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2006.04.28

「電話の仕事」と言うけれど

体調不良で今月数日しか出勤できなかった
ユウ子さん(30代後半/女性/仮名)に、
契約会社の細川さん(30代前半/女性/仮名)が、
ついに引導を渡した。

オフィスに来てもらい、
出勤状況を自分の目でもう一度見てもらい、
これで今後もやっていけるのかどうか?を
契約している意味も含めて話し合い、
強めに「意思確認」をする。
契約会社のダークな部分の作業だ。

契約会社は出向先に人を送り出してしまうと、
彼らが職場ではどんな感じで、
具体的にどういった毎日なのかを、
自分達の目で見ることができない。

「胸が痛い」と言われれば、呼吸器系の疾患をまず疑い、
通院を勧め、「今後入院することになってしまうのだろうか…」
などと、そちらのほうに気が回ってしまうけれど、
現場に常駐している私から見ると、
本人の人柄、研修での様子、
そして欠勤のパターンや朝の欠勤連絡の内容などで、
「あ~、来ちゃったなぁ…」と、
メンタルに起因する症状である確信を、
持つに至ったりするのだ。

こう言う事に慣れていくというのも、
冷酷で人として寂しい気がするけど、
本人の意思とは別なところで働く「向き・不向き」や、
業務を身に付けていく段階でのストレスに弱い、
ほんの一握りの人達が確実に居るとわかった今は、
淡々と対処していくほかない。

面談を担当するのは、細川さんだけど、
それをお願いするのは現場の私。
「ユウ子さん、そろそろマズイよ?」
「ですよね。病院、ちゃんと行ってるのかな?」
「彼女、そっちじゃないって。」
「え?マジですか?あー、そうか!あっち系か。迂闊だった!」
最近では、こんな符丁のような短い会話も、
成り立つようになった。
地球からは見えない、月の裏側を語るような話だね。

    *    *    *    *    *    *

ユウ子さんは、欠勤がちではあったけど、
まじめで誠実で本当に人柄のいいスタッフさんであった。
業務への意欲もあった。

だから、私も会社も同僚スタッフ達も、
当初は彼女の健康の回復を願い、
業務スキルをきちんと習得できさえすれば、
自信と面白みが増して来て、
欠勤も減るのではないか?と思っていたけど、
そこに至ることなく終了となってしまった。

でもね、私、この頃思うんです。
振り返れば、この一年、
体調を崩したり、なぜか安定して出勤できないなど、
早期にリタイアしていく人達は、
コールセンターやサポセンなど、
電話の仕事の経験者がやたらと多い。

ユウ子さんしかり。繭香さんしかり、
川田さんしかり、洞口さんしかり。

もう少し遡ると、星野君しかり、
Mさんしかり、ツトムさんしかり、だ。

しかも上記のうち、洞口さん以外は、
なんと全員ある同じセンターの出身者である!
とても広い意味では同業種、業務も似通っている。

通常、契約会社はキャリアを重視するので、
「経験者」の応募は大歓迎で、
面接で大きな問題を感じなければ、
皆「採用」となるわけですが、
この頃は私も細川さんも、某センターからの転職組には、
心底懐疑的である。

向こうでの脱落者が同業種に応募してきているのでは?
という予測も成り立ちますが、
スタッフ達の話を聞くと、必ずしもそうではないらしい。
上記の中には、以前のセンターで
表彰もされたトップオペレーターさんだった人も含まれる。

たぶん、私達の職場には、
「経験者だからやりやすい」「経験者だから慣れた仕事」
といった彼らの目論見を完全に裏切る、
何かがあるんだろうと思う。

…で、それは一体なんだろう?と考えたときに思い当たるのが、
「一から自分の頭で考え解決する能力の有無」を、
大いに問われることではないかと思う。

    *    *    *    *    *    *

私の職場が向こうと根本的に違うのは、
マニュアルがないことであるとわかっている。

向こうは規模が大きく様々な人が居るので、
お客様対応品質を均一化するのと、ルールの徹底のために、
痒いところに手が届くような、スタッフ用ウェブマニュアルが
社内LAN上のにある。

だから早期に立ち上がることが可能で、
業務スキル=(イコール)ウェブマニュアルへの精通
だったりする。
どこに何が書いてあるかさえわかれば、
取りあえずは第一関門クリアだ。

ウチにはそれがない。どの課のどの新人研修も、
まず基礎知識を教え、仕組みを教え、
仕様への深い理解を土台としたところに、
個々の商品特性の解説を乗せていく。

なぜなら、私達の事業部はもともと会社の技術部門だった部署で、
今のすべての業務は、「故障屋としてのユーザー対応」
に端を発しているからだ。
(だからお客様対応の良し悪しにはどこか無頓着なムード^^)

お客様から問い合わせのあった不具合の申告を聞いて、
どこに問題があるのかを考え、
問診を通して原因を特定させていく作業は、
ある意味「頭の職人技」であるが、
それをスピーディに終えるためには、
応用力も機転も必要で、それを身につけるのに王道はない。

私と私と同期の仲間達は、初めてこの仕事に就いたときに、
「マニュアルが何もない!」事に大変驚き、
不安も必要性もすごく感じていたけれど、
今は誰もが「なくて良かった」と思っている。
そんな親切なものがあったら、思考力は身につかず、
この仕事を面白いと感じることもなかっただろう。
これは、経験が長いスタッフほど感じる共通の思いなんだよね。

