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2007.02.11

厄介な人3~疲弊

1011

現在の私は管理的な業務が中心で、
現場に立ち入ってあれこれ指示出しをする事がないため、
自分が面接し就業前に事前研修をして現場に入れた新人さんが、
その後どうなっているのかをあまり知る機会がない。

穣太君は高校も普通の学校だし、
見た感じ特に変わった風でもないし、
言葉遣いも礼儀も普通。
事前研修は大変意欲的で、
教えた事の飲み込みが早く、
応用力もあり、勘がいいのは天才的だな、と思った。

ただし、面接時にコートを脱がなかったとか、
応募の理由を「え?シュウカツなんで…」
と、憮然として答えるなど、
目上の人に対して失礼だな、と感じる事はあった。
また、研修中に「うわ!やば!」と突然声を上げて、
「見てください、これ!俺の友達が…」
と、MIXIの画面をこちらに向けるなど、
「え!」と思う事もたまにあったけど、
社会的な未熟さや若さゆえの怖いもの知らずの言動は、
彼の年齢とそれまでの職歴を考えれば、
さほど大きな欠点とは思えなかった。

それに実際、コンビニ経験しかなかったり、
工場内軽作業の現場しか知らなった若いスタッフが、
数年後には職場で立派な社会人に育っている事を思うと、
そういったところを逐一細かく気にして、
今から人の良し悪しを判定するのは性急な判断だと思った。

なので、穣太君がそれほど「使えない」という話は、
自分としては何となく意外だったし、
彼のどこか人をカチンとさせる言動にばかり
目を向けてしまっている話だとしたら、
仕事と感情を分けて考えるように
班の雰囲気を変えなければいけないと思っていた。

けれどメールができない、と言うのなら、
これまた話は別で、それは感情云々ではない。
実は、穣太君は以前にも似たような話が上がっていて、
私は一度、彼のフォローアップ研修を引き受け、
3日間彼に付いた。
(過去日記「間違いじゃないから言えない

その時は、技術スキルよりも
彼のやる気や仕事をする上での意識、
そして職場のマナーとか、
そういうった批判が中心だったので、
私はそこにばかり終始する班の空気に疑問を感じ、
まずはお客様対応の実際を順序だてて教え、
穣太君のとっ散らかっている思考回路を整理してあげて、
その後、随分良くなりましたとみんなからの反応があったため、
自分としては安堵していた。

それがまたもやの再燃??
私はスタッフの一人一人にメッセンジャーを送って、
こっそり「どうなの?」と聞いてみた。

「相変わらず調べもしないで、適当に回答するんですよ。」
「お客様の話も良く聞かずに
自分の意見を押し通そうとするんです。」
「同じ事を何度も何度も聞いてくるんです。」
「こちらの都合も考えずにベラベラ話し掛けてきて、
それも自分の好きな話ばかりなので迷惑してます。」
「間違っている事を何度教えても、直そうとしないんです。」
「この作業ができないと調査に支障がでるから、
覚えておいてね、と言っているのにやっているのを、
今まで一度も見たことがありません。」
「やる気があるのか疑いたくなります。」
「仕事をなめていると思います。」
「自分に対して危機感が全然ないんです。」

まぁ、出るわ、出るわ、辛辣な批判の数々。
けれどスタッフ達は、班長の神田君が、
まともに彼を育成指導していないのも良くわかっているので、
行き場のない様々な不満をどこにどうぶつけていいものか、
出方に迷うあまり、なるべくそれを考えないようにして、
結果として無視していることがよくわかってきた。

それにしたって、やっぱりメールができないのは
確かにマズイよね。
私は神田班長やスタッフの皆さんの意見を聞きながら、
由香ちゃん(30代前半/女性スタッフ/仮名)を指名し、
もう一度一から指導してやってください、とお願いした。

由香ちゃんは分別のある女性スタッフである。
優秀で機転も利き判断力もある人ですが、
誰かを差し置いて自分が何かをする、
という事をあまり好まない。
班長や古い先輩達がほかにいるのに、
そこで自分が指導役を引き受ける事に、
いろいろと複雑な思いを抱いて最初は躊躇したが、
みんなが困っている状況を解決できるなら、と、
最後には引き受けてくれた。

後から彼女は、
「前原君や山崎君を助けたかったんですよね」
と、言っている。
神田班長が穣太君をその2人に押し付けたことで、
2人は長い間負担が大きくすごく困っていて、
見るからに大変そうだったから、と、
昨日話していました。

    *    *    *    *    *    *

私が由香ちゃんにお願いした事は、
大きく言えばたったひとつ。

お客様対応でもメールでも、実際にさせてみて、
できていないこと、わかっていなかった事、
間違っている事などが出てきたら、
書き出してリストにして毎日本人に見せて。
この一点。

