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2008年1月の9件の記事

2008.01.24

他人情報がない

この前の日曜日は、友人であるクライアントさんと、
ランチを食べながら対面コーチング。
実はこの人なんです。すべてに口が重く、
セッションもなかなか充実したやりとりにならずに、
コーチングがなかなか機能しない人って。

彼女、水野ちゃん(30代前半女性/仮名)は、
地元では一番の大学を出ていて秀才のはずなのに、
お仕事は、一見「さえない事務員」さん。
(学歴を聞いて私のほうがびっくりした!)
それは同世代の女性のように元気でタフな明るさがなく、
どんなにいまどきの服、いまどきの髪型をしても、
なんとなく"地味"と"野暮"を、
感じさせるようなキャラクターだからなんですが、
でも、仕事はすごいの!早くて正確!凡ミスがない!

細部に渡って細かくルール化されているような、
そんな作業が昔苦手だった私は、
若い頃の事務作業は結構ミスが多く、
それを自覚するが故の緊張感や焦りが、
更なるミスを生む悪循環だったので、
そんな私から見ると、
常に平常心と同じペースを保っている、
彼女の事務能力は秀逸に思えるし、
同じ仕事に就いている人達よりも、
ずっと優れているように感じます。
だから心から尊敬しているんです。
ネット好きで、私ととても話が合うことも、
親近感を感じる大きな要素です。

なんですが、私の知っているほかの人達同様に、
手腕のある女性事務担当者って、どこか雰囲気が固くて、
人としての柔らかさがあまり前に出ていないような気がします。
彼女もそうで、仕事中に仲間内で盛り上がるような事はなく、
周囲の少ない同職の人達と必要最低限の話だけをして、
必要な残業なら文句も言わずにバリバリこなすけど、
誰かと話が興じて職場に長居していることは絶対にない人。
終わったら帰る。すぐ帰る。
同僚と連れ立ったりせずに一人で帰る。

先日参加してコーチング勉強会で、
私は、自分の課題として、
「コーチングがなかなか機能しない人」というテーマを挙げて、
仲間達とディスカッションなどしたのですが、
そのときの私は、ずっと彼女をイメージして話をしていました。
私達のコーチは、「私の個人的な感覚ですが」と前置きして、
「自分は、エネルギーの返ってこない人…
コーチからエネルギーがただ出て行くだけで、
コーチングしていても疲れるだけの人…
そんな風にとらえています。」と言っていましたが、
非常に当を得た表現だと思いました。
なので、中盤を越えても水野ちゃんとへのコーチングは、
なかなか前に進まず行き詰っていました。

そういうときは朝から思案が続いていて、
出かけるのも少々億劫だったりするんですよね^^
でもまぁ、約束だからしょうがない(笑)。
お金もらってるし^^

    *    *    *    *    *    *

そんなわけで、日曜のお昼に、
パスタのプレートをはさんで向かい合った私達でしたが、
水野ちゃん、相変わらず口が重いです。
前の日記の猪飼さんと同じように、
何かを尋ねても「うーん…」と長く絶句するばかりで、
理想、イメージ、憧れ、意見、感想、思惑などの、
心を映す言葉がほとんど出てきません。

なので、私は突然思いました。

「やーめた!」(笑)。

元々友達だし、日曜にわざわざ街中まで出かけてきてくれて、
お金を払って一緒にランチまで食べているのに、
楽しいことや愉快なことがひとつもないまま終わってしまったら、
なんだか彼女に申し訳ない気がしてきて、
「もう、いいや、コーチングなんて!」とそっちは横において、
完全に雑談モードに入りました。

そして話題にしたのが、先の「質問するのが苦手な人」の、
猪飼さんの話とか、今まで担当したいろいろなスタッフの話とか、
差し支えない程度の情報で、
実際にあった事、それで自分が感じた事、思っている事などを、
延々と独演会状態で話したわけです。

実はコーチングは相手にしゃべらせるスキルなので、
コーチがあまり語ってはいけないんですよね。
手元のテキストにも、
「自分の経験を話すときは100文字以内で手短に」
などと書いてあって、コーチが一方的にベラベラしゃべるのは、
あまりよろしくない事とされているんです。
もちろん、ガチガチのセオリーではなく、
「相手が望めば何でもあり」といった柔軟さは当然あるのですが、
通常クライアントさんのほうから、「もっとこうして」という事は、
ほとんどないので、どうしてもそこにとらわれてしまうわけです。

で、 あー、一方的にしゃべっているなぁ、アタシ…」
などと自分で感じながら話を続けて一息ついたら、
(結局、やめた!といいつつ、コーチングをあきらめていない私^^)
水野ちゃんが今までにない感じの関心で聞き入ってくれて、
特にこちらから尋ねなくても、それについての感想を、
淡々と切り出してくれるんです。え…これって何?
今までこんなに話してくれた水野ちゃんを見たことない…

お?と思った私は、ここがチャンス!と思って聞いてみました。

「ひとつ思っていることを言ってもいい?
水野ちゃんて、何かを尋ねたときの回答が、
他の人より少し時間がかかるような気がするんだけど、
それはどうしてなんだか、聞いてもいい?」

「うーーーーーーんーーー、そうかなぁ、うーーーん…」

あ、またいつもの水野ちゃんに戻っちゃった^^

「実はね、さっき話したあるスタッフさんみたいに、
質問の苦手な人だと、
(私の仕事場である)ユーザーサポートの現場では、
とても苦労するのね。
じっくり聞き取らないですぐに結論付けをするので、
間違ったり、苦情も多いし、そうでなくても人見知りなのに、
余計に電話が嫌いになってしまって可愛そうなのよ。
だから、私、そんなスタッフのためにも自分の仕事のためにも、
水野ちゃんからヒントが欲しいの。」

「あぁ、あぁ、なるほど。」

「例えば、私がさっき話した某スタッフさんに聞いたように、
私達がもしこの場で、初対面のAさん、Bさんで、
何か声を掛けないと気まずい雰囲気だったら、
水野ちゃんは私になんて声を掛ける?」

「あぁ……そう…ですねぇ。。。
自分もその人と同じように、基本的に知らない人には、
自分から声を掛けないので…うーん…
でも…そうだなぁ…もし、共通の誰かを待っているというのなら、
『遅いですね』ぐらいは言いますかね。
でもそれで終わりですね。
私って会話の続かない人なんですよね。」

「あぁ、そうか。ここに共通の知人のCさんの存在があって、
その人を、初対面同士の二人が待っているというのなら、
確かにそれが一番だよね。」

「でも、あとは、また黙って雑誌を読んだり、
携帯をいじったり…
私ってそういう沈黙があっても、
全然苦にならないんですよね。
うん、そう。
会話ってそういえば必要な事しか言わないですね。
連絡事項とか何かの伝言とか指示とか、
伝えたい内容があるときだけ言うって感じで。」

そうか。水野ちゃんにとって、
確かにそのシーンでの声がけは、
伝えるべき必須の内容がないし、
であれば、言葉はかけない、と。
というか初対面の人とのコミュニケーション自体が、
必要な事じゃないんだな。。。

「ねぇ、水野ちゃん、今もじっくり考えながら、
言葉を選ぶようにして時間をかけて答えてくれたけど、
そういうときって頭の中では何を考えてんの?
研修や指導の参考にぜひ聞かせて!
こればっかりは、友達じゃないと聞けないし。」

私は手帳とペンを取り出して耳を傾けた。
あなたの話が私にとって必要なもので、
それは私の役に立つとても有益なもの…
なぜそうしたかと言うと、
今思えばそれをぜひ知って欲しい、
一種のパフォーマンスだったかもしれない。

「そうですねぇ…やっぱり、
まず、『こんなんでいいのかな?』というのはありますね。
なんかこう、もっとこう、違う事を言ったほうがいいのかな?
と、思いつつも、浮かばないから、この辺にしておけみたいな。」

「なるほど~」メモメモ。(やっぱりそういう事もあるのか…)

「あとは…やっぱり、考えても全然何も思いつかないって言うか、
そもそも全然考えていないっていう話もありますね(笑)。
あ、そっちのほうが強いかな。
(急に語調が強まり)
私、やっぱり、他人には興味ないんですよね。
昔からそうなんですが、人はどうでもいいんです。
だからその人の事を知りたいとか、仲良くしておきたいとか、
そういう事を一切思う人ではないので、
何かを聞こうとも思わないし、考えもしないっていうか。」

「あぁ、あぁ、参考になるわ、そういう事なのね。
あ…でもちょっと前は、
いろいろエピソードに感想を言ってくれて、
それは、質問をしたときの水野ちゃんとは、
ちょっと違うように感じたんだけど?」

「あ、やっぱり他の人の話は、
聞いていて面白いですよね。
だから、今日はとっても面白かったです。
私、営業さんやぷらさんのように、
会社からは一歩も出ないし、
長年会社の人以外と仕事する機会もないし、
知り合う機会もないし、
あんまり他の人の話って聞いたことがないんですよね。」

あ…

私、ふと思った。

確かに水野ちゃんは事務担当なので、
いつも会社に居て同職の数人の人達とだけ、
連携して仕事をしている。
そんな水野ちゃんは今の職場以外の人と触れる機会もないし、
そもそも「他人に興味がない」のだから、
機会があったってそうそう親しくはならないだろう。

…と、するとだよ?
そうか!水野ちゃんの頭の中には、
何かを述べたり行動したりするときに、
比較参照するような他人の情報が、
他の人よりもとても少ないんだな?!
(そもそも収集の気持ちがないもんね。)

なるほど!きっと他人情報がないから、
回答の候補も選択肢もなくて、
自分が実際にやることしかイメージできないのかも!
だ・か・ら、予想外の質問をされると答えが出ないんだね?
誰にでもすぐに浮かびそうな、
平凡でありきたりの回答さえ出てこないのは、
きっとそういう事なんだな。
おーーーー!なんか見えた気がする!!!

