し始めた。


(ぷらたなす)
「まずちょっと聞いてよ。質問には全部答えるから。
まず、『誰が決めたのか?』これは三上主任です。
課長と相談して課長もオーケーを出しています。
『いつ決まったのか』 これはおとといです。
なのでこれが最新の情報です。
お2人が"班長である自分達に何の相談もない"というのなら、
これが"事前の相談"になると思ってください。
たまたま私の都合で今日になってしまいましたが、
自分が忙しくなければその日のうちにお伝えできたと思います。」


(タチバナ)
「"事前の相談"ってもう決まった事に対して、
一体何を相談するって言うんですか?
いったい何が決まっていて何が決まっていないのか、
こっちに一切の落とし込みがないっていうのに、
その言い方は変じゃないですか?」


(ぷらたなす)
「何が決まって何が決まっていないのか?
それが質問なら、回答は『これ以上は何も決まっていない』
が正解です。
課長と三上主任が話し合って大筋の方針を決め、
それに沿ってお2人に運用案を考えて欲しい、というのが、
一番の今日の主旨です。」


(タチバナ)
「だったら言わせてもらいますが、
移動元の班長がそれぞれ別な業務に移り、
スタッフだけが移ってくるなんて、
そんなの私達は聞いていません。
移動するからには班長ともども、
ひとつのグループとして受け入れるとこちらは思っていたし、
そのつもりで進めていたし、
まさか班長はこちらに移動せず、
その代わり移動スタッフの中から新しいリーダーを出して、
その人達とこれからやっていけ、なんて無理です。
しかもその新リーダーの人選も知らないところで決まっていて、
こっちだって人に関しては希望も言い分もあるし、
正直言って『どういう事?』って、不信感で一杯です。」


(ぷらたなす)
「東海林さんでは納得できないって事なの?
タチバナさんの目にはかなわないって事?
それが不服なの?」


たぶん本当はそうなんだろうな。
が、彼は向こうの班では全員に推薦されて、
満場一致でリーダー昇格が決まった人だ。私も適任と思う。
その人選は他班のあなたが口を挟むところじゃないし、
先方の決定を受けてその人と仲良くやろうと思う気持ちは、
ないのかねぇ…


(タチバナ)
「人選に不服とは言っていません。
向こうの班のひとりひとりがどんな人かなんて、
一緒に仕事した事ないから私は全然知らないし、
本人とは話した事もないのでなんともいえません。」


(ぷらたなす)
「だから今までの班長に成り代わって、
移動者の利益を代弁してくれる代表が必要なんじゃないの?
今までの言い方だと自分達もいろいろ考えているような話だけど、
それってC班の発想でC班だけの価値観で進めようと、
しているように感じます。
会社の都合で人数の多い大きな班に統合されて、
業務内容もシフトも大きく変わってしまうかもしれない、
移動者の負担とかそれまでのやり方とか、
もしかして話し合ってみれば、
向こうの手法に見習うべきところがあるかもしれないし、
その辺を勘案して進めてあげないと不満が高まって、
統合がうまくいかないと思うよ。」


(タチバナ)
「それはわかりますが、
できれば一言相談が欲しかったな、と思います。
だいたい向こうの班長はなんで移動してこないんですか?
担当スタッフのケアも放棄して自分だけほかの業務なんて、
無責任にもほどがあります。
なんで○○さんだけ別なんですか?
△△さんもこっちに来るのはイヤかもしれないけど、
仕事ならそこは我慢すべきなんじゃないですか?」


(ぷらたなす)
「じゃ、今度は私から聞くけど、そういう情報って、
何もかもオープンにしなければいけないものなの?
業務移管や業務統合、そして人選や運用の話は、
ヘタすると退職者を続出させてしまう非常にナーバスな話だよ?
特に給料が下がってしまう人達は、
内々に一人一人説得したり、
個々のワガママを少しだけ聞いてあげたり、
全員が職場に見切りをつけて一斉に退職するような、
大きな潮流にはしたくないよね。
そのためにはある程度の不公平も出てくるし、
情報統制が必要なときもあります。
今の班長達が2人とも移ってこないのは…」


