« コーチングセミナーの男達 | トップページ | 情報の流れていく先(2) »

2007.09.23

情報の流れていく先(1)

「困っちゃうなぁ…」とこのblogでも何度か話題にした、
ダメダメ主任の今野さん(50代前半男性正社員/仮名)が、
他の部署に異動になってから一ヶ月経った。


彼に近い人からの話によると、1年前にすでにギブアップ。
(ご本人が業務に対して、です。)
半年前には異動を希望する申請が出ており、
本当は6月一杯で他部門への転任が決まっていたのだが、
各種の調整で先月までずれ込んでしまったとの事だった。


今野主任が周囲の強い要望に対して一歩足りないところは、
ひとえに想像力だ。
自分がどのようにしたら周囲にどういう影響が出るか、
残念ながら毎回そこまで思考が及ばない。


具体的には上部の意思決定や自分の判断などを、
タイムリーに風下に流してくれないので、
正社員も私達契約スタッフも、
負担の大きい作業を期日直前になって知らされることが多く、
そのたびに皆でバタバタして非常に効率が悪い。


これでは不満が渦巻くのも当然で、毎度毎度、
正社員とスタッフ側班長達の合同ミーティングで、
「それはいつ決まったんですか?」
「いつわかったんですか?」
「なぜこの時期まで黙っていたんですか?」
「それをするにはどんな作業が必要かわかってます?」
と、個人攻撃のような空気になってしまう。


物事の説明が苦手で、
毎回「言った、言わない」の話になる。
聞いた人が「なるほど、了解しました」と、
万事を心得るような指示出しをしないので、
主任の言いたい事と周囲の受け取り方が、
ずれている事も多く、
主任から「この前言ったでしょ?」と突っ込まれるほうは、
感情的に甚だ面白くない。
スタッフや普通の社員に対してはまだいいが、
同じ主任同士になるとけんか腰で怒るので、
ほかの主任達は誰もが納得していない。


が、普通に考えて今野主任の後から入ってきた、
新しい主任達の感覚のほうが正常なので、
今年度に入ってからは、
皆が見ている場での激しい言い争いが目立ち、
逆に私達の不平不満は沈静化してしまった。
代弁者が現れたためかもしれない。


4月新任の三上主任(30代後半男性社員/仮名)からは、
よく愚痴を聞かされた。
自分の着任によって人数が一人増えた主任達同士で、
業務の分担の見直しと再度の振り分けが行われたが、
今野主任からは「それじゃこれをお願いします」と、
予告もなしに突然丸投げされて、
山のような資料を"不要品を捨てるように"
バンバンバンと目の前で自分の机の上に積まれたほかは、
一切の詳しい引継ぎがないという。


そうでなくても着任間もないため右も左もわからず、
何をどうしたらいいか途方に暮れて聞きにいくと、
「そうところから勉強してくれないと困る!自覚が足りない。」
と、頑として拒否!なんだそうだ。


がははは!メチャメチャ彼らしいや(笑)
自分の業務伝達の苦手意識と大義名分を、
無意識にすり替えちゃっているんだろうな。
でも担当者同士の引継ぎがスムーズに行われないと、
職場が回っていかない。
建前よりも結果を重視してくれないと現場が立ち行かず、
困るのは今野主任ではなく周りの社員やスタッフ達なのだ。
わかってます?その辺?


一事が万事そうなので、主任仲間も社員もスタッフも口々に、
「配慮に欠ける。人の事はどうでもいいと思っているんだ」
と批判するが、性格的には熱血漢で、
思いやりのあるいい人である。
だからきっと、人格云々ではなく、
単に"周りが見えない人"なんだと思う。
もっと正確に言えば、
職場の中での自分の役どころが客観的につかめない人。
視線を自分から切り離して外側から全体を眺めてみる。
そんなシュミレーションが感覚的にできない人なのだろう。


今までは正社員だけの伝統的な職場で、
それでも問題なくこなせてきたが、
ここでは契約スタッフのほうが圧倒的に数に勝り、
体制や運用が大変複雑なだけではなく、
人を入れている各社との協議や交渉。
そして日々変わり行くお客様を相手に、
目まぐるしい商品の変化や施策の投入、
それに伴う意識あわせ、電話会議、部下への落とし込み…
それらはきっと、彼の持って生まれた能力を
はるかに超えちゃっているんだろうな。


今野主任の動向は、三上主任が逐一教えてくれた。


「ここだけの話だけど、
今野さんさ、異動申請を出したらしいよ。」
「今野さん、異動決定みたい。」
「決定だって。6月一杯って部長が言っていた。」


だから私は早い段階で彼の異動希望を知り、
そこから先は、配下のスタッフから、
「最近やる気あるんですか?
何でもかんでもオレは関係ないと他人事みたいな言い方をして」
と、批判の声が上がっても基本的にスルーした。
今野主任がなぜそう言うのか今は理解できたし、
白旗をあげた人に石をぶつけるような事はしないよ。


途中からは皆に知られないように、
水面下で業務委譲がされ始めたが、
そういった動きの中で事情を知らない社員やスタッフが、
「最近の責任放棄は目に余る!」と私に怒りをぶつけてくると、
理由をわかっているだけに内心辛かった。


