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2007.03.27

この新人さんは断ろうと思う

そうだ!と思いついて、研修室のPCにSkypeを入れた。
これだと電話機がなくてもヘッドセットで話ができる!
電話という物体にこだわる必要なんてなかったんだ^^;

だったら他でも可能だと気が付いたけど、
人間やった事のあるものしか、
思いつかないように出来ているんだね。
Skypeなんて二年ぶりだなぁ。結構進化してそうだ。
ボイスチャット用のヘッドセットなら安価なので、
研修の必需品と言えば、数本分の許可は下りるだろう(笑)。
(実際下りた!やったね!)

本社に返却するタイミングを失ってしまい、
露見を恐れた?周囲の同僚達が、
「ぷらさん、預かってて」と私に管理を押し付けた、
古いノートPCを机の引出しから取り出し、
一番まともそうなやつにVectorから、
Accessを使うフリーウェアをダウンロードして、
顧客管理DBを入れた。

今日は朝から早出してそれに架空の会社をいくつも入力する。
それを使ってよりリアルなお客様対応の練習をするため。

ランダムな契約ナンバー、さもそれっぽい社名、
住所、電話番号、担当者名、購入商品…
思ったより時間がかかってしまったが、
20社分ぐらい投入しておきゃいいだろう(笑)。

いやー、いいな、このフリーウェア、
最初からサンプルのユーザーが、
本当にありそうな内容で20人ぐらい入っている。
作りも、どこか企業で使っている顧客データベースっぽい。
というか、うちの職場のそれに雰囲気が似ている(笑)
(ご利用はこちら(笑)→http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se374242.html
※うあ!今よく読んだら、
「電話サポートをしながらの操作にもぴったりです。」って、
今気が付いた。すげーな、自分は天才か?って思うよ(爆)!

これで準備は完了だ。
3日しかない事前研修の内容を、
できるだけ実戦に近付けるんだ。

お客様のなごふくさんのコメントが大きなヒントになり、
私はなぜ今までの研修で、
事前に気が付く機会がなかったか確信した。
そのひとつは内容が複合作業じゃないからだ。

私が言う。私が教える。板書する、解説する、やって見せる。
それは卓球と同じで、ひとつの玉に注視するピンポンだね。
もちろん業務の基礎知識を覚えてもらうためのものだから、
確実な理解のためにはそうなってしまうのだけど、
そうじゃないんだもの、今回は。

ヘッドセットをかけ、契約ナンバーを聞いて、
専用のPCでデータベースを引きながら、
検索結果が出るまでに自分のPCで必要なツールを開き終えて、
様々な入力を済ませる。
そしてその結果が出揃うのを待たずに、
保留を解除して、お客様の話を聞き始める。

そう、全部が予測ベースのフライングスタート。
ほんの数秒でも待たされるなら先に次の作業に入る。
それを身に付けないとお客様にとって快適な対応にならないし、
リズムが取れなければ件数も取れない。

聞き取りを開始して相槌を打っているうちに、
やがてツール類は次々に値を返してくれるだろう。
それを目で追いながら、耳はお客様の話を聞き取り、
頭で原因特定の切り分けをしながら、
もうひとつのエンジンで回答の組み立てを考えている。
「うわぁ…やばいな、これ。なんて言おうかなぁ…」なんて。
これが大きな努力をしなくても無意識にできること。
できるようになる土台を持っていること。

    *    *    *    *    *    *

新人候補の小谷君(20代前半/男性/仮名)に、
あるテーマで事前に書いてもらった作文は、
理路整然とした論文調であったがどこか理屈っぽく、
彼の文面に使われていたラップトップという言葉を無視して、
私が、「このノートパソコンの話ですが」というと、
「ラップトップがノートパソコンの正式名称です」と訂正された^^

それは前回も書いたけど、他にも気になるところがあって、
私が某書籍から男女の短い会話を抜き出して、
「この意味は?」とスタッフの皆に尋ねたところ、全員が、
「この二人は夫婦だから(恋人からor交際しているから)、
こういう意味」と、短く書いてきているところを、
「1:1の場合/○○○…
  1:2の場合/○○○…」と、一人だけ変わった書き方
だったんだよね。

システム開発の会社に就職して一年未満で辞めて、
現在は公務員を目指している。公務員か…公務員…
辞めた理由は、「先輩達が忙しそうにしているのを見て、
自分には合わないと思った」
希望は「研修があって役割分担がはっきりしている仕事」
長所は「決めた事は最後までやるところが誰にも負けない」
私は一次面接者からのこの引継を読んだだけでも、
何かがピンと来たりしてしまう。

そしてお客様のけるさんがおっしゃるのと似た感覚で、
仕事的にまだ未熟なのに理論優先で、
常に現状に満足せずに現場批判を繰り返すような、
頭でっかちの場違いな理屈屋さんを想像していたら、
そちらはキャラクター的にハズれたので、ちょっとびっくり。

研修を進めるうちに、妙に子供っぽい雰囲気を感じて、
あれれ?と調子が狂っちゃったのは例えばこんな感じ。

「それじゃ、ここのお客様専用ページに、
研修用アカウントでログインしていてね。」と、
電話が入ったので一時立ち去ろうとすると、
「すみません。どういうことかわかりません。」