あなたと一緒に仕事をする事に、
抵抗があるからだ…とは言えなかった。。。
彼らは2人とも声をそろえて、C班には移動せずに、
ほかの業務に変わるのなら、
職場に残る事に依存はない、と言った。
そして2人は班長を降格して、
一スタッフとして残留する事になった。
言えるか?そんな事、いちいち。


(ぷらたなす)
「今の班長が2人とも移ってこないのは、
ほかの業務に付かせたいという、
課長と主任の意向です。
(一人の退職者も出さないのが企業側の意向なので、
業務を変えても残ってもらえるなら、それは当たっている)」


(タチバナ)
「わかりました。だったらやっぱり、私今から、
課長のところに言って聞いてきます!
納得できない事がありすぎる。」


(ぷらたなす)
「タチバナさん、職場の決定権は、
最終的に誰にあるの?職場の上長だよね?
私達の雇用主は契約会社だけど、
指揮命令者はこの企業の課長と主任で、
織田課長と三上主任の名前は、
契約書にもそう明示されています。
たとえ契約スタッフでもそうでない正社員であっても、
上長の決定には従わなくてはならないんじゃないの?
組織の中では、上長の命令や決定は、
納得がいかなくてもやらなくてはいけないのが、
会社のルールなんじゃないの?」


(タチバナ)
「それはわかります。それじゃ百歩譲ってそういう事にします。
でも、なんでここでぷらたなすさんなんですか?
なんで課長や主任が直接言ってこないんですか?
そういうところもイチイチ勘に触るんですが。」


私は自分でも驚くぐらい冷静で、
全然動じていない事に自分でびっくりした。
私はもう一度「あのさ…」と言って、
重い口を静かに開いた。


(ぷらたなす)
「タチバナさん、この前、課長や主任と打合せをして、
スタッフのお客様対応の最後に、
所定の営業トークを入れるようにして欲しいと頼まれたときに、
『納得できないのでやりません!』と言ったという話は本当?」


(タチバナ)
「え…確かにできないとは言いましたが、
決まってしまったらそうするしかないと思っていましたけど?」
(あれ~?聞いていた話とちょっと違うかな~(笑)?)


(ぷらたなす)
「なんでも事前に相談が欲しいと言うけれど、
その内容に納得がいかなければ毎回そんな風に言うの?
『できません』『私はやりません』って。
それって相談なの?それで相談は成立するの?」


(タチバナ)
「……」


(ぷらたなす)
「社員だって何もあなた達を軽視しているわけではないよ。
でも。…話し合って一緒に何かを進めようとしても、
その段階で拒否されたり強く抵抗されたりしたら、
相談のメリットが何もないでしょ?
課長や主任だって自分達というよりは、
本社の意向で気乗りしない事を強制されたりしているのだから、
下の人達が協力してくれないと困るんじゃないの?」


本当は
「今のタチバナさんは、
社員が相談を持ちかけたい人になっている?」
ここまで言いたかったが、
最後まで言い終わらないうちに、自分宛に電話が入り、
私は呼びに来たスタッフにお礼を言って、
急いでその場を中座した。


電話する事約20分。


ミーティングルームに戻ってきてみると、
さっきまで漂っていた刺々しい対決姿勢が消えていて、
なんだか何事もなかったかのように穏やかに2人が待っていた。


私は、「もしかしたらさっきの話がヒットしたかな?」
などと思いつつ、話題を変え、
彼らの納得のいかないほかの質問に全部答えた。


彼らの納得しないところは、統合と同時に行われる事になった、
一部スタッフの配置換えの件だったが、
それらは要するに、もっとほかの班の運用やスタッフ配置にも、
玉突き的に関連しているもので、
ある班の退職予定者の補充を別の班から持ってきて、
そのまた補充をこうしてああして…という流れで、
結果的にそうなったものだった。


彼らにしてみれば表面的な結論しか見えないので、
承服しかねる内容でも、
一本の線につなげて見せるとようやく合点がいったらしく、
さっきとは打って変わって2人とも納得したように聞いていた。


