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2007.03.18

アスペルガーなユーザーサポート

【アスペルガーな新人さんを何とか立ち上げたい!】
連敗中!句読点をつけない人自閉症的なスタッフの指導?誉める事・評価する感受性なぜ危機感にこだわるのか★アスペルガーなユーザーサポートやっぱダメかな…その人の退職[完]お互い不幸にならないために

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何かの機器・装置や利用サービスに問題が起きて、
コールセンターに電話したときに、
「今日の担当者は"ハズレ"だな^^」と、
思った経験はないだろうか。

誠意があるので怒りは感じないけれど、
どこか"イマイチ"だったなぁ…と思う人。
こちらの言い分にすぐにピンと来てなかったり、
説明が少し長くてまだるっこしかったり杓子定規だったり。

それでも内容に致命的な誤りは無く、
問題は解決しているので、
十分に満足はしていないのに、
なぜか最後にお礼なんかはつい言っちゃう人。

私がヒロアキさんを指導するときには、
そんな目標を個人的に掲げて進めている。
「そういう人っているよね?」ぐらいのレベルになれば、
いいんだけどな。。。

が、実際のお客様のお問い合わせと言うのは、
同じ事を尋ねてくるのでも表現が多種多様で、
それにきっちりついていけるかと言えば、
答えはNOのように思われる。

ヒロアキさん(40代後半/男性スタッフ/仮名)のように、
アスペルガーでは?と思われる人は、
人の気持ちがよく読めないので、
相手によって会話がチグハグになってしまう事があるが、
途中でそれに気がついて自分で軌道修正できる事はあまりない。
「この人はこれについて言及している」と思えば、
そこに向かって一直線である。

相手の言葉の中にヒントがたくさん含まれているのに、
話がかなり進まないと食い違いに気が付かない。
それも、"気が付く"というイメージのものではなく、
予想外の反応続きで段々わけがわからなくなり、
「さてどうしたものか…」と沈黙して前に進めなくなる感じかな。

普通の新人さんは、
「そこはお客さんに聞いて確認しないとダメでしょ。」と言うと、
「あ!そうですね。」とすぐに戦法を切り替えて、
相手に様々な質問を投げかけ始めるのだが、
(新人さんはトークがまだ不慣れなので、この聞き方が爆笑!)
ヒロアキさんのようなタイプの人は、
何をどう聞いたらいいのか、一層固まってしまうので、
ここでロールプレイングは一時中断となる。

先日のロールプレイングでは、
お客様を演じる私が「設定を確認したい」と質問すると、
「それではどうぞご確認ください。お待ちしております。」
と言って、ずーっと"待ち"の姿勢に入ってしまった。。。

双方長い沈黙。

「…あの、設定を確認したいんですけど?」

「ですから、ご確認いただいて結構です。
お時間がかかるようでしたら、
再度お電話いただいても構いません。」

は?(笑)

「あのー、そちらで教えてはもらえないのっ?(怒る演技で)」

「はい、
教えます。(←困惑すると敬語が吹っ飛ぶがそれは一般的)
……すみません。(←怒ると反射的に唐突に謝る)
……申し訳ありません。(←いつも注意されているので言い直す)
それではお待ちしておりますので、どうぞ確認してください。」

「ヒロアキさん、ストップ!ストップ!
お客さんが『確認してください』と言ったら、それはどういう事?」

「はい。
マニュアルを見て自分の設定を確認したいんだと思いました。」

「じゃ、なんでコールセンターに電話してくるのよ?^^;
お客さんがわざわざ
『今からマニュアルを見て自分の設定を確認したい』という電話を、
普通はかけてくると思う??」

「あ、そうか。そうですね。」

「お客さんが『確認をしたい』と言って来たら、
それは、あなたに確認を依頼していると思ってください。
だったらどうするの?」

「…???」

「商品を電話口で実際に操作してもらって、
設定内容や方法に謝りは無いかどうか、
ひとつひとつ問診するんだよね?
それは練習で何度もやっているでしょう?
あとはいつもどおりの手順でOKだよね。」

「はぁ…あ、待ってください。今、書きますから…」
(ノートにそれを書いている。少し待たされる)

「それともうひとつ大事な事。
お客様が『設定を確認したい』と言って来たら、
今から設定を開始するのではなく、
もうすでに何かを設定済みだという事だよね?

