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2009.05.03

思ってないから言えないんだな

昨日は、元の会社に頼まれて、
連休明けにクライアント企業の、
昇格試験を受ける契約スタッフさんの、
試験対策研修をしました。


といっても、もう、現場から離れて随分経つし、
ここのところ会社とも接触がなかったので、
元同僚から急に電話が来て「頼むよ~お願い、やって☆」と、
突然言われても、いったい何をどうやればいいのか、
雰囲気さえもよくつかめません。


「だって、急に決まったんだもん、こっちだって大慌てよ。」


「それはいいけど、結局何をすればいいのよ?」


「テクニカル(技術ノウハウと知識)は先輩スタッフを呼んで
明日やるのね。
で、ぷらさんには、面接とか集団ディスカッションとか、
そっち対策をお願いしたいの~♪」


「え~、昇格試験ってそんなのまでやるの?」


「そうなの~。」


「いや、だってさ、
カミちゃん(30代後半女性/仮名)は簡単にそう言うけど、
私、その職場が求めている人間像とか、
企業がリーダーに何を期待しているのか、とか、
そういう雰囲気が全っ然わかんないよ。
それって企業によっても担当者によっても、
本当に全然違うんだからね?」


「だからさ~、俗に言う面接対策?
ほら、よく就職情報誌とかに一般論が載ってるじゃん、
そういうやつの、ぷらさんバージョンでいいからさぁ…」


(心の声)
…と急に言われても…


皆さん、よく覚えておいてね^^!
研修を依頼される講師というのは(マジメな人は(笑))
「結果を出して相手の役に立ちたい」と色々考えているので、
より効果を上げるためには、
詳細な情報がすごく欲しいものなんです。。。


「うーん、なんかイメージわかない。見当がつかない。
だってそもそも、あの仕事(コールセンター)って特殊じゃん?
一般会社の非常識がコールセンターの常識って事もあるし、
その逆もあるし、どんなリーダーが望まれているの?現場では?」


「それが、本当に急な話だったんで、
そこまで詳しくヒヤリングできていないんだよねぇ…
とりあえず一般論でいいからさぁ。。。」


一般論って言ってもねぇ…


まぁ、いいや。
コーチングでは「答えは相手の中にある」という言い方をよくします。
そんなのはたぶん、こんなことを突然頼まれる外部の私よりも、
中で働く契約スタッフさんのほうが、よっぽど肌でわかっているはず。
だったらその、"期待される像"に自分が合っているかどうか、
ビデオに撮って見せて自己判定してもらえばいいんだよなっ!
うん、それで行こうっと!♪


そんなわけで昨日は、
ビデオカメラ、三脚、ノートPC、
プロジェクター、PC用スピーカー等々を全部自前で準備して、
(だってビデオも三脚もスピーカも会社にないんだも~ん^^)
まるで旅行にでも行くかのように大きなスーツケースに詰めて、
セッティング撤収も全部自分ひとりで行う代わり、
事前の資料作成が一切不要というズルイ研修をしてきましたよ。


    *    *    *    *    *    *


前にも何度か書きましたが、ビデオに撮るというのは、
受講者のパフォーマンスの改善に大きな効果があります。
「人に向かって話をする」というとても主体的な行動を、
あとから自分で見るのは客観的な自分を知るのに最適です。


だいたい、そんなの、見たい人がどこにいるでしょう?
いないよね(笑)?
なぜなら、とってもカッコ悪くて見たくないからです。
なぜ「カッコ悪くて見たくない」かと言えば、
自分が思っている自分と大きなギャップがあるからです。
人はそれを正視したくないんです。


ですが、研修メニューとして採用すると、
「見たくないものを見せられた」結果として、
すごくたくさんの、自分に対する発見や気付きを得るんですよね。
場合によっては障害もあるかもしれませんが、
個人的にはお奨めです。