    *    *    *    *    *    *

今までの私は、
コーチは自ら雄弁であってはいけない事を忠実に守り、
しゃべらせよう、しゃべってもらおう、と思って、
質問のほうばかりを工夫してきたけれど、
水野ちゃんみたいな人に対しては、
たぶん有効じゃないんだね、それって。

水野ちゃんは、いろいろな人の話をすると、
共感したり、「それってこうなのかな」と推論したり、
「そういえば、それで今思い出したけど」 と、
自然に自分から自分の話を聞かせてくれたり、
材料を渡してあげると、あげた分だけ返ってくるトークがある。
何かのエピソードを聞くと、それに対しての感情は、
ストレートに出てくる人なんだね。

うん、そう。 そうだ、やっぱり他人情報だな(笑)!
こっちから材料をたくさん見せてあげて、
そこで初めて挙がってきた意見や感想を、
丁寧に掬い取っていけばいいんだね!
あー、そういう事もあるという事か。なるほどね~。

今回クライアントになってもらって初めて知ったのですが、
水野ちゃんは意外にもセミナー好きで、
東京に行ったついでに東京の各種のセミナーに参加したり、
読んでいる本は自己啓発関係の本が多かったり、
「へぇ、そういう人だったんだ」と少し驚いたのですが、
もし本当に何かの現状を変えたいと感じているのなら、
自分に何かを取り込もうとするよりも、
身近な他人の生き方や考え方、動き方や話し方などを、
真剣にその気で観察してみるのもいいように思う。

他人に関心のない水野ちゃんに、
「他人に関心を持て」 と言っているのではなく、
そのままのあなたでいいから、
他人をたくさん眺めて、たくさん傍観して、
そのたくさんの自分なりの感想をストックしていけば、
ある日何かが変わるんじゃないかなぁ、と、思うんだよね。

    *    *    *    *    *    *

さて本日は水野ちゃんとの電話コーチングの日でした。

今度はもう迷わないよ。

私は最初から飛ばして?
自分の話、スタッフの話、自分の親の話、小さい頃の話、
そういった話をたくさんした。
すると思ったとおりに、
水野ちゃんからはいい反応がたくさんあって、
「会話が続かない」なんて、とんでもない!
おしゃべりな女の子同士の普通の会話のように、
途切れる事無く話が続いて、今日はとても楽しかった。
ついでに散りばめたコーチング的な質問にも、
よどみなく答えてくれた。
おー、なんだか、階段を一段上ったような気がする。

水野ちゃんの残りのコーチングはあと数回。
いつも思うんだけど、こういう気づきや発見は、
毎回、終盤以降に出てくるんだよねぇ^^
もっと早くに思いついていれば、
水野ちゃんのコーチングももっとよくなったかもしれないのに…
(すまないなぁ…)

けれどもし今度、
水野ちゃんと同じタイプのクライアントさんに出会ったら、
ためらわずこちらがたくさん話してみようと思う。

「コーチングと雑談は別物ですよ。分けて考えてくださいね?」

スクールでそう教えられたことを思い出すけど、
私は、そんな事など気にかけないで、
自分の自由なスタイルでいったほうがいいみたい。

といいますか、コーチングだろうが何だろうが、
誰かに自分の話をきちんと聞いてもらうことは、
その人の心の安定にとてもいいことなので(健康にもいい)、
あまり人とおしゃべりする事のない水野ちゃんと、
まずは楽しく話をすること!
私はまず、そっちを最初に考えないといけなかったんだなぁ。
水野ちゃんも、実はそんな期待で、
クライアントを引き受けてくれたのかもしれないしね。

さて、そうなってくると、
今度はそれを新人研修でも使いたくなってくる私です。
近いうちに、人見知りの猪飼さんや、
他人に関心のない水野ちゃんみたいな、
行動を問う回答にすごく時間のかかる新人さん、来ないかな。

もしそんな人が来たら、今度は、
架空のAさん、Bさんの会話をまず私が演じて、
それについてどう思うかを述べてもらうことにしよう。
そっからだなぁ…ちょっと楽しみ。
やっぱり何事もイメージが大事で、
イメージがない人には、まず、イメージを。これだな!
でも、実際にそれをやっているときの私を想像すると、
落語家みたいで受けますね。
 

 
 

 
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2008.01.18

質問するのが苦手な人

先週の某日、会社に頼まれて、
他の企業へ入れるスタッフ(女性)の事前研修を担当した。


と言っても、仕事は私の職場と同じ、
コールセンターのオペレーターなので、
今まであまり接触のなかった営業担当者から、
「こんな項目をやって欲しいみたいなんですが…」と、
企業が今回出してきたというレジュメを手渡されて目を通すと、
「あぁ、あぁ、なるほどねぇ…」と納得がいき、
共感と親近感の両方を感じた。


その会社はうちの顧客で、
おつきいあいが長い事を私も知っているが、
「せめてここまではそちらでやってくれ」と、
最近急に言ってきたという話を聞くと、
指導に苦慮するスタッフが、
この頃増えてきたのかな、なんて、
あれこれ考えたりする。


で、彼女、
営業の井上さん(40代前半女性/仮名)が言うには、
「辞めるスタッフの欠員補充で、人はもう決まっているんですが、
家にパソコンがないって言うし、ネットもあまりやったことないし、
キーボード入力とか、すごく心配なんです。
なんかこう…とっつきが悪くて大人しくてパッとしない感じで、
ここに、『最低限、正しい敬語とビジネス話法が使える人』
なんて書いてあるんですが、
そういう事ができる人なんだかどうかも…ちょっと…。
だから、ぷらさんに、ぜひここで、
ひとつビシッと指導してもらいたいんですが。
大丈夫でしょうか(恐る恐る…)?」


要するに井上さんサイドでは、
そこまでクライアント企業の要望に沿って、
コールセンターに特化した研修をやったことがなく、
なにをどうやったらいいか、皆目見当がつかないので、
いつも似たような研修をやっていると思われる私に、
上司経由で相談を持ちかけた、ということなんだね。


「えー、研修はやってもいいけど、
『ビシッと指導』は難しいかも。
私、そういうの、性格的に無理だし(笑)、
お話を伺うと、体格が良くて、
さえない感じの女の子(でも30代)みたいだけど、
電話の仕事は向き・不向きが大きいので、
最初から向いていない人は、
たとえ『ビシッと指導』しても、
それで一気によくなったりはしないよ?」


そんな話をすると、慌てて、
「えー、そう言わずに、頼みますよ~
これ(レジュメ)、渡されたのはいいけど、
私、こういうの全然わかんないし、
一体どうしたらいいか、すごく困っていたんです。」


聞けばそちらの仕事は、
私のところのようなユーザーサポートではなく、
顧客の住所変更を受け付ける部門で、
仕事はあくまでもオペレーション中心のため、
敬語などと共に、お客様と会話をしながら、
手元ではキー入力ができるようになることを、
最重要課題として欲しいそうである。


ふふーん…と、当を得たような思いで少し苦笑する。
確かにオペレーターさんの中には、
メモをとっても書くときに変な聞き取り間違いをしたり、
お客様の話が少し長くなると前半を覚えていなかったり、
ほかの作業をしながら会話のできない人が確かにいる。


大勢の人が当たり前にできると思っている事が、
なぜかどうしてもできない人がいる、と、
気づかされるのがコールセンターの仕事でもあり、
そういったスタッフに困って困惑している現状が、
井上さんの話を通してひしひしと伝わり、
私は同業に携わる者として、よく雰囲気が理解できた。


    *    *    *    *    *    *


さて当日。


井上さんと一緒に研修室に入って来たのは、
猪飼さんという電話の仕事の経験者で、
この10年の仕事は、全部電話。
ある時期の一社が4年間で、
残りは複数の会社を半年~1年半。


この方のように、電話の仕事を何社も点々とする人は、
例えばそのうちの期間の短い就業に関しては、
企業さんから短期間で辞めさせられている可能性もあるので、
私はどうしても、「どこかに問題がある人なのかな?」と、
探るような気持ちになってしまう。
これが面接経験者の悲しいサガというものだろうね。
でも、事前に聞いていたよりは全然普通っぽい感じ。


が、もし猪飼さんが問題のあるスタッフさんだとすると、
それがどこなのかは、研修開始後にやがてわかった。
だって自分で言うんだもん。
「アタシって苦情(←お客様からの)が多いんですよね。」って。


    *    *    *    *    *    *


猪飼さんが「ぱっとしない」のは、
人見知りで警戒心がとても強いからだ。
人見知りの人は、研修の場でも、
場になじむのにすごく時間がかかる。


1対1なのに、ジョークを言ってもあまり笑わない。
何かを尋ねても反応が鈍く、口数が少ない。
これは営業の井上さんが、
私に関して過大な紹介をして、
彼女の緊張感を大いに煽ってしまったのも悪いね~^^。
そうでなくても、目の前の人が敵か見方かを見極めるのに、
とても時間がかかってしまうのが人見知りの人なのに、
あんまり怖がらせるような事、言わないでよね?もうっ!


