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2007.02.11

厄介な人4~上司達の判断

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p>1011

年が改まり、私は次に入れる新人スタッフの事前研修のため、
朝だけ現場に顔を出して急いで自分の仕事を済ませると、
昼前には契約会社に向かう忙しい日々に再び突入した。

今度の新人さんは40代後半で、
前歯が一本もないためフガフガと滑舌が悪く、
見た目もちょっと変わった感じ。
塾の講師だったと言うけれど、
契約会社として企業さんに推薦できるような雰囲気ではない。

が、今募集を掛けているC班はベテランの退職や、
新人さんの早期リタイアなどが続き、
24時間交代制なのに正規のローテーションが組めず、
スタッフは皆、ハードな変則勤務シフトに疲れきっていた。

班長の芦田君(30代前半/男性スタッフ/仮名)と相談し、
"背に腹は変えられない"という部分で意見が一致し、
「もう、この際、24時間をやってくれる人なら誰でもいいから、
まずは来てもらって現場で育てよう」という結論に達した。
ベストな人選とはとても思えないけれど、
新人さんが就業に非常に意欲的なところを頼みの綱として、
必ず歯を治す約束を取り付けた上で採用を決めた。

ところが研修をしてみると、
大学卒業後、東京でプログラマーを数年やっていたというこの方、
PC操作がまったくおぼつかないorz…
履歴書にある「できれば再び開発の仕事を希望」なんて、
ウソだろ?と目を疑っちゃうよね。
両手でキーを打てないのでタイピングが遅いし、
企業のホームページを見てもらうと、
目が泳ぐしパッと見でサイトの構成を読み取れないので、
リンクを探すのにも、とても時間がかかります。
これじゃ、今時のネット慣れした普通の若者のほうが、
ずっとスキルが高いと言えるし、
「DOSの時代の人なんて、そんなもんですよ。」
と、会社のスタッフ達は言うんですが、そうなんでしょうか。
(あまり詳しくないのでわかりませんが…)

いずれ、もうこんな感じの人しか来ないんだろうか…と思うと、
どこか仕事に希望が持てなくなって来る。
すでに枯渇状態の契約スタッフに
これ以上職場が依存するのは、
激しくマズイ事なんじゃないのかねぇ。。。

契約スタッフはしょせんテンポラリー(一時的な)な人員である。
優秀な人ほど正社員を目指して数年後には転職していくのに、
企業側は今も正社員の削減を推し進めていて、
こうなると、せっかく長年築き上げた
企業としての高い技術スキルやノウハウは、
一体誰が次世代に継承していくのか?と、
疑問を持たざるを得ない。

そんな事を考えながら新年をスタートさせていると、
ある朝、A班長の神田君(30代前半/男性スタッフ/仮名)から、
報告が入った。
「穣太君の件で、昨日ひともめあったんですよ。」
「え?何?」

「お客様から○○が変だと言われたら、
まず△△と□□と××をセットで伺って、
すぐに調査を開始するのがセオリーじゃないですか?
だから、それを由香さんも隣の縫子さんも、
口が酸っぱくなるほど穣太君に言っているのに、
彼、昨日もそれをせずに自分の判断で
回答しちゃったみたいなんです。
結果的には間違いじゃなかったからいいんですが、
2人ともいい加減ウンザリして『どうしてやらないの?』って
穣太君を詰問したみたいなんですね。
そしたら彼、相変わらず『でも~』とか、『こう思ったから』とか、
言い訳ばっかりして、『はい』と一向に非を認めないので、
縫子さんがキレて、『どうしてそう言い訳ばっかりするのっ!』
って怒鳴っちゃったみたいなんですね(笑)」

こういうエピソードを語る時の神田君は、
なぜかいつもうれしそうで喜々としている。

「そしたら周りの人たちも兼ねてからそれを不満に思っていたので、
一斉に『どうしてそう言い訳ばかりするのっ?』と、
縫子さんの口調を真似てガンガン言ったらしいんです(笑)」

