働きたくないっ!(完)~結論
夫と自営業をやってきて、
公的な融資を受けたり、
銀行からお金を借りた事もありました。
ですがひとりで仕事を始めてみようと思ったときに、
そういった事を全く考えなかったのは、
そのときに定期的な仕事が入っていたこともありますが、
何がどうなるんだか、すべてにおいて想像したこともなかったから。
コーチ資格は民間資格で受講と受験で50数万かかるので、
そのときに銀行から借金はしていますが、
それは会社員として定期的な収入があったからで、
その見通しがない状態でお金を借りるというのは、
自分には全然想像がつきませんでした。
少し前に調べて、そういった個人に対しても、
起業支援として貸付をしてくれる制度が、
あるように感じましたが、
もし相談に行っても、どう言われるかわかっているんですよね。
「返済のためには、
どんな方法で売り上げを伸ばしていく予定ですか?」
それはとても当たり前の質問なので、そこで(たとえウソでも)、
胸を張って述べられる具体的な計画がないと、
相手にされず、話にならないのは承知していました。
「今後どうしていきたいですか?」それは、コーチとしての私が、
真っ先にクライアントに尋ねる質問でもあります。
そこが曖昧な人には、「だったらそこから考えてみてね」と言うもの。
けれど、「働きたくないっ!」 ただこの一心で、
あれやこれやと必死に逃げ道?を考えてきたおかげで、
今の私は、「こんな風に進めたい」という具体策があります。
ささやかでもそういった作戦を思いついた時に、
初めて、相談に出かけて行ってもいい気持になりました。
面接は終了し、あとは週明けの結果を待つだけでしたが、
関わってくれた人達に迷惑をかけないためにも、
そこに相談に行って担当者と話をして、
自分の心をきちんと決めるヒントが得られたら、
その日のうちに腹を決めて、
もうあとは迷うのをやめようと思いました。
* * * * * *
ホームページで3人いる相談員の経歴を読み、
私が「いいな」と思った方は、元飲料メーカーだという佐藤さん。
「行くならこの日しかない」と相談に行こうと決めた日が、
まさにこの方の担当日だったので、
ツイている気がして、追い風を感じます。
恐る恐る受付に立って、
「起業支援の相談に来たんですけど、
本日担当の佐藤さんはいらっしゃいますか?」と伝えると、
すぐそばの席から、「あ、俺だ!」と立ちあがった人がいました。
それが佐藤さん(男性/60歳前後に見えます/仮名)でした。
私はすぐに面談ブースに通されて佐藤さんと向き合いました。
(えーと、何をどう説明したらいいのかなぁ…)
取りあえず今までの経緯とか現状とかを話し、
今後もっと売上を上げていきたいと言いました。
「なるほどねぇ…ここは起業支援の相談窓口だけど、
ぷらたなすさんの場合は、もうすでに起業しちゃっているんだよね。」
「はい。」
「うーんっと、どうしようかな。どっから行こうかな。」
ハッ!!違う、違う、私は相談しに来たんじゃないんだ!
本当の目的は、お金を借りたいんだよ。
今までの私なら言いにくい事を言うのに躊躇したかもしれませんが、
今回、「目的のためには伝えるべき事をきちんと伝える」という点で、
自分に気弱な一面がある事がよくわかったので、
そこは改善すべき点と思ってました。
今までの仕事柄、職場の管理者・指導者・責任者として、
他人に物事を明確に伝える部分はできていましたが、
ビジネスとして、自分の意思とか、打診とか提案とか、
料金・お値段などを告げるには、
まだまだワタクシ、修行が足りないんですよね~
「あの~、ご相談と言うよりも、
今日はお金を借りられるかどうかを聞きに来たんです。
私、お金、借りたいんです。
私のような業種で、しかもまだ先行きの見えない個人が、
この段階でお金を借りるということは、可能なんでしょうか?」
佐藤さん、少し考えたあと、
「可能性はゼロではありません。ある事はあります。」
お!あるんだ!
「ただね、やみくもに借りたいと言っても、
返す当てがなければしょうがないし、
この場合は、ぷらたなすさんが、
どれだけたくさんの見込み客と"直接"接して、
ビジネスのチャンスを広げていくかどうかという点に尽きるし、
すべてはそこにかかっている思うんだよ?」
(おー、来た、来た、予想通りだぜ(笑))
「はい。実は90分で3万円の企業向け講座というのを、
やろうと思っているんです。
コーチングというと個人向けの意味合いが強いのですが、
私はそれに加えて人材育成をもっとやってみたいんです。
通常社員研修だと先輩達は1日で20万以上取っていますが、
今の私はまだまだそこに至っていないかもしれません。
だったら社長さんのポケットマネーでも可能な3万という金額にして、
その短時間の3万円の講話が10本取れれば30万…
そんな感じでまずは物事を小さく区切って、
できるところからやってみようかな、と思っています。」
「なるほど。でもそれを誰に勧めていくの?当てはあるの?」
「はい。実は私、ある法人会に入っているんですが、
そこで集めた名刺が400枚ぐらいあるんです。
それと、たまたま今までの書き損じ年賀状を、
まとめてハガキに交換したらちょうど400枚ぐらいになったんです。
なので、そこにまずDMを送って、
そこから広げていきたいと思っています。」
「あぁ、いいね、直接アピールできる手段があるわけね。」
「直接というわけではありませんが…」
「いや、相手を指名して直接届くんでしょ?