それでも午後にようやく打ち解けてきたときに、
彼女の口から、「自分は苦情が多い」と聞いた私は、
この人が今から仕事をするのに肝心なのは、
そっちのほうじゃないかと思った。
井上さん、井上さん、
いつか彼女に企業がクレームをつけるとしたら、
それはきっとそっちのほうだよ?


私は企業から渡されたレジュメを多少無視して、
内容を一部割愛してでも、
対話の練習をしたほうがいいんじゃないかと思った。


    *    *    *    *    *    *


同僚達全員の大きなストレスになっているような、
問題のある人は別にして、
コミュニケーション能力があって、友達もそれなりにいるのに、
お客様対応が悪くて、クレームが入るような女性スタッフは、
実は100パーセント人見知りタイプと言っても過言じゃない。


ひとつ前の日記の内容ともかぶりますが、
人が怖い人は、じっくりと十分な説明をせずに、
一刻も早く電話を終わらせようとしたり、
自分の説明内容に細かな確認や突込みが入るのが嫌なのか、
どうしても口調が冷たく断定的になるので、
ユーザーは言葉の端々に自分への拒否感を感じて、
最後には怒り出したりするんだよね。


だからますます人嫌いになっていくのが悪循環なのですが、
なぜか彼女達は、お客様がどうして怒るのか、
誰もわからないんです。本当にみんな、そうなの。
人見知りの女性のオペレーターは、
手際が早くて言葉遣いのきれいな人が多いので、
私は、その一点に気がつきさえすれば、
とてもいいオペさんになるのになぁ…と、
いつも残念に思うんです。


けれど、その"手際"も"敬語"も、
いったいどうすればお客様に怒られないのか、
彼女達が自分なりに考えて、
最大限に努力した結果のようにも思えるので、
「実はポイントはそっちじゃないんだけどなぁ。」と、
これもまたいつも感じている事なのです。


    *    *    *    *    *    *


コーチングを学んで、
一番自分の仕事のメリットになったのは、
相手に質問をするという行動が、
想像力を広げるトレーニングとしてとても有効で、
研修などでも十分使えるとわかった点かな。


普段はあまり意識していませんが、
私達が気心の知れた人と交わす日常会話というのは、
自分が伝えたい内容を相互に話す行為の繰り返しです。


「昨日食べた○○のたい焼きがおいしかった」
「あ、あそこっておいしいんだよね?」
「そうなの、だから行列がすごくて買うのに時間がかかった」
「私はそれが嫌で、寄ったことがないの。」…と、
自分の話したい事柄をお互いに言っている事がほとんどで、
相手に何かをどんどん尋ねるような事はあまりないよね。


ところがコールセンターでのお客様との会話は、
日常会話と異なり、「聞く」事から始まります。
聞いて聞いて聞いて、お客様の目的や、
質問の真意、経緯や事情などをきっちり特定し、
それを十分踏まえた上で最善の回答を提示するのが基本です。
ですが、たいていの人は聞かれた事に"答える"ほうが、
主な仕事だと思っています。だからずれちゃうのよね。


特に人見知りの人は、生活のために仕方なく、
あまり好きではない電話対応の仕事についている人も多いので、
傾向として対応をさっさと終わらせたい気持ちが強く、
お客様との意思疎通に時間かける発想があまりありません。
いえ、「ない」のではなく、お客様との意思の疎通を勘違いして、
同意や頷きやお世辞など、心に思ってもいないことを述べて、
相手をいい気分にさせることがそうだと思っていたりします。
だから、「私にはそういった事はできません」になるのですが、
答えはNOだよね。


ちょっとしたユーモアや、気の利いた言い回しをちりばめて、
お客様と楽しくやりとりするのが意思の疎通ではなく、
(彼女達の目には、周囲の人の対応がそう見えるのでしょう)
相手の知りたいことや状況を完全に把握するまでの手順を、
怠らないのが意思の疎通の第一歩とわかって欲しいですよね。
そのためにはまず、質問の練習からです。


    *    *    *    *    *    *


ぷら:「それではこの時間は、会話の練習をしたいと思います。
まず最初は日常会話から始めてみましょうか。
この研修の参加者が二人いると仮定して、
私がその人をやりますので、
猪飼さんは『初対面の人に話しかける』
というシチュエーションで声掛けしてみてくださいね。」


猪飼:「えーーーーー……、
うわ、アタシ、そういうのって、
思い切り苦手なんですけどー。」


猪飼さんは、顔合わせの自己紹介で、
自分が人見知りである事を何度も強調したけれど、
一度打ち解けると段々表情も態度もほぐれてきて、
気さくに本音が出てくる。


ぷら:「じゃ、何でもいいから、
相手に質問するところから、スタートしてみませんか?
『どこから来ましたか?』『家は遠いんですか?』とか、
『ここの会社の仕事は初めてですか?』とか、
どんなものでも結構です。
練習ですので唐突で脈絡のない質問でも結構ですよ~♪?」


ところが。
猪飼さんは、「うーん…」と本格的に深く考え込んでしまい、
「ん…」…「ん…」…「んー…」と大きなため息をつきながら
何度も首をひねり直して、
押し黙ったまま、やがて身動きが止まってしまった。


え…何の質問もまったく浮かばないんだろうか?


とってつけたような内容でもいいと言っているのだから、
すぐに思いつくと思ったのに。
もし私だったら、「その服、どこで買ったの?」とか、
「そのお茶(伊右衛門)はいつも持ち歩いているの?」とか、
「今日ってお昼(ご飯)持って来ましたか?」とか、
次々と浮かんでくるけどなぁ…


軽い気持ちでお願いしたワークへの反応が、
予想外に重く沈鬱なものだったので、
私は内心驚いてしまい、もう一度だけ、
「何も浮かばない?」と小さな声で尋ねた。
「もし現実にそういう時は、自分なら何て言う?」


猪飼:「いやぁ…うーん…、うーん…
あのー、私、初対面の人に、
自分から声は掛けないんですよね。
だから、もし本当にそういう時は、絶対に何もしないです。
黙ってます。うん、100パーセント黙ってますね。」


あぁ、そうか。なるほどね。
あまり知らない人には、自分から声をかけないのね。
なるほど~。
だったら、「私ならそんな事は絶対しない」と強く思ってしまうと、
確かにそこから先には、決してイメージは広がらないわね。
あー、了解。


ぷら:「じゃさ、シチュエーション変えようよ(笑)♪
私達は、たまたま研修で一緒になった、
初対面同士のAさんBさんね。
で帰り際、Bさんの私が猪飼さんに突然こう話しかけてきました。
『あのぉ、すみません、住所、教えてもらえませんか?』
もしそう言われたらどう思う?」


猪飼:「え…『は?なんで??意味わかんない。』…みたいな。」


ぷら:「だよね。なのでそれを質問にして、
相手にまず投げて見るのね。
じゃ、それをBさんの私に聞いてみてくれる?」


猪飼:「わかりました。えーと…
『えー、なんで?』」


えー、なんで?…初対面でそれかい(笑)?


ぷら:「あははは、猪飼さん、初対面なのに、本当にそう聞く?」


猪飼:「あ、そうか。じゃー
『えー、なんでですか?』」


がははは!
なんかもっとほかにふさわしい聞き方があるように思うけど、
やっと言葉が出始めたところなので、まー、いいや。


そこでBさんを演じる私は、
「年賀状を出したいんですよね」と言ってみる。
そして、
「猪飼さん?Bさんは年賀状を出したいって言ってるよ?」
と、振ってみる。「そしたらなんて言う?」


猪飼さんはしばらく沈黙したあと、こう言った。


猪飼:「あのーぉ…もし本当に私だったら、
住所って個人情報じゃないですか?
だからすごく教えたくないし、
聞いて来る理由がわからないし、
だからたぶん自分だったら、何も聞かずに、
すぐに『メアドにして』って絶対言ってますね。」


うわ、そう来るのね(笑)。


ぷら:「なるほどね。確かにそうだよね。
そうすると今までの話を再現すると…
Bさん:『あのぉ、すみません、住所、教えてもらえませんか?』
Aさん:『メアドにして。』
…になるんだよね?どう?聞いてみて?」


猪飼:「メチャメチャ感じ悪い、ですね(笑)」


ぷら:「あはは!そうかもね。
私は今ので、もうひとつ思ったことがあるんだよね?
自分がもしそう言われたらこんな風に思うなぁ、って。
じゃ、それを当ててみて!」


猪飼:「えー…なんだろう?
腹が立った?困った?ムカついた?」


ぷら:「ぶぶー!ちょっと違いまーす!」


猪飼:「えー…えー…。えー…なんだろ?」


ぷら:「正解は、
Aさんが随分トゲトゲしい言い方をして来たので、
『もしかして、私って嫌われているのかな?』でした~!」
(うん、私は怒るよりも先に、そう思うほうだ…)


    *    *    *    *    *    *


猪飼さんは「あぁ…」と短くつぶやいたけど、
どんな風に感じたのかは、よくわからなかった。
本当はそこで、
言葉の受け取り方は人それぞれなんだよ?と、
言いたかったのですが、
視点を広げたせいで、焦点がぼけちゃったような気がしたので、
それについては何も言及しなかった。


そのあと、私達はお互いに質問し合う練習を、
何度も繰り返しましたが、たとえトレーニングでも、
こうやって強制的にでも言葉を交わしていると、
段々相手が見えてきます。