が、こちらからすれば、退職予定者の話
(実は課長や主任からお断りされてしまったスタッフ)
やその経緯などは個人に関わる口外無用な話で、
職場の動揺を防ぐためにも守秘している部分だ。
「何か事情があるらしい」
これだけの含みでわかってもらえないのは、
正直言ってきついね。
そもそもこの件こそ、2人にはあまり関係のない話なのに、
そこまで何もかもあからさまにしないと、
納得できないものだろうか?
その疑問は、自分の中でもいつも感じるものだった。


    *    *    *    *    *    *


さてここで正解を出しておこうと思う。
私が課長と主任から依頼されたのは、
決定事項の落とし込みではなく、
実はタチバナさんの指導と説得だった。


ある日、主任から相談を受けて、
「実は今、とても困っている事がある」と言われた。
それが前述の「納得できないので私はやりません!」だった。
班長にそう言われてしまうとこちら側はなすすべがない。
今回は調整のために、間に入ってもらえないだろうか?
そんなオーダーだった。


結果的にタチバナさんのやりたくない事は、
今回は見送りとなったが、
これらに関する彼女の態度に主任はストレスがあるようで、
「悪いけど今回は頼むよ」という感じで、
決定事項の告知も合わせて依頼された。


私はふと、自分が契約会社の人間である事を思い出し、
「弊社のスタッフがご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
と謝ったところ、主任もふとそこに気がついたのか、
「そうだよ。社員の頼みに『やりません』てのはどういう事?」


あららら?謝った事が逆に主任に火をつけちゃったかな?


「ぷらたなすさん、しつけが悪いよ。監督不行き届きだよ。
お宅はスタッフにどういう指導をしているの?って、
言われちゃうよ??(笑)」


最後は冗談ぽい口調に変わっていたが、
まったくそう言われてもおかしくないと思った。
一般会社の契約スタッフなら速攻クレームが上がるだろう。


けれどここはスタッフ同士の自主運用で成り立っているので、
基本的に社員の関与が今はほとんどない。
スタッフ側のリーダーである「班長」の発言権は強く、
三上主任に言わせると、
「こんなに契約スタッフが実権を握っている職場は初めてだ」
そうである。


だから上部の意向を班長が突っぱねる事もたまにあるのだが、
それはあくまでも、もう一度話し合って妥協点を見つけましょう、
という双方の土台が確立されていての話。
タチバナさんのように「できません。私はやりません。」では、
例え本人なりに意図のあるパフォーマンスであったとしても、
話し合いを拒否していると思われるのは当然で、
これをやっちゃったらもう、
情報が彼女にスムーズに流れてくる事はないだろうと思う。


人は話して嫌な思いをするような人には、
決して相談事など持ちかけない。
共有の必要がある項目であっても、
その人に伝えるには慎重になり、
時と場所と言葉を選んでいるうちに、
ついつい時間も経ってしまう。
彼女に言わせれば不公平かもしれないが、
人はそんなに強くはないのだ。
事前に話して潰されてしまいそうな計画なら、
なおさら当人を除外して話が進められることだろう。
それは確かにおかしな事だ。
が、それが人の世の現実でもある。
手を振り上げずに手を差し伸ばせば、
得られるものもたくさんあるのにね。


私はタチバナさんには、
社員が何でも相談できるような人に、
ぜひなって欲しい。
いつも誰かに不満を持ってイライラしているようですが、
それを解決できるのは他人ではなく、
自分自身なのではないかと思う。
これを機に何かに気がついてくれたかなぁ…
私はそう信じたいし、どこかで確信している。


三上主任はこうも言った。
「タチバナさんは優秀だけど、
ちょっとスタッフの方を見すぎているね。
自分がやりたくないものはスタッフもそうだと思いがちだし、
そういう事をスタッフに指示するのも気乗りないんだろうが、
班長ならもう少し、こちらの意向を汲んで、
何でも快く協力する姿勢を見せてくれないと…
この大変な時期に、そのための班長でもあるんだから。」


三上主任の言い分はもっともだと思うよ。
でもきっと彼女はどんどん変わっていくと思う。
彼女はそういう人なんです。
自分に何かの問題があったと気が付けば、
すぐに修正していける人。
そこが「出来る」ところでもあるんだよね。


