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2006.11.16

叱られない謝り方

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4日前の日曜日。

夕飯の支度をしていると、静かにエンジンの止まる音がして、
私の車を借りて朝から出かけていた長男(大学生)が、
帰って来たのがわかった。

ガラガラと玄関の引き戸が開くのと同時に、
「おかえりなさーい!」と声を掛けると、
「お母さん、あのさー!」となにやら呼びかける声。

「え?何?どうしたの?」
エプロンで手を拭き拭き玄関先に出ると、
「お母さん、車、壊れた。」

「は??」

「車、こ・わ・れ・た」

「へ?」

壊れた…壊れた…
やっぱり動かなくなっちゃったんだろうか?

なにせ私の車は、廃車予定だったものを、
職場の人からタダで譲り受けた平成4年式。
最近は加速してもスピードが出ないときもあって、
「いつ壊れてもおかしくないんだからね?」と念を押して、
息子達に貸し出していたシロモノだ。

「壊れたってどういうこと?」

あ、でもいつも通りに家に入って来てるしな。。。

「タロー(仮名)、"壊れた"んじゃなくて、"壊した"んでしょ?
またどっかにぶつけてへこんだのと違うの?」

「だから~、壊れたって言ってんだろっ!」

「じゃどこにもぶつけてないのね?」

「だからそうじゃなくてぇ、そこの細い道で対向車とすれ違うときに、
暗くてよく見えなくてカーブミラーの支柱にぶつけて、
左の前のほうが大破した。」

「大破!!!!」

「ちょっとどういう事??」と言いながら、
すぐに突っ掛けを履いて表に出る。
どこよ?もしかして相手のいる事故じゃないの?
誰かを怪我させたとかそういことじゃないよね?

暗い中を近づいてよく見てみると、
確かに車の左の角が30㎝ぐらい、
物の見事にぐにゃりとへこんでいて、
ヘッドライトの脇の車幅灯はカバーも電球も何もなくり、
電線だけがはみ出してぶらんと垂れ下がっている。

思ったような"大破"ではなかったので安堵したものの、
この人は一体これで何度目だ?
だいたい昨年に次男が、半年前に長男が免許を取り、
休日彼らに車を貸すようになってから、
私の車はあっという間に満身創痍だ!
四角はすべてへこみや激しく擦ったあとがあって、
側面も傷だらけ。そしてそのほとんどがこの長男なのだ。
この辺でホントに緊張感を持って懲りてもらわないと、
危ないよ、この人。

そしてそれ以前に、人の車を大きくへこませておきながら、
詫びも誠意もないこの不機嫌で憮然とした態度は良くないね。

「あーあー、今回のはちょっとひどいね…」
「金なら払うから。金は払うよ。俺が払えばいいんだろ?」

「いや、そういう問題じゃないでしょ。
あのさ、アンタ人の車をぶつけておいて、
さっきからひとことも謝らないってのはどういうわけ?」

「あー、ごめんなさい。」

「なにそれ?」

「だから謝ってるだろっ?はい、ごめんなさい。すみません。」

「なにその謝り方?
人のものを壊したら、最初に謝るのが普通でしょう?」

ここで、長男ブチ切れる!
「うるせえんだよっ!てめぇ、この、クソババア!
ぶっ殺すぞ、このぉ!!」

突然私の首を締めて、力任せに前後に揺さぶってきた。

「ちょっと何すんのよ、離してよ!」
首にかかった手を解いて下ろしたら、
「触んな!この、ボケっ!!」と口汚くののしって、
手首を掴んだ私の手を乱暴に振り払い、
思い切り強く玄関の扉を締めて家の中に入っていった。

け。たまにキレるところは全く父親譲りだな。
この光景を近所の人が見ていたら、
相当ビビッた事だろう。
首の付け根がジンジンする。
小さい頃は行く末が心配だった長男も、
大人になった今は平常心の保ち方を心得てきて、
ここのところはずっといい感じだったけど、
久しぶりに出たね~。