「家族は何人ですか?」
「実家はどこですか?」
「小さい頃はどんな子供でしたか?」


そんなやり取りを続けていると、
猪飼さんのヒストリーが見えてきて興味深い。


特に、なるほど、と思ったのは、ご両親を尋ねた時に、
「うちの父親はすごく怖い人でした」という回答です。


自分のコーチングセッションでも、
最近考案して試しているこのトレーニングでも、
近頃よく感じるのだけど、
自分の考えを話すのにすごく時間のかかる人って、
尋ねてみると、
小さい頃の親子関係に原因がありそうな人が、
とても多いんですよね。
もしかしたら、人見知りもそのせいかもしれない。


夕べ電話でコーチングした少し口下手な後輩も、
「人に急かされるのが苦手」というので、
さりげなく両親の事を聞いてみたら、
「母親にいつも友達と比較されるのがとても嫌だった」
という話が出てきた。


うん、そう。そういえば、職場のスタッフでも、
自分のコーチングのクライアントでも、
自分自身を「人見知りだ」という人は、
予想外の質問をしたときに、「うーん…」と絶句して、
なかなか言葉の出て来ない人ばかり。


怖いお父さん、厳し過ぎるお父さん、
口うるさいお母さん、ヒステリックなお母さん、
逆に無関心だったり、かまってくれなかったり、
「うちって放任主義なんですよね」と、
語られるような家族の雰囲気。


ふと思いついて尋ねてみると、
こんな話の出てくる事がとても多くて、
先日日記でも取り上げた「サイストリー」は、
まさにそのとおりだなぁ…と思わされる。
(実は前の日記の細川さんも、
「両親には厳しく育てられた」と言っている。)


本当は自分の考えも無意識に感じている事もたくさんあるのに、
こういった人達は何かがそれにフタをしていて、
問いかけられてもするするとストレートに出て来ないんでしょうね。
今回の研修ではよりいっそう、その感を強くしました。


    *    *    *    *    *    *


猪飼さんは、営業の井上さんが心配していたのと違って、
PC操作も早いし、敬語も無難に使えるし、
たぶんそっちはほとんど問題のない人。
だけどやっぱり苦情は引くだろうなぁ…
ロープレをしてみると説明に暖かみがなく、
不親切でストレートだもの。


心を開けばこんなに打ち解けて話してくれるのに、
そうじゃない第三者には、すぐにバリアを張るのね、きっと。
相手を知ろうとする気持ちよりも、怖い気持ちのほうが強いから、
そのための質問もなかなか浮かんで来ないのでしょう。


入っては少し経つと辞め、同じ仕事に就きまた1年で辞め…
と、電話の仕事だけを繰り返しているのを見ると、
苦情が多くて嫌気が差して辞めても、
それしかできないからまた来る、みたいな、
そんな感じなんだと思う。
本人もそんな事を言っていた。


さて、今週の私は、
今度は自分の職場に迎える、
二人のスタッフ(男性1名、女性1名)の研修でした。


それも昨日で終わりましたが、今回は、
何が理由かわからないけど素晴らしい3日間だった。
よくアーチストが、自分のライブに関して、
「今日は最高だ!と思える瞬間が稀にある」と言いますが、
研修もその感覚によく似ていて、
最終日のラストの挨拶で感動すら覚えることがある。
人の組み合わせやバランスがよく、
教えるほうと教えられるほうの気持ちが十分にかみ合うと、
いい感じの"気"が生まれてくるんでしょうね。


猪飼さんは、確か今週がスタート日だったはず。
何かを感じて変わってくれればいいんだけどな。。。
電話の仕事は猪飼さんが思うほど嫌な商売じゃないよ。
猪飼さんがお客様に「ありがとう!」と言われるオペさんになって、
仕事での幸せを感じられる日が必ず来るように願っています。
 

 
 

 
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2008.01.17

御(ぎょ)しやすい人を御す

Se Ya!と言っておきながら、また来ました。
私にとってブログというのは、
頭の中をすっかり物書きモードにしてしまう場所なので、
一度勢いがつくと、なかなか減速しないようです。


さて、ここ数日の私は、
契約会社の研修室で、2名の新人さんに、
就業前研修を行っているのですが、
実は最近、増員や欠員補充があるたびに、
悪くない新人さんが、あまり時間をおかずに見つかるので、
安心感がとても強まっているところなんです。


が、それは社会情勢云々の話ではなく、
採用担当者が細川さん(30代後半女性/仮名)から、
最近入ってきた上野さん(たぶん30代半ば/仮名)に、
変わったことが大きいのではないか?と、
ひそかに思っているんです。


細川さんは機転もよく利く仕事のできる人ですが、
何年も一緒に仕事をしてきて最近感じているのは、
意外にも、"人"を怖がるところのある人だなぁ…、
と、言うこと。
元気で明るくて行動力があるし、社内でもベテランなので、
そこを指摘する人は誰もいないと思うんだけど、
同じクライアント担当としてペアで仕事をすると、
私はその辺をよく感じます。


今までも感じたことなんですが、
細川さんは、ここぞ!というときでも、
声がけや、おすすめ、勧誘のセリフを、
きちんと明朗に落ち着いて、
相手にはっきり言わないんですよね。


うちのリストに載っている人にこちらから電話をかけて、
仕事の紹介するのだから、
電話をもらった人も、ある程度そのつもりで聞いているはず。
けれど出向先から所用で契約会社に来て、
たまたま近くでそのトークを聞いていたりすると、
相手の人が、「結局今の電話って、何だったんだろう?」
と思うような内容のときも多いの。


もちろん私達は、物欲しさを表に出さないように(笑)、
「近況をお伺いにお電話差し上げました」という前置きから、
話を始める事も多いのですが、
たまたま先方が仕事を探していて、
しかも興味と関心と条件が合いそうなときは、
「どうですか?」「いかがでしょうか?」「やってみませんか?」と、
それなりの働きかけは明確にします。
でも細川さんはどこか及び腰で曖昧なときも。


そう!思い出した。


前任者から細川さんに担当が変わった数年前、
「どんな人がいいのかわからない」
「どういった業務説明をすればいいいのかよくわからない」
「急募と言いながらスケジュール未確定ではおすすめできない」
「詳細がわからないので何も説明できない」
と、様々な事に関して、わからない、できない、と言われて、
その都度契約会社に足を運んで、
何度も打ち合わせをしましたが、
心の中では、なんだかすべてにおいて堅い人だなぁ…
と感じていたのを思い出します。
その雰囲気は、前出の「ジレンマ~ここだけの話~」にも、
よく出ていますよね。(それで書きたくなった話なのですが^^)


計画的な採用は別として、
企業さんの緊急増員や欠員補充は、
一刻も早く「当社にいい人がいます!」と、
先に手を上げたほうが勝ちです。
また先に人を決めてから予定を組んでいくことも多いです。
なのでその状況下で、「すべての詳細が決まらないと動けない」
と強く主張するのは、営業的な発想に欠けていて、
会社の利益にならないなぁ…と思っていました。


その人の性格にもよりますが、
早い段階で「今回はこういう進め方になりますが…」と、
不測の事態の可能性も説明し、
それでもOKしてくれる人ならたいてい付いてきてくれますし、
不安で不服な人は、その時点で断ってきます。
また急ぎの募集に対して、
複数の会社でコンペや入札になったときなども、
契約が取れなければ、前もって見込みでお願いした方は、
残念ながらお断りするしかなくなるので、
採用担当はスタッフとの相互の信頼関係と、
お詫びのスキルが必須で、むしろそれがあれば、
そんなに細部に対して不安を持つ事もないように思います。


やがて、常駐の現場担当者として、
クライアント企業に出向して仕事をしている私は、
何かと安心して細川さんだけに任せていられなくなってきて、
段々営業戦略や採用方針やスケジューリングまで、
こちらのほうで先を予測して指示出しをするようになり、
それでいつの間にか、全体に主導権を持つ人に、
なっちゃったんですよね。
だってそうやってでも、前へ前へと進ませていかないと、
競合各社の中で、うちだけ完全に取り残されちゃうもの。
それは会社のためというより、現場のアタシが一番困るのだ^^


    *    *    *    *    *    *


細川さんがそこまで"確定情報"にこだわるのは、
きっとどこかに隠れた対人恐怖があって、
候補者のスタッフといい関係を保てないからかもしれないね。


私と営業のメグちゃん(20代後半女性/仮名)は、
そういう部分でスタッフさんと揉めた事はないんですが、
細川さんは企業側の都合による予定変更などに限らず、
説明不足や、言った言わないの行き違いで、
数はとても少ないけれど、幾度か揉めた事があるんです。


これはたぶん細川さんに、
人の心を読むのが苦手なところがあって、
何をどこまでどう言って、どんなメリハリで説明すれば、
相手が気持ちよく納得してくれるか、
よく見えなくて自信がないから、という理由もあるんでしょうね。


だから神経質な人に大雑把な説明をして不信感を持たれたり、
自尊心の高い人に高圧的な説明をして相手を怒らせたり、
そういった彼女なりの「心の傷」と「意味のわからなさ」がまた、
色々な苦手意識を強めて、
いっそう大事なときに大事なことをはっきり言わない悪循環に、
なっていくのかもしれません。私はそんな風に分析しちゃうかな?