そのうち縫子さんも出社してきて、
「ぷらたなすさーん、ごめんなさい。
私昨日、腹が立って腹が立って、
穣太君にすごいキツイ事言っちゃったんですよね。
もし、彼が今日来なかったら私のせいです。。。
すみません。。。」

「その後、由香ちゃんがそこの席に2人で移動して、
どうして昨年末、突然席替えをして自分の隣になったのか、
今、穣太君がどういう状況でみんなにどう思われているのか、
そして一向に一人前にならない自分に
もうちょっと危機感を持たないと、
この先辞めさせられたりすることもあるかもしれない、と、
30分ぐらい掛けて丁寧に説明してくれたんですよね。」

「彼、どうだった?」
「さぁ…真剣に聞いたので、
やっと自分の置かれている立場が
今ようやくわかったんじゃないですか?
だから、今日は来ないんじゃないかと思って…」

ところが予想に反して穣太君は普通に出社してきた。
私達は慌てて解散し、何事もなかったかのように席に戻った。
私はその後の限られた時間を、ほぼ100パーセント、
各スタッフとのメッセンジャーのやり取りに費やした。
人それぞれに性格による温度差はあったけれど、
穣太君を見る周囲からはあまりいい話は出てこなかった。
皆、何がしかの"頭に来るエピソード"をそれぞれに持っていた。

    *    *    *    *    *    *

そして数日たったある日、
ついに穣太君が風邪を理由に休んだ。
欠勤連絡がお母さんからのものだったので、
その話だけでも「社会人としておかしい」「甘えている」と
班内では疑問視する声がすごかったのですが、
それ以上に、彼がその後二日目も三日目も休んだ事で、
「彼はこのまま来ないのではないか?」
という空気が流れ始めた。

しかもこの間に、穣太君へのブーイングは一気に膨れ上がり、
欠勤3日目の朝、班長の神田君が意を決したようにやって来て、
「もう、みんな、耐えられません。穣太君を交代してください!」
と訴えてきた。

「交代ってどういう事よ。クビって事?」
「その通りです(キッパリ)。
もう、指導を担当している由香さんも
サブでお手伝いしている縫子さんも、
精神的に限界だって言ってます。
もう2人とも疲れきっていて可愛そうです。
正直みんな、退職を考え始めている人もいます。
そこまでして育てて、一体何になるんですか?
あんな彼を取って、長年頑張ってきた
俺達を捨てるというわけですか?」

うわ!いきなり穏やかならぬ話だ。

「交代って言ったって、今日の今というわけには
いかないでしょう?誰かを辞めさせるには、
契約会社として法にそった手順もあります。
それに、いきなりクビといわないで、
他の班に移動させるという方法だってあるんだよ?
どっちにしても、それは私の一存ではできません。
課長や主任に相談してからでないと無理でしょ?
そうでしょ?普通。」

「そうですね、確かに。わかりました。
では、早急に課長や主任と相談してください。
もう、俺達は誰も穣太君の面倒は見たくないし、
関わりたくもないし一緒に仕事をしたいとは思っていません。
その辺を、きちんと上の人に伝えてください。」

は~年明けからいきなりコレかよ…
私は今進めている新人研修の悩みと、
他の課からオーダーをもらいながら、
なかなか人を出せないでいる現場での居心地の悪さと、
ケンカして家を出て行った次男と、
長男の奨学金の保証人の件と、
知人から車を譲り受ける手続きに、
この話が加わって、正直かなりの目一杯になってしまった。

吐き捨てるようにツカツカと去っていく
神田君の後姿を見ながら、
手元の受話器を取って契約会社に電話を入れ、
「すみません、今日の新人研修一時間遅れます。
新人さんには、自習しておくよう伝言してください。」
と、告げた。

    *    *    *    *    *    *

午後までにはだいたいの方向性を決めて出なければならないので、
私はそれまでの短い時間にたくさんの人とメッセンジャーを交わし、
膨大なやり取りをした。

親切で面倒見の良い由香ちゃんが、
穣太君の指導をギブアップしたのは本当の話で、
彼女は、「ぷらたなすさん、正直言って、私、もう、いいです」
とメッセージしてきた。