(キャ、これをお読みのご関係の皆様、ごめんなさい!)
内心、おー!来たか、と思う^^。

取扱商品をすべてホワイトボードに羅列したあと、
「そうそう、こういうのもあるんです。」と脇に小さく書いて、
ふと思いついて、「これ、どうして脇に小さく書いたと思う?」

「わかりません。」(あららら…)

うーん、私だったら何て答えるかな。
「売れてないから」「生産中止したから」
そんな答えぐらいはするかもしれない。
とりあえず、想像がつかなくても、
「うーん」と首をひねって考える振りはする。
「わかりません」と瞬時の即答はしないぞ?

「これはね、古いお客さま用に今も販売はしていますが、
もう一般ユーザーには売っていない事になっている商品で、
ホームページにも載せていないし、
特別な注文をしないと買えない商品だからなの。」

「あぁ…あ、そうですか。」

国語のテスト的な読み取り問題をお願いする。
「時間がないからここから後ろだけでいいですよ。
それでも制限時間に終わらないようであれば、
ここにある呼び鈴を押して延長の申し出をしてくださいね。」

やがて呼び鈴。

「終わらなさそう?やっぱり(笑)?じゃ、終わったら呼んでね。」

ところが、終わったので呼ばれて戻ると、
あれれ?全部やっちゃったの?
それで遅くなったの?
後半半分でいいって言ったじゃーん(笑)

何かが私の中で固まり始める。

    *    *    *    *    *    *

そうね、それだけを半日で教え込んだ超基本的な内容で、
本番もどきにロールプレイングをしてみると、
やっぱり契約ナンバーは「あれ?あれ?」と、
よく打ち間違えるし、
お話の前半はやっぱりすっかり抜けちゃうし、
あのクールで理詰めの論文的な文章から伺えるキャラとは、
ものすごい(!)ギャップがあるんですよね。

それで、つい場を和らげるために、
「ダメじゃーん!(笑)」なんて言っているうちに、
師弟関係だったはず?の事前研修が、
親子関係(爆)(ま、長男のいっこ上でもあるし(笑))、
に変わっちゃうのね^^。

そして案の定、電話応対の部分も難が目立つかな。
この研修の最初のカリキュラムが、
マナー研修から開始したという理由もあって、
きちんとした敬語を使おうとしすぎて、
スムーズにしゃべれません。
コマ切れに止まって、不自然に長い間があくんだよね。

「慣れないなら、普通の話し方でいいよ?」と言うんだけど、
なかなかそれもすぐには切り替えられないみたいだね。
教えられた限りは、間違いの無い、
完璧できれいな敬語を使いたいのだと思う。
それがまず真っ先に頭に浮かんでしまうんだろうな。
こうしてみると、他社さんの同業者が言う、
「しゃべれない人」という括りかたも合点がいく。
でも、しゃべりの素質に問題があるのではないんだよね、きっと。

あ、そうそう、それからもうひとつ大きな事に気がつきました。
小谷君てね、この2日間、私に自分から話し掛けた事が、
一回も無いの。よく考えたら本当にそうなの。

通常こういったマンツーマンの研修のときは、
緊張するし息苦しいので、
新人さんはそれをほぐすように、
自発的によく話し掛けてくるんだよね。

何かの課題作業をさせて私が待っているときに、
「遅くてすみません。こういうのは初めてで…」と謝ったり、
間違えるとバツが悪いのか、
「あーしまった、俺、やっぱ向かないのかな~(汗)」とのけぞったり、
話好きな人だと、
「ぷらたなすさん、この仕事、長いんですか?」なんて(笑)、
何かしらその人の"素"が見えるような働きかけがあって、
それがきっかけで打ち解けてきたりするんだけど、
小谷君、それ、全然ないね。
私の説明を「はい…はい…」って、いつも同じ抑揚の返事で、
一方的に聞いているだけだね。

本当にわかっているのかな~?と気になって、
「何か、質問はありませんか?」と尋ねると、
「いえ、特には。」

「じゃ、このhttpsの『s』って何だろう?
ここに『s』がついているとどういうことになるの?」

「s…s…なんかの略語…ですか?」

うーん…(気持ちはわかるが…)

「じゃ、うちの契約番号で、
この商品群のユーザーの先頭につくアルファベットは?」

「Pです。」

は???
いったいどっから持ってきたんだ??その「P」は?(爆)
何がどう変換されてしまったんだろう?
しかも直前までその話をしていたのに。
(正解は「X」、全然似てない(笑))

「え?そう思った理由ですか?
昨日、『P』って言いましたよね?
スプリクトの読み合わせで」(→一言も書いていない)

しかも、ん?ん?すぷりくと?す、ぷ、り、く、と??
もう一回ゆっくり言ってみて(笑)?