    *    *    *    *    *    *


私がこの仕事に就いた7年前と比較すると、
残念ながらいい人の割合が、
低下してきているのがリアルな現状なのですが、
一時期、それにしても、入る新人、入る新人が、
ことごとく仕事に向かない変わった人ばかりで、
最終的に企業さんからは断られる、
スタッフ達からは、毎日がブーイングの嵐という事ばかりでした。


そのときは「どうしてこういう人ばかりなのだろう?
普通の人はいないの?本当にいないの?」
と、現状を憂えて悩みの尽きない日々だったのですが、
採用担当が細川さんから上野さんに変わると、
少しずつ状況が好転し始め、今までとは違って、
悪くない新人さんがほぼ着々と決まっていきます。


うーん、そういった様子を見るにつけて、
「あぁ、やっぱりそうなのかな…」という気持ちが、
確かになっていきます。


こんな事をいったら本当に悪いんですけど、
たぶん細川さんは、
もしたまたま優秀で頭の回転のいいような人がいても、
その人とはあまり正面から向き合いたくなかったんじゃないかな。
論理的な人だと、説明の不備や矛盾点をきっちり突いてくるので、
相手から批判さえるのが怖い細川さんにとっては、
あまり得手ではない人種だったかもしれません。


そして私は思ったのですが、
もしかしたら逆に、そういった自分の強いストレスを避けるために、
強気で上から物事をお願いしやすい人…
少々大丈夫かな?といった雰囲気の風変わりな男性などを、
無意識にピックアップしてしまう傾向があったのかもしれません。


大変現実的で冷たい言い方ですが、
どの職場に行っても評価が低く、
企業に就業の継続を望まれなったような人は、
短期の仕事を転々として生活が不安定なケースが多く、
長く働ける職場なら人が嫌がる条件でも、
引き受けてくれることが多いので、
24時間稼動の交代制で、土日も勤務、夜勤ありの、
(しかも拒否感を持っている人が多い電話の仕事)
私達の仕事をお勧めしやすかったのでは。
振り返ってみると、今の私は自分なりにそう感じます。


    *    *    *    *    *    *


私は、キャリアのあるプロの採用担当ならば、
その気がなかった人をその気にさせるのも手腕で、
業務内容や条件は誠意を持って説明し、
間違った認識を持っている人にはその誤解を解き、
相手の心情にヒットしそうなメリットを提示して、
迷いを確信に変えてもらうのも必要なスキルだと思います。


私のところは皆さんが望むような正社員の職場ではないため、
確かにいろいろ不利や矛盾はありますが、
それでも仕事を気に入り仲のいい友達に恵まれ、
長く続けている人がたくさんいます。
だから、私としても、
「興味があるならあれこれ悩まずに来てみたら?」と言いたいし、
できれば採用担当には、その架け橋になって欲しいんですよね。


とはいえ、それもまた向き不向きの世界。
私が、事務や経理が苦手なように、
何事もあっさりできる人とそうでない人がいるのは
その人の努力だけでは、解決しないときもあるよね^^


細川さんは先月から営業担当に配置換えになり、
私は引き続き、今度は営業としての細川さんと、
一緒に仕事をしていきますが、今のところ順調です。
古株でたまにキツイ言い方をして後輩を萎縮させる細川さんが、
営業サイドから採用担当にプレッシャーをかけてくれれば、
力関係が逆転して、社内もピリッとするんじゃないかな。
そんな気がします。


まぁ、ここまで書いたその後で、
また流れがピタッと止まってしまったら、
「なーんだ、結局、あの時はたまたま運がよかっただけか~」と、
冷や汗で頭をかいてしまうのでしょうが、
それでも、こういう事は"アリ"なんじゃないかな?と思い、
ここに書き残しておくことにします。
 

 
 

 
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2008.01.14

ミラーニューロンの話

町の中心部から外れたところにある自分の職場と、
郊外のまだ田畑の残る自宅とを、
慌しく車で往復するだけの日々を過ごしていると、
どうしても本屋とは疎遠になってしまう。


本屋さんて、
最初から特定の目的で時間を作って行く時よりも、
道すがらにぶらっと立ち寄って、
意外な本を見つけたりすることのほうが、
より大きな楽しみですよね。


ですが最近の私の本屋立寄りは、
残念ながらやっぱり"目的型"です。
今は毎月一日になるとわざわざ街に出向いて、
特定の某書店に立ち寄らなければいけません。


なぜなら来春の就職が決まった次男の会社が、
業務上、今後の電験三種(という資格)の取得を必須としており、
(一問の差で惜しい事に、今年もまた、
ひとつの科目合格も取れなかったんですよね~^^;)
そのために私は次男に頼まれて、
「工事と受験」というマイナーな雑誌を、
某書店に毎月買いに行く事になったから。


ですがそのお陰で、
今まで自分が立ち入らなかったようなコーナーに、
足を運ぶ機会が増え、
たまには意外に面白そうな本や雑誌に出会う事もあります。


    *    *    *    *    *    *


さてそんなわけで、
今月も正月の休み明けにその書店に立ち寄ると、
電気分野の雑誌コーナーのすぐ隣の、
自然科学分野の平台で、
別冊日経サイエンスという特集雑誌を見つけた。
(日経サイエンス?…へー、こんな雑誌、あったのね。
特にこの別冊はなかなか面白そうだ!)


思わず手に取ってしまった、
その号のムックのタイトルは、
「脳から見た心の世界」(爆)!
まったくもって、ぶはははー、だよね。


何かにつけて、もっと脳科学の知識があれば…なんて、
思わされる事の多い私にとっては、
まさに「ビンゴ!」のこのタイトル!
もう、速攻買っちゃいましたよー!!


その中でもひときわ強く私の心を捉えて離さなかったのは、
「ミラーニューロン」という神経細胞の話でした。


ねぇねぇ知っていますか?


私達は"コーヒーを飲む"とか"食器を片付ける"とか、
何か目的のある行動を起こすたびに、
脳の中でその行為に対応している部分が、
活性化するらしいのですが、
驚いた事に、それは自分が実際に行うときだけでなく、
他の人の同じ行動を見ても、同じ部位が活性化するんだって。


つまりそこで活性化する神経細胞が、
ミラーニューロンというわけで、
目に入った他人の行動を自分の脳の中でも、
まるで鏡のように無意識に再現させているので、
そういった呼び名が付いているらしいのですが、
この記事に出会ったこともまた、
自分にとっては大きな収穫でした。
(やっぱり本屋に行くのはいい事ですね!)


例えば相手が何かを食べているのを見て、
脳は無意識にそれと同じ状況を自分の中に再現させている。
これは相手の意図や目的を察知するのに、
とても重要な機能だと言いたいらしいのね。


そして次の記事では、
自閉症の人ではこの神経細胞の活性化が乏しく、
自分自身の行動で活性化する部位が、
他人の同じ行動を見ても活性化が少ないと書いてあり、
コミュニケーション能力や想像力、社会性に欠けるのも、
それが関連しているのではないか?という推論を立てていた。


あー…。でもなんだかそう言われると、
今までの掴みたいのに掴めない様な、
モヤモヤした気持ちは一瞬で吹き飛び、
目の前の霧がどんどん晴れて、
すべてがつながって行く様な気がする。
そう、今私が欲しいのは物事の解説ではなく、
しくみの知識なんですよね。


なるほど、今まで意識した事がなかったけれど、
確かにその気で自分の、
瞬間瞬間の思考や発想を意識してみると、
相手の行動を見たり聞いたりしながら、
必ず自分の頭の中では、
それと同じ状況が一瞬再現されて、
それを元に相手に何か尋ねたり確認している気がする。


記事では、このしくみがあるからこそ、
人は相手の意図や感情を読み取ったり、
共感できるのだろう、と予想していて大変興味深く、
ならば、他人の行動が読めなかったり、
気持ちがわからないような人も、
そこに理由が隠されているのかもしれないね。


    *    *    *    *    *    *


で、早速以下のエピソード。


実は昨日、
スーパーの駐車場にあるコイン精米機に、
お米を精米しに行ったんですが、
(うちは農家のお米を玄米で買ってストック)
先客が居たのでうちのご亭主が、
順番取りのために30キロ入りの玄米の袋を、
前の人がまだ中に居る精米機のガラス戸に立てかけて、
待機中の車に戻ってきたんです。


ですが、「えっ!」どう見てそこに置くのはおかしい。
誰が考えても今使っている人が、
精米を終えて外に出るときに開ける側のガラス戸です。
なので思わず私は「は?なんであんなところに置くの?」


そのとき私は自分が精米して外に出るときの行動を、
一瞬イメージしたわけですよね。


でも彼は、「絶対邪魔になんかならない」と言い張る^^;
(信じらんない!!!) 理由は、
「俺はいつもガラスの引き戸の左を開けて"出入り"するから、
あの人も左から出るはず。なので、
引き戸の右側のほうには置いてよし!」
Seimaiki


「えっっ…普通右から出るでしょ?」(私はそうしているような…)
「俺は左から"出入り"する!」
と言っているうちに先客が"右"側の戸に手をかけたので、
「ほらー」と、慌てて2人で、
自分たちが置いたお米をどけに車外に出ました。
しかし!その後判明したのですが、
実はうちの亭主も右側から出たんですよ!!(笑)


よく考えたら、お米の投入口は装置の左側にあり、
出てくる場所が右側にあるので、
たいていの人が出てくるお米を袋に入れて、
そのまま右側の戸を開けて出ていると思います。
30キロものとても重い米袋を
普通は出やすい近くの扉から出ますよね。
なので、自分もそんなシーンを再現させて、
先客の作業を見ていたりしたんでしょうね。


うちの亭主は入るときのほうを思い出して、
「普通は入ったほうから出る!」と、
理屈で考えたのだと思います。
出るほうをちっとも想像しなかったんだと思います^^。


あ。今、もっとよく思い出してみたら、
私が一人で精米機を利用するとき、
車までの距離が少しあるときなら、
左側の台の上で一度体制を整えて、
そのまま左から出るときもありますね~。
ですがそのときの先客は、
車をすぐ右隣にピタリとつけて留めていたので、
そういうところ(動線)なんかも、
無意識に見ていたのかもしれませんね。


亭主はたまに今回みたいな変な事をしてヒンシュクを買うので、
昔からその一点で家族の話題を独占したりしますが、
きっとあいつはミラーニューロンの働きが悪いんだな~(爆)!
絶対そう思う!!