だったら"直接"ということになると思うよ?
だったらね、一度に出さないで、
地区をいくつかに分けて出しなさい。」
「??分けるんですか?」
「そうそう。だってもし。
もし万が一に、だよ?
たまたまいい反応が続いて、
『お話を伺ってみたい』となったときにだよ?
午前は県の最北端、午後は県の最南端では、
非常に営業効率が悪いし、身が持たないし、
実入りが少ない割に稼働ばかりが増えて来るから、
それでは経費も増すし、ちっとも稼いだ事にはならないよね。」
「なるほど~」
「だから、営業アプローチを掛けるのならば、
地区と時期をまとめて分けて、
いざというときにはなるべく効率よく動けるやり方で、
やったほうがいいんじゃないかな。」
「はい。」
「あとね、反応があったら"すぐ"行きなさい。
いいですか?必ず、"すぐ"行くんですよ?
こういう話ってまとまる時は、一発でまとまるんです。
だから、それがもし「申し込みたい」という連絡であっても、
電話やメールで終わらせないで、
次の日にでも必ず"すぐ"行く事です。」
「はい。」
「そして、『あらためてご説明に上がりました』と言って、
きちんと期日をその場で決めて、確定してしまいましょう。
それにあなたの持っている、他のメニューあるでしょ?
その3万円何とかに限らず。
それもついでに説明して、なーに、もし担当者がそれを聞いて、
あ、そっちのほうがいい!となったら、こんないい話ないでしょ?」
な・る・ほ・ど…
この人って今はコンサルタントさんだけど、
元々は営業さんだったのかな?
言っている事のひとつひとつに説得力があって、
自分の感覚によくしみこみます。
それと同時に、
私の耳がすかさずキャッチしたキーワードがありました。
それは、"すぐ"という言葉。
"すぐに"連絡して、"すぐに"アポを取って、
"すぐに"訪問する。
私はお話を伺ううちに、「これだ!」と思いました。
もし面接が通って職業相談員に採用されてしまったら、
DMは出す事ができても、この"すぐに"ができません。
それでオーダーを取り逃がしてしまうのならまさに本末転倒で、
補てんと考えているその仕事でしか
収入が得られなくなってしまうし、
だったら、最初からもっと給料のいい、
固定的な仕事に就けばいいんです。
佐藤さんの話しぶりから、頑張れば可能性があるとわかり、
私はその時点で腹を決めました。
オーダーを取るために"すぐに"対応する。
ある程度それができるためには、
私は何にも固定されないフリーの状態でなければならない。
相談員の仕事に就いて、それが可能だろうか。。。
断ろう。
決めた。やっぱり断ろう。
今思えば、要はなんでもよかったんです。
自分が納得して乗り越えて行ける、
強い根拠が欲しかったんですよね。
今日は金曜日。通知は翌月曜日。
今日のうちに連絡して応募を取り消すことにしよう。
そしてなんとかお金を借りて、
やりたい事をこのままのスタイルで続行するほうに賭けてみよう。
そんな風に思いました。
* * * * * *
私は佐藤さんと次回までにやって来る事を確認し、
お礼を言って相談室を辞したあと、
そのビルの公共スペースのベンチから、
ハローワークに早速電話。
そして今回の応募を取り消したい旨を告げました。
担当者はあいにく不在でしたが、
取り次ぎの女性は、よいも悪いも何もなく、
「わかりました。伝えておきます。」と淡々と応対し、
「履歴書は後日返送します」と言って、
あっけない感じで電話が終わりました。
…と、持っていたPHSが急に鳴りだしたので、思わずびっくりして、
ハローワークから何かの確認かと思ったら、
電話の主は、私が今回応募したハローワークに勤めている、
友人のAnneちゃん(60代前半女性/仮名)でした。
「こんにちは~!面接、どうだった~?
そろそろ終わった頃だと思って!」
あらら…^^;
「それがさぁ、終わった事は終わったんだけど、
断ろうかどうか迷っているのよ。」
本当はもう断ってしまったのですが、
Anneちゃんは、私と一緒に働けるのをとても楽しみにしているので、
事実は伝えずに、予告にとどめておきました。
「あら、それはまたどうして?