    *    *    *    *    *    *

なーんか、毅然と接しなければいけないのに、
つい噴出して、顔がほころんでしまうのよ。
でもさ、事前の自己申告ではhttpsもスクリプトも、
わからない経歴の人じゃないはずなんだよね。
(ウソはつくような人じゃないと思う。)

本当は採用担当の細川さんに、
今日のうちにお断りの電話を入れてもらおうと思った。
が、思うところがあって今日の連絡はやめた。

明日、マナートレーナーの小原さんと三人で、
ロープレをやる予定なので、
私は今日これで終わりにせずに、
小原さんにも明日参加してもらい、
二人でいろいろと話し合いたいと思ったのだ。
それに電話一本でなんて失礼だし。

「それじゃ、今日は普通に帰ってもらっていいんですね?」
そう言って、研修を終えた私と入れ替わりに、
研修室に入っていった細川さんがなかなか戻って来ない。
辞退の相談でも受けているんだろうか。
彼、たぶん、今日は相当辛かったはずだ。

やがて戻って来た細川さんが言った。
「今日の感想とかを聞いていたんですが、
なんか、小谷君、前よりもやる気満々で、
自分は友達の中では一番しゃべりが上手いんだって、
そう言って帰って行きましたよ。」

そうか。。。そうなのね。。。
そう。。。やる気満々か。。。

私、明日、彼を意識的に否定しなきゃいけなくなるんだろうか?
やだな。わかって欲しいんだけどな。
結局、どう気付いてもらうかなんだ。嫌われるのは構わない。
けれど、私は小谷君が自分に客観的になれる場を、
明日、提供してあげられるのだろうか。

とりあえず、けるさんの予想するような、
>来月の終わりあたりに、このブログで、
>「今度の新人○○さん(仮名)の話だ」とか書かれそう
…な事にはならないと思うので、まずはご報告でした。
あまり口外すべきことではないと思うが、
私は上記の書き込みに少し受けてしまった事を、
ここに白状しておく。

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コメント

こんばんは。

 なるほど、そうなったんですか。情報量が増えてくると、だんだん人となりがわかってきました。理屈っぽいというより、うんちく君に近いかなって感じです。部分的な知識を多数得ることにより評価を得ようとするタイプっぽいですね。知識は多いが、それぞれの知識が独立してるって感じです。それだと、お客様相手の仕事は難しいかもしれませんね。また、このようなタイプは、全体像が見えていないので、フライングで処理を行なえません。フライングで処理を行なうには、直後に必要となる情報が推測できないといけませんからね。
 また、本人は、気がついていないかもしれませんが、「研修があって役割分担がはっきりしている仕事」を言い換えると、「決められたことを決められたように処理する仕事」になってしまい、それは、「計算機で処理できてしまう仕事」と同意語なんですよねぇ。要するに、「必ずしも人間がやらなくてもいい仕事がしたい」ってことです。受験の弊害だと思いますが、こういう学生さんは結構多いんですよ。例えば、世界史とかは、歴史の流れはまったくわかっていなくても、年号さえ覚えていればなんとかなるみたいな感じです。公務員になりたいってのもわかる気がします。公務員なら、決められたことを決められたように処理するだけでいい、と、思いがちなので。本当はそうじゃないんですけどね(でないと、とっくに計算機処理に変わっている)。
 私も断るのが正解だとは思いますが、本人が気がつかないかなとも思います。できれば、小谷君(仮名)にも、稼げる社会人になって欲しいと思いますので。

こんばんは。

小谷君はたぶん、フォーマットのしっかりした人と関わらない仕事だと安定した気持ちで取り組めると思うんですよ。機転やスピードや自己判断を要求されてしまうと、今回の事前研修のようにチグハグな仕事振りになっちゃうんですよね。

服飾系の専門学校を出てそっちの仕事に就いたうちの妹が、子供が大きくなってもう一度働きに出たときに、言ったんですわ。「お姉さん、私、毎日毎日同じ事を繰り返す平凡な仕事のほうが意外に好きだってわかった。」って。なので今は東京駅の近くの某社で派遣スタッフとして働いています。

確か若い人にはあまりそんな風に思って欲しくありませんが、「はなのすきなうし」というスペインの絵本にもあるように、闘牛になる事がうしの夢であるスペインで、毎日花を見ているのが好きなうしのフェルジナンドに似ているかもしれません。仕事的な困難さが少し感じられる小谷君と一緒に論じるべきではないと思いますが、表面的で安定志向の若者達でも、就いた仕事によっては変わっていく人もいると思いますよ。

ちなみにうちの次男も数学は好きだけど、文系科目はからきし嫌いで、特に社会は「暗記科目は苦手」という言い方をします。あれってそうだっけ?と私は思いますが、本人はできるだけやりたくないので、最低限の事しか覚えようとしないようです(笑)似てますね!

ついでに言うと、その次男ですが、アルバイト先のスーパーで仕入れまで任されて、「販売の面白さを始めてわかった!」と言っていましたが、やっぱり「面白いけど大変で嫌」なんだそうです。「だって、アルバイトごときで、なんで頭を使わなくちゃいけないの?俺、来て帰っていくだけのバイトがいい」だってさ。たぶん若い頃の私なら、そうは思わないと思います。人それぞれだなぁ… ※脱線しましたが(笑)


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