    *    *    *    *    *    *


少し脱線してしまいましたが、
私達はそういったしくみのお陰で
「おっと。ここにこんなものを置いていたら、
いつか誰かが引っかかって転ぶ!(私なら絶対転ぶ)」
と思って通路の障害物を片付けたり、
「彼の口ぶりはなんだか妙に攻撃的である。
私に対して何か不満を持っているのかな?
(私だってそういうときはそうだもの)」
と、気がついたりするという事なのかな。


結局、思いやりとか気配りとか、
配慮とか言われるものの正体もそれで、
ミラーニューロンのシステムが、
いかに十分機能しているかどうか?だけの、
お話なのかもしれないね。
髪や顔かたちがそれぞれで違うのと同じように、
脳が行うお仕事も、
きっとその人その人に備わった、
得手や不得手があるのでしょう。


さてこの記事もまた、
自分の今後の研修のヒントのひとつになりました。
コールセンターの現場では、
「常にお客様の立場と目線で…」と、
事あるごとに口を酸っぱくして言われていますが、
実際は結構人によって感覚に差があります。


他人の気持ちを思いやる(読む)ためには、
その重要性を単に言葉で説くよりも、
その人の脳のその部分がより活性化するような
何かのトレーニングあればがいいのかも。
そして意識すべき対象は相手じゃなくて自分自身なのかもね。
じゃ、そのためにはどんな行動が有効なんだろう?


いろいろ書き連ねればキリがありませんが、
今回の一連の日記は、
この自問を以ってそろそろ一区切りにしようと思います。
だってもう連休最終日当日のAM1:30だよ^^;。


明日(厳密には今日!)はコーチングスクールでの最後の宿題、
2000文字のレポートを二つ仕上げなければならない。
(ま、このブログの事を考えたら、
文字数的にはたいした事ないけど(爆)!!)
本当は書く予定だった日記がもうひとつだけあったのですが、
それは「機会があれば」という事にして、
自分の胸の小箱の中にまた仕舞おうと思います。


それじゃ皆さん、たぶんまた当分居なくなりますよ(笑)?
でもいつか更新したら、また来てくださいね。
それでは少しのの間、ごきげんよう!
See Ya!!!!!
 

 
 

 
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2008.01.13

サイストリー

年末から年始にかけてのいわゆるお正月休み。


その期間に、私が自分の興味関心を強くそそられ、
思いがけず高揚して、
一気に読み進めてしまったホームページがあった。


それは立花裕希(たちばなゆうき)さんとおっしゃる男性の方の、
サイストリーというサイトです。


確か、"脳のしくみ"とか"脳科学"とか、
そういったたぐいの検索ワードでたどり着いたはずですが、
脳科学だけではなく、心理学や精神分析などの、
豊富な知識を土台にした、
「『自由な心』を得るための方法論(健康法)」は、
コーチングという手法の不足を埋めるような、
サイエンスの知識を模索していた私の心に、
著しくヒットしました。
私は思わず、「そう!これだ!」と思いました。


私は現在"食っていけるプロコーチ"を目指し、
コーチングスクールのカリキュラムを一通り終えて、
今は認定試験の受験資格取得のために、
帰宅後も毎日のようにコーチングの予約を入れています。


その段階の、まさにひよっこの私が言うのも何なのですが、
コーチングというのは、すぐにでも大きく機能し始める人と、
そうでない人の差が大変大きくて、
そうでない人に対しては、コーチングよりもまず、
コーチングが機能するような人に、
クライアント自身を変えていかないと、
何事も始まらない…そんな風に痛感し始めたのです。


私が現時点で感じる"コーチングが機能しない人"というのは、
自分の様々な本音を自分で掬い取り、
それを自分にフィードバックする事がなかなかできない人達です。
発達障害の傾向をあまり感じない、普通の人達の中にも、
そういった特徴を持つ人はとても多いのです。


彼女達は、何をどう質問してもすぐに答えが返ってきません。
そうでない人が、何を尋ねても迷う事無く素直な本音を、
スラスラと言葉に載せてくるのとは対照的です。


彼女達は一回のセッションの中で、
まさにそれが肝心だよね!とこちらが膝を打つような、
重要なキーワードを何度も口にするのに、
振り返りタイムに本日の気付きを伺っても、
「別に何もない」と即答してしまうような人達です。


もちろん私の"腕"の問題もありますが(笑)、
あんなに素晴らしい気づきと発見の発言をしながら、
自分では全然そこに気がつかないなんてもったいないです。
この自分の素直な心情に自分でフタをしてしまている、
この状況は一体何なのでしょう。


そこをきちんと理論的に解決できるようになるためには、
もっともっと心理学や脳科学の知識がないとダメだな、
そんな風に思っていろいろ検索してたどり着いたのが、
立花裕希さんの「サイストリー」でした。


    *    *    *    *    *    *


サイストリー。


これ、サイ・ストーリーじゃなくて、サイスト・リーですからね。
これは管理人の立花さんの造語なのですが、
興味と関心のある方はぜひご一読してみてください。
もしかしたら、心身症的な体調不良でお悩みの方には、
何かのヒントになるかもしれません。


ボリュームの多いサイトを、
私のような一元の客が要約していいものかどうかも、
わかりませんが、要するに、
人が状況的に感じる様々な不安の中で、
苦手なのは性格のせいだ、と自分が信じている事柄にも、
実はそうなるに至ったそれなりの原因があることが多く、
(もっとぶっ飛ばして言い詰めてしまうと)
もしかしたらそのうちの大半は、
幼い頃の親子関係に起因する可能性が高い、
と、おっしゃっている文章群です。


脳の中では、同じ記憶媒体であっても、
大脳辺縁系の記憶と前頭前野の記憶の違いとか、
過去の記憶を手繰り寄せて文章化することの意味とか、
私にとってはひとつひとつに深く頷けてしまう様な、
知りたかった情報のオンパレードだったりするのですが、
その中でも"抑圧"という精神作用の説明がわかりやすく、
私はすべてのページを即日全部印刷して、
歯医者にまで持ち込んで熟読しておりました(笑)。


    *    *    *    *    *    *


サイストリーの説明を借りつつ自分の言葉で言い直すと、
"抑圧"というのは何かの原因のために、
幼い頃の記憶を封印してしまう脳の働きの事で、
(だから自意識の中ではなかった事として抹殺されている)
自ら必死に探ってもなかなか呼び出されてくれないばかりでなく、
時にはこれ以上自分が傷つかないように、
美しくて感傷的なストーリーに、
無意識のうちに書き換えられちゃっている場合もあるような…j
何とも自分では意識的に制御できない、
記憶を閉ざしてフタをしてしまう作用の事です。


じゃ、なんでそれが大事かと言うと、
分別がつくようになってからの記憶というのは、
言葉という論理的なツールを通して記憶する事が可能なので、
思考や分析や自意識などの、人が人であることを司っている、
前頭前野という部位に意識と共に記憶されるらしいのです。


ですが、言葉が未発達な時期に経験した、
自分にとってのよろしくない思い出は、
五感と共に原始的な感情として、
大脳辺縁系(動物的な脳部位)のほう記憶され、
やがて抑圧されて、いつしかなかった事になってしまっても、
記憶としてはずっとそこに存在し続けているので、
五感が当時と同じ状況である事を察知すると、
その記憶が正体不明の不安となって、
当事者を不安定な気持ちにさせる。
でも、本人はその原因がなんだかわからない。


私が自分なりの把握で解説すると、
上記のような説明になります。
そして以下、解決策を教えてくれれているのですが、
私はこの一連の文章に出会って思わず、
「これだ!」と思いました。


私がコーチングセッションのときに、
一部のクライアントさんに感じる、
「フタをされている感じ」というのも、
もしかしたら似た理由に寄るものかも知れません。


    *    *    *    *    *    *

そんなわけで、自分としては貴重な新しいヒントを得たような思いで、
新年への決意を新たにしていたその時期、
それと時期を同じくして、
前出の上山君の契約終了話が出てきた

詳細は前の4回分の日記で書き切ってしまったので、
ここで再び文章にすることはありませんが、
上山君もまた、私達の業務である電話対応への妙な不安と、
それが原因と思われる体調不良や、
拒否感ベースのNG行動が目立つ人だったので、
私は突然思ってしまったのだ。
「これってもしかして、上山君にも有効なんじゃない?」


    *    *    *    *    *    *


1月4日金曜日。


一回目の面談の後、
私は彼が自転車を置いているという自宅近くの最寄り駅まで、
車で送っていった。


一昨年の夏、
彼が長期休暇を希望して提出してきたのが、
抑うつ神経症の診断書。


今の私は検索などで本物の"うつ"と抑うつ神経症は、
別物らしいと把握できてきましたが、
1月4日当日の私は、
休憩時に細川さんが見せてくれたその診断書の、
"うつ"という文字が脳裏から離れず、
「自殺の危険があるので、本人の意思確認を経なくても、
雇用側が強制的に当事者を病院に連れて行っていいのって、
あれ?うつだっけ?違ったっけ?あー何かあったような…」などと、
惜しくも2点足りなくて落ちてしまった、
10月のメンタルヘルス検定の勉強内容を、
必死に思い出そうとしていた。


いずれにしても平常心を失った上山君が、
心がここにない夢遊病者のように、
JRのホームから無意識に線路に転げ落ちるなんて事は、
絶対にあってはならない事なので、
せめて行ける所までは、と思い、
私は彼を自分の車に乗せて、
彼が「そこまででいい」という某駅まで送って行った。


そして道すがら、私は彼に聞いたんだよね。
「上山君、上山君のお母さんてどんな人なの?」って。
そうしたら上山君はこう言いました。
「うちの母親は、できないものはできなくていい、
できる事だけを一生懸命にやりなさい。
そう言ってくれるような母親です。」


え、全然問題ないじゃん~?


