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2007.04.17

怒った演技のできる人

★怒った演技のできる人「人」さえいればね。

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私の職場は某社某商品のユーザーサポートである。
いわゆる電話の仕事、いわゆるコールセンター。

が、取扱商品によって客層や業務には大きな開きがあり、
私が所属する同じ三課の中でも、
入れ食い状態で一日一杯、
初心者に近いお客様からの電話を取っている班もあれば、
ユーザーから依頼された故障原因の調査業務がメーンで、
一日数本の電話に対して、時間をかけて実機検証し、
切り分け調査に没頭している班もある。

現在の私は契約会社の出向社員として、
自社スタッフの現場管理や指導の仕事に就いているが、
私が契約スタッフとしてこの職場にやって来た2000年当時は、
今や社内で入門機の代名詞になっている商品でさえ、
当時は企業のシステム管理者からのお問い合わせしかなく、
お客様対応の良し悪しよりもテクニカルスキルのほうを、
非常に要求された。職場の雰囲気もそんな風だった。

それがここ数年来、ユーザーの裾野が格段に広がり、
CSの発想の浸透などもあいまって、
お客様対への対応品質が大変重要視されるようになり、
かつては、社名を名乗るだけで、
企業対企業の電話のようだったお客様対応も、
全社一丸となって「お電話ありがとうございます!」と、
名乗らなければならなくなった。

そんな風潮の中で、
アスペルガー症候群などの発達障害の傾向を持つ人は、
非常に生き延びにくい職場となった。

もとより三課の大半のスタッフは交代勤務者で、
同じ調査案件を勤務シフトに応じて、
何人かの手を経て解決していく。

例えばあるお客様の使っている商品に変なバグが出ている。
(正確にはバグじゃない、と、技術担当によく言われるんですが^^)
それは元から商品が悪いのか、
お客様が特殊な使い方をすると発生する致し方ない仕様なのか、
それは調べてみないとわからない。

お客様が回答を大変お急ぎの場合や、
海外と取引のある業種などの場合は、
昼も夜も関係ないので、
夜間でも人がいる本社技術部門に依頼を出して、
更なる二次調査を頼んだりしながら、
原因や修正方法がわかった場合の私達は、
夜中の零時でも明け方の3時、4時でも、
希望があれば普通にお客様に連絡をするが、
そういった夜勤者への引継なども、
こればっかりは引き継ぐものと引き継がれるものが、
何事に対しても同じ気持ちを持っていないと、
なかなかいいユーザー対応ができない。

そのため引き継いで退社した人が、公休の後に出社してきて、
自分の指示した重要なことが何も行われていなかった事に、
愕然としたり激怒したり、私自身もそういった、
面白くない経験は山ほどある。

「あれほど急ぎって言ったのに、どうして放っておくのよ!
こっちはちゃんと伝えているのになんで守ってくれないの?
だから、ほら見なさい、こんな大きな苦情になって!」
そう言いたかった言葉を、何度飲み込んだ事か。

例えば、「口では急ぎと言っているけれど、
実際に夜中に電話したら迷惑そうな雰囲気のようだ。
結論がわかっても回答は翌朝に電話しろ。」とか、
「急がないと言っているけど、だからと言って時間を置いたら、
このユーザーはウルサイので必ずやクレームになる。
連絡はできるだけ早くすべし。」とか。

そういった顧客の癖、また企業としての方針、
(実際は開発に原因があったとわかっても、
影響のあるユーザー数が少ないので、
今はまだ「調査中」のステータスで様子を見ようとか^^)
その辺がメンバー内で一致していていないと、
土日や夜間などの一人当番の勤務者が、
次々と案件をリレーしているようなときは、
あとで必ず摩擦が起こる。

そして班内での言った言わない、聞いた聞かないも、
周囲と感覚の違う人が一人いるだけで、
日常茶飯事の疑心暗鬼となる。

ま、そんなところから小さなヒビが亀裂になって、
やがて大きなシュプレヒコールの嵐のようになり、
仕事に向かない新人さんというのは、
どうしても職場からはじき出されてしまうんだね。。。

だから私達の職場は、技術的な仕事の能力だけあっても、
なかなか務まらない。仕事が出来てなおかつ、
全体の利益のためにチームワークや協同作業ができる人。
そんな人が歓迎されるわけである。
もちろん、これはどこでもそうかもしれないんだけど。

    *    *    *    *    *    *

さて、私は今、自社で応募のあった、
C班スタッフの候補者さんの見極め研修中の真っ最中だ。
そのため、普段出社している出向先の企業には顔を出さず、
毎日契約会社のほうに直行直帰の3日間である。
(明日まで←今度いつ誤認容疑者になってもアリバイがあるよう
マメに書いておく事にする(爆)!!)

