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2011.05.09

困ったスタッフの研修

前の会社や前職でお付き合いのあった会社さんから、
たまに困ったスタッフの研修を依頼されます。

何かの理由で周囲とうまくいっていないとか、
職場の悩みの種になっているとか、
一向に成長しない新人さんとか、
指導しても改善が見られない問題スタッフさんとか。

私は前職にあった2005年に同じ悩みで頭を抱え、
これはメンタルヘルスの分野の勉強が必須だと思いました。
行動をなかなか修正できない理由をそこに求めたんですよね。

なので心身症とか依存症とか色々な分野の本を読んで、
でも、「なんか違う」と。ピンと来ないんですよ。

そんなときにアスペルガー症候群を知り、
(そのときには発達障害という言葉はなかったような気がします)
書物やサイトを読み漁るうちに「これだ!」と思いました。

あれから数年。

今はアスペルガーとか発達障害に関しては、
その方がそれかどうかという事にこだわりは全くなく、
何かがうまくいかない方を前にすると、
傾向として「あぁ、この人は、この部分がポイントだなぁ」と感じて、
すぐにそれに応じた接し方をするようになりました。

その方が発達障害かどうかではなく、
どんな思考(無意識)でその行動になっているか?
だと思うんですよね。

なので今は発達障害について表だって語ることはなくなりました。
障害かどうかではなく、傾向があって対策あるのみなので、
その分野自体への関心は以前ほどではありません。
ですが、その当時に得た知識と経験は、
今の自分の仕事に大いに役立っています。

結局、障害があろうがなかろうが、
仕事の現場で周囲に不満を持たれたり、
人間関係がうまくいかない原因は、
ほとんどがそれまでの社会経験だけでなく、
思考の発展性や認知の差に帰結すると感じていますが、
それで悩む職場のリーダーさん解決策を求めて、
コーチングやカウンセリングを学んでも、
本当の答えは得られないと思うの。

「そんなに困っているならなぜクビにしないの?」というのは、
雇用や管理をする側に立ったことのない方の発想かもしれず、
やはり一人の人間を解雇するということは、
今は非常に慎重にならざるを得ない負荷とリスクを伴う作業です。
だから誰もあまり手を染めたがらないし、
育成を丸投げされた中間管理職の方は、
孤立無援で日々深く苦悩したりするんですよね。

今日はそういったかつての自分のような方の参考なれば、
という思いで書きました。

    *    *    *    *    *    *

先日依頼された方は30代後半の男性で、
小野さん(仮名)と言います。

電話の応対がよろしくなくて、
しょっちゅうクレームを作っているとのこと。
決してかみ合わないわけではなく、
内容も間違っていないのですが、
お客様の言葉にあまり耳を傾けずに延々と説明を続けるので、
お客様が段々不満に感じて来たり、
口調がボソボソとして否定的なので、嫌々話していると思われて、
「その態度はなんだ!」とお客様を怒らせてしまうらしいです。

関係者は皆知人ですから、
時間をもらってそれぞれにヒヤリングしてみると、
職場で嫌われていることはなさそうです。
むしろ独自のキャラとしてポジションが確立している?とのこと。
仲間たちは何かあっても「ネタ」で流せますが、
お客さんはそうはいなかいよねぇ…とのことでした。

「仕事は普通にできますよ。」
「ただ声がねぇ。。。暗くて声小さいし滑舌悪いし、
いつでもモゴモゴしていてあれはよくない。
でも直せっていうといきなり怒っているみたいな言い方になるし、
中間がないんだよな、中間が。
しかも、またすぐにモゴモゴに戻っちゃうし、
どうにかならないもんですかね。」

…というわけで皆さんの意見を聞くと、
「まずは明るくて適度な大きさの声が出るようにして欲しい」
というのが全員の一致したリクエストでした。

えー、そっちかい?と内心思いつつご本人にお会いすると、
前の仕事のときに同じフロアで何度か見かけた事のある人でした。
「あ~この人か!」と納得しました。
顔立ちが特徴的な感じの人だったので、
(大変申し訳ないのですが)あの人って仕事できるのかなぁ?
と思ったりして少し印象に残っている人でした。

    *    *    *    *    *    *

支店長さん(依頼主、知人)に「二人だけにしてくれ」とお願いして、
ご挨拶も兼ねて面談してみると、
やっぱり会話が続かないなぁ。。。

何か尋ねてもすごく短い回答が、
ポツリとひとこと返ってくるだけだし、
それと、共感できるトークがないですね。

支店長に「これでダメならクビだ!」と脅かしてあるから、
本人も状況をよくわかっているはず。
ストレートにビシビシやって欲しい、と言われていたのですが、
「今の状況を自分ではどう思っているの?」と聞いても、
「自分は電話応対ができていないので直さなければいけない」
「お客様を怒らせてはいけない」
「お客様の立場に立っていない対応はよくないと思います」等々、
「○○であるべき」は出てくるんだけど感情が出てこないんです。