が、上山君がすかさず、
「母親というよりはむしろ父親が…」


ぷら:「え?お父さん?
じゃ、お父さんのほうはどんな人なの?」


上山:「うちの父親は厳しかったですよぉー。
もういろんな事がスパルタでした。
逆上がりができないとわかると、
毎日鉄棒のある所に連れて行かれて、
できるまで練習させられたり。」


ぷら:「辛かった?」


上山:「いや?今思えば、
そのお陰で忍耐力や根性も身に付いたし、
うちの父親にはむしろ感謝しているぐらいです。」


ぷら:「でも毎日鉄棒のある所に連れて行かれるなんて…
本当は怖かったんじゃないの?
つかさ、お父さん、よくそんなヒマあったね?(笑)。」


上山:「あ……。そういえば今ふと疑問に思ったんですけど、
なんでウチの父親は、
毎日自分を公園に連れて行くことができたんでしょうね?
あれ?あれって俺が夏休みとかの話だったのかなぁ?
小学校低学年だったというのは記憶にあるんだけど、
そう言われるとなんだか全然当時の事を覚えていないですね。」


上記の話も、前述の父に感謝しているという話も
サイストリーで言うところの"抑圧"って事なのかな?
なんだかすぐにあっさりと、
「記憶にない、覚えていない」という事柄が出てきたので、
ちょっとびっくりする。


その後上山さんは、泳ぎができなかったので、
毎日お父さんにスイミングスクールに連れて行かれ、
結果的に泳げるようになったのでこれもまた感謝している事。


理数系である父親に、算数が苦手な自分を不満に思われ、
毎日勉強させられた事などを淡々と語ってくれた。


ぷら:「算数の勉強はその後どうなったの?」


上山:「中学生ぐらいになっても同じなのを見て、
俺には向かないと気がついたんじゃないですか?
たぶん母親も、裏ではそんな話を、
きっと父にしたんじゃないかと思います。」


なるほどねぇ。お父さんは理数系なのねぇ…


ハッ!!!!!!!!そうだっ!!!!!!
上山君が平常心を失うお客さんて、
みんな物言いが理屈っぽくて居丈高で、
どこか鼻持ちならないタイプのユーザーが多いよね?
もしかして、それってお父さん?
お父さんと同じタイプの人達なんじゃないの?


    *    *    *    *    *    *


そう気づく前にM駅に到着し、
上山君はとっくの前に私の車から降りていた。
一人での帰り道、私は「お父さんなんだ…」と、
強い確信を得たような思いで車を走らせた。
だったら何か新しい指導方法も見えてくるような気がする。


でも、もう、遅い話だったのよね。
サイストリーの手法を取入れた研修を、
私が彼に試してみる機会もないまま、
彼は職場を去って行った。
そこに自分の悔いが残らないと言ったら、
それはウソになるだろう。


「精神論よりサイエンスを」


とあるメンタルヘルスのサイトで読んだこのキャッチフレーズに、
私はひと目で強い共感を抱き、
それは私が職場でNGと思われている、
スタッフを指導するときの強い基本方針にもなっている。
精神論が通用しないような人をも的確に育て導いていくのが、
指導者の手腕でもあり、自分の長年の課題でもある。


この一件を持って、
私はますます人を指導するときの、
サイエンスの必要性を痛感し、
そういったノウハウが欲しいな…と、
思い始めたのでした。
 

 
 

 
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2008.01.12

ジレンマ1-ここだけの話-

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2008.01.10

いわゆるクビというケース

皆様、あけましておめでとうございます。
更新の頻度がかなり落ちていますが、
今年もよろしくお願いいたします。


さて。


本年の仕事始めは、
初日から担当スタッフさんの年越しの契約終了話に明け暮れ、
個人的にちっとも穏やかではない日々でした。


現場の課長から「もう要らない。
今後一歩たりとも現場に入れるな!」
という宣告を食らってしまったのは、
上山君(33歳/男性スタッフ/仮名)。


そいつは誰にも救えない」や、
持たざる人-顔をゆがめる-」など、
以前にも何度か話題にしたことがあるので、
もしかしたらご記憶のお客様もいらっしゃしゃるかもしれません。


私の職場はコールセンターで、
電話によるユーザーサポート(いわゆるサポセン)ですが、
上山君は、居丈高だったり、
妙に知識をひけらかすような鼻持ちならないユーザに対して、
安定した態度をとることができず、尋常ならぬ精神状態に陥り、
自分も一緒になってヒートアップしてしまうタイプの、
オペレーターさんなんです。


た・と・え・ば…


ユーザ:「これっていわゆる○○の不具合って事だよね?」


上山君:
「(カーッ→体温上昇)お客様、
一体何を持ってそのように言われるのでしょうかね?
ワタクシ、その辺はきっちり聞かないと、
何とも言えないんですが?(やけにトゲトゲしい)
ええ、その辺りをハッキリしていただきませんと、
こちらも対処のしようがないですっ!」
※穏やかだった今までのお客様対応は一体どこへ?


ユーザ:「え?何?なに、その言い方!
お宅に原因があるのがこちらの調査で明白なのに、
あんた、なんで、そんな風に急に突然、
『オマエが悪い』みたいな言い方をしてくるわけ?
非常に不愉快ですが、そもそもそれって詭弁でしょ?」


上山君「ですから!お客様が何をやったかわからないと、
こっちもお調べのしようがないって、言ってるんですっ!」


ユーザ:
「(失笑)…責任回避ですか?
自分のところで不具合を発生させておいて、
その言い方と態度はないでしょう?」


上山:「あのですね、こちらといたしましても、
調査にご協力いただけないお客様に対しては、
対応のしようがございませんっ!!!」


ユーザ「ちょっと!あんた!あんたさ、
さっきから聞いていれば、何なの、その言い方?っ」


…(以下、延々クレーム→最終的に上司案件となる。)…


また、あるときは…


上山君:「○○はただいま他の電話に出ております。
よろしければ、ワタクシが…」


ユーザ:「あ、電話中なの?じゃ、また電話します。
詳細は○○さんにもう全部話してあるんで…」


上山君:「(エッ!なんでオレじゃダメなのさ?)
あのー、代わりに私のほうで対応させていただきますが?」


ユーザ:「いや、結構です。直接担当の方と
お話がしたいので…」


上山君:「いえ、おっしゃっていただかないと困ります。
(そう言えって、いつも怒られてるし、今度は頑張るぞ)
本日は、どういったご用件でしょうか?」


ユーザ:「だから、あんたじゃ、わかんない、って
言ってるでしょ?」


上山君:「それは聞いてみないとわかりません。
○○はただいま他の電話に出ておりますので…」


ユーザ:「だから、かけなおせばいいんでしょ?」


上山君:「いえ、ですので、ワタクシが…」


ユーザ:「だから、あんたじゃわかんないって、
言っているでしょ?5分後ぐらいににまたかけ直せば、
いいんでしょ?」


上山:「ですが、○○はただいま電話中ですので…」


ユーザ:「だから、それはわかった!って、
言ってるだろっ!?同じ事を何度言わせるんだ?
つか、なんだよ、オマエ、さっきから聞いていれば云々…」


    *    *    *    *    *    *


ま、こんな感じで、彼が作った対応苦情は数知れず…


また、賢いユーザは「この人はアカン」と察するや否や、
「あー、わかりましたー」と穏やかに終了して、
(実は、他の担当者に当たる事を願って)
同じお問い合わせを持ってすぐにかけ直し、
二度目の担当者が、
話しやすく親身なオペレータであればあるほど、
「ところで、さっきの人、何なの?あれ?」
と、苦言を呈してくるので、
「さきほどはこちらの上山の対応に、
行き届かない点がございまして…」
と、いいスタッフほど尻拭い的に、
お詫びし、謝り、感情的なトークを浴びて、
穏やかならぬ心境に陥る事も数知れず。


普通に考えてもユーザーとの苦情対応は嫌なものですし、
加えて自分自身は真摯に一生懸命やっているのに、
他の人のよろしくない態度に対して、
「あんたらって、いつもそうだよね?」
などと十把一絡げに批判され、「そもそもお宅らはさ…」と、
あたかも自分まで悪人のように言われてしまうのは、
納得がいかないし、アイデンテティもいたく傷つきます。
私も経験がありますが、それは非常に悔しいものです。
彼はそんな思いを同僚達に長い間させてしまっているのです。


「私は日頃からお客様のために一生懸命誠実にやっているのに、
なぜ私が"あの"上山さんと同列に見られて、
ここまでお客さんにひどい言い方を、
されなければならないんですか?
だいたい、受け付け件数も対応評価も、
あんなに低い上山さんが、
どうして私達と時給が変わらないんでしょう?
おかしくないですか?納得できないです…
なんか、悲しいし…むなしいです。
やっても、やっても、
結局認めてもらえない職場なんだな、みたいな…」
(↑彼の同僚である由香ちゃんに、実際に言われた痛いひとこと)