    *    *    *    *    *    *


さて実はこの情報は、
当初のその時点で課長と三上主任しか知らず、
そういった事をその都度教えてくれるたびに、
私が聞いてもいいものだろうか?と首を傾げたりした。


だって私はこの会社の社員でも何でもなく、
自社のスタッフを大勢出向させている、
一協力会社の社員なので、
立場としては部外者で、こんな話は聞いていいはずがない。


なのに実際は、いろいろな上の人から、
「私が聞いてもいいものか?」と、
こっちが不安になるような話もよく聞かされる。
社内人事の話、業務計画の話、運用上の悩み…
部外者で、しかも女性で年齢もあまり差がないところから、
何かと話しやすいのだと思うが、
役職が上がって行けば行くほど、
自分を肯定し、理解し、共感し、
賛同してくれる人が欲しいんだろうな。


なので社内の利害や上下関係のしがらみのない私は、
クライアント企業の上の人達から、
何かと相談を持ちかけられやすい。
上司というのは基本的に孤独なのだね。


けれどこれは、職場のカラーや、
風下に控えるメンツのキャラクターにも大いに関係がある。
「上司」「責任者」「管理側」というだけで、
無条件に険のある批判の矛先を向け続けるなら、
そこに信頼関係は成立しない。


三上主任が新任間もないのに、
部外者の私にいろいろ愚痴をこぼしてくれたのは、
「ここって職場としておかしいですよね?」という小さな声に、
私も小さな声で「わかります。私もそれは感じます。」と、
応えたからだと思う。


そこからいろいろと悩みを聞いたり、
こちらも過去の経緯やスタッフ側の現状などを話したりした。


私は自分の利益のためだけに、
こういったことを意識的に振舞ったり利用したりする事はないが、
現実には社員の人達より情報が早かったり、
通常は表に出ない社内の様々な事情などを知る機会も多く、
客観的な結果としては、有利だなと思うことはある。


が、本来それは私ではなく、
上司達の手足となって動いてくれる、
気心の知れた社員の部下がなるべきで、
"腹心の部下がいない"
これがこの職場で上に立つ人の、大きな悩みなんだろうな。
それを痛感する。


ところで前述の今野主任は、自分の異動に際し、
スタッフを出向させている契約会社各社に、
何の連絡も挨拶もせずに去っていってしまった。
このあとどういう事が起こるか?
事情を知らない各社の担当者は、
それまで窓口であった今野主任を指名して、
今までどおり電話をしたり訪問してきたりするだろう。
そのときに「今野は異動しました」じゃ、話にならんよ。
担当者が呆然とするのが目に見える。。。


私は慌てて後任の三上主任に、
「こういうときは各社の営業担当者に一報を入れて、
異動前に後任の紹介と面通しを、
済ませておくのが普通ではないか?
ほかの人達は皆そうやっている。」
と、さすがに言わずにはいられなかった。


分をわきまえない差し出がましい申し出ではあったが、
営業畑出身の三上主任は、「確かに。」と快諾してくれて、
各社に以後は自分が担当する旨の連絡をしてくれた。
前任の尻拭いのような事をやっていただき、
私はとても感謝している。


結局お互いの風通しをよくするものは、
やっぱり信頼関係だと思うんだけど、
それを言い換えれば、
「この人は自分に(精神的な)危害を加えない存在」
という安心感で、これが結構大事だと思うんですが、
現実はなかなかうまく行かない事も多いようです。


つづく…
 

 
 

 
【"リーダーって何?"に関する最新の10件】
★情報の流れていく先(1) No2スタッフの昇格 あきらめなさいよ、少しだけ。 対話不足なのだ! 運は天まかせ まずは敬意からだろ? 任せないと伸びないよ? 欠勤が多い人の周辺 息のひと区切り 場が読めない人が読めない (続きを見る⇒

« コーチングセミナーの男達 | トップページ | 情報の流れていく先(2) »

.ビューティフルヒューマンライフ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
気になる一文を発見したのでまたコメントさせてもらいました。

>視線を自分から切り離して外側から全体を眺めてみる。

数日前の日記にも似たようなお話があったので、おっ!と反応してしまいました(笑)

ぷらたなすさんが常々考えてることが見えてきておもしろいですね!

----------------------------
>視線を自分から切り離して外側から全体を眺めてみる。
そ、そ、そ。人間関係では全体の中の自分、他人の目に映っている自分、普段気がつかない自分の中の自分、これが的確につかめていて、かつ、周囲の意識と合っていないと、なかなか自信を持った行動ができないと感じます。何に対しても不安になりがちな人はここの基盤が弱いんですよね。。。そう思います。
----------------------------

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54136/16541668

この記事へのトラックバック一覧です: 情報の流れていく先(1):

« コーチングセミナーの男達 | トップページ | 情報の流れていく先(2) »

スポンサーリンク



2018年おせち予約開始

  • おせちは断然早割がお得!

売上断トツNo.1!おせちの王者

ランキング2位常連「料亭の味」

ホテル・料亭の味をご家庭で!

創業90年老舗の味

無料ブログはココログ