今研修中の候補者さんに問題が無ければ、
彼は「その人の退職」で先日退職した、
ヒロアキさんの欠員補充要員となる。

前回の候補者さんは、不向きと判断してお断りした。
彼は20代前半の四大理系卒の若者(男性)だったが、
お客様対応やチームワークは無理そうだった。

今回の大木君(20代後半男性/仮名)は、
電子専門学校でも音楽系の学科卒で、
いつもの理系君のような雰囲気は全然無い。

目指す仕事に就くまでの、
とりあえずの腰掛けとでも思ったのか、
あまり評判のよくない(らしい)訪問販売会社に入った後、
空調会社にしばらく努め、就業中に内臓疾患を患って、
退職を余儀なくされた。

話してみると口数の少ない人で、
自分からはあまり饒舌に話し掛けてこない。
もともと周囲にアンテナを張り巡らし、
他人にマメに働きかけたり、
コミュニケーションの手を伸ばしてくるタイプではないようだ。
なので、昨日はあまり人柄がよくつかめなかった。

が、本日お客様対応のスクリプトを読ませてみると、
「ぁはい」とか、「ぇ~それでは」とか、
自然な感じで文中にはない発声が入るんだよね。
これは、前回「この新人さんは断ろうと思う」の、
小谷君が、一本調子の棒読みで、
しかも一字一句違えようとしなかったのとは大きな違いだ。

私が大木君に、
「ここに書いてあるお客様の口調が、
自分はあまり言った事のないような言い方でやりにくかったら、
自分の話し方に変えてもいいよ。」と、言うと、
すぐにアドリブも入る。男性でこういう人は久しぶりだ。
なんか、イケそうな気がして来た。

手指のこわばりもない。
質問と回答がかみ合わない事もないし、
研修中、誰かが物を取りに研修室に入ってきても、
その人に気を取られて顔を動かし目で追ったりしない。

私がどことなく安堵したのは、実際のフリーダイヤルに、
購入予定者を装って電話を掛けてみるという課題の時で、
(ごめんなさい。私は必ずこれをカリキュラムに入れているんです)
躊躇せずにすぐにそれができたので、少しびっくりした。
実は、不向きな人は、これがなかなかできないんですよ。

でも大木君は、「これこれこういう理由で、商品Aと商品Bと、
どちらがいいか迷っているという設定で、
ちょっと実際のフリーダイヤルに試しに電話してみて。」
と指示を出すと、決して垢抜けない雰囲気ではあるものの、
いかにもありがちなユーザーを、
すぐに演じる事ができるんだよね。
いやー、びっくりだ。やるじゃん(笑)!

そう。振りをする、装う、欺く、演じる…
不向きな人はそういった行動が取れない人が多い。

私は退職したヒロアキさん(40代後半男性/仮名)が、
この事前研修のときに、
「クレームの真似事なんて…私は人に怒った事が無いので、
そういう演技はできません。」と言っていたのを思い出した。
お客様とオペレーターに役を分けて、
ロールプレイングをやっていた時の事だ。

「え?怒ったことないの?電話して文句を言った事は無いの?」

「ありませんよー。
自分は教えてもらう立場ですから、
怒ったら相手に失礼ですし、
そんな事は一度もした事がありません。
だから…いやー、どうしようかな(笑)、
こういうのは苦手だな、いや、困ったな。」

そういってニコニコ笑いながら、
本当に苦情ユーザーを演じる事は出来ずに、
やたら物分りのいい、
善人ユーザーで終わってしまったのだった。

そのときに思ったんだよね。
あぁ、この人って本当に他人に対して、
腹が立ったりムカっとした自覚はなくて、
だから演じろと言われても、再現できないんだなって。

いや彼、ヒロアキさんは、
仕事中は結構ムキになって反論したり、
大きな声を出した事はあったわけよ(笑)。
でもご本人は、「怒りの感情」で、
そんな風な態度を取っているんじゃないんだよね、きっと。