例えば「頭ではわかっているけどうまくいかないんです」とか、
「自分では問題ないと思っているので納得できません」とか、
あ~うんうん、そういうことってあるよね?と頷ける回答なら、
そこからコーチングとして掘り下げていけるんですが、
これだとつかみどころがないですね。
(だから、何を言われても一向にこたえないなどと、
周りから言われるんだよね^^)

なので、あ、この感じね、と思いながら作戦を切り替えて、
生い立ちを詳しく尋ねることにしました。
そうするとこの種の研修ではとても多いことなんですが、
やっぱり過去にいじめられているんですよね。

職場でも何度か変わった先々で、
精神的に傷つくような事が多々あったようで、
特に契約社員だった時の契約終了の経緯に関しては、
終了を知らされずに普段通り出社して周りから教えられたようで、
「ひどいと思いませんか?」と、
ようやく心に触れられるようなお話が出てきました。

いじめなどで傷ついている人は、
なかなか感情を表に出そうとしません。
というか、他人と関わっていいことがなかったので、
「他人と関わらない、関心を持たない」というのが、
長年の学習結果として、
無意識のマインドになっているように思います。

ですが今の小野さんは、ものすごく仲間に恵まれています。
誰も小野さんをいじめないし、人として否定する人もいないし、
独自キャラとしてネタにされつつも皆に愛されている気がします。
これはこの会社さんの社風でもあるんだな、と痛感。
この会社さんは事業的にも個性に理解のある会社さんなんですよね。

    *    *    *    *    *    *

さて次に私がやろうと思ったことは、
自覚と行動の修正です。

直すべきところがなかなか直らないのは、
・ご本人がそれで大きなデメリットを感じない
・直し方がわからない
の両方だと思うんです。

デメリットというと軽い言い方ですが、
(ひどい例で恐縮ですけど^^)
電話で苦情を作ったら島流しに合うとか姥捨て山に捨てられるとか、
身に危険が及ぶぐらい重大な事なら誰でも必死になると思う。
でも減給やクビなどの社会的な危機は、
あんまりムチにならない事が多いというか、
今までの自分の歴史であきらめ癖がついている人には、
そんなに効果がないような気がします。

なので今回は私と会話する様子をビデオに撮って、
その場で見てもらう事にしました。

ですがこれは失敗に終わりました。
なぜなら、いつも上司に指導されているのだろうと思われる事しか、
彼の口から感想として出てこなかったからです。
本当は違うのかもしれませんが、感じた事を言っているのではなく、
何もよく見ず何も考えずに、普段自分が言われている事を、
ただそのまま機械的に口にしているように感じられてしまいます。

あ、そうか。ということは、
自分の頭の中で自分に対して、
思い描いているイメージがないんだな。

たいていの人が自分の映像を見たくないのは、
自分の中のイメージと大きなギャップがあるからです。
だから「うわ~姿勢悪い」とか「思った以上に落ち着きない」とか、
こちらが何を言わなくても的確な感想を述べてくるわけです。

てことはだよ???そうだ!比較対象する映像があればいいね。

そこでふと思いついて、
YouTubeの私と友人がしゃべっている動画を見てもらいました。
これは友人が主催するイベントをPRしてあげようと思い、
見どころなどをインタビューして私がアップしたものですが、
こんなところで役に立つとはね!

私は小野さんから、
いい感じの感想を引き出すのは難しいと感じたので、
こちらで解説しながら見てもらいました。

「まず表情。ね?こっちは笑ったり真剣になったり色々でしょ?
小野さんはあんまり表情、変わらないよね。」

「それから話のテンポ、スピード。
こっちの人は結構ポンポンとリズミカルに話しているけど、
小野さんは、途切れ途切れだし声もよく聞こえないね。」

「あと、こっちの人はインタビューされている立場なのに、
結構私に色々聞いてくるでしょ?
『今のってどういう意味?』とか『どの辺から話せばいいの?』とか。

「それと、一番違うのは反応だと思わない?
ほら、もう一回よく見て?
私がここでしゃべって、この人が「うん」と言って、
私が話を続けてもずっと、「うん」「うん」と首を動かして、
どこでも合間合間に反応してるでしょ?ここが一番違うよね。」