力加減が本気でないので、
はっきり言って全然怖くはないけど、
こんなときに冷静な態度が取れないのは、
とても損なことだと思うよ。

    *    *    *    *    *    *

台所に戻ると、長男は食卓の夕飯には手もつけずに、
茶の間のパソコンでMIXIを開いて、
猛烈な勢いでキーを打っている。
口を利く様子もない。

まぁ、さっきの今じゃ、
面と向かって一緒に食事をとるのもバツが悪いだろう。
それにこちらもたまには腹を立てて見せないと、
いい薬にはならないよね。

そう思い、私も食事をせずに自室に引っ込み、
このcocologで書きかけの日記の続きを始めた(笑)。

長男とよく似たところのあるうちのご亭主は、
爆発して家族に手を上げたあとは、
(もちろん、今はない)
ものすごい自己嫌悪のどん底に陥って、
しばらく最高に嫌な気分が続くんだって。
もし長男も同じなら、今は相当、
二重の意味で落ち込んだ気持ちのはずだ。

馬鹿だよなー、損だよなー。
最初から素直に謝ればいいものを、
叱られるのを恐れるあまり感情的にムキになって、
自分の傷口を自分で広げているんだ彼は。

が、やがてしばらくすると控えめにノックする音がして、
「はい?」と答えると、顔を出したのは長男だった。

「あのさ、俺さ、加藤の実家に行く今度の旅行やめにしたから。」

「え?行けばいいのに。あんなに楽しみにしてたのに。」

「いや、とてもそう言う気分になれないし、
元々金がなくて、お母さんに借りて行こうと思っていたから。
でも、車の修理代のこともあるし、行かない事にした。」

「それとこれとは話が別でしょ?」

部屋干しにした黒いトレーナーが臭い。
トレーナーの黒ってどうして生乾きだと変な匂いがするのだろう。
染料のせいかな…そんな事を考えながら長男と話している。

「いや、もうさっき断ったから。
キャンセル料金払えって言われたけど。」

「それはそれで友達に迷惑をかけちゃうんじゃないの?
なんでも反動で極論に走ってしまうとあんまり良い事ないよ?
いきなりバッツリ断らないでちゃんとよく相談した?」

「………」

「タロー、ちょっとこっち来て座りなさい。」

さすがに部屋の中には入って来なかった。
でもいいや、言いたい事は言おう。

「あんたさ、なんで"壊れた"っていう言い方したの?
いくら私にあれこれ言われるのが嫌だからって、
あの態度はよろしくないんじゃない?

車の運転の半分は才能もあるし、
あんたもお父さんに似て、今までもこれからも、
しょっちゅうぶつけたり擦ったりするかもしれないけど、
それはそれで仕方のない事だし、
悪気でやっているわけじゃないから、
私だってそんなに頭ごなし怒ろうとは思わないよ?

それよりか、自分のミスなのに、
"壊れた"なんて、ひと事みたいな言い方をしたり、
私に言われるまでは謝る言葉がひとこともないし、
おまけに逆切れするなんて、今日のあんたは、
いいところが一つもないでしょ?
私、そんな息子に育てた覚えはないよ?

叱られるのが嫌な気持ちはわかるけど、
最初から事実をきちんと話して謝っていれば、
今日の件はそれで済んだはずだよ?
それなのにあんなふてくされて投げやりな態度だと、
車を壊されたほうはそっちのほうに腹が立って、
何か言いたくもなるし、でも、それって、
あんたの望んだのとは逆の結果でしょ?
そういうのは損だからこれからはやめなさい。

相手が誰であっても腹を据えて、
失敗は最初にきちんと謝ったほうが
あまり怒られずに済むもんだよ。」

「うん。。。わかった。」

私の言葉は長男の心にちゃんと響いただろうか?
長男は静かに襖を閉めて黙って去っていった。

    *    *    *    *    *    *

実は人の事をとやかく言える私ではない。
私も若い頃は間抜けなうっかり屋さんで、
自分の失敗で周囲に迷惑をかけることが多かった。

そそっかしい人というのは、
人様よりも圧倒的回数の違いで誰かからいつも怒られているので、
他人から非難の的にされる事にどうしようもない恐怖感がある。
だから余計に怖い。本当に怒られたくない。
なのにいつも結果は逆のほうへ。

ある日私は、キツく怒られないためにはどうすればいいか、
真剣に考えてみた。確か22、3のときだったと思う。
そのためには、どんな風に謝罪されれば自分は人を快く許すか、
本気でシュミレーションしてみた。

そしてこう思った。
「ぷらちゃん、どうしよう!間違って○○しちゃった!ごめんなさい!」
こんな感じで友人が謝ってきたら、たぶん私は、
「いいよ、いいよ、大した事ないから気にしないで!大丈夫!」
絶対そう答えるだろうと思ったのね。

!!!!
そうか。何の事はないのよ。
隠したりごまかしたりせず、さっさと自分の非を認め、
できるだけ早く事実を告げて、
きちんと謝ってしまえばいいんだ!