ぷらたなすさんなら、絶対採用だと思うよ?
ぷらたなすさんのような人には、もう絶対に来てほしい!
説明聞いて、仕事、嫌になっちゃった?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど…
やっぱり、これからもコーチとか講師とかを、
やっていきたいと思えば思うほど、
たとえ月/15日でも、他の事に自分が固定されるのは、
色々な意味で、段々辛いと思うようになってきて…」
「なるほどね。
でもそれって、結果が出てからでもいいんじゃない?」
「いや、もし採用だったら逆に迷惑をかけちゃうので。
それは派遣会社だったときに、
自分のほうが痛い目に何度も合っているから、
そういうのは、やりたくないんだよね。」
「ふーん。でもさ、公共機関って、
ぷらちゃんが思っているよりはいい加減だし、
ドタキャンでも別に気にしないっていうか、
そういう甘いとこ、あるよ?」
「うん、まぁ、でも、自分の気持ちとしてね。」
そんな感じで電話は終わりました。
* * * * * *
翌、月曜日。
違う場所のハローワークの職業相談員に応募した、
コーチ仲間のやぶきまから電話が来ました。
「どうだった?」
「あ、私ね、色々考えて先週のうちに辞退したの。」
「え、そうなの?」
「うん。そっちは?」
「ダメダメ。だって1名のところに11人だもの、
予想通り、撃沈よ。」
「あぁ、そうだったの。。。」
そっか。やぶきま、ダメだったんだ。
結論から言えば、私は辞退した時点で、
すでに採用が決まっていたようです。
後日、Anneちゃんが、
「ぷらたなすさんが辞退したもんだから、
こっちの相談員は再募集がかかってたわよ?」と、
連絡がありました。
Anneちゃん曰く、
「あのあと、担当課長から電話が来て、
『いやぁ、一人に辞退されちゃってさぁ…
大至急、次の募集を打つから、
ごめんっ!!楽になるの、もうちょっと待って!』
って、私に謝って来たわ。」
うわ…申し訳ない。。。
でも…そうか。私、合格だったんだ。。。
今は何の未練もありませんが、それはそれはうれしいね。
その言葉を聞いて、私はジワジワとうれしさが広がってきました。
今は揺らぐ気持ちは全くないのですが、
ここで私は、ひとつ勲章をもらってそれが自信となりました。
私はこれでいいんだ。面接もあれでよかったんだ。
この経験が、後日長男の面接指導に大きく役立ち、
効果を発揮しました。
「私はあなたから、辞退するかもって聞いていたから、
すぐに、『あ、辞退したんだな』ってピンと来たわよ。」
「ごめんね~」
「いや、いいの。いいの。
ぷらちゃんは、やっぱり、
ああいうところに収まる性格じゃないもんね。
でも私は、やっぱり、
ぷらちゃんみたいな人にぜひ来て欲しかった。
そういう意味では、残念。すごく残念。」
申し訳ありません。
そうだ、三雪さんにも謝らなきゃ。。。
それにしても、せっかく金曜日のうちに連絡したのに、
次点の繰り上げではなく、新規に再募集というのは、
意外な感じがしました。
今回は、あんまりいい人、いなかったのかしら。。。
* * * * * *
そんなわけで、職業相談員応募を辞退し、
この件は、一切が白紙に戻りました。
けれど、本来知るすべがなかったはずの合否結果を知って、
自分の立ち位置の色合いが大きく変わりました。
それは、「応募をただ取り消した」のではなく、
「採用が決まっていた職業相談員の仕事を蹴って」
自分の意思でこちらを選んだ、という、
毅然とした考え方への変化です。
それによって、私の視点は完全に前方に定まり、
雑念が消えてクリアになってきました。
ここから先は腹を据えて、
前よりもぶれない覚悟で進んで行けそうな気がします。
それにしても私のやる気に火を付けた、
最高に強力なキャッチフレーズが、
「稼ぎたい」「お金持ちになりたい」「成功したい」ではなく、
「働きたくない」だったなんて、
私も、ヘンな奴だなぁと思いますけどね(笑)
でもそれが何よりも一番でした。
なんとしてでもそれだけは避けたいと、
途中から本気で思い始めましたもん。
「働きたくない」=「雇用されたくない」なのですが、
時間や場所や規則や人間関係に縛られずに、
思った事を思うままに試してみて、
自分なりの結果を作り上げていきたいんですよね。
たぶんたいていのフリーランスの方には、
この「働きたくない」思いがわかっていただけると思います。
このあと私は、「お金を借りる」という事が、
思ったよりも時間のかかる面倒な作業である事を知るのですが、
ひとまずこの話題は、これで終わりにしたいと思います。
次からは、この間に私の周りで起こった、
日々のネタなどを書いて行こうと思います。
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