だ・け・ど、やってみてうまく行かないから、
どこかに間違いがあるのだと思って、
電話してきているんだよね。

だから『設定を確認してください』と言われたらイコール、
『やってみたけどできなかった。どうしたらいいでしょう?』
だと思ってください。ほとんどそれで当たっているから。」

「あぁ。だったら、何か不具合はありましたでしょうか?と、
聞いてみたほうがいいですね。」

「そうそうそう!」
(こういうところの勘が意外にいいので判断に迷うのだが)
私は一瞬躊躇したが、思い切って「そうだ」と言った。

なぜ躊躇したかと言うと、
ヒロアキさんは臨機応変が不得手なので、
そう教えてしまうと何がどうでも必ずそれを聞く可能性が高い。
そうなったときのメリットとデメリットをとっさに計算したのだ。
そして、確認が必要の無いお客様に、
その問いかけをして相手をイライラさせてしまうケースよりも、
それによって根本的な原因が解決される頻度のほうが、
ずっと高いと判断した。なので「そうして下さい」と言った。

この様子を目にした周囲のスタッフ達は、
「ぷらさんは、なぜあんな固定的な指示を出すのだろう?」と、
絶対疑問に思うだろうな。。。
「お客様対応で要求されるのはケースバイケースの柔軟な姿勢で、
今の指示はその重要性を度外視しているではないか?」と。

それは十分わかっているよ。
でも、もしヒロアキさんをどうしても育て上げたいのなら、
指示の出し方と拾捨選択が重要になってくる。
何かを思い切って切って捨てるぐらいの覚悟がないと、
なかなか戦力としては立ち上がらないだろう。

実は周囲の理解が必要と痛感した班長の芦田君は、
班のメンバーに、
「彼はアスペルガー症候群という障害かもしれない」と、
内々に周知済みである。
そうなると、スタッフ達は一斉にその場で検索し始めるが、
実際に自分達が困ったり迷惑を蒙ったりした経験を、
肌で感じた人でないと、なかなかそのニュアンスがわからない。
ヒロアキさんはまだ研修中扱いで、
他の人と実務を通じて密に接触する機会が無いので、
私の研修内容や姿勢にも首をかしげる人はいると思う。

    *    *    *    *    *    *

ヒロアキさんのようなタイプのスタッフを指導してみて、
いつも感じる事は、理由や原因を特定する自発的な発想が、
当初は完全に抜け落ちているという事だ。

コミュニケーションに少々難があるのはわかっているので、
お客様と噛み合わないケースは当然出てくると思う。
が、面接や事前研修等でも大きな違和感を感じない程度の人は、
この日記の冒頭に書いたぐらいのレベルになら、なれると思う。

が、それ以前に強力な指導が必要なのは、
お客様の不具合解決までの手順なのだ。

コールセンターには様々な問い合わせがあり、
料金やオプション、簡単な初期設定や、
ホームページに誘導しての説明など、
暗記項目的な規定の案内で済むような質問も多い。

が、その反面、
「○○ができない」「うまくいかない」「故障では?」などの、
調査系のお問い合わせに対しては、
問診、操作の正常性の確認、
実機での再現、あるいはツールを使っての遠隔調査など、
先方のどこに問題があるのかをまず特定して、
その上で解決方法を案内する事になる。
どうしてもわからなければ、技術部門にエスカレーションしたり、
それでも原因がわからずに長期化することもある。

いずれにしても、どこが悪いのか特定できないと、
お客様に何の解決策も指示できないのが私達の感覚であるが、
アスペルガー的な人達というのは、
そこを強く意識させる指導をしないと、
一番大事なこの手順を吹っ飛ばして、
自分の記憶や知識の中から見込みで回答をしてしまう事が、
大変多い。

それが、
「調べもせずに回答する」「思い込みでお客様対応する」
「決められた調査フローを守らない」という、
周囲の悪評につながってしまうのだが、
それは、"普通ならそうする"という、
まさにこちら側の"思い込み"だったりする。

前半で触れたのは認識の食い違いについてであったが、
それ以外の調査系対応についても、
彼らは物事にあまり疑問を抱かない。
(ように見える)

おかしい事があっても、
「変だな?どうしてかな?」とあまり思わないし、
それを特定していく手法をいくつか提示しても、
ひとつひとつルーチンな業務フローとして教え込まなければ、
最初は決して自分で考えてそれをやろうとはしない。
一般的な新人さん達のように、
「あー、なんだっけ?なんだっけ?
確かそれを調べる方法がありましたよね?」
とは決して言わない。(ように思える)

※余談ですが、そう言えば彼らは、
「思い出しそうで思い出さない!」と悔しがる事が無いね…
「教えられた事実は覚えているけど、
その内容は忘れてしまった」などとという事があまり無い。
しっかり覚えているか、一切すべて忘れているかのどちらかで、
そういう意味では1か0かのデジタルな人達なのかもしれない。
グレーな状態を表現するのが苦手なだけと言うなら、
話はまた別だけど。。。

私は常々新人さん達に、
「この仕事はすべての真偽を確認していく仕事なんだよ?」
と言っていて、
・うちの商品のユーザーである。
・ユーザー登録はしている。
・使っている商品番号はXXXXXXである。
と、いくらお客様が述べてきても、
それが自分の眼で(データベースで)確認できるまでは、
信用して話を進めてはならない、と言っている。
大前提である「うちの商品のユーザーである」という事自体が、
そもそも勘違いである事も多いのだ。