企業間の競争が激しく、
どんな職場でも営業的な発想が要求される昨今、
技術屋集団を元々の母体としている私達のセンターは、
売り上げや利益に対する感受性が全体的に希薄だと思う。
社員にもスタッフ側にもその発想は根強く、
「利益にこだわる」「物を売り込む」ための施策や業務フローには、
反発やアレルギーも強い。


そこを変えなければいけない使命と、
数字的なプレッシャーを担っている、
課長や主任達は毎日が悩みの日々だね。
そういった責任者と社員・スタッフの意識の差を、
どうやって埋めていくのか?
それが彼らの大きな課題なんだろうと思う。


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情報の流れていく先(1)

「困っちゃうなぁ…」とこのblogでも何度か話題にした、
ダメダメ主任の今野さん(50代前半男性正社員/仮名)が、
他の部署に異動になってから一ヶ月経った。


彼に近い人からの話によると、1年前にすでにギブアップ。
(ご本人が業務に対して、です。)
半年前には異動を希望する申請が出ており、
本当は6月一杯で他部門への転任が決まっていたのだが、
各種の調整で先月までずれ込んでしまったとの事だった。


今野主任が周囲の強い要望に対して一歩足りないところは、
ひとえに想像力だ。
自分がどのようにしたら周囲にどういう影響が出るか、
残念ながら毎回そこまで思考が及ばない。


具体的には上部の意思決定や自分の判断などを、
タイムリーに風下に流してくれないので、
正社員も私達契約スタッフも、
負担の大きい作業を期日直前になって知らされることが多く、
そのたびに皆でバタバタして非常に効率が悪い。


これでは不満が渦巻くのも当然で、毎度毎度、
正社員とスタッフ側班長達の合同ミーティングで、
「それはいつ決まったんですか?」
「いつわかったんですか?」
「なぜこの時期まで黙っていたんですか?」
「それをするにはどんな作業が必要かわかってます?」
と、個人攻撃のような空気になってしまう。


物事の説明が苦手で、
毎回「言った、言わない」の話になる。
聞いた人が「なるほど、了解しました」と、
万事を心得るような指示出しをしないので、
主任の言いたい事と周囲の受け取り方が、
ずれている事も多く、
主任から「この前言ったでしょ?」と突っ込まれるほうは、
感情的に甚だ面白くない。
スタッフや普通の社員に対してはまだいいが、
同じ主任同士になるとけんか腰で怒るので、
ほかの主任達は誰もが納得していない。


が、普通に考えて今野主任の後から入ってきた、
新しい主任達の感覚のほうが正常なので、
今年度に入ってからは、
皆が見ている場での激しい言い争いが目立ち、
逆に私達の不平不満は沈静化してしまった。
代弁者が現れたためかもしれない。


4月新任の三上主任(30代後半男性社員/仮名)からは、
よく愚痴を聞かされた。
自分の着任によって人数が一人増えた主任達同士で、
業務の分担の見直しと再度の振り分けが行われたが、
今野主任からは「それじゃこれをお願いします」と、
予告もなしに突然丸投げされて、
山のような資料を"不要品を捨てるように"
バンバンバンと目の前で自分の机の上に積まれたほかは、
一切の詳しい引継ぎがないという。


そうでなくても着任間もないため右も左もわからず、
何をどうしたらいいか途方に暮れて聞きにいくと、
「そうところから勉強してくれないと困る!自覚が足りない。」
と、頑として拒否!なんだそうだ。


がははは!メチャメチャ彼らしいや(笑)
自分の業務伝達の苦手意識と大義名分を、
無意識にすり替えちゃっているんだろうな。
でも担当者同士の引継ぎがスムーズに行われないと、
職場が回っていかない。
建前よりも結果を重視してくれないと現場が立ち行かず、
困るのは今野主任ではなく周りの社員やスタッフ達なのだ。
わかってます?その辺?