そんなこんなで、
どんなに指導しても一向に改善されない彼への、
同僚達の批判が加速度的に高まる中、
彼は忙しい時期に何度も体調不良で連続欠勤したり、かつ、
「保留中に電話を自ら切断する」
「一度自分が受話器を上げたお問い合わせを、
ユーザが話し始める前に寸前に自分で切断する」
など、周りに批判されて当然の行動が目立ち始め、
それがクライアント企業上司の知るところとなり、
「これって就業違反ですよね?」という流れになりました。


課長:「私達の仕事は電話によるユーザーサポートであり、
ここにご就業いただく限りは、それを全うしていただけるものと、
私どもは信用しているわけです。
にも関わらず、電話を保留中に勝手に切ったり、
一度受けた電話を有無を言わずに自分で切断したり、
しかも、対応するお問い合わせは、
来るもの、来るもの、皆、彼のせいでクレームになるって、
いったいどういう事ですか?
正直申し上げて、彼の存在は職場のメリットになっていません。
すでに皆さんの大きなストレスになっている事は、
こちらも把握済みです。
彼は、むしろ私どもにとっては、今や『いないほうがいい』人材です。
お仕事していただいて、いいところは現在ひとつもありません。
こちらの結論としましては、今月限りで退職していただきたい。」


「ぷらたなすさん、話がある。」と、険しい表情で呼ばれ、
別室で課長から伺った話の概要はそういった事だった。


正直、私はフクザツなため息が出た。
実はその相談は以前より何度もスタッフや、
現場リーダーから出ており、
「年明けに対処」を約束したばかりだったから。
そして自分の心の中では、「もはやここまでかな」と腹を決め、
仕事を辞退していただくような働きかけを、
一月に開始しよう、と決心していたから。


だから担当者としての気持ち言えば、
「あー…先に言われてしまった…」と思っちゃったね。
個人的に悔しい気持ちはないでもない。


が、課長のお話は、私自身ももっともだと思った。
いや率直に言えば、「まさに同感です」と頷きたい思いもあった。
けれど私は契約会社側の人間であり、
スタッフの現場指導の責任者でもあります。
その立場で、「おっしゃる通りですよね!」とは、
さすがに言えない。
指導者の私がそんな言い方をしたら、
「じゃ、あなたは今まで何をやって来たの?」と、
相手の心情を逆撫でしてしまうだろう。


また、契約会社から見れば、
私はスタッフの数を減らさない努力をすべき要員なので、
私から、「○○さんにやめてもらうわけにはいかないんですか?」
と言い出すのは、本当は会社の利益に反する行為でもある。
だから、今までいろいろな人達に関して、
何度相談や提案をしても、会社の反応は鈍く、
現場の空気をいつも感じて仕事をしている私としては、
理解はできても、納得のいかない事が多かった。


なので、企業さんのほうからそのように言ってきた事は、
冷たい本音を言えば、
私や現場のスタッフ達にとっては好都合な話でもあり、
私なんて、もっともっと直接会社のほうにも、
がんがんクレームを上げて欲しい、とまで思ったよね。
だってみんな、すごく困っているし、
大きなストレスでピリピリしている。


「上山さんと俺達とどっちを取ると言うんですか?
普通に考えて、
彼よりもずっとたくさんの仕事をこなしている俺達よりも、
仕事のできない上山さんのほうを大事にするんですか?
それっておかしくないですか?」


そんな風にスタッフ達に詰め寄られることも、
もうなくなる…そう思うと、ほっとする思いも強かった。


だけど、私はスタッフの皆さんと一緒になって、
小躍りするように喜ぶ事はできないのよね。
多少そう思う気持ちはあっても、
私は私でこういった有無を言わせない終了宣告に対しては、
立場上、言うべき事は言わなければなりません。
それが微妙なところです。


    *    *    *    *    *    *


ぷら(私):「え…今月限り?ですか?」


課長にそういわれたのが12月の28日。
うちの職場では仕事納めの日だった。


ぷら:「課長?本日は仕事納めです。
"今月限り"という事は、
言い換えれば"今日限り"という事ですよね?」


課長:「あぁ、…ですね。そういう事になりますね。」


ぷら:「あの…私も現場担当者ですので、
それが最善なのは十分わかります。
ですが…突然何の前触れもなく『今日で終了』というのは、
いくらなんでもルールとして…(それはそれで違反である)
一点気になりますのは、
契約終了は一ヶ月前に予告するか、
一ヶ月の給与保障など、そういった…」


課長:「ぷらたなすさん、お気持ちはわかりますが、
こうなった以上、もう彼には一歩たりとも、
現場に入ってほしくないのです。
なぜならば、我々もこういったご時勢の昨今、
会社の存続さえも危機に陥れる、情報漏えいだけは、
体を張っても、契約会社さんとの関係を悪化させてでも、
防いでいかなくてはいけない事柄なのです。
我々が一ヶ月前に契約終了をそちら様に告げて、
今から一ヶ月間彼が現場にいたとして、その期間に、
憎しみや恨みによる自暴自棄の情報漏えいがないと、
あなたは断言できますか?」


ぷら:「…」


課長:「悪意のある情報漏えいというのは、
たいていがそういうケースですよ?
もしあったら、そちら様はリスクをすべて保障してくれますか?
それで会社が潰れるという事も実際に起こっているのに、
そうなった場合、桜カンパニー(仮名)さんは、
どのぐらいの金額でうちの会社を救ってくれるわけですか?」


心中では、上山さんはそんな人じゃない、と強く思っていた。
彼は融通が利かないぐらい生真面目なところがあり、
(※だから現実の自分と整合性が取れない自己嫌悪で、
さらに心身の不調に陥る)
本来意図的に犯罪を犯すような人間ではないだろう。
が、100%保障できるか?と問われると答えはNOである。。。
この世に、"絶対"ということなど何もないのだ。


課長:「企業として、できれば我々も、
雇用上のコンプライアンスは遵守したい。
けれど、何事も、起こってしまってからでは遅いのです。
そこだけは、どうかわかっていただけませんか?
今、この時期に、情報漏洩が発生してしまったら、
それは即、会社存続の危機につながります。
私は現場の責任者です。
もう、きれい事など言ってられないのです。


    *    *    *    *    *    *


「コンプライアンスかぁ…」


帰途、私はつぶやかざるを得なかった。


クライアント企業にコンプライアンス遵守の方針があるのと同じく、
契約会社のほうにもその方針は強まっている。
具体的には、法律に違反するような雇用・就業・契約終了は、
決して行ってはいけないという方針で、
それは過去の数々の契約スタッフさんとのトラブルや、
それによって大きな痛手を受けてきた、
企業としてのトラウマのなせる業かもしれない。


が、客観的に見て、
あきらかによろしくないと思われるスタッフにさえも、
それに縛られて手足も出ない、というのであれば、
私達にはいったい何の自由があるって言うんだろう…


現場担当の私から見て、上山君は、(申し訳ないけど)
企業さんからお断りを受けても当然な人である。
もう今や、「上山君のクビ」は職場の誰もが願い、望み、
来るべきXデーを全員が心待ちにしていたといっても、
過言ではない。


そうだ。課長は、
「法規的に、うちからのお断りはできませんよね。
そこは桜カンパニー(仮名)さんで、適度にうまくやって欲しい」
なんて事も言ってきたな。


ずるいよ、なんて思う。汚れ役はいつもこちらだもの。
でも、そんなスタッフを推薦したのはうちらだしな…
だから、そこに私の大きな不満はない。
最終的には、(採用面接もずっと担当している)当時の私に、
そのときは見る目がなかったんだな。
そんな感じの自分なりの自己解決に落ち着いたりする。
あの頃は、人は皆自分と同じだと思っていた。
やる気さえあれば、誰でも必ず成長していけると信じていたし、
心身に不調を抱えている人の割合が、
こんなに多いとは全く思っていなかった。


    *    *    *    *    *    *


「上山さんはもう要りません。」


その結論は現場で私に伝えられ、
同時に課長が契約会社の営業担当にも電話を入れた。


ネット上で非正社員の解雇に関する記事を読むと、
何かと非難ごうごうだよね。


出向スタッフの雇用者はあくまでも契約会社であり、
クライアント企業からの解雇はあり得ない。
契約会社は当該スタッフと、
期間を明示した雇用契約書を取交しているのだから、
期間満了までは当事者に対して、
(次の仕事を紹介するなど)収入が持続するような、
努力をすべきであり、それがなされないのは違反である…


そんな感じの主旨の文章があちこちに書いてあるけれど、
読めば読むほど私の心中は複雑である。


企業側の経営的にやむにやまれない事情があれば別だけど、
スタッフ本人に様々な原因があって契約終了になる場合は、
こちらもまた、次の仕事を紹介しにくい現実がある。
「欠勤が多すぎる」「協調性がなくトラブルばかり起こしている」
「数値的な処理能力が著しく低く、許容範囲を超えている」
「お客様対応で苦情になるケースが多過ぎて不向きと思われる」


就業先でそんな判断をされてしまったスタッフに、
何の不安もなく次の仕事を紹介できる担当者はいないと思う。
職場との相性の問題や、誤解であればまだいいんだけど、
たいていのところ、それは真実だったりするので、
そこもまた、なんとも微妙なところです。


こういうお話は、何もかもが微妙で曖昧で、
本当に割り切れない事ばかりだ。


(…つづく)
 

 
 

 
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