そう言えば、少しトンチンカンなところのある由真ちゃんも、
「ぷらたなすさんに怒るなんて、そんなそんな…」と、
変に恐縮して苦情演技が出来なかったし、
今現場で研修中の南さんもいつもニコニコパチクリ、
退職した日下部君も、「すみません、…すみません…」と、
ものすごく平身低頭な人だったな…

タイプとして切れやすい人も過去にいたけど、
彼女に頼んだらそれができただろうか?
その当時は、こういうカリキュラムじゃなかったから、
今となってはわからないね。

いずれ、逆に考えてみると、
ここで感情を再現して怒った演技ができる人は、
私達の仕事的に向く人なのかもしれない。
クレーム演技ができる人は、
クレーム感情を持ったことがある人であり、
どんな人の何がクレームになるかよくわかっていて、
未然に防げる人だ。
そして、このトレーニングの主旨も理解して、
合点承知!とすぐに取り組む事ができる。

ちなみに、今野主任だったら…
下手な素人芝居で笑いを取っても、
迫真の演技はできなさそうだね(笑)。

    *    *    *    *    *    *

さて、大木君の苦情演技は案の定なかなかのものだった(笑)。

「あのさぁ~、お宅の商品、壊れてんスけど、これぇ…」
なんて、イチャモンの付け方が絶品(爆)!

彼って朴訥で無口なタイプなんだけど、
シチュエーションごとの演技になると、
なんでこんなにうまいの(笑)??
これまた、アンマッチではある。

でも、怒った演技が何も考えずに、
すぐに普通にできるって事は、
経験から考えて、大丈夫そうな確信を持った。
私は大木君にお願いしようかな?と、思った。
もちろん、その他の雰囲気も総合的に判断して、だけど。

そして私は、「落とす研修」から「育てる研修」へと、
自分の方針を切り替えた。

    *    *    *    *    *    *

今日のラストの課題は、自分なりの資料の作成。
様々なエラーや手順の画面をキャプチャーして、
明日の本格的なロールプレイング練習に供えて、
自分のオリジナル資料を作りなさい、とお願いした。

とっころが、彼は、この課題は総崩れ(爆)!

本当に一般的なスキルの人で、
こういった作業には手馴れていないので、
画像を保存する時のファイル名も統一性が無いし、
後で考えて直したものの、それも効率が悪い。

何をどうしたときに出たどんなエラーか?
どんな完了画面か?の把握が、
段々メチャクチャになって来て、
同じ画像に違うタイトルがついて重複していたり、
それが何の画像か後で見てちっとも一発でわかるような、
ファイル名じゃなかったり。

しばらく一人にして、時間を置いて見に行ってみたら、
大汗書いてまだ奮闘していたよ(笑)。

で、
「すみません。わけがわかんなくなっちゃいました。
申し訳ありませんが、もう一回最初からやり直させてください。」

あはは。気持ちはわかるし、そうなるのもすごく理解する。
慣れないと、どうしてもそうなるよね。私も最初はそうだった。
後で利用する時のことなんて全然考えずに作業してたな。

でも、そういうのは、「慣れ」ですよ、「慣れ」。
「エラー1」「エラー2」「成功1」「成功2」とつけたって、
よほどきちんとメモしておかないと、
すぐになんだったか忘れちゃうよね。
だったら、きちんと整理が済むまでは、
「○○を○○したときのエラー」と、
長くてもわかりやすいファイル名にしたほうがいいかもね。

すると彼、
「いやー、なんか、メチャメチャ悔しい。
作業はちゃんとできているし、手順もきちんとできたのに、
ここでこうなるのは、自分としては納得行かない。
最高に、悔しい。」

「じゃ、そんなに悔しいなら、
もう少し残って完成させてみる?」

「はい。」

それを見ながら私は思った。
そうだなぁ…そういえば、ヒロアキさんも、小谷君も、
「何かができなくて悔しがる」という態度は、
一切無かったなぁ…と。
南さんも日下部君も同じだなぁ…