一事が万事そうなので、主任仲間も社員もスタッフも口々に、
「配慮に欠ける。人の事はどうでもいいと思っているんだ」
と批判するが、性格的には熱血漢で、
思いやりのあるいい人である。
だからきっと、人格云々ではなく、
単に"周りが見えない人"なんだと思う。
もっと正確に言えば、
職場の中での自分の役どころが客観的につかめない人。
視線を自分から切り離して外側から全体を眺めてみる。
そんなシュミレーションが感覚的にできない人なのだろう。


今までは正社員だけの伝統的な職場で、
それでも問題なくこなせてきたが、
ここでは契約スタッフのほうが圧倒的に数に勝り、
体制や運用が大変複雑なだけではなく、
人を入れている各社との協議や交渉。
そして日々変わり行くお客様を相手に、
目まぐるしい商品の変化や施策の投入、
それに伴う意識あわせ、電話会議、部下への落とし込み…
それらはきっと、彼の持って生まれた能力を
はるかに超えちゃっているんだろうな。


今野主任の動向は、三上主任が逐一教えてくれた。


「ここだけの話だけど、
今野さんさ、異動申請を出したらしいよ。」
「今野さん、異動決定みたい。」
「決定だって。6月一杯って部長が言っていた。」


だから私は早い段階で彼の異動希望を知り、
そこから先は、配下のスタッフから、
「最近やる気あるんですか?
何でもかんでもオレは関係ないと他人事みたいな言い方をして」
と、批判の声が上がっても基本的にスルーした。
今野主任がなぜそう言うのか今は理解できたし、
白旗をあげた人に石をぶつけるような事はしないよ。


途中からは皆に知られないように、
水面下で業務委譲がされ始めたが、
そういった動きの中で事情を知らない社員やスタッフが、
「最近の責任放棄は目に余る!」と私に怒りをぶつけてくると、
理由をわかっているだけに内心辛かった。


    *    *    *    *    *    *


さて実はこの情報は、
当初のその時点で課長と三上主任しか知らず、
そういった事をその都度教えてくれるたびに、
私が聞いてもいいものだろうか?と首を傾げたりした。


だって私はこの会社の社員でも何でもなく、
自社のスタッフを大勢出向させている、
一協力会社の社員なので、
立場としては部外者で、こんな話は聞いていいはずがない。


なのに実際は、いろいろな上の人から、
「私が聞いてもいいものか?」と、
こっちが不安になるような話もよく聞かされる。
社内人事の話、業務計画の話、運用上の悩み…
部外者で、しかも女性で年齢もあまり差がないところから、
何かと話しやすいのだと思うが、
役職が上がって行けば行くほど、
自分を肯定し、理解し、共感し、
賛同してくれる人が欲しいんだろうな。


なので社内の利害や上下関係のしがらみのない私は、
クライアント企業の上の人達から、
何かと相談を持ちかけられやすい。
上司というのは基本的に孤独なのだね。


けれどこれは、職場のカラーや、
風下に控えるメンツのキャラクターにも大いに関係がある。
「上司」「責任者」「管理側」というだけで、
無条件に険のある批判の矛先を向け続けるなら、
そこに信頼関係は成立しない。


三上主任が新任間もないのに、
部外者の私にいろいろ愚痴をこぼしてくれたのは、
「ここって職場としておかしいですよね?」という小さな声に、
私も小さな声で「わかります。私もそれは感じます。」と、
応えたからだと思う。


そこからいろいろと悩みを聞いたり、
こちらも過去の経緯やスタッフ側の現状などを話したりした。


私は自分の利益のためだけに、
こういったことを意識的に振舞ったり利用したりする事はないが、
現実には社員の人達より情報が早かったり、
通常は表に出ない社内の様々な事情などを知る機会も多く、
客観的な結果としては、有利だなと思うことはある。


が、本来それは私ではなく、
上司達の手足となって動いてくれる、
気心の知れた社員の部下がなるべきで、
"腹心の部下がいない"
これがこの職場で上に立つ人の、大きな悩みなんだろうな。
それを痛感する。


ところで前述の今野主任は、自分の異動に際し、
スタッフを出向させている契約会社各社に、
何の連絡も挨拶もせずに去っていってしまった。
このあとどういう事が起こるか?
事情を知らない各社の担当者は、
それまで窓口であった今野主任を指名して、
今までどおり電話をしたり訪問してきたりするだろう。
そのときに「今野は異動しました」じゃ、話にならんよ。
担当者が呆然とするのが目に見える。。。


私は慌てて後任の三上主任に、
「こういうときは各社の営業担当者に一報を入れて、