どこが苦しかったかは今ならわかる。
コミュニケーションというのは、
言葉を交わして心を通じ合わせる事だけを言うのではない。
・依頼する→引き受ける 
・指示する→応える 
・命令する→実行する
自分のアクションが他人に行動に反映されたときもまた、
そこに意思の疎通を感じ取って満足するわけで、
言ってもやらない、指示しても守らない、指摘しても認めない…
の繰返しでは、確かなものが何も得られずに、
やがて人の心は疲弊して荒れていくのだ。

望んでもそうならないものは、最初から望まないほうがいい。
もしかして班長の神田君の意見は、
最初から的を得ていて的確だったのではないか?と思い始めた。
事の発端が「指導に不熱心な班長批判」から始まったので、
私はそちらにばかり気を取られていたけれど、
それは間違いだったのではないか?

が、たぶん私は人に対して、
敏感すぎて逆に鈍感なのだろうと思う。
みんなが腹を立てるところ、眉をひそめて嫌悪するところ、
そういったところが、イマイチ実感として同調できないでいる。
それは、なぜその人がそういう行動を取るのか、
いつも自分の中に答えがあって、
自分で納得しているからかもしれない。

評判の悪い、穣太君の業務中のMIXIだって、
班長が2ちゃんねる三昧でときどきニタニタ薄ら笑いをし、
先輩達もヒマなときに自分のMIXIを開いているのを見たら、
「それはやっていい事」とストレートに解釈するだろう。
先輩達は、自分が実際にやっているので誰も彼に注意できない。
だから彼はやめない。指摘されたら当然反論するだろう。
「普通、研修中の新人は覚えるべき事が日々たくさんあるし、
たとえ先輩がやっている事でも自分は遠慮するのが常識で…」
こんな理屈がたぶん彼には、よほど理論的で
ストレートな言い方をしないと通じないのだろう。

ひとつひとつのエピソードに対して、
私はそんな風に彼側の事情を理解してしまうのだ。
そして、どうして彼に伝わるような言い方をしないのだろう、
などと、彼の肩を持つような発想をついしていまうのだが…
まぁ、いいや。つべこべ考えずに、
ここはさっさと上司達に相談してしまおう。

    *    *    *    *    *    *

たった数時間のうちにいろいろな人と話し合い、
様々な打ち合わせを重ねたし、
私を含まない組み合わせで、
何かの話し合いもあったと思うけれど、
その中身は割愛する。

結論として、企業側の課長と主任から言われた事は、
「まずは意思確認をして下さい」というものだった。(妥当)
そして、彼が今後もやる気があるのなら、
期間を定めて再度スキルアップに努力してもらい、
一ヶ月経っても改善が見られない場合は、
就業を辞退してもらいましょう、という話になった(妥当)。

その日、3日間休んでいた穣太君からは
「病院に寄るので遅刻しますが午後には出社する」
という連絡が入っていた。
私は彼に電話をして、
「今日は出社しなくていいので、午後に契約会社に来てください」
と、告げた。

「え…でも、会社…」
「今日はいいです。課長からもOKをもらっています。
話があるから必ず来てね。」
「え…あ…はい。。」

スタッフ達は今や全員が彼に大なり小なりの拒否感を持っている。
彼のいない職場を望んでいる。
思えば同じような事は過去に二度あった。
スタッフ達の不満の原因も言い分も過去の二回とすべて同じ。
「仕事のスキルじゃないんです。
常識とかマナーとかやる気なんです」
「人として、アンタそれってどうよ!といってやりたいぐらいです」

穣太君は違うんじゃないかと思いながらも、
ずっとずっと考えていた事。
それはやっぱり彼もまた、アスペルガー症候群か
その傾向の強いスタッフさんなんじゃなかったか?って事。
もしもそうなら、就業を辞退させるのは至難の技かも。
自分のどこが良くないのか自分で気がついていないと、
いつまでも納得せずにトラブルの原因となる。
が、ここはまず、現状を明確に伝えるのが、
一番彼にためになると思って契約会社に向かった。

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