だから必死に頭を使う訓練がなされておらず、
むしろマニュアルを逐一参照するようにしつけられているような、
他のコールセンターやサポートセンターから来た人は、
覚えなくてはいけない膨大な内容を前に、
どこから手をつけていいのか、
人並み以上に混乱してしまうのだろうと思う。

私達から見れば、そんなもの、一気に手なんかつけないくていい。
一ヶ月や二ヶ月で習得できるわけもないんだから、
わからないのが当たり前、できないのが当たり前。
少しずつ経験を積んで、ゆっくりと確実に成長し、
半年後、一年後に「使えるスタッフ」になれば、
それでいいんだ。
この辺はスタッフも社員も会社の方針も見事に一致している。
過去、社員も私達スタッフも等しく同じ道を歩いてきた。

けれど、コールセンターの中には、
人の管理や実績管理が非常にシビアなところもあり、
スタッフへの締め付けも厳しいらしく、
転職者の話を聞くとギスギスしている雰囲気の職場も多い。
「ちょっとでも電話が長引いていると、SVさんが走ってきて
 横で内容を聞かれるんですよ?あれがイヤでした」
「疲れたなぁ、とぼんやりしていると、怒られるんです」
「もう、数字、数字、働け、働け、って感じなんですよね」

そんな彼らは、走っていなければ評価されない意識が強く、
「わからないことはわからないと言っていいんですよ?」
という私達の言葉の真意をなかなかくみ取ってくれない。
何かを完全に習得できていない状況を非常に不安がる。

けれど一方で、スタッフの権限が低く、
自己判断を求められる機会がないので、
気軽と言えば気軽。無責任といえば無責任。
私達は、法人相手だし、交替制契約のスタッフになると、
夜間や土日は助けてくれる人が誰もいない1名シフトなので、
自分がまずしっかりしなければいけない。
よっておのずと主体性が要求される空気に全体がなっている。

でも、何かの不満があって前職を辞めたとしても、
やっぱり同じ「電話の仕事」目指して応募してくる人達は、
整ったマニュアル通りに対応するのが好きで性にあっていて、
かつ責任の重い仕事はしたくない資質の人かもしれないんだよね。

だから、そんな認識で来ると、
うちの職場は調子が狂うことばかりで、
結局、「電話の仕事の経験者」であることが逆にネックとなって、
スムーズに業務に入り込んでいけないように思います。

「未経験」「初心者」「契約スタッフ経験なし」
こういった方達こそ非常に安定していて、
過去早期リタイア者を一度も出したことがないので、
「キャリア」ってなんだろう、と思ったりしますよ。
最近では、「経験者ほど要注意!」って感じで、
事前説明にも、細心の注意を払っています。

    *    *    *    *    *    *

今、ウチの職場では英語対応者を募っていて、
細川さんも人集めに必死なんですが、
誰に業務説明をしても、
「翻訳がないときは電話の仕事に従事」というと、
「電話の仕事はイヤです。それはけっこうです」と断られると言う。

みんな一体、「電話の仕事」に
どんなイメージを持っているんだろうな。
「だから、TVのCMみたいな
 ヘッドセットのお姉さん達の集まっているような
 仕事場じゃないんだって!」と、すごく言いたいんですが、
誰もわかってくれないだろうな。
そう言って来る人ほど、向いていると思うんだけど(笑)。

少なくとも、数年この仕事を続けているスタッフ達は、
「マニュアル至上」の職場だったら、
皆とっくに辞めている(笑)。
私もかつて契約スタッフだった頃は、
同様に仕事が大好きだった。

わからないから悔しいし、ムキにもなるし、努力もする。
そんな「謎解き」が大好きで、
新人当初のストレスよりも、
成長していく喜びのほうが上回っている人。
そんな人なら、あまり体調を崩したりしないんじゃないかなぁ。

いずれそういう部分も性格の問題なので、
是非を論じる気持ちはまったくありませんが、
私達の職場でリタイアする人は、
安定志向が強く、ルーチンワークが好きで変化を好まず、
「ケースバイケース」や「臨機応変」を
好まない傾向の人達って気がします。

そういった資質の人達は、本当にきちんとしたマニュアルが整った
自己判断を求められることのない仕事が向いていると思います。

一口に「電話の仕事」と言っても、その有様は本当に様々ですが、
それがいいとか悪いとかそいう話じゃなくて、
どのセンターもその業種・業態に一番あっている運用を
選択している結果だと思うんだよね。

雰囲気の良し悪しは、それとはまた別な話かもしれないけど、
「やることやってりゃそれでいいんでしょ?」
と、さっさと割り切ることができて必要以上のことは一切せず、
他人ともあまり関わりたくない人は、
それはそれで向いていると言えます。
まぁ、そういう人達の集まりだからこそ、
雰囲気も冷たくなるのでしょうが(笑)。

結局仕事って業務内容や職種如何よりも、
自己表現したいのか、したくないのか、
自己表現が求められる職場なのか?
しなくてもいい職場のか?
それに深く関わっているような気もします。

そこがその人にとってジャストミートしていて、
体質に合った人間関係と適度な業務量と
それであきらめのつく収入があれば、
意外に仕事の内容を問わないときもあります。

やってみたら、意外に面白かった!
これがウチの職場の「初心者・未経験・契約スタッフ経験なし」
の、ほとんどの人の本音なんじゃないかな。
ほら、人間って、期待を裏切る新鮮な感動があると、
結構病み付きになりますよね。
(恋愛みたいなもんですね(笑)。)

そういった力強い感動を持ち得ないところも、
経験者さんの弱点なんでしょうね。




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