こういうときは、内容云々よりも、
見て誰もが一発でそうだとわかる見た目の違いのほうが、
説得力があるんですよね。
なのでなるべくそんなところをピックアップ。

小野さん
「全然違いますね」

おー、いいですね。その調子^^

    *    *    *    *    *    *

この研修は3回シリーズで行いましたが、
その3回目は行動の修正。
つまりここでは「声を大きくはっきりと」です。
そうです。仕上げです。

「大きな声ではっきりと話してください」

そう言われればたいていの人は、
その場でそういう話し方をすることができます。
「大きな声」「はっきり話す」のがどういう事か、
考えなくてもわかっていて、
しかもどう行動すれば(発声や口の開け方)それが可能か、
考えなくてもできるからです。

ですが、指導しても直らないスタッフさんというのは、
そこがちょっと違うと思うんですよね。

そうでない方は、
相手が思っている「大きな声」とはこのぐらいの大きさだろう…
というのが何となくイメージとしてあって、
そこを目指して声の大きさを調整していると思うんです。

けれどそのイメージがなかったり、
極端に合っていなかったりすると、
なかなか相手の要望する通りにはいかないと思います。
「はっきり話す」も同様。

だからこの場合は、「声を大きく」「話し方をはっきり」
などという基準の曖昧な主観的な指示ではなく、
10人の人が聞いたら10人が全員できるような、
指示の出し方を考えなくてはいけないと思うんです。
そのためには目標の指示ではなく行動の指示なんですよね。

    *    *    *    *    *    *

それはわかっている。
でも一体何て言ったらいいんでしょうね?

今思うと笑っちゃうんですが、最初は、
「歯を見せて話せ」って言いました(笑)

だってほら、やってみて?
そうすると自然に口があくでしょ?
それで声は出るはずです。
かつ口角が上がるので声に温かみが出るし、
滑舌もよくなるよね。

ですがなんとなくギクシャクしてやりにくそうなので、
これは失敗~^^

だったら…あ、そうか、いいと思う人の真似をしてもらおうか!

「小野さん、自分の周りで電話の話し方がかっこいい人っている?」

「黒沢さん…ですかね。」

「声大きい?(はい)はっきりしている?(はい)」

「じゃ黒沢さんの真似をして
黒沢さんのように電話で話をしてみて。」

これはヒットしました!
信じられないぐらいいいトーク!!うひょー!!

「おー、すごくいいじゃん!」(大拍手!)

「じゃ、私がお客さん役をやるから、
今の感じで自分が黒沢さんだと思って、
黒沢さんになりきって私としゃべってみて。」

これも素晴らしかったです。
いいね、いい感じです。

    *    *    *    *    *    *

結果的にこの3回の研修を通して、
小野さんのトークは劇的に変ったらしく、
「いったいどうやって指導したんですか?」という話になり、
その後「ダメダメスタッフ指導法」という内輪向けテーマで、
その会社さんのリーダーさん対象のプチ研修になりました。

この会社さんのよいところは、
一風変わったスタッフさんでも受け入れる下地があることです。
前述のようにそれは社風にも反映されていて、
コミュニケーションがうまくいかない人の特性の話なども、
抵抗なく耳を傾けて皆が納得して協力してくれるので、
小野さんは仲間達に本当に救われていると思うんです。

プチ研修でリーダーさん達にお願いしたのは、
「小野さんは今はいいけど放っておくと自然に戻るかもしれないから、
何気に周囲で気を配って、
できているときはほめたりして意欲を維持してあげてくださいね。」

「それから、『黒沢さんのように話す』という指示を出すと、
その黒沢さんという方の悪いところや癖まで、
身についてしまうかもしれませんが、
そこはスルーしてあげてください。
【大きな声ではっきり】ができていれば他はスルーでいいです。
周りが欲を出して『そこはいいけどここはダメ』という言い方をすると、
小野さんはきっと困惑して結果的にどれも全部できなくなるので、
周りの人はそこはブレずに、黒沢さん一本で行ってください。
指示はあれこれ言わずに、ひとつだけのほうが従いやすいんです。」

    *    *    *    *    *    *

ここまで書いていて少し読み直すと、
30代後半の男性なのに、
私、ずいぶん小野さんのこと低い立場のような書き方ですよね^^

違うんです。
実は小野さんって職場のマスコットアイドルなんですよ。
年齢より10歳以上も若く見えるし丁稚とか小僧さんぽくて、
なにかあると「また小野かー?」って皆に言われて、
面白い話があると、
「今のって小野に話したらまたグヒヒって笑うよな、あいつ」
とか言われていて、だけど決して、
嫌われているわけではないという不思議キャラなんですよね。

「何を言ってもコタえないから、
こういううるさいお客さん対応は小野にさせよう!」とかね(笑)

だから実際の小野さんや周りの人達を想像して書けば書くほど、
その雰囲気が文面にも出ちゃいますね。

それだけを補足して今回の記事を終えることにします。

 




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