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2015.12.21

隣席の困った彼女をクリアせよ~③アスペルガーなら「指導」じゃダメだ~

隣席の困った彼女をクリアせよ(その1)なんだその電話は?
(その2)隣席者から疑問が噴出
(その3)アスペルガーなら「指導」じゃダメだ ←★ただ今ご覧の記事はこちらです
(その4)非言語で分かり合おうと思わないこと
(その5)上から目線の命令口調で脱出に成功
(その6)号泣した後任者の不満が会社の批判に変わる


前記事からのつづき)


電話も悪い。態度も悪い。
オフィスには不似合いなデカいスポーツサンダルを、
引きずるように歩いて、立居振舞もよくない。


関与先の会社に出向くたびに気になる太田さんに対して、
私は先方社員に何度も、
「太田さんはちゃんと指導したほうがいい」と言って、
機会があれば、自分からも彼女にとってベストな方法で、
直接そのことをフィードバックしたいと思っていました。


ですが、社員の田上さん(女性/30代前半/仮名)から
彼女にまつわる数々のエピソードを聞いて、
私はハッと気が付き、直感しました。


太田さんってアスペルガーなんだな、きっと。


会話がかみ合わないとか、空気が読めないという話は伺っていませんが、
「なんで、いま、それ?」という突飛な行動や、
不可解な理屈を通そうとして、周りと大きな軋轢を生むことがあるらしいので、
アスペルガーであってもなくても、物事の統合性や、
業務に対する視点が、他者と異なる認知のズレはありそうです。


そうだとすると、彼女に対しては「指導」じゃダメだわ。
今、彼女に必要なのは、そっちじゃない。
今、彼女に一番必要なのは、
ありのままの自分を暖かく受け入れてくれる味方の存在だと思いました。


長年のリーダー経験で感じたことは、
職場の「困った人」は、ほとんどがグレーゾーンの人達であること。


それでもご両親と仲がよく、学卒で入った最初の仕事の人的環境がよければ、
そこそこやっていけるけど、現実ではなかなかそうならず、
「受容されない」事に対して、学習能力が発揮されて、
極端に依存的になったり、隷属的になったり、人に対して屈折していることも多いです。


アスペルガーにせよ、ADHDにせよ、LDにせよ、
いわゆる発達障害のカテゴリに入る人やそのグレーゾーンにある人達は、
本人が望んでそうなっているわけではないのに、
持って生まれた資質によって、常に他人から批判され指導され、
「今のあなたではない別なあなた」を周囲から強く望まれ続けいるのが現状です。


障害とまではいかなくても、
人の生まれつきの資質や特性に理解のない(ですがそれが普通)
身近な家族や、人生で出会う大多数の人達から、
いつでも「それじゃダメ」って言われて、
いつでも「直しなさい」と言われて、
いつでも誰かに「もっとこうしたら?」と言われ続けているわけですよね。


でも、常に変化を望まれているということは、現状はNGだということでもあり、
自然な自分の偽らざる素の状態にダメ出しをされ続けるのは辛いよね。
しかもアスペルガーゆえに、その理由が理解できないものであれば、
尚更、世界は不条理と混沌に満ちたものに思えるだろうな。
そういった環境の中で、気持ちが後ろ向きになって物事に自信を失い、
精神的に屈折していくのは当然だと思うんです。


前職で長年、アスペルガーと思われる人達に悩んで苦しんで、
色々な出来事を経て、最終的にはその人達の弁護者になろうと思った私だったのに、
こんなときに、すぐそこに気が付かないなんて、迂闊だと思ったし、
勘が鈍ったとも思いましたよ。おっとっと・・・という感じでした。


でもね、今から私がすべきことは「指導」ではなく、
彼女を一番愛して、一番理解してあげられる人になることだと思いました。
そのアプローチでしか、彼女は変わらないと思いました。


    *    *    *    *    *    *


次の訪問日。


相変わらず無愛想な表情でお茶を出す太田さんに、
私は「太田さん、いつもお茶、ありがとう」と、
笑顔でお礼を言いました。


太田さんは、急にそう言われて、
どう反応したらいいのかわからなかったようで、
「はぁ」と言いながら戻っていきました。


その次の訪問日。


入り口から内線をかけて訪問を告げると、
これまた相変わらずの事務的でそっけない応対ですが、
「あら、太田さん!太田さんでしょ?太田さんに会うの、楽しみにして来たよー!」
と、言ってみました。