調査系のお問い合わせもまたしかり。
聞いて聞いて聞き込んで、
いつ起こったかを聞き、始めてかどうかを聞き、
操作手順を聞き、設定内容を聞き、エラー番号を聞き、
可能性の範囲をどんどん狭めていく。
問診切り分けをしなくても、ツール一発でわかるときもあるが、
この場合のユーザーサポートと言うのは、
回答するのが仕事ではなく、聞くのが仕事だ。

ヒロアキさんのような人は、
その点がなかなか頭に入りにくい。
今起こっている事の真偽確認をして、
偽の場合は原因を突き止めて修正するという発想が、
生来身の内にあまりないからなのかもしれないね。

自分達のことを考えてみると、
他人と話をするときにも結構それは無意識に行われていて、
「その話ってずっと前にも聞いたけど?」
「それだと本来の目的と矛盾するんじゃない?」
「あの人が今頃になって、なんでそんな事言い出すの?」
などと、おかしいと感じた事に対して私達は、
知らぬ間に真偽確認をたくさんしている。

もちろんアスペルガーだと思われる人が、
そう言ってくることもあるが、
それは非常に短いスパンの話である事が多く、
数分前の話に対して指摘して来ることはあるが、
昔の話、あるいは継続して皆が感じている認識に対して、
すぐに反応してくる事は少ないように思う。

    *    *    *    *    *    *

先週はお問い合わせの数が多く、
私も昨日、休日出勤して、
久しぶりに一オペレータとしてお客様対応した。
(こんなときは、たとえそれが苦情でも大変楽しい(笑))

その中で、こんなご質問をいただいた。

 

ユーザー専用のサポートのページを、
IEの「お気に入り」に登録していたが、
突然「お気に入り」から、
全く接続できなくなってしまった。
マニュアル一式を至急ダウンロードしたいので
大変困っている。どうすればいいか?

これがもし、ヒロアキさんだったら、
「それはIEの不具合なので再インストールせよ。
またはマイクロソフトに聞け。」
と、いきなり即答するかもしれないな(笑)。

正解はBasic認証画面でIDかパスワードを間違えてしまい、
以後は認証画面が出ずにAuthorization Requiredのエラーが
最初から表示されるようになってしまったもので、
こういう事はお客様の質問内容から直接的に推測するだけでは、
最初はなかなかわからない。

「入力間違いでログインできなかった」のが原因とは思わずに、
自分がおかしいと思っている事柄にポイントを置いて、
「お気に入りから接続できない」なんて言うのがお客様だもの。
そこを丹念に聞き込んで切り分けしていかないと、
回答はあらぬ方向に走っちゃうのよね。

開いているIEを全部閉じてもらい、
お客様専用ページをもう一度お気に入りから開いてもらうと、
今度はちゃんと認証画面が出てきて、
正しいIDとパスワードで難なくログインできたが、
この(自分にとっては数分で終わった)お問い合わせを、
ヒロアキさんが受けたらどうなるだろうか?
と、お客様対応をしながら私はずっと考えていた。

コールセンターの利用者にとって、
優秀でないオペレーターも、
電話そのものがなかなかつながらない事も、
「問題がすぐに解決されない」という観点でみれば、
同じベクトルのストレスであるが、
センター側にとっては、人を増やせば増やすほど、
質が落ちていくという反比例な悩みがある。

お客様の立場でこれを読むと、
とんだもない話だ!と、腹の立つ人も多いと思うが、
ヒロアキさんのようなそのままならやっていけないと思える人でも、
お断りすべきかどうか大きな迷いが生ずるほど、
現場の人不足は切羽詰っている。

が実際、今のように非正社員の募集状況に、
極度の逆風が吹いているときは、
「やりたい」と言って応募してくる人の中に、
(言葉は悪いが)果たしてまともな人なんているんだろうか?
と、思わされることが多い。

どこかに大きな原因があって、
普通の職場で普通に仕事できずに、
退職や解雇などで流れてくる人ばかりのような気がして、
以前との大きな違いに盛り下がる気持ちも強まる。
関連する話がもうひとつあるので、それはまた次回に。

【過去記事一覧】~after Asperger~
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コメント

臨床心理士です。はじめまして。
興味深く拝見しました。

自閉症スペクトラム(と思われる)の方々を排除するのでなく、何とか育てようという姿勢は素晴らしいと思います。私が担当する子どもたちも将来はそういう指導者に出会ってもらいたいと願います。

ただ、会社のかたに「あの人はアスペルガーかもしれない」とおっしゃるのはひっかかりを感じます。

そう聞いたかたは、「アスペルガー症候群=仕事ができない」と思いますよね?確かに能力に凸凹がある人々ではありますが、本人に合った職場で役割をきちんとこなしているかたもいらっしゃいます。

またそうした情報が独り歩きし、ぷらたなすさんの知らないところで噂になり、本人の再就職や結婚などの妨げにならないとも限りません。障害名(それも不確定ですよね)は非常に個人的な情報です。

他のかたには、障害名は出さずに、特徴を伝えるだけでいいのでは?

ちょっと熱くなってしまいました。ご不快になられたら申し訳ありません。

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