逆にちょっとピンとハズレな人でも、
由真ちゃんや穣太君は悔しがった。
少し話のかみ合わない小山内さんという人も、
「ここであきらめたら私の負けだと思った」
と、過去を振り返って言っている。

由真ちゃんも小山内さんも3年以上続けているし、
穣太君も、自分の班にこだわらなければ、
本来やっていけた人だと思う。

そうか、「悔しがる」か…

なんだか、いろいろな人に出会い、
たくさんの経緯や結果を見ていると、
自分なりの判断材料が、
どんどん自分に溜まってきたりするんだよね。

それが、間違いの無いノウハウならいいんだけど、
変な思い込みや誤解にならないように、
用心して使わないとな。そう思った。

    *    *    *    *    *    *

さて、明日の研修は、班長の芦田君
(30代前半男性スタッフ/仮名)に同席を頼む事として、
昨夜のうちに現場に電話して、
夜勤の小山内さんに今日朝一の伝言を頼んだら、
話が違った風に伝わっていて内心焦ってしまった私。

「良さそうな新人さんだから、
芦田君に明日研修に同席するように言って。
契約会社のほうに夕方来てって。
明日の朝にそう伝えてくれる?
いつもの事だから、そう言うだけでわかるはずだから。」

確か、私、小山内さんにそう言ったんだよな。
うん、言った。絶対に言った。

でも、話は、
「ぷらたなすさんが、明日新人を現場に連れてくる」と、
誤変換されていて^^、本日直接電話したら、
その件で芦田君に何度も念を押されたあと、
「ですよね、やっぱり。」と、言われた。

「え?何それ?何かあったの?」

「いや、小山内さんですから。(笑)」

彼の返答はそういう事だった。

今自分のセリフを思い出すと、
私にはなぜ彼女がそう誤解したのかは、よくわかる。
キーワードは「研修に同席」かな。
彼女にとっての「研修」は、
(契約会社ではなく)現場で行うものという思い込みで、
それを自分なりに展開させてそういった伝言に変わったのだろう。
だが、私の気持ちは、やはり複雑なのであった。

「いや、小山内さんですから。(笑)」

そうなのよね…
 

 
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コメント

 「フリをする」「悔しがる」ですか。何か共通点がありそうですね・・・。

 実は、ぷらたなすさんの日記「彼女は岡ひろみになれるか」を読んでいて、私も思いついたのです。
 人が成長できるかどうかというのは、自分でずれを見つけ出して、微調整する、セルフフィードバックの能力を身につけているかどうかではないかな?と思いました。(ついでに日記にもそのアイディアを使わせてもらいました)
 ロボットでも、それができた時点から、飛躍的に進化するという話を聞いたような覚えがあります。

大変興味深いブログなので、私のブログで紹介させて頂きました。事後報告ですみません。
問題がある場合、削除しますのでメールお願いします。

>めろんぱんさん
AS傾向のある方は他人に自分を重ね合わせるというのが苦手みたいですよね。小さい頃に「ごっこ遊びをしない」とはよく言われているようですが、スマーティ課題やサリーとアン課題の話にもあるように、「人はそれをどう思うか?」という慮り(おもんぱかり)の発想が薄いかもしれないので、「特定の事柄に何かの感情を持つ他人」や「事実と違う自分(わかっていないのにわかっている振り、とか)」には乗り移れないのかなぁ…なんて考えたりします。練習のための演技なのに、目上の人(私)に対しては畏れ多くてできない、という由真ちゃんも、私がそうして欲しいと思っている事がわからないからなんだろうなぁ…と思います。「悔しい」とい気持ちも、どっちかといえば、勝敗がかかっていたり(優越感)、他人を自分を見る目(評価)を気にしてそう思うときのほうが多いような気がしますもん。でも私は、目標どおりに完成しなかったジグソーパズル(自分だけの達成感)でも十分悔しいんですけどね(笑)。(ほら、私もそういった"こだわり"は強い人なんで(爆)!)

>パシフィカスさん
はじめまして!ご紹介ありがとうございました!お褒めに預かり光栄です。問題なんて全然ありません!ですが私の偽らざる本音サイトでもあるので、嫌なことを書いているときもあると思います^^;私っておだてられると木にも登る人(ブタさん?(笑))なので、そんなときはスルーしてください(爆)!

ありがとうございます^^

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