ということで、そんな感じでまずは自己紹介。
制限時間1分。
(実は1分は長いです)
参加者の自己紹介を撮影して、
すぐに全員で見る。


さぁ、どうでしたか?~


Aさん
・落ち着きないね(笑)
・言った後で笑ってごまかす。
・颯爽とした言い切りがない。
・合間によく服の袖をつまんで上げる
・トークがダラダラ。
・フレンドリーは好感ですが、締りがないかも。
・話し方が暖かく寛容な印象。


Bさん
・姿勢がいいね。重心が安定していて体がぶれない。
・表情が硬いです。
・手足に動きが全くない。
・クールな印象。ちょっと理屈っぽいかな。
・○○なので○○だから○○して…という延々としたトーク


Cさん
・一番親近感があるが何を言いたいのかよくわからない。
・姿勢が悪い。体がよく揺れる。あと鼻によく手が行きます。
・頭がよく動く。視線も安定しない。
・語尾が曖昧で自信なさげ。
・一番落ち着きがない。たぶんそそっかしい人かも(笑)
・でも人情味を感じます。


なんてことを、皆さんが、自分で感想を述べてくれるのだから、
講師としてこんな楽なことはないや(笑)!


じゃ、次。
同席のカミちゃん、面接官になってね。
リーダー志望の動機を言いましょう。


いやぁ、そしたら、これが最悪(笑)!
3人が3人とも、いったい何が言いたいのか全然わからんっ!
頭に浮かんだ事をただつなげてそれを口に出しているだけで、
しかも中身は誰でも思いつくようなありきたりの事。
「今までの経験を生かして」とか、「人の上に立つのが好きで」とか、
わずか数十秒のセンテンスでも、
聞いていてダラダラとあまりにつまらないので、
私などはすぐに自分の注意が他に移っていくわ(笑)。


なので一回り終わっても、私、
全然、話が自分の身に入りませんでした。
ビデオ撮りながら聞いたから、集中力に欠けていたのかなぁ…
講評を伝えるはずが、誰が何を言ったのか、
全然仔細に覚えていないんだよね。うわ、どうしよう?


困っちゃった私は、話の場つなぎに、
同席していた会社の営業担当のツッキー(20代前半女性/仮名)に、
「それじゃ最後に、営業の築山さんにもやってもらいましょう(笑)」
と、とっさに振ってみる。


ツッキー、「えーーー!!!私ですか~!!!」と言いつつも、
スタッフさんの手前、そこは自覚と強い業務意識で(笑)、
すぐに、「わかりました」と腹をくくる。そうだ、それでよし(笑)!


ツッキーの(なりきり)志望動機:
「私はリーダーとして一番大切なものは、
スタッフの皆さんとの信頼関係だと思います。
今、職場ではうまくいかないこともたくさんありますが、
スタッフの皆さんとの信頼関係があれば解決していけると思います。
そうやって今以上にチームワークを強化して対応品質を上げ、
お客様に喜んでもらえるコールセンターを作っていきたいと思い、
今回の試験に応募いたしました。」


おー、これはストンと入ったね。
すごくありきたりなんだけど、フムフムと聞けました。
え?どうして?
スタッフからも、「さすがだ~」という声が上がる。


じゃ、アタシもやってみようかな。
「カミちゃん、私にも動機を尋ねてよ!」


「オーケー。
じゃ、ぷらたなすさん。(カミちゃん、改めてこちらに向き直る)
ぷらたなすさんは、なぜ今回のリーダー試験に応募したのですか?」


「はい。
スタッフの皆さんが充実して意欲的に働ける、
コールセンター作りにぜひ役に立ちたいと思いました。」


私の口からとっさに出たセリフの一発目が↑これ。
直前までマジで何にも考えていなかったんですけど、
これ以後も、聞かれたことにはスラスラと、
自分が普段思っていることを自分の言葉で話すことができました。


あ!!!そうか!なるほど!!
自分で言ってみて初めて気がつきました!