思えば私は、「やってしまった!」という強い恐怖感で、
言い訳やごまかしや隠し立てが先に立ち、
相手に迷惑をかけたというのに、
いつも自分可愛さの物言いばかりで、
それが余計に相手の苛立ちを助長させていたのだと
そのときに気が付いた。
保身。ミスったときにはこれが一番よろしくないんだわね。
まずはその気持ちを捨てみようと心に決めた。

そしたら、本当に面白いぐらい自分への風当たりが消えてゆき、
しかもそれを機にミスもどんどん減ってきた。
「自分が悪い」。自分で自分をきっかりそう認めることで、
甘えた気持ちがなくなっていったのかもしれない。

なので今、私が自分の非を早々に認めてあまり隠さないときは、
私が素直で良い人だからではなく、
結果を狙った処世術でもあります。
そこに、うろたえオロオロする演技を少し加えれば、
必要以上に感情的に叱られる事はあまりないようです^^。

そう思うと、人は事実に対してばかり腹を立てているのではなく、
毎度間抜けな事ばかりやっている人への
「いい加減にしてよ」という気持ちや、
相手の態度や誠意のなさにまずはカチンと来ているように思えます。

ありのままを言ったらもちろん厳しく注意はされますよ?
でも自分が悪いのだから当然で、
そこから逃げようと思ったら負けだと思うし、
嵐はヘタにあちこち逃げ回るよりも、
そこの場所に居続けて、ただ過ぎ去るのを耐えて待ったほうが、
ずっと天気の回復が早かったりするのだ。
そして不思議な事に過ぎてみれば感情的にもあまり尾を引かない。

すごくすごく当たり前すぎる事だけど、
ひどく叱られないためには、事実を隠さず、曲げず、非を認め、
誠意を持って謝り、批判を甘んじて受ける覚悟を決める事だと思う。

本当に私が元々素直でいい人ならば、
こんな経緯を辿らなくても自然にそれができているはず。
でも私の場合は、自分で何かに気がつかないと、
なかなか人並みにできない事がある。
でも、一度そうだと確信したら、
まだ気が付いていない人に、
今度はそれを教えてあげたくなるのよね(笑)。

ニュースを賑わす社会的な事件だってそうじゃない?
悪い事は悪かったと認めたほうが批判の先鋒も和らぐのに、
保身が見え隠れするから槍玉にも上がってしまうのだ。
世間に対してそういった"作戦"が取れない組織は、
むしろ正統な戦略家の居ない、いや正統な戦略家が育たない、
風通しの悪い集まりなんじゃないかと思う。

    *    *    *    *    *    *

就寝前、長男がもう一度部屋にやって来た。

「あの…これ。」

手にとって見ると、部活動の大会で、
ALL東北の選手に選ばれた表彰のガラスの盾だった。

「え?これ、今日もらったの?」

「うん。今日、表彰式だったんだ。」

「そうだったの?すごいね!それはおめでとう!!」

「いや、だから尚更さぁ…」

そうだったんだ。。。
そうだよね。この盾を早く私に見せようと思って、
急いで帰ってきたんだよね、きっと。
せっかくの晴れがましい気持ちが、
一瞬にして台無しになってしまい、
そうとわかるとその心中に胸が痛む。

さっきまでは押し黙ったまま、
玄関先で丁寧に丁寧に、
ひたすら自分の革靴を磨いていた。
そう、今日はスーツで出かけたんだよ。
なんかかわいそうだな。

「タロー、修理はいいから、旅行は行ったらいいじゃん。
一応、卒業旅行なんでしょう?
お金は貸すから。そのかわり必ず返してね(笑)。」

「うん。考えておく。おやすみなさい。」

「おやすみなさい。今日はおめでとう!」

「うん。ありがとう。」

そうか…そうだったのか。
長男は今頃何を考えているのかな…
私は布団に入ってしばらく天井を見つめたあと、
手元のライトを消して眠りについた。

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