お茶出しで会議室に入ってきたときには、
「Hi!」と手を上げて「元気?」とちょっとからかってみたり、
別な時、一緒に会議室まで向かうことがあれば、
「今日は暑いよね?」と話しかけたり、
「忙しいの?」と尋ねてみたり。


だって、いつも不機嫌で無愛想で無表情の太田さんに、
外からやってきたお客さんが、笑顔で話しかけることなんて、
ないと思うんですよね。


いつでも「なにこの人?」と思われて、
たまには以前の私のように、「あの人、指導したほうがいい」
なんて言われているわけですから、来客を好ましく思うはずがないし、
ましてや、相手のためにいい接客をしようなんて思わないよね。


来客は、自分が批判される嫌なイベントだから、
面倒で億劫で後ろ向きになるのだわ。


でも、「あなたが好き」と言ってくれる人がいて、
「あなたに会いたかった」と言ってくれる人がいて、
応対した電話にも、出したお茶にも、
うれしそうに笑顔で「ありがとう」と言ってくれる人がいたら、
きっと彼女は変わっていくと思ったの。


多少ADHD傾向がある私自身も、
「自分は変わっている」という劣等感や、
「自分のような人間は他人から受け入れられないだろう」という不安と共に生きてきて(今は全解消)、
常に親のストレスになって、親から批判ばかりされてきたので(今は納得)、
太田さんを愛することは、自分を愛することでもあるんです。
自分が相手にして欲しかったことを、今度は私がする番なんです。


そして、結果は思った通りになりました。


太田さんは、来客が私だとわかると、
急いで入り口まで迎えに来てくださるようになり、
そこから二人で楽しく雑談しながら会議室に向かうようになり、
お茶出しのときも、私が話しかけると笑顔で答えてくれるようになりました。


会社の人達からも、
「最近、太田さん、変わったよね」と言われるようになり、
社長や専務からも、ことあるごとに、
「太田さんはぷらたなすさんが大好きだからね」と、
言われるようになりました。


これは人の心をもてあそぶとか、そういうことではありません。


会社の中で、「困った人」と思われているような相手の変化を望むなら、
指導者はまず、相手が望むものを提供し、相手の気持ちを暖かく満たしてあげて、
誰よりも強力な相手の味方となる必要があると思うんです。


太田さんのような人は、きっと、
仕事をしていて、褒められるとか、心から感謝されるとか、
必要な人材として皆から尊重される経験の絶対数が少ないと思います。
それは間違いではないけど、だからと言って、正解でもありません。


ある日、太田さんから、「ぷらたなすさんの勉強会に一度出てみたい」
と、直接メールをもらいました。うれしいよね、こういうのは。
私のほうにも、彼女に承認してもらっている幸せな気持ちが生まれます。
いい人なんですよ、本当は。
でもそのよさに、誰も気が付かず、周囲に不満に思われているのは、
気の毒に思えます。


突然切れたり、自論に固執したり、感情的に食って掛かるらしいし、
複数の社員の方達から、色々お話は伺うのですが、
そんな中でも、「私」という存在が、何かの心の拠り所となって、
段々、精神的にも安定する方向に向かえばいいな、と思いました。


太田さんと私は、今ではいい友達です。
会社をご訪問した時しか会えませんが、
いつか、絶対、飲みに誘いたい。


皆さんは、「毒団子」という昔話をご存知ですか?
嫁と姑が仲直りをする話です。
私が直接、民話の語り部さんから聞いた話とは少し違いますが、
↓↓↓ぜひ以下をご一読ください。

仲なおりした姑と嫁」(まんが日本昔話データベースより)


私はここに、世の中の「困った社員」に対する、
アプローチの大きなヒントがあると思っているんですよね。
彼らにまず必要なのは、北風ではなく、太陽なんだな。


でも、私はいいけど、会社のほかの人達は困ったままなのです。
そんな中で、今回の窓口になってくれている田上さんが、
ご主人の両親と同居することになって退職し、
太田さんの隣には、田上さんの後任として新しく採用された
赤井さんが座ることになりました。


このときはまだ、この件について、
このあと、さらに深く関わることになるとは思っておらず、
太田さんが私に心開いてくれて、仲良くなれたことに、
喜びを感じているだけの私でした。

(続きは→こちら



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