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2006.11.23

苦情はいつも同じ人

研修室で新人さんを相手にマンツーマンの研修をしていると、
ノックの音がして、ドアからうえぴー(30代後半/男性スタッフ/仮名)が
顔を出して手招きした。「ぷらさん、ちょっと^^;…」「どうしたの?」
すみませんと新人さんに詫びて通路に出る。

「苦情で~す。それがネ、また例のあの人なの^^」

ねーねー、ちょっと、ちょっと、と言った感じで
オバチャンの噂話のように話すうえぴーは、
私を含め古くからの仲間と話すときだけおネエ言葉になる男性。
でも、何事も柔和に話してくれるので、いつも気持ちが救われる。

「え?"あの人"って、木田ちゃん?」
「そ。そういうこと。」
「またかっ(苦笑)…」
「そうなのよ。」

電話でお客様対応中に、
ユーザーが木田ちゃん(20代後半/女性スタッフ/仮名)の
態度にカチンと来て、
「上司を出せ」となったらしく、
対応を代わった"上司"(実は古参の正社員)が、
ユーザーの木田ちゃんへの不満を重く見て周囲と話し合い、
私や担当班長に緊急召集をかけたので、
30分だけ研修を抜けてきて欲しいという、
ミーティングへの参加要請の伝令だった。

    *    *    *    *    *    *

私の職場は某社のサポートセンター。
正社員よりも圧倒的に多い契約スタッフが働く中で、
私はスタッフ達のまとめ役のような仕事をしている。
人が増えた今では陣頭指揮して現場を切り盛りするよりも、
何かあったときの対策の発案や、
スタッフの指導・育成に関わる事のほうが多い。

近年、企業がやっとお客様対応の部分に、
会社として目を向け始めたので(遅いよ!)
私はようやく言葉遣いや態度などの部分でも、
職場の方針として堂々と指導出来るようになりましたが、
私達の部門は本来会社の技術部門で、
いわゆるコールセンターのような、
細部に行き届いたユーザー対応をする文化が無かったので、
「相手に失礼では?」と感じた事に異を唱えても、
管理する立場の社員のほうが、
「そこまで考えなくてもいいんじゃない?」という言葉が大半。
理解してくれる上司もいなかった^^;

今は会社が対応マナー委員会を設けて、
内部チェックする仕組みを作ったり、
アンケートを送ってお客様の生の声を集めたり、
全体がそういう動きなので非常に楽になりましたよ。
特に新しくやって来た内海主任は、
CS(顧客満足)の発想が徹底している人なので、
すぐに話が通じて大変やりやすい。

反面、様々な数字や集計結果は本部の知るところとなり、
お客様から名指しでご批判を受けるような人がいた場合、
本部のほうから対策を求められる。
が、これが正直気が重い^^;

なぜならお客様から名前が挙がり、
本部が「指導してください」と言ってくるスタッフは、
毎回顔ぶれが同じだからだ。
本部から見れば、いつまで経っても状況が変わらずに、
「いったい何を"指導"しているのだろう?」と、
やきもきする印象となっているのに違いないのだ。。。

    *    *    *    *    *    *

ご縁があってこの日記をお読みの方は、
どこかに電話で何かを尋ねて、
不快な思いをした事は無いだろうか。

「お前何様?」と言いたくなるような高飛車でつっけんどんな態度、
冷たく事務的でちっとも暖かみの無い口調、
話が複雑になってくると、ため息、舌打ち、イライラ…

それでもこちらの意図が伝わり、
問題が解決されればまだ良いけれど、
話もよく聞かずに「そういう事はやっていません」と突っぱねられたり、
いつもよくお願いしている事なのに、
その人だけは「できません」の一点張りで確認する様子もないとか、
尋ねるほうにもある程度の予備知識があるときは、
「ちょっと、それっておかしいんじゃないのっ!」と、
言いたくもなるし、私は実際に言う(笑)。(でも冷静にね♪)

調べたけれどわからなかったから聞いているのに、
「取り説はよく読みましたか?」と、
いかにもこちらが悪いような言い方もかなりムッと来ますよね。

だから、電話を終えてムシャクシャしたときには、
「なんて嫌なヤツだろう!」と腹も立つし、
しばらく不快感が消えなかったりしますが、
受付側の世界から見ると、それはちょっと違うんだよね。

確かにお客様からの苦情の多い人は、
周りもそれをみんなわかっています。
仕事中、普通に耳に入って来るその人の対応トークに、
「あーあーあー、何であんな言い方しかできないんだろう…」
と、思いながら誰もが何も言わずに自分の電話を取っています。