無知の知という言葉があるけれど、
人は自分がどの程度のもので、
何ができて何ができないのかを
はっきりと自分でわかって納得していないと、
自発的な成長は望めないのだ。

そのためには、ただ「ダメだ」と言葉で伝えるだけではダメで、
文字や図やグラフなど目に見えるものにして、
本人にフィードバックしてあげるのが一番いいと思う。

ただし、そこに主観が入ってしまうと、
本人がなかなか納得しないので、
YesかNoかで正誤判定ができるものだけ
ピックアップするよう指示を出した。
いつ誰が見たって「それは間違い」というものしか、
リストに載せちゃダメ。
「仕様をよく覚えていない」じゃダメだよ?
「一度に設定できる項目の数を間違えて覚えていた」
と書かないと、穣太君の頭には入らないよ?

けれど、この指示は由香ちゃん的には難しかったようで^^;
後で日々のリストを眺めてみると、
「申し訳ありませんと不要に連発しない」とか、
「一度注意されたことは次からはやらない」とか、
あんまりYes/Noじゃないものも結構入っているな。
でも、そこまで望むのは酷というものだろうと思い、
指摘は特にしなかった。
自分の業務をこなしつつ片手間に見てくれているので、
役目を引き受けてくれただけでも大変だと思うし。

由香ちゃんはお客様対応が抜群にいい。
感謝される事も多い。
お客様対応がいい人というのは、
基本的に人好き=他人と話す事を苦にしない人で、
しかも相手の言葉から
主旨や真意を汲み取るのが上手な人である。
また、相手のレベルに合わせて自分の説明を
臨機応変に変える事ができるので、
話をしながら常に相手の人と成りを
分析しながら自分の行動に反映させている人だと思う。

なので、お客様対応がいい人は、
研修担当としても向く人だと思っていて、
その彼女が付いてもう一度指導してくれるのなら、
穣太君のためにもそれが最善と思っていたのですが…

    *    *    *    *    *    *

数日後、彼女に感想を聞いてみたところ、
「基本的な事があまりにも何もわかっていなくて
正直、びっくりなんですけど…」
と、答えが返ってきた。

「え、例えば?」
「○○の仕様の基礎的な事や、エラーの意味とか、
一番簡単な△△調査の手順とか…
神田さん、そういうの、本当にちゃんと穣太君に
きちんと教えたんでしょうかね??」
「何を聞いても、『教えた』って言っているけど…」
「うーん…なんか『どうして今でもこれがわからないの?』
って叫びたくなるんですよね。」

「あぁ、そう。。。由香ちゃん、それね、
きちんと穣太君に伝えていいよ?」
「本当ですか?言っちゃっていいんですか?
でも、なんか、怒鳴ってしまいそうで、
私、怖いんですけど…」

「怒鳴るのはまずいかもしれないけど(笑)、
『8ヶ月になるのになんでできないの?』って、
誰もちゃんと言わないから、
それでいいんだと思っちゃって、
自分でよくわかっていない部分もあるでしょ?
みんな人がいいし大人なのでそうなんだと思うけど、
私が見ていると、言わなさ過ぎだよ。
『ダメなものはダメ』ってきちんと言わないと…」

「言っているんです!私も縫子さんも何度も!
前原君も山崎君も(神田さんはよくわかんないですけど(笑))、
それなりに言っているんです。だけど穣太君は
それをそう思わないみたいなんです。」

穏やかな由香ちゃんが、いつになく声を荒げたので、
私は少し驚いた。
由香ちゃんも自分で恥ずかしく思ったのか、
落ち着いた声に戻って、こう言った。

「ぷらたなすさん、私思うんですけど、
スタッフの指導って誰に責任があるんですか?
私達がここまでやらなければいけないものなんですか?」

私は言葉に詰まった。

「ぷらたなすさんにお願いされたから、
私は業務としてやってますけど、これって本当は、
班長の役目ですよね?
班長の神田さんが最初から基礎をきちんと教えていれば、
こんな事にはならなかったんじゃないですか?
仕事なのでやれと言われれば来年もやりますけど、
はっきり言っていつまでこれを続ければいいんですか?」

"なんでこんな人を入れたんですか?"といわれると思い、
心の中で覚悟を決めていたら、批判の矢が班長に向かったので、
私は内心ほっとした(本音)。
けれど、信頼している由香ちゃんがそう言ってきた言葉は、
信じないわけにはいかず、
「そうだね、もう一回、みんなで話さないとね…」
と、言葉を濁して席に戻った。

それが昨年の暮れの話だった。
由香ちゃんの顔つきは、目が引っ込んで生気がなく、
本当に精神的に疲れている感じがした。
まずいな…と、そのとき初めて、
本気で私はそう思った。

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