ポイントは、仕事に対する自分の意思の有無なんだね!
ツッキーは営業担当者として、
私は元現場責任者として、
職場をどんな風にしていきたいのかが常に心の中にあったので、
問われたらその思いを語ればいいだけなんです。
何を考えることもなく、言うべき言葉がすぐに思いつきます。


今回の3人のスタッフは職場に対して、
何をどうしたいという意思表示がなく、
自分の個別事情と正論だけでまとめているので、
相手に全然響かないんだ。。。
なるほど~!!!わかった!


    *    *    *    *    *    *


じ、じ、実は、ここで少し種明かしをすると、
今回の3名はうちからのお願いで応募してくれたらしいんです。


最近、職場ルールの見直しがあって、
諸事情により緊急で各社ともリーダーを増やさなければならず、
どこも焦ってリーダー昇格試験の合格者数を増やすことに、
鋭意努力しているとのこと。


その経緯では、候補のスタッフに、
意思も方針も考えもそんなに強くあるわけがないと思います。
なのでたぶん、そこが弱点になるのかもしれません。


私は皆さんに言ってみました。


「実は今皆さんの志望動機を聞いていて、
ちっとも心に残っていないことに気がつきました。
でも、ツッキーの話だけはすごく覚えているんです。
(全員うなずく。ぷらさんのもなかなかよかったよ!←ありがとう!)
なぜだと思いますか?」


「……」


「あのね、私、たった今気が付いたんですけど、
ツッキーと私の志望動機には、自分の強い"意思"があるんです。
ツッキーは、お客様に喜んでもらえるコールセンターを、
"作りたい"って言ったよね?
私も、確か"役に立ちたい"って言ったような気がします。
今話してもらった志望動機の中に、
皆さんの"○○したい"という気持ちは入っていたでしょうか?
(全員、苦笑して首をひねる)
あはは!忘れちゃったよね?
では、その観点で今からビデオを見てみましょう!」


そうだよなぁ、思っていないことは言えないのだ(笑)
だったら、今から試験までの間、
自分がリーダーになったら、何をしたいのか?
職場をどうしたいのか?どんなコールセンターを目指したいのか?
そんなところをじっくり意識して考えてもらうのも、
ひとつの方法かもしれません。


それが、口下手でも途切れ途切れでも噛み噛みでも、
自分が思う自分の言葉として相手に提示できれば、
案外勝機はあるんじゃないのかしら。
でも、責任者の経験がある人や営業経験者の、
切実な思いから来るリアル感には負けるかもね。
要はどれだけの想像力で、
どれだけ真剣にスタッフとセンターとお客様との、
全体の利益を考えているかどうか、なんでしょうね。


リーダー昇格試験は、どうやら難しい試験らしいです。
テクニカルスキルのテストも難しいし、
面接や集団ディスカッションの模様も、
ビデオに撮って本社に送るんだってさ。
すごいね。そこまでやるんだ。


私が居たコールセンターはそのあたりは甘々で、
それでもなんとなく適任者はなんとなくリーダーに上がって、
なんとなくセンターはそれほど悪くもない感じで、
なんとなくいい雰囲気で運用されていたように思うけど、
今はCSもESも企業側の意識が高いので、
何かと段々厳しくなって行っちゃうんだねぇ。。。


さて昨日の研修は大好評で、
「見たくないものを強制的に見せられて、
自分のクセや相手からどう見えるかがよくわかった。
こんな機会は滅多にないので、大変貴重でした」
という感想をいただきました。


おいおい、「見たくないものを見せられて」って…^^;
まぁ、いいです。
それを言って来た人はかつて私と同じ職場で仕事をしていた、
気心の知れた旧知の元スタッフなので許します(笑)。
連休明けは、ぜひ頑張って欲しいですね。
うちのお願いであれなんであれ、
自分の意思で了解をして臨むのですから、
この機会をチャンスととらえて、
ぜひいい結果を出して欲しいものです。
 

 
 

 
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