だけどそういう人が、性格の悪い職場の嫌われ者かというと、
これが違う事のほうが多いんだよね。
女性の場合はたいていが友達とは仲良くうまくやっていて、
お昼時間の雑談もキャッキャッと楽しそうだ。
それに仕事で誰かが困っていればすぐに手伝ってくれるし、
機転も利く。
またお菓子を分けてくれたり旅行のお土産を買って来てくれたり、
思いやりや気配りが欠けている人とはどう見ても言いがたい。

だから、それと同じ気持ちでユーザー対応すれば、
何も問題のない人なのに、
それができないのはなぜだろうね。

私が横から見ていても、お客様を見下したり蔑む気持ちはない。
よくあるいつものお問い合わせをしてくる、
お客様への対応はむしろ絶品で、
適度に親切、無駄なく手際が良いので対応時間も短い。

ただし!
初心で動作がおぼつかなかったり、
適切な表現でうまく質問ができないようなお客様に当たると、
人並み以上に大変イライラする。
この要素は、無い人には無いけどある人には確実にあり、
私は生物学的見地(←大きく出てみました(笑))からみて、
最近は、ある程度仕方の無い事なんじゃないか…と思うようになった。

というのも、私は一昨年、
あるスタッフに頭を抱えた事がきっかけで、
アスペルガー症候群という、
会話などのコミュニケーションに難のある障害を知り、
知能も高く高学歴、普通に会社で仕事をしている人の中にも、
生れ付き社会性に欠けて職場の困ったさんになっている人が、
たくさんいるとわかったからだ。
(当時の苦悩はここいら辺に…)

それって本人の望む・望まないに関わらず、生れ付きなんだよ。
もしそういう事があるのなら、障害とまでは全然行かなくても、
多種多様な因子を持った人が居るのは当然で、
基本的に「どうしても苦手」「どうしてもできない」という事柄は、
自分の努力や誰かの指導によって劇的に変わる事は期待できず、
そこでほじくるように毎度マインド面ばかりを諭しても、
効果がないと感じるようになった。

人が聞いたら反論もあると思うけど、
"早口にならない""言葉に力を込めない"
"何かを強調するような言い方をしない"など、
「心」や「精神」に関連付けない対処療法的な指導のほうが、
受け入れてもらいやすく有効に思う。

    *    *    *    *    *    *

昨年、アスペルガー症候群のサイトをいろいろ読んでいて、
その障害を持つ人はイレギュラーな事が非常に苦手とあり、
それも自分にとっては大きいヒントになりました。

そこの感覚の違う人もたくさんいるって事なんだな。。。
そう、木田ちゃんみたいな人が、
初心者や話の下手なお客様を嫌悪するのは、
優越感からではなく、それがイレギュラーだからです。
思ったとおりのテンポでサクサクと進まない。
誰もがわかっているはずの言葉をなかなか理解してくれない。

引いては、可能かどうかわからないお客様の要望、
受けた事の無い質問、初めて耳にする用語や使い方…
たいていのスタッフが"折り返し"にしたり、
保留にして班長に確認しに走るところを、
木田ちゃんは態度や言葉で、
お客様をその場でシャットアウトしちゃうんだね。
それは彼女の無意識のパニック状態なんだと思う。
が、自分では気がついていない。
そしてなぜ自分だけがこうもお客様から怒られるのだろうと、
不公平に思い、嫌気が差して「向かない」という結論を出すのだ。

木田ちゃんや木田ちゃんと同じタイプの人に、
あとから苦情の上がった対応を聞かせると、
ひとしきり聞き終わった後で、
「これのどこが悪かったんですか?」と聞かれる事が多い。
「私は言うべき事は言い、やるべきことはきちんとやりました。
回答内容も間違っていませんし、問題ないと思います。」
ここで、「お客様対応とは?」と話してみても、
この段階ではまだかみ合わないし、
不満だけ募るコーチングになると思う。

「この対応を聞いて全体的にどんな風に思った?」
「うーん…特には…」
「じゃ、例えばここのところのこの言い方って、
あなたが絶対悪いですよね?って、
どこか言いたげな感じの表現じゃない…?」
「いや…別に…普通っていうかぁ…(真顔)」

あとから苦情があがるのでなく、
お客様がその場で本人に苦言を呈し感情的になったときでも、
案外、本人の中には不条理な思いが強く残っていたりする。

    *    *    *    *    *    *

話は変わるけど、うちの次男は電話が苦手なんだって。
近所のスーパーのアルバイトで、
品出しとお酒の発注を担当しているんだけど、
電話だと緊張してすごく構えてしまうんだって。

「え?どうして?
売り場でサントリーさんと普通に話しているなら、
電話でも一緒なんじゃないの?」
「でもなんか緊張する…」
「…??」

「会って話すときはさー、表情とか身振りとかで、
相手の考えている事がよくわかるじゃない。
でも、電話だとよく話を聞かないとわからないので、
毎回毎回、集中しなきゃ!って思うんだよね。」

ふーん…次男は視覚情報で状況判断する割合が高いんだな。
するってーと、「電話」は次男にとって、
情報が大きく欠落したコミュニケーション手段てことになる。
木田ちゃんも似たような感じなのかな。

「でも、彼女とは毎日普通に長電話とかしているじゃん(笑)」
「ああ、あれは別。友達とかは知り合いだし…」

そうか…思えば私は、友達と「お客様」の間の諧調は無段階だ。
友達でも腹を割って話さない人、お客様でも旧知の仲よし…
どこかできっかり線をひくという事は無くて、
どのレベルで話をするのか、いつもメーターが上下しているなぁ…
言われてみれば、対面だから、電話だから、という、
切り替えも特に無い。気心の通じている担当者なら、
会っても電話でも調子は同じだ。

家で家族から率直な心情を聞き、
それが自分と違うものだと、毎回ふーん…と思う。
何を聞かれるのかわからない状態で、
様々な案件を解いたり説明したりするのは、
電話の苦手な人にとっては意識しない恐怖感があるのかもしれない。

だったら木田ちゃんも、ゆっくり話ができる場所で、
ひとつひとつどんな感情を持ちながら話をしたのか、
丁寧に振り返って語ってもらうのもいいかもしれない。
自分で話をしている間に、何かに気がつくこともあるだろう。
面談をすると結構みんな、自分の本音は語ってくれるので、
それがいいように思う。

そういえば、
「ユーザーサポートの仕事は大好きだけど、
電話を通じて行うのは好きになれない。
手取り足取り、面と向かってじゃないと自分には向かない」
こういってインストラクターに転職した人が居たっけな。
彼女も、苦情を受ける事が多かった。

    *    *    *    *    *    *

今回のお客様からのクレームは、商品の不具合なのに、
木田ちゃんのお詫びに誠意が感じられないというものだった。

「不良品なんですか?」
「いえ、違います。時期によってそういう商品があるので…」
「でも、使いにくいのですが…」
「ですが、不良品ではないので…」
「それじゃ我慢して使えというのですか?」

「(無言)…」(←たぶん怪しい雲行きを感じここで固まってしまった)
「あのねー」
「申し訳ありません」(さえぎるように淡々)
「…」
「申し訳ありません。」(←思い切り無味乾燥で事務的)
「なに、その謝り方?あなた名前はなんていうの?」
「木田と申します。」
「木田さん…木田さんね。。。さっきから随分事務的だね。」
「申し訳ありません。」(ちょっとケンカを売っているようにも聞こえる)
「あなたね、…わかった。上司の名前を教えて。」

お客様は穏やかで紳士的。
商品に少々使い勝手が悪い部分があっても、
誠実にお詫びし、事情をお話すれば、
わかってくれるタイプの人だ。

研修担当の角田君(20代後半/男性スタッフ/仮名)が、
「ダメジャン、これじゃっ。全然なってない!!なんでここでさー…」
と、怒るように吐き捨てた。

角田君、怒っちゃダメだよ。
ここでカチンと来て腹を立てたら、
ユーザーさんに苛立った対応して、
苦情を食らうオペさんと同じだよ。
ここにあるのは事実だけだよ。
感情は持たないほうが良いよ。

「そうよ。事実があるだけなのよ?」
うえぴーも言った。

けれど、意見の上がった面談もコーチングも指導も
昨日一切見合わせることになった。
班長のレイちゃん(20代後半/女性スタッフ/仮名)経由で、
木田ちゃんが仕事を続けるかどうか迷っている事を知ったから。

私は、頭の回転が速く、
調査系の仕事なら本当にソツのない木田ちゃんには
もっと仕事を続けて欲しい。
できれば素敵なお客様対応をして誉められたり感謝されたり、
もっともっといい仕事でいい思いをして欲しい。

けれどこうやって、お客様とうまく対応していけない人は、
やっぱり自然に淘汰されて行っちゃうんだろうかね。

木田ちゃんはいい子で全然悪い人なんかじゃありません。
(だから余計に何とかしたいと思ってしまう)
この日記で腹の立つ店員さんの対応などをあれこれ書く私ですが、
たぶん過去登場した人たちも、本当は悪い人じゃないんだろうなぁ…
そんな事を考えながら、昨日は面談の準備をしたり、
その日のうちに取りやめたり、慌しい